導入事例 CASE STUDY
ウエスト神戸様
統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例
「仕訳読込テンプレート」が経営判断の迅速化をもたらす
女性も入りやすい低価格の鉄板居酒屋として知られる『居心伝』。そのチェーン店を、主に神戸よりも西側のエリアで展開しているのがウエスト神戸だ。現在、7つの店舗を営業している。西方敏洋社長(39)は、TKCの『FX4クラウド』をタイムリーな業績管理に活用するだけでなく、店長教育の面でも役立てているという。
女性をターゲットにした居酒屋『居心伝』を運営
──居酒屋チェーンの『居心伝』を運営されているそうですね。
西方敏洋社長
西方 居心伝は、『酔虎伝』や『八剣伝』などの飲食店を展開しているマルシェグループの業態(ブランド)の一つです。その居心伝を、直営店とフランチャイズ店の複合方式で、兵庫県内に合計7店舗を営業しているのが私たち、ウエスト神戸です。
──居心伝という業態の特徴を教えてください。
西方 コンセプトは「女性も入りやすい、低価格の鉄板居酒屋」。居心伝のブランドが誕生したのは今から13年ほど前ですが、当時は「女子会」という言葉もなく、女性同士が連れ立って居酒屋に飲みにいくことは今ほど一般的ではありませんでした。しかし女性の社会進出が進み、仕事のストレスをため込んでいる女性も確実に増えつつあったことから、女性をターゲットにした居酒屋があってもいいのではないかと考えたんです。それで生まれたのが居心伝という業態で、私はマルシェの社員としてブランド立ち上げに深く携わっていました。
──どのあたりが「女性向け」なのでしょうか。
西方 鉄板料理というと、どうしても値段が高そうというイメージがありますが、居心伝では量を小ぶりにするとともに値段をおさえて、ちょっとずつおいしいものを楽しめるようにしています。また、1杯280円(税抜き)均一のドリンク類についても、女性好みのカクテルを充実させるなどしています。
──突き出し(お通し)・席料・深夜料が一切ないのも、居心伝の特徴だとか?
西方 これも、居酒屋に馴染みのうすい女性に配慮してのことです。ただ、突き出しがない代わりに「スピードメニュー」というのを設けていて、えだまめ、白菜キムチ、たこわさび等の"乾杯のお供"を何種類も用意しています。要するに、自分好みの「突き出し的な料理」を頼めるようにしているのです。
──実際、女性客は多い?
西方 うちは40%くらいが女性客です。とくに当社の直営である学園都市店の場合、主婦の利用者が多いといえます。「ママ会」に利用されたり、近くにある量販店で働くパートさんが仕事帰りに寄ってくれたりしています。
──店舗によって来店客の傾向はだいぶ違うのでしょうか。
西方 郊外型のお店と繁華街にあるお店とでは、やはり客層が異なりますね。学園都市店のような郊外型の店舗については、ご近所のかたの「地元の憩いの場」として利用されています。主婦のほか、シニアの夫婦がファミレス代わりに利用されていたり、店が混み合う前の時間帯(4~6時)には将棋盤などの貸し出しもしているので、お酒をゆっくりと楽しみながら将棋をさしている人もいます。
一方で、繁華街にある「阪急六甲店」などは、どちらかと言うと学生やサラリーマン・OLなどが中心。だから、ポテトフライのダブル(2倍)など、パワー系のメニューを充実させたりしています。でも逆に、学園都市店で人気のある「お好み焼き」をメニューに加えるわけにはいかないところがある。調理に時間がかかるため、あまり大量の注文をこなせないからです。ちなみに居心伝のフランチャイズにはある程度の裁量権が与えられていて、全店共通のグランドメニューはあるものの、各お店でワインや鮮魚のメニューを自分たちの判断で充実させたりすることができます。
──西方社長がマルシェから独立したのは、今から3年前だとお聞きしました。
西方 2011年4月に個人で居心伝の加盟店5店舗を開業しました。その翌年の1月に、直営の学園都市店をオープン。秋には、ウエスト神戸を設立して法人化しました。
さらにその後、もう1店舗加盟店を増やすとともに、当初は加盟店だった阪急六甲店を直営にしました。
──組織をマネジメントしていくうえで、とりわけ重要視していることは何ですか。
西方 接客スキルの底上げのほか、居酒屋は「心の診療所」であるという経営理念の浸透、あるいは店長のマネジメント能力向上などがそうです。とにかく店長には、将来独立開業できる力を身に付けさせたい。独立開業を目指すことは、店長自身がモチベーションを高めるうえでも大切なことだと思っています。
クラウドの持ち味を生かして複数端末から分散入力
──TKCシステムを使い始めたいきさつをお聞かせください。
西方 個人で事業を立ち上げたときに税務顧問をお願いしたのが、荒巻(政文)先生の会計事務所でした。監査担当者になってくれた中谷(浩子)さんに「まずは自計化が必要」と言われたことから、すぐに『FX2』を導入しました。
──昨年6月、『FX2』から『FX4クラウド』に切り替えたそうですが、その狙いは?
