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実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
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「注目の判例」バックナンバーへ

2024.11.19
仮差押命令認可決定に対する保全抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 new
「新・判例解説Watch」民事訴訟法分野 令和7年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573832/最高裁判所第三小法廷 令和 6年10月23日 決定(許可抗告審)/令和6年(許)第1号
抗告人が、文化功労者年金法所定の文化功労者である相手方を債務者として、相手方の第三債務者国に対する同法に基づく年金の支給を受ける権利について仮差押命令の申立て等をし、原審(大阪高等裁判所)が、文化功労者自身が現実に本件年金を受領しなければ本件年金の制度の目的は達せられないから、本件年金の支給を受ける権利は、その性質上、強制執行の対象にならないと解するのが相当であり、上記権利に対しては強制執行をすることができないというべきであると判断し、上記権利の仮差押えを求める本件申立ては理由がないとして、これを却下したことから、抗告人が許可抗告をした事案で、文化功労者年金法その他の法令において、本件年金の支給を受ける権利に対して強制執行をすることはできない旨を定めた規定は存せず、そして、文化功労者年金法の上記の各定めによれば、本件年金は、文化功労者の功績等を世間に知らせ、表彰することを目的として支給されるものと解され、そうすると、国が文化の向上発達に関し特に功績顕著な者を文化功労者として決定することにより、その者に本件年金の支給を受ける権利が認められることで、表彰の目的は達せられるものといえ、その者が現実に本件年金を受領しなければ上記目的が達せられないとはいえず、したがって、本件年金の支給を受ける権利は、その性質上、強制執行の対象にならないと解することはできず、本件年金の支給を受ける権利に対しては強制執行をすることができるというべきであるとして、原決定を破棄し、本件を大阪高等裁判所に差し戻した事例。
2024.11.19
文書提出命令に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件 new
「新・判例解説Watch」民事訴訟法分野 令和7年4月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25621078/最高裁判所第二小法廷 令和 6年10月16日 決定(許可抗告審)/令和6年(許)第5号
複数の者が共同して実行したとされる学校法人Fを被害者とする大阪地方検察庁の捜査に係る業務上横領事件の被疑者の1人として逮捕、勾留され、本件横領事件について起訴されたが、無罪判決を受けた抗告人が、上記の逮捕、勾留及び起訴が違法であるなどと主張して、相手方に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた本案訴訟(損害賠償請求事件)において、抗告人が、検察官がEを本件横領事件の被疑者の1人として取り調べる際にEの供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体等について、民事訴訟法220条3号所定の「挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき」に該当するなどと主張して、文書提出命令の申立てをし、原々審が相手方・国に本件対象部分の提出を命じ、その余の本件申立てを却下する決定をしたことから、相手方が即時抗告をし、原審が、相手方に本件公判提出部分の提出を命ずべきものとする一方、本件申立てのうち本件公判不提出部分に係る部分を却下したところ、抗告人が抗告した事案で、本件公判不提出部分の提出を拒否した相手方の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用するものというべきであるとしたうえで、以上と異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、論旨は理由があり、原決定のうち本件公判不提出部分に係る本件申立てを却下した部分は破棄を免れず、相手方に本件公判不提出部分の提出を命じた原々決定は正当であるとして、上記部分につき相手方の抗告を棄却した事例(補足意見あり)。
2024.11.12
大垣警察市民監視国家賠償、個人情報抹消請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年12月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25621036/名古屋高等裁判所 令和 6年 9月13日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第287号
岐阜県警察本部警備部及び岐阜県警各警察署警備課が、一審原告らの個人情報を長年にわたって収集、保有し、大垣警察署警備課の警察官がそれらの情報の一部を民間企業に提供したことにより、一審原告らの人格権としてのプライバシー等が侵害されたとして、一審原告らが、一審被告県に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金の支払等を求め(甲事件)、また、一審原告らが、人格権としてのプライバシーに基づき、一審被告県に対しては岐阜県警等が保有する、一審被告国に対しては警察庁警備局が保有する、一審原告らの個人情報の抹消を求め(乙事件)、原審が、甲事件について、一審原告らの一審被告県に対する請求を一部認容し、その余をいずれも棄却し、乙事件につき、抹消を求める内容の特定性を欠くから不適法であるとして、一審原告らの一審被告県及び一審被告国に対する訴えをいずれも却下したところ、一審被告県及び一審原告らがそれぞれ控訴し、なお、一審原告らは、当審において、乙事件の請求につき、抹消請求の対象を変更して、訴えの変更をした事案で、甲事件について、原判決を一部変更し、一方、乙事件について、大垣警察を含めた岐阜県警による一審原告らの上記個人情報の保有は、一審原告らのプライバシーを侵害するもので違法であり、とりわけ本件においては、一審原告らの個人情報が、法令の根拠に基づかず、正当な行政目的の範囲を逸脱して、第三者であるq2に開示され提供されているのであり、岐阜県警が保有する一審原告らの個人情報が、法令等の根拠に基づかず、正当な行政目的の範囲を逸脱して第三者に開示される具体的現実的な危険が生じていると認められるから、一審原告らは、人格権に基づく妨害排除請求として、一審被告県に対し、上記各個人情報の抹消を請求できるものと認められ、一審原告らの乙事件の変更後の一審被告県に対する予備的請求3は、いずれも理由があるが、一審被告国に対する予備的請求3は、一審被告国が一審原告らの個人情報を保有しているものとは認められないから、いずれも理由がないとして、一部認容、一部却下し、その余を棄却した事例。