2024.12.24
国家賠償請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」民法(家族法)分野 令和7年2月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25621271/東京高等裁判所 令和 6年10月30日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第292号
同性の者との婚姻を希望する控訴人らが、被控訴人・国に対し、現行の法令が、婚姻は男女間でなければできないものとし、同性間の婚姻を認めていないことは憲法14条1項、24条1項、2項に違反すると主張して、国会が現行の法令では男女間でのみ認められている婚姻を同性間でも可能とする立法措置をとらないという立法不作為の違法を理由に、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料各100万円及び遅延損害金の支払を求め、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人らが控訴した事案で、〔1〕「現行の法令が同性婚を認めていないことの憲法適合性」について、現行の法令が、民法及び戸籍法において男女間の婚姻について規律するにとどまり、同性間の人的結合関係については、婚姻の届出に関する民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けていないことは、個人の人格的存在と結び付いた重要な法的利益について、合理的な根拠に基づかずに、性的指向により法的な差別的取扱いをするものであって、憲法14条1項、24条2項に違反するというべきであるとする一方、〔2〕「本件立法不作為が国家賠償法1条1項の適用上違法か」について、現時点までに、同性間の人的結合関係について配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けていないことが憲法14条1項、24条2項に違反することが、国会にとって明白となっていたということはできないから、国会が、現時点(当審口頭弁論終結日である令和6年4月26日時点)までに、民法及び戸籍法において男女間の婚姻について規律するにとどまり、同性間の人的結合関係については婚姻の届出に関する民法739条に相当する配偶者としての法的身分関係の形成に係る規定を設けるに至っていないという立法不作為をもって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるということはできないとして、本件控訴をいずれも棄却した事例。
2024.12.24
過失運転致死、道路交通法違反被告事件
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LEX/DB25573679/札幌地方裁判所 令和 6年 6月 5日 判決(第一審)/令和5年(わ)第732号
被告人が、信号機により交通整理の行われている交差点において、普通乗用自動車を運転中、自己の運転により上記横断歩道付近で人をれき過して傷害を負わせたかもしれないと認識したのに、直ちに車両の運転を停止して、Aを救護する等必要な措置を講じず、かつ、その事故発生の日時及び場所等法律の定める事項を、直ちに最寄りの警察署の警察官に報告しなかったとして、懲役2年を求刑された事案において、被告人が本件交差点に戻り、黒っぽい物をちらっと見た時点で、被告人は自己の運転により人をれき過して傷害を負わせたかもしれないと認識していたとし、被告人には救護義務違反及び報告義務違反の故意が認められ、救護義務違反及び報告義務違反の罪が成立するとした一方で、被告人が前方注視義務を尽くしていたとしても、停止限界地点より手前でAを発見できなかった可能性は否定できないことなどから、被告人には過失が認められないとして、本件公訴中、道路交通法違反の点については、懲役8か月、3年間の執行猶予を言い渡し、過失運転致死の点については、無罪を言い渡した事例。
2024.12.17
不動産登記申請却下処分取消請求事件
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LEX/DB25573858/最高裁判所第三小法廷 令和 6年11月12日 判決(上告審)/令和5年(行ヒ)第165号
被上告人らは、いずれもBとその夫との間に出生した子であり、C(本件被相続人)は、Bの母の姉であるDの子であるが、Bは、被上告人らの出生後の平成3年▲月にDとの間で養子縁組をし、これにより本件被相続人の妹となった後、平成14年▲月に死亡し、その後、本件被相続人は、平成31年▲月に死亡し、本件被相続人には、子その他の直系卑属及びB以外の兄弟姉妹はおらず、死亡時においては直系尊属及び配偶者もいなかったところ、被上告人らが、民法889条2項において準用する同法887条2項の規定によりBを代襲して本件被相続人の相続人となるとして、本件被相続人の遺産である土地及び建物につき、相続を原因とする所有権移転登記及び持分全部移転登記の各申請をしたが、横浜地方法務局川崎支局登記官は、上記各申請は不動産登記法25条4号の「申請の権限を有しない者の申請」に当たるとして、これを却下する旨の各決定をしたため、被上告人らが、上告人・国を相手に、本件各処分の取消しを求めた事件において、控訴審が、上記事実関係の下において、本件各処分は違法であるとして、被上告人らの請求を認容したことから、上告人・国が上告した事案で、民法889条2項において準用する同法887条2項ただし書は、被相続人の兄弟姉妹が被相続人の親の養子である場合に、被相続人との間に養子縁組による血族関係を生ずることのない養子縁組前の養子の子は、養子を代襲して相続人となることができない旨を定めたものと解されるから、被相続人とその兄弟姉妹の共通する親の直系卑属でない者は、被相続人の兄弟姉妹を代襲して相続人となることができないと解するのが相当であって、本件において、被上告人らは、本件被相続人とBの共通する親であるDの直系卑属でないから、Bを代襲して本件被相続人の相続人となることができず、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人らの控訴を棄却した事例。