西方 一言でいえば「スピード化」ですね。
ご存じのとおり『FX4クラウド』には、複数パソコンからの同時アクセスが可能というクラウド・コンピューティングならではの特徴に加えて、売り上げデータ等のファイルを仕訳データとして読み込める「仕訳読込テンプレート」の機能があります。この機能を生かして、各店舗の店長が毎日の売り上げ等をお店の端末から打ち込むと、そのデータが本社にある『FX4クラウド』にそのまま仕訳連動される体制を作ろうと思ったんです。
従来は、それぞれの店長が紙ベースの業務日報に手書きで記し、それをもとに経理業務を担当する私の家内がシステムに仕訳入力していました。つまり、二度手間をかけていたわけです。それが今では、店長が打ち込んだ数字をチェックするだけで済むようになったことから、作業の省力化が実現されています。
中谷浩子・監査担当
中谷・監査担当 各お店の材料、ドリンクの仕入れについても、毎日そのデータが仕訳連動されるようにしているので、納品書ベースで原価が『FX4クラウド』に計上されていきます。
西方 データ入力の効率化がなされたことにより、月次決算がめちゃくちゃ早くなりましたね。翌月末にならないと月次の試算表を出せなかったのが、今では翌月5日には出せるようになっています。
──『FX4クラウド』は、店長の教育にも役立っているそうですね。
西方 ええ、各店舗にあるパソコンを通じて、自分の店の業績がリアルタイムに見られるようになったことから、店長たちのコストに対する意識は格段に高まりました。材料の仕入れにおいても原価率がどうかに意識を傾けるようになったし、アルバイトの人件費コントロールや水道光熱費の削減にも従来以上に目を光らせてくれるようになりました。より経営者目線で仕事にあたってくれています。
「部門の階層管理」機能を用いてきめ細かい業績管理を行う
──部門別の業績管理はどのようにされていますか。
西方 まず1段目の階層として、7つの店舗(学園都市店、阪急六甲店、生田新道店、北野坂店、三宮店、板宿太田店、天六店)をそれぞれ部門として設定しています。さらに各店舗の下に、「調理」と「ドリンク」の部門をぶら下げています。
荒巻政文・顧問税理士
荒巻税理士 要は、「部門の階層管理」機能を使って、2階層の部門別管理をしているのです。これにより、どの店の何が利益獲得のウイークポイントになっているか等が明確に分かるようになるため、店長に対する指導もやりやすくなります。
──利益率をよくするために工夫していることはありますか。
西方 《365日変動損益計算書》を用いれば、365日いつでも前年同日比較が可能となります。もし前年の同じ週よりも明らかに劣っているようなら、何が問題だったか原因を探って改善をしていく。この繰り返しが、結果的に会社全体の利益率を高める一つの工夫になっていると思います。
──「マネジメントレポート(MR)設計ツール」はどのように活用されていますか。
西方 店長たちに見せている資料は、実はMR設計ツールの機能を用いて作ったオリジナル帳表なんです。『FX4クラウド』からそのまま出力される帳表だと、店長にはあまり知られたくない数字までも見せることになってしまう。なので、店長に見せたい項目だけをピックアップした独自の資料を作って、それを見てもらうようにしています。
──今後の抱負は?
西方 独立を考える店長の背中を押してあげる、という飲食店経営の先輩としての役割をきちんと果たしていきたいということと、立ち飲み型の新業態を出す計画もあるので、こちらについても力を入れていきたいと考えています。
企業情報
ウエスト神戸
- 代表者
- 西方敏洋
- 設 立
- 2013年10月
- 所在地
- 兵庫県神戸市西区学園西町1-1-1 ユニバープラザ1F
- TEL
- 078-891-5115
- 売上高
- 約2億円
- 社員数
- 約100人(アルバイト含む)
顧問税理士 荒巻政文
税理士 荒巻政文事務所
- 所在地
- 兵庫県尼崎市昭和通3丁目90番地1 尼崎K.Rビルディング602
- TEL
- 06-6413-2040
- URL
- http://aramakikaikei.tkcnf.com/
(『戦略経営者』2014年4月号より転載)