税理士事務所
開業後にすべきこと
1.商談案件をつくるまでの活動
独立開業した税理士が商談案件をつくるステップ
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ステップ1
「紹介者・人脈づくり」と「見込客(リード)の獲得」いかに自分の存在を知ってもらえるのかがポイントです。
- 人脈づくり(セミナー、交流会、懇親会など)
- 事務所のウェブサイト
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ステップ2
「継続的なコンタクト」と「見込客の育成(ナーチャリング)」いかに自分を思い出してもらうか、忘れられない努力をするのがポイントです。
- 事務所通信(毎月発信)、暑中見舞い・年賀状
- SNS、メルマガ
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ステップ3
「お客さまの紹介獲得」と「見込客からの問合せ」ここで商談案件ができたら、営業活動がスタートします。
2.営業活動の基本プロセス
- 1 事前準備
- 2 アプローチ(面談)
- 3 ヒアリング(面談)
- 4 提案・プレゼンテーション(面談)
- 5 クロージング(面談)~顧問契約の締結へ~
- 6 紹介者への報告(紹介の御礼)
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お客さまに選ばれる営業スタイル
税理士事務所は、お客さまと長く付き合っていくことが命題です。
税理士がお客さまとの間で信頼関係を築きながら、ともに歩んでいくためには最初の営業スタイルの結果で、運命が左右するといっても過言ではありません。
そこで、「押し売り営業」や「御用聞き営業」ではなくて、「ソリューション(課題解決)営業」が求められます。
「押し売り営業」は、お客さまの都合や事情をまったく考えずに、一方的に事務所からサービスを売り込むことで契約するスタイルです。
「御用聞き営業」は、お客さまの要望を聞いていれば契約が取れるだろうと、足しげく通い、相手の言いなりになって、わがままな要求も受け入れてしまうスタイルです。
「ソリューション(課題解決)営業」は、お客さまのニーズを満たした結果、事務所のサービスを選んでもらうスタイルです。
さらに、お客さまの本当の経営課題を把握して、将来に向けてあるべき姿を考えながらビジネスパートナーとしてともに歩んでいくスタイルです。ここからは「ソリューション(課題解決)営業」スタイルをベースに、営業活動のポイントをご紹介します。
3.事前準備のポイント
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お客さまへ事務所の情報を提供する
初対面の方に商談するときは、まず自分の事務所のことを知ってもらわなければなりません。
初回面談は、だいたい1時間を目安にすると良いです。
この1時間のなかで、事務所のことを紹介してばかりいると、お客さまのことを知るためのヒアリングの時間が少なくなってしまいます。そこで、事前に、事務所のウェブサイトをメールでご案内しておいたり、事務所を紹介するパンフレット等を送付しておくと良いです。
また、アポイント前日に先方へ電話して、アポイント日程の再確認と一緒に、ウェブサイトの案内メールや事前送付の資料が届いているか、ひと言確認しておきます。 -
お客さまに関する情報を収集する
商談先の会社に関する情報を収集しないまま、営業に行くことがないようにします。
まずは、会社のウェブサイトを確認して、①事業内容、②主たる商品・サービス、③従業員数、④その他(社長の年齢、会社の業歴、経営理念・方針など)を情報収集します。
初回面談時に「事前にウェブサイトを拝見させていただいたのですが、○○のエリアで、○○事業をなさっているのですね。具体的に○○事業について、教えていただきたいのですが・・・」と現在の事業は順調にいっているのか、今後のビジョンなどをヒアリングします。
このように事前に情報収集しておくことで、相手は「うちの会社のことをよく調べてきてくださっているんだな」と感心されます。
相手は自分の会社のことを大切に思っていることが分かったら、いろんな悩みや関心事などを話してくれるようになります。
逆に、何も調べないで面談する人には、表面的な会話で終わってしまう場合があります。もし、ウェブサイトを持っていない会社や個人事業者などが相手の場合は、初回面談時に「恐れ入ります、不勉強なもので、御社の事業がよく分からないので、教えていただけませんか?」と素直に聞いてみると良いです。
