2025.01.28
不作為違法確認等、国家賠償等請求事件
★「新・判例解説Watch」行政法分野 令和7年3月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25573946/最高裁判所第二小法廷 令和 6年12月16日 判決(上告審)/令和5年(行ヒ)第430号
上告人らが、被上告人・国に対し、上告人らがSACO見舞金受諾書を提出しないことを理由に沖縄防衛局長がSACO見舞金の支払手続をとらなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと主張して、同項に基づき、上記損害金元金と上記慰謝料の差額に相当する額の損害賠償等を求めたところ、第一審が請求を一部却下し、その余を棄却したため、上告人らが控訴し、控訴審が控訴をいずれも棄却したことから、上告人らが上告した事案で、事実関係等によれば、上告人らと被上告人との間において、SACO見舞金を支給する旨の合意は成立していないというのであるから、上告人らはSACO見舞金の支給を受ける権利を有するものということはできず、また、他に、SACO見舞金の支給に関し、上告人らの権利又は法律上保護される利益が侵害されたというべき事情も見当たらないから、被上告人は、沖縄防衛局長が上告人らに対しSACO見舞金の支払手続をとらなかったことにつき、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負わないとしたうえで、以上と同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、なお、その余の請求に関する上告については、上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却することとするとして、本件上告を棄却した事例(意見あり)。
2025.01.28
覚醒剤取締法違反、関税法違反、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25621560/千葉地方裁判所 令和 6年11月27日 判決(第一審)/令和4年(わ)第1722号
被告人が、覚醒剤取締法違反、関税法違反、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反の罪で、懲役7年及び罰金200万円を求刑された事案で、本件においては、本件貨物の中身が覚醒剤を含む違法薬物かもしれないとの認識が認められれば、各罪について故意が認められ、また、そのような認識が共犯者との共謀を認定する前提となるところ、麻薬特例法違反の罪については、故意が認められ、本件の経緯によれば、被告人と共犯者との共謀も明らかに認められるから、被告人には、同罪が成立するが、他方で、起訴状記載の公訴事実第1に係る覚醒剤取締法違反(営利目的輸入の罪)については、既遂時、すなわち覚醒剤が隠し入れられた本件貨物がF空港において航空機外に搬出された時点までに、前記認識が生じていたとは認められないから、被告人に故意及び共謀が認められず、同罪は成立しないとしたうえで、本件は、組織的な違法薬物の密輸事案であるところ、本件当時社会経験に乏しく未熟であった被告人が、組織に末端の立場として利用された側面があること、被告人が本件犯行時少年であり現在も若年であること、被告人が反省の態度を示しており更生の意欲も高いことのほか、更生に家族の支援も期待できることに照らせば、被告人を主文の刑に処したうえ、その刑の執行を猶予し、家族の指導監督の下、社会内で更生する機会を与えることが相当であるとして、被告人を懲役1年に処するとともに、3年間その刑の執行を猶予し、一方、本件公訴事実中、覚醒剤取締法違反及び関税法違反の点については、被告人に無罪を言い渡した事例。
2025.01.21
行政処分取消請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」環境法分野 令和7年1月17日解説記事が掲載されました★
LEX/DB25573869/札幌高等裁判所 令和 6年10月18日 判決(控訴審)/令和4年(行コ)第1号
北海道猟友会甲支部の支部長であり、ヒグマを駆除するためにライフル銃を発射した被控訴人が、公安委員会から銃砲所持許可を取り消す旨の処分を受けたところ、当該処分は銃砲刀剣類所持等取締法(令和3年6月16日号外法律第69号による改正前のもの)所定の要件を満たさず、また、同公安委員会の判断は裁量権を逸脱・濫用したものであると主張して、控訴人・北海道に対し、その取消しを求め、原審が被控訴人の請求を認容したところ、控訴人が控訴した事案で、被控訴人が本件発射行為の際本件ライフルを向けた方角(北北東)は、本件建物及びe会館が存した方角(北東及び北)とさほど乖離しておらず、本件一般住宅、本件物置及び本件空き家についても、その方角(北東、北北西及び北北西)が、被控訴人が本件発射行為の際本件ライフルを向けた方角(北北東)と大きく乖離するものではなかったこと、本件周辺建物5軒は、いずれも本件発射行為をした位置から90メートル以内にあったことを考慮すれば、本件発射行為は、「建物等に向かってする銃猟行為」に当たるというべきであるとし、また、公安委員会の判断が、重要な事実を欠くか、又は社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものとして認めることはできないから、同公安委員会の判断が裁量権の逸脱・濫用に該当するとはいえないとして、原判決を取り消し、被控訴人の請求を棄却した事例。