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実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
毎週ピックアップしてご紹介しています。

「注目の判例」バックナンバーへ

2025.04.22
損害賠償請求事件 new
LEX/DB25574126/最高裁判所第二小法廷 令和 7年 3月 7日 判決(上告審)/令和5年(受)第927号
自殺したA警部補の父母である上告人ら(第一審原告ら、控訴審被控訴人ら)が、同警部補の自殺は、同警部補が過重な業務に従事し、強度の精神的及び肉体的負荷を受けた結果、うつ病等の精神疾患を発症し、その精神疾患の影響によって行われたものであるところ、これについて、A警部補の職務を管理監督すべき静岡県警察の公務員は、A警部補が過重な業務に従事してその心身の健康を損なうことがないよう配慮すべき安全配慮義務に違反したものであると主張して、同警部補の所属する静岡県警察の設置者である被上告人(第一審被告、控訴審控訴人)静岡県に対し、国家賠償法1条1項による損害賠償請求権に基づき、同警部補の死亡による慰謝料等の支払を求め、第一審が上告人らの請求を一部認容したところ、被上告人が控訴し、控訴審が被上告人の予見可能性を否定し、第一審判決中、被上告人敗訴部分を取り消し、上告人らの請求をいずれも棄却したことから、上告人らが上告した事案で、警部補の上司らは、A警部補に対する職務上の指揮監督権限を有する者として、その権限を行使するにあたって、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積してA警部補がその心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っていたにもかかわらず、当該注意義務を怠ったというべきであり、これによってA警部補が精神疾患を発症して自殺するに至ったということができるから、被上告人は、上告人らに対し、A警部補の自殺により上告人らが被った損害について、A警部補の上司らが上記注意義務に違反したことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うというべきであるところ、控訴審は、A警部補の従事していた業務が本件記述にいう「質的に過重な業務」に該当しないことのみをもって直ちに上記業務とA警部補の自殺との間に相当因果関係があるとは認め難いとしたものであるが、この控訴審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、原判決は破棄を免れないとして、原判決を破棄し、本件を控訴審に差し戻した事例(補足意見あり)。
2025.04.22
業務上過失致死傷被告事件 new
LEX/DB25574124/最高裁判所第二小法廷 令和 7年 3月 5日 決定(上告審)/令和5年(あ)第246号
東京電力会長等を務めた被告人aら3名が、東電が設置した本件発電所の原子炉施設及びその付属設備等が想定される自然現象により原子炉の安全性を損なうおそれがある場合には、防護措置等の適切な措置を講じるべき業務上の注意義務があったところ、10m盤を超える津波の襲来によってタービン建屋等が浸水し、炉心損傷等によるガス爆発等の事故が発生することがないよう、防護措置等の適切な措置を講じることにより、これを未然に防止すべき業務上の注意義務があったのに、これを怠ったことにより、傷害及び死の結果が発生したとして、業務上過失致死傷罪に問われ、第一審が被告人らにいずれも無罪を言い渡したところ、検察官の職務を行う指定弁護士らが控訴し、控訴審が、被告人らについて、本件発電所に10m盤を超える津波が襲来することの予見可能性があったとは認められず、本件発電所の運転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められないとした第一審判決の法的な評価は妥当であるなどとして、本件各控訴を棄却したことから、検察官の職務を行う指定弁護士らが上告した事案で、検察官の職務を行う指定弁護士らの上告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとしたうえで、東京電力の役員であった被告人らにおいて、本件発電所の運転停止措置を講じるべき業務上の注意義務が認められないとして、被告人らに無罪を言い渡した第1審判決を是認した原判断は、その法的な評価を含め、相当であるとして、本件各上告を棄却した事例(補足意見あり)。
2025.04.15
過料決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和7年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25574121/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 3月 3日 決定(許可抗告審)/令和6年(許)第31号
宗教法人である世界平和統一家庭連合(本件法人)の所轄庁である文部科学大臣は、東京地方裁判所に対し、本件法人が、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、報告をしなかったことは、宗教法人の代表役員等を過料に処する場合について定める宗教法人法88条10号に該当するとして、本件法人の代表役員である抗告人を過料に処すべきとする通知をし、東京地方裁判所は、抗告人を過料10万円に処する旨の決定(原々決定)をしたところ、抗告人が抗告し、抗告審が原々決定に対する抗告人の抗告を棄却した(原決定)ことから、抗告人が許可抗告をした事案で、民法709条の不法行為を構成する行為は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害するものであるから、当該行為が著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる事態を招来するものであってこれに関係した宗教団体に法律上の能力を与えたままにしておくことが不適切となることも、十分にあり得ることであるから、同条の不法行為を構成する行為が同法81条1項1号にいう「法令に違反」する行為に当たると解することは、同号の上記趣旨に沿うものというべきであり、また、解散命令は、宗教法人の法人格を失わせる効力を有するにとどまり、信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないものであるところ、ある行為が同号所定の行為に当たるといえるためには、その行為が単に法令に違反するだけでなく、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為でなければならないことなどに照らせば、上記のように解したとしても、同号の規定が、宗教法人の解散命令の事由を定めるものとして、不明確であるとも過度に緩やかであるともいえず、以上によれば、民法709条の不法行為を構成する行為は、同法81条1項1号にいう「法令に違反」する行為に当たると解するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。