大切なことは、こちらが相手のことを知りたい・興味があるという姿勢を示すことです。
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お客さまのニーズを想定する
事前準備で、もっとも重要なのがこの作業です。
相手と面談する前に、「ニーズは聞いてみないと分からない」と思わずに、あらかじめ「どのようなニーズがあるのだろうか」と想定します。
しかし、資料やデータなど材料がなかったらニーズを想定することはできません。
そこで、オススメする材料は「業種別審査事典」という情報です。この「業種別審査事典」は、一般社団法人 金融財政事情研究会(通称:きんざい)から提供されているサービスです。
細かく業種が分かれており(1,290種類)、業界動向や業務・商品知識、取引形態や資金需要に関する理解を深めることができます。
ちなみに、業種別審査事典は、金融機関やコンサルタントの方が、取引先開拓の準備、融資の審査、事業性評価の手引き、経営改善・生産性向上支援の展開で活用されています。この情報さえあれば、あらかじめニーズを想定して、仮説を立てることができます。
また、業界用語も理解することが可能なため、相手の話す「業界や専門用語が全く分からなかった」という事態を避けられます。さらに、「同業他社データ」もあると、ニーズを深く想定できます。
たとえば、初対面で、相手の決算書を確認したとき、「同業他社データ」と比較しながら、「実は、○○の点が苦しくありませんか?」と財務体質や資金繰りで悩んでいるところを発見して、問いかけることができます。このように、「業種別審査事典」や「同業他社データ」を使うことで、事前にお客さまのニーズを想定しておくことが重要なポイントとなります。
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想定したニーズをお客さまに確認する方法を考える
「このようなニーズがあるだろう」と仮説が立てられたら、面談する時までに、お客さまへどのように確認するかを考えます。
たとえば、複数事業を営んでいる会社の場合、「部門別に最新業績を把握したい。それをタイムリーな経営の意思決定に治したい。」というニーズがあるだろう、と想定したとします。
面談時に・・・
お客さまから「今まで通り、会計事務所には帳簿と試算表を作ってもらいたい」と伺ったら、「いまの会計事務所さんは、全部やってくれるんですね」とさりげなく質問します。
お客さまが「そうなんです、それで助かっているんです」と答えたら、「毎月、その試算表を見れば、部門別に業績を把握して、経営の意思決定ができるわけですね!」と返します。
すると、お客さまは「いや、それは・・・」と、月次試算表は遅れていること、本当は部門別に業績を把握できるようにしたいこと、などの不満を漏らしはじめたら、営業のスタートだと決めておきます。 -
提案ツールの準備
ある程度ニーズを想定することができたら、お客さまに合わせた提案ストーリーを考えます。
また、事務所の商品・サービスを提案するためのツールを準備します。初回面談の場合、事務所の紹介パンフレットの他に、事例紹介の資料を準備できれば良いです。
2回目以降の面談の場合、初回面談時にヒアリングしたニーズをもとに、提案書を準備します。
商談ステージに応じた準備が必要です。提案書を作成する場合は、何十枚にわたる資料は必要ではありません。数ページで簡潔に要点をまとめた資料で大丈夫です。
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面談の落とし所を決めておく
ソリューション営業は、初回面談で、事務所の紹介パンフレットを出して「どうですか?」と提案する方法ではありません。
基本的には、初回の面談でお客さまのニーズを聞き出し、いったん持ち帰って、次回提案するという流れでおこないます。
そこで、あらかじめ面談ごとに「ゴール」(目標)を決めておきます。
たとえば、初回面談のゴールとして、「提案ポイントになりそうな課題・関心事を徹底的にヒアリングして、次回は、○○を提案したいとアポイントを取得すること」と定めます。
面談の終了時点で、こちらからお客さまに「次回は、○○の件でお時間ください。」と次回面談の目的をお客さまと共有できれば、商談ステージをどんどん上がっていきます。面談前にゴールを設定しておく習慣をつけると、商談は効率よく進んでいきます。
