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公益法人会計・税務Q&A

公益法人会計でよくある質問と回答をご紹介

公益法人会計・税務Q&A

基本財産・特定資産、指定正味財産

基本財産の取崩しの会計処理

【質問】
基本財産の取り崩しに関する会計処理(仕訳)について知りたい。
【事実関係】
県の出資法人である公益財団法人が、県の監査で4期連続赤字となっているため収支改善を求められており、基本財産を取り崩して対応しようとしているがその際の会計処理はどのようになるのか確認したい。
基本財産は有価証券で、一旦売却し、定期預金に預け入れ、都度取り崩していきたい。
【当方の見解】
仕訳
①現金預金/基本財産・投資有価証券/基本財産売却損益等(指定正味財産増減の部)
②基本財産・定期預金/現金預金
③現金預金/基本財産定期預金
④一般正味財産への振替額/受取寄付金
【回答】
  • 1) 基本的には、見解のとおりで間違っていません。
  • 2) 基本財産の取崩しをする際に、いったん有価証券を売却し、それを基本財産定期預金に再度積み立てて少しずつ使うことは、一度に多額の基本財産を取り崩すことによって遊休財産が過大になって公益財務基準を満たすことができないためと推察します。遊休財産の問題がなければ、一度にまとめて取崩し、部分的に基本財産定期預金に再計上しなくても問題ありません。
  • 3) 基本財産の取崩しには、通常は定款で定めによって理事会及び評議員会の決議が必要になります。そのため何度も小口で取り崩すと、その都度決議が必要になるので留意して下さい。決議の簡素化の観点からはまとめて取り崩した方がよいのですが、上記2)の遊休財産の超過の問題から部分的に取崩さざるを得ないことも多々あります。
  • 4) 売却した有価証券が満期保有目的であった場合、他の売却していない有価証券に関しても償却原価法を適用できなくなり、時価評価の対象になるので留意してください(公益法人会計基準の実務指針Q34参照)。
  • 5) なお、基本財産が寄贈財産であり、指定正味財産に該当していたときは、基本財産取崩額に相当する額だけ指定正味財産を指定解除します。
一般正味財産への振替額/受取寄付金(又は受取補助金)
【根拠となる法令等】
公益法人会計基準の実務指針Q34

※当Q&Aの内容は、個別の質問に対する回答であり、TKC全国会公益法人経営研究会及び株式会社TKCは、当Q&Aを参考にして発生した不利益や問題について何ら責任を負うものではありません。