2025.02.25
選挙無効請求事件
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LEX/DB25574034/最高裁判所第三小法廷 令和 7年 1月28日 判決(上告審)/令和5年(行ツ)第404号 等
千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例(昭和49年千葉県条例第55号)に基づいて令和5年4月9日に行われた千葉県議会議員一般選挙について、船橋市選挙区の選挙人である上告人が、本件条例のうち各選挙区において選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項及び憲法14条1項に違反し無効であるから、これに基づいて行われた本件選挙の本件選挙区における選挙も無効であると主張して選挙無効を求めたところ、原審が、本件定数配分規定が定められた本件改正当時において同法15条8項ただし書にいう特別の事情があるとの評価がそれ自体として合理性を欠いていたとも、本件選挙当時において上記の特別の事情があるとの評価の合理性を基礎付ける事情が失われたともいい難いから、本件選挙当時における本件定数配分規定が公選法15条8項に違反していたものとはいえず、適法というべきであるとして、請求を棄却したことから、上告人が上告及び上告受理申立てをした事案で、本件選挙当時、本件条例による各選挙区に対する定数の配分が千葉県議会の合理的裁量の限界を超えるものとはいえず、本件定数配分規定が憲法14条1項に違反していたものとはいえないことは、当裁判所大法廷判決(最高裁平成11年(行ツ)第7号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1441頁等)の趣旨に徴して明らかというべきであり、また、その余の上告理由は、違憲をいうが、その前提を欠くものであって、民事訴訟法312条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しないとして、本件上告を棄却した事例(補足意見、反対意見あり)。
2025.02.25
業務上過失致死被告事件
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LEX/DB25621698/仙台高等裁判所 令和 6年12月16日 判決(控訴審)/令和5年(う)第68号
A船に船長として乗り組み、A船の操船業務に従事していた被告人が、猪苗代湖上を北東に向けて時速約15ないし20kmで航行するにあたり、針路前方左右の見張りを厳に行い、その安全を確認しながら航行すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、針路前方左右の見張りを厳に行わず、その安全確認不十分のまま漫然前記速度で航行した過失により、折から、針路前方で、いずれもザップボードに乗るためにライフジャケットを着用して湖上に浮かんでいたP4(当時8歳)、P5(当時35歳)及びP6(当時8歳)に気付かないまま、P4ら3名に自船後部に設置された推進器の回転中のプロペラを接触させ、よって、P4に傷害を負わせて死亡させるとともに、P5及びP6にそれぞれ傷害を負わせたとして、業務上過失致死傷の罪で起訴され、原審が被告人を禁錮2年に処したところ、被告人が控訴した事案で、被告人が本件時、針路前方左右の見張りを厳に行い、安全を確認しながら航行したとしても、本件事故に至るまでの間に、被害者らを発見することができず、本件事故を回避することができなかった具体的な可能性を否定することはできないといわざるを得ず、被告人に過失を認めることはできないところ、原判決は、視認距離に関する証拠評価について誤りがあり、A船の航路について客観証拠と整合しない認定をした結果、被告人の過失について事実を誤認するに至ったものであり、この点が判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2025.02.18
第二次世界大戦戦没者合祀絶止等請求事件
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LEX/DB25574001/最高裁判所第二小法廷 令和 7年 1月17日 判決(上告審)/令和6年(受)第275号
靖國神社は、被上告人(被告・被控訴人)・国から第二次世界大戦で戦没した軍人及び軍属の氏名等の情報の提供を受け、それらの者を合祀していたところ、大韓民国の国籍を有する上告人(原告・控訴人)らが、被上告人に対し、被上告人が、上告人らの了承を得ずに、靖國神社に上告人らの各父親の情報をも提供した行為は違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払等を求め、第一審が請求をいずれも棄却した事件の上告審の事案で、上告人らの請求に係る損害賠償請求権については、平成29年法律第44号による改正前の民法724条後段の除斥期間が経過していることが明らかであり、そして、原審が適法に確定した事実及び上告人らの主張を精査しても、被上告人が上記除斥期間の主張をすることが、信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断するに足りる事情があるとはうかがわれないから、本件情報提供行為に係る上告人らの損害賠償請求を棄却すべきものとした原審の結論は是認することができ、論旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない事項についての違法をいうに帰着し、採用することができないとして、本件上告を棄却した事例(原判決を破棄して事件を原裁判所に差し戻す旨の反対意見あり)。