4.アプローチのポイント
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1点目は「お客さまと共感できることや共通点を見つけること」
いきなり本題に入る前に、軽い会話でお互いの緊張をほぐします。
気候や趣味、健康など、誰でも共感できる一般的なテーマで相手と打ち解けると良いです。
「今日は気持ちが良い陽気ですね」「そうですね」という感じで、共感を得たりします。また、お客さまとの共感を得やすい話・テーマを準備しておきます。
たとえば、お客さまの業界の傾向や、ホットな話題などを持ち出すと、会話が弾んできます。さらに、自分自身からさらけ出すと相手は親近感を持ってくれます。
たとえば、しくじった話や情けない話をさらけ出すと親しみを持ってくれたりします。
税理士に対して固いイメージを持っているかもしれませんので、ユニークさを持って、自分の欠点をさらりと伝えることができたら、安心できる税理士に映り、信頼にもつながります。 -
2点目は「(さりげなく)自分の能力、ポジションを示すこと」
あからさまに「私は○○ができる」とアピールされると嫌悪感を抱かれるかもしれませんので、自分の能力は、さりげなくアピールします。
たとえば、紹介を受けたお客さまから「○○先生は忙しそうですね」と言われたら、「実は、さきほど□□でセミナーの講師をしてきて、いまちょうど戻ってきたところなんです」と忙しくて、人気がありそうな税理士であることを、嫌みのないように匂わせたりします。
「そうでもないんですよー」と謙遜することが美徳と考えるかもしれませんが、お客さまは、できたら良い税理士に顧問をお願いしたいと思っているはずです。
嫌みに聞こえないように、軽い会話のなかで、さりげなく自分の能力をアピールするのが良いです。
他には、お客さまと面談するスペースには、自分が書いた書籍や掲載された雑誌などを飾っておいたりします。こういった自分の能力を自然に伝えることは、商談に入る前にした方が効果はあります。
事務所の商品・サービスを紹介・売り込むタイミングで、自分の能力をアピールすると、信じてもらえないこともありますので、さらっと軽い会話の中でやっておきましょう。 -
3点目は「お客さまに興味・関心・好意を持ち、その姿勢を示すこと」
人は相手から好意を持たれると、相手に対して自然と好意を持ちやすくなります。
自分からお客さまに興味・関心を持ち、好意を抱いていることを示せば、相手からも好意を持っていただき、顧問契約へと結びつく可能性が高まります。
5.ヒアリングのポイント
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ヒアリングで手に入ること
お客さまのニーズを把握するためにヒアリングをしますが、しっかりとヒアリングできれば、次の5点を手に入れることができます。
- 1 お客さまが何を考えているかが分かる
- 2 お客さまと親しくなることができる
- 3 お客さまは話を聞いてくれることを喜んでくださる
- 4 良い質問をすることで、課題解決のプロフェッショナルであるという印象を与え、信頼される
- 5 その業界・業種の知識が高まり、経験値が上がる
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会社の事業と経営者の思い・ビジョンをヒアリングする
ヒアリングは、お客さまの基本属性を聞くことから入ります。
上記「3.事前準備のポイント」が、ここで生かされます。お客さまの事業内容について確認できたら、会社の「ビジョン」も教えていただきます。
「社長さんは、どのような会社にされたいのですか?」と質問すると、社長さんは喜んで「ビジョン」を語ってくれます。
税理士から「ぜひ、そのビジョンを達成していただきたい。ビジョンの実現こそが私の喜びです。社長さんの親身な相談相手として経営をサポートします。」とお客さまに思いを伝えます。
お客さまはきっと喜んでくださり、その後のヒアリングがさらにスムーズにすすめることができます。 -
顕在的ニーズをヒアリングする方法
すでに問題が表面化していることが顕在的ニーズです。
ヒアリングは、お客さまの顕在的ニーズを把握するためにおこないますが、お客さま自らが話すことで、会社の抱えている問題を実感する効果もあります。
たとえば、お客さまが資金繰りで苦しんでいる場合、次のようにヒアリングしてみます。
- 「現在の ~ について、どのようにお考えですか?」
