FX4クラウド(社会福祉法人会計用)ユーザー事例 社会福祉法人 愛光園

新会計基準ならではの“内部取引の相殺消去”がポイント

老健や就労支援事業など数多くの事業を展開する大型法人の社会福祉法人愛光園では、平成25年4月より新会計基準に移行した。
常務理事の桑山利和氏、移行担当者の皿井常之氏と、東桜税理士法人の内田雄已税理士と監査担当者の伊藤隼夫氏にどのように移行したかをうかがった。

会計ルールの一元化と処理や管理の統一が目的

就労継続支援B型 事業ひかりのさとファーム

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事業ひかりのさとファーム

──新会計基準への移行はどのように考えておられましたか。

皿井 そもそも27年4月に移行できればよいということだったので、あえて先行して移行することに個人的には否定的でした。

桑山 ただ、ギリギリでは何かあるとまずいと思っていたので、私は26年の移行がよいと思っていました。そうした中で法人の経営本部長や会計事務所から早く移行したほうがよいのではないかという話があって、それで私にとっては1年前倒しになりますが昨年、移行したわけです。
 以前は、社会福祉法人会計基準、介護老人保健施設会計、就労支援会計処理基準とが混在していたので、法人全体はかなり手間もかかりましたが便宜的に合算させていました。それが新会計基準では一元化できるメリットがありました。また、担当者によって勘定科目の扱いもバラバラだったところがあり、そういう会計処理や管理についても、移行を統一する機会と捉えて踏み切ったわけです。

──どのような流れで移行を進めてこられたのですか。

伊藤 まず、理事会で承認をいただいた直後の10月くらいに各拠点の管理者(施設長)に対して新会計についての事前研修をさせていただきました。ほかに担当者向けの研修も同時期に行いました。まずはシステムの外観を見ていただいて、会計ルールの変更点などを認識いただいたのです。
 そして事業区分、拠点区分、サービス区分の決定をしたわけですが、スムーズにお互いが思い描いたところに落ち着きました。

桑山 とはいっても法人内部では、公益事業の住宅型有老ホームや老健はデイサービスも一体的に提供しており、会計基準では区分しなければならないとあったので、その解釈・区分の仕方については十分検討し、区分することにしました。しかし、「FX4クラウド(社会福祉法人会計用)」では、グルーピングした業績管理が可能なので、これまで同様に一体で見ることができます。

内田 事業は、社会福祉事業と公益事業の2つがあり、収益事業はありません。その拠点が17で、サービス区分は31と多くの区分に分かれています。

すべての内部取引を拾い上げるのに苦労した

──移行では、どのような点に苦労されましたか。

伊藤 やはり勘定科目の設定です。施設の数が多いだけでなく、施設間でいろんな内部取引をしていますから、その取引科目を新会計基準にあるとおり、相殺消去できるようにシステムの設定が必要でした。以前は、とくに意識しなかったところですが、該当する科目をすべて拾い上げ、設定し直すのは非常に大変でした。

皿井 拠点区分間だけで想定していたら、実はサービス区分間にもあったり、就労活動の製品を利用者のプログラムで使う場合と給食で使う場合とで、同じ売買でも科目が違ってくる。打ち合わせをやる度に次から次に出てきました。

伊藤 それと同時並行で事業別に使用科目の設定をしました。おおよそ固まったのが1月です。

──科目が決まったところで再度研修が必要だったのではありませんか。

伊藤 予算作成の操作と併せて研修を行い、科目については新旧の読み替え表をつくり提示させていただきました。いきなり新科目・新体系で予算を組むのは大変ですから、いったん旧会計の科目で組み、それを読み替えて組み直してもらったのです。

皿井 予算作成は法人内では12月くらいから取りかかりました。

桑山 積算の根拠を明確にしておかなければ組み替えできませんので、そこに注意しました。
 経理規程と細則は3月の理事会で承認をもらいましたが、共通収入支出はシステム上で自動按分することはできませんでした。

内田 今年度は実績もわかってきましたので、自動按分することにしています。

伊藤 予算の関係でいえば、補助科目が必要になってきますので、それを2月、3月で行いました。

皿井 これまで事業所ごとに補助科目をつくっていたのでたくさんあったのですが、今度は全体に影響することから、使い勝手を考えて極力絞り込みました。

桑山 この管理の仕方は事業所ごとにバラバラだった点で、今回の移行で整理し統一しようと考えた部分です。ただ、レベルの高いところに合わせるわけにいかず、しっかり管理していたところにとっては「これで大丈夫なのか」と、不安の声もありました。

皿井 実際に、法人本部では預り金の消し込み作業をしていきますが、分類を設けるなどの細かい設定をしていなかったため、決算のときにかなり苦労しました。

桑山 移行した当初は、巡回監査で多くの指摘をもらい、どうなるかと思いましたが、半年くらいでだいぶ落ち着いてきました。

──どのような間違いが多かったのですか。

伊藤 科目の間違いです。内部取引は新しい概念なのでみなさん戸惑われたところだと思います。ほかに消費税の課税区分などです。あとは複数の拠点を1人で入力している場合があるので、A拠点の費用をB拠点で支払っているなどもありました。

皿井 本来は内部取引としての仕訳を起こさなければならないところを、普通の支出にしていたなどです。

──移行して終わりということではなく、1年、2年は軌道修正しながらブラッシュアップしていくことが必要なのでしょうね。

皿井 システムの機能についても、まだまだ使い切れていないところがありますので、それを含めてということになります。

MR設計ツールやグループ集計を有効活用

前列左から桑山常務理事、皿井担当、後列右から内田税理士、伊藤監査担当

前列左から桑山常務理事、皿井担当、
後列右から内田税理士、伊藤監査担当

──今回、新会計基準では法人全体が1つとなりました。これまでのような合算も必要なくなりましたし、FX4クラウドでは業績もグループ別で把握できますので、より使いやすいツールになっているのではありませんか。

桑山 これまでは、事業所ごとにスタンドアローンのソフトでしたので、そのデータを寄せ集めて本部で合算をしていましたが、いまはタイムリーにどこでも全体を見られます。業績についてもさまざま比較してどうなのかがわかる。また、MR設計ツールではデータをエクセルに落とし込め、独自の資料の作成も簡単になりました。

皿井 障害も介護も同じ土俵で見て比較もできますので、とてもわかりやすくなったと思います。
 法人全体や障がい福祉事業部、高齢福祉事業部などの事業部ごとで、収入とともに利用率や利用者数などのKPIデータを、結果分析と対策を添えてまとめていますが、とても便利になりました。

桑山 今後は機能をバージョンアップしていただき、たとえば人件費比率が70%とあるが、その数値は全国と比較してどうなのか、以前のようにわかるようになれば、さらに有効活用できるようになると思います。

(平成26年6月6日)

企業情報

社会福祉法人 愛光園

理事長
日高幸子
所在地
愛知県知多郡東浦町大字緒川字東米田33-3

〈高齢福祉事業部〉

  • 介護老人保健施設相生
  • 認知症グループホームもくせいの家
  • 老人デイサービスセンターこぶし
  • 住宅型有料老人ホームあいおい刈谷

〈障がい福祉事業部〉

  • ひかりのさとのぞみの家
  • まどか
  • 障がい者活動センター愛光園
  • ひかりのさとファーム
  • 就職トレーニングセンター
  • 阿久比町立もちの木園
  • 愛光園地域居住サポートセンター
  • 知多地域障害者生活支援センターらいふ(直接支援部門)
  • ヘルパーステーションりんく
  • 大府市発達支援センターおひさま
  • 知多地域障害者生活支援センターらいふ(相