- 「 ~ について、具体的にはどのようなことに困っていますか?」
- 「どうして ~ が問題だと分かったのですか?」
- 「なぜ、 ~ の問題が起こったのですか?」
このケースでは、「 ~ 」に「資金繰り」と入れてヒアリングします。
顕在的ニーズだった「資金繰り」は、どうして発生したか、どこに問題があるか、真相をわかってきます。 -
潜在的ニーズをヒアリングする方法
お客さま自身で意識していない本当のニーズが潜在的ニーズです。
たとえば、お客さまが「いまの顧問税理士に会計帳簿・試算表の作成を丸投げ」していたとします。
これから税理士を変更しても同じことをお願いしようと考えていたけど、実は、タイムリーに会社の業績を把握することが、お客さまの望みだったのかもしれません。
お客さまは、いまの顧問税理士との関係からイメージして、意識していなかっただけで、潜在的ニーズは「タイムリーに会社の業績を把握できるようになりたい」と気がつきます。
だから、税理士への期待は、「会計帳簿・試算表の作成の丸投げ」から「業績管理体制の構築」へと変わってくるのです。これが、潜在的ニーズを顕在化させることです。そこで、お客さまが本当に望んでいることを引き出すために、次のようにヒアリングしてみます。
- 「なぜ、 ~ をされていたのですか?」
- 「そもそも ~ の本当の狙いは何ですか?」
- 「 ~ ことで、どのような問題を解決されたいのですか?」
- 「 ~ することで、どのような効果がありましたか?」
このケースでは、「 ~ 」に「会計帳簿・試算表の作成の丸投げ」と入れてヒアリングします。
これでも潜在的ニーズを掘り起こすことができなかったら、「 ~ のままだと会社はどうなると思いますか?」とあらゆるパターンの質問方法を想定・準備しておきます。 -
顕在的・潜在的ニーズで税理士への不満と期待等をヒアリングする
現在の顧問税理士がいる場合、「現在の顧問税理士との関係性」について、ヒアリングします。
お客さまのニーズをヒアリングしながら、自然な感じで、「そのとき、顧問税理士さんは?」とちょっとトーンを落としながら質問してみます。
お客さまが現在の顧問税理士との関係や、サービスへの評価、不満などをお話しされたら、小さく頷きながら、耳を傾けます。次に、「税理士に何を期待しているか」について、ヒアリングします。
現在の顧問税理士には、「記帳代行や税務申告書の作成」だけをお願いしていた関係であればお客さまから見た「税理士」は、単なる事務代行屋としか見えていない場合があります。
そこで、中小企業の伴走者として、社長さんの財務経営力と資金調達力を高めてくれる税理士の存在を紹介します。
すると、「これから税理士に期待すること」のイメージが膨らんできます。
お客さまと一緒に、潜在的なニーズの発見に繋がるかもしれません。
6.提案・プレゼンテーションのポイント
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お客さまのニーズを整理して、合意をいただく
商談によっては、ヒアリングから提案・プレゼンテーションへそのまま続けるケースもあれば、初回面談はヒアリングで一度終わりにして、持ち帰り、後日あらためて提案・プレゼンテーションを行うケースもあります。
どちらのケースでも、はじめにヒアリングした問題を整理して、顕在的ニーズと潜在的ニーズをまとめた内容を、お客さまと確認するところからスタートします。
こうすることで、解決策や対応策を提案・プレゼンテーションするときに、方向性に双方の食い違いやズレが生じることを予防します。
お客さまも、自分のニーズを受け止めてくれたと安心感を抱いてくださいます。「それでは、いったんここで、今までお伺いしたご要望などを整理させていただいてもよろしいでしょうか?」
と切り出してから、ヒアリングノートなどに書き留めたポイントを読み上げます。
お客さまのニーズや課題、期待や要望などをひとつひとつ読み上げながら、お客さまに確認します。そこで、お客さまが頷いてくださったり、「はい、そうです」と合意(イエス)を取り付けていくことがポイントです。
お客さまの合意(イエス)を得られることで、その後の提案・プレゼンテーションでも合意(イエス)が得られやすくなります。 -
ニーズを満たす解決策の提示
ここから本格的な提案・プレゼンテーションに入ります。
順番は、「ニーズ・問題の整理と合意 → 解決策の提示 → 事務所の商品・サービスの紹介 → コストとスケジュールの提示」の流れで提案・プレゼンします。たとえば、「お客さまは、顧問税理士に会計帳簿・試算表の作成を丸投げしたい」との要望されていましたが、会社の問題は「資金繰り」であり、お客さまもそれを解決したという潜在的ニーズがあることに合意されました。
「同業他社に比べて流動比率が低いので、どのように資金繰りを管理されているか」を質問したときには、「顧問税理士に任せている」と仰っていました。
実際、お客さまは「ずっと資金繰りが不安で、どうすれば解決できるか分からなかった」そうで、こちらから具体的な解決方法を提示すれば、お客さまは「資金繰りの悩みを解消できるなら、その方法でやってみたいので、ぜひ支援してください」と、解決策を受け入れてくれます。ここで税理士は、問題の解決を支援する立場として、自信をもって、ゆっくりと話します。
また、「~だと思います」「~かもしれません」とあいまいな表現ではなく、「です」「ます」と言い切る方が説得力は高まります。できるだけ専門用語を使わずに、分かりやすく解説することも大切です。ホワイトボードなどを使って、図を描きながら説明しても良いです。
また、お客さまの言葉を、そのままこちらも使うようにすると、お客さまも受け入れやすくなります。 -
事務所の商品・サービスの提案
上記のケースでは、お客さまの本当のニーズは、「会計帳簿・試算表の作成」ではなくて「資金繰りの問題」にありました。
事務所からの解決策は、「資金繰り管理・業績管理の体制を整え、経営の意思決定ができるようにすること」を提示しました。
そして、事務所の商品・サービスは、「会計は発生主義で、自社で資金繰りと業績管理できるように自計化の導入を支援すること」が提案です。この事務所の商品・サービスを提案したあとに、成功事例を示すと良いです。
同じようなお客さまがいらっしゃって、そこでは、どのような問題があり、何を解決しなければいけなかったか。
そこで、事務所の商品・サービスを利用して、その結果はどのようになった・・・など事例を紹介すると提案の効果があがります。この解決策にお客さまから合意を得られたら、事務所の商品・サービスの特性と価値について説明を加えます。
お客さまにどのようなメリットがあるか、どのような価値があるか、を具体的に説明します。
特性や機能だけを紹介しても、お客さまはどのように役立つか実感がわかないので、必ず価値もセットで提案することがポイントです。
また、繰り返しになりますが、お客さまの将来、ビジョンの達成に貢献するために、事務所の商品・サービスの価値が繋がってくるように提案しましょう。 -
コストとスケジュールプランの提示
提案・プレゼンテーションの最後は、コストとスケジュールの提示です。
商品・サービスを導入した場合、どのようなステップでゴール(解決策)まで到達するのか、おおまかなスケジュールプランを提示します。
コストについては、1つではなくて、複数のパターンを用意した方が良いです。
1つのプランしかないと、選択肢は「顧問契約するか、しないか」の二択になります。
複数のパターンがあることで、お客さまは選択しようという意識が働くので、顧問契約へ前向きになります。
そこで、事務所の報酬規定や価格表を準備しておき、それに基づいてコストの話ができるようにします。「ソリューション営業」は、価格ではなくて、価値で勝負をします。
しかし、開業当初は、1件の顧問契約が喉から手が出るほど欲しいので、安易に価格で勝負をしてしまうかもしれません。
また、営業に慣れていないため、価値を説得するまでの自信と経験がないかもしれません。
そこで、ダンピングではなくて、価格でも優位性が持てるように、独立開業キャンペーンとして初年度の特別値引きなど用意しておくのも手です。
ただ、契約して1年経過したときには、事務所の価値を認めてもらうことで、値引きした価格を元に戻してもらうように交渉しましょう。
7.クロージングのポイント
8.紹介者への報告(紹介の御礼)
TKC全国会は、開業税理士が独立して3年間で事務所経営を軌道に乗せていただくためにニューメンバーズ・サービス委員会を設置しています。当委員会は、全国各地で活躍する約300名の税理士・公認会計士で構成されています。当サイトの記事は、この委員会で制作された独立開業ノウハウの書籍・セミナー資料をもとに執筆・編集しました。
編集責任者(執筆者) 株式会社TKC
秦 勝行(はた まさゆき)
昭和50年生まれ。千葉県出身。専修大学大学院経営学研究科経営修士課程修了。平成10年、TKCに入社。平成23年、独立行政法人中小企業基盤整備機構に出向。令和3年10月現在、SCG営業本部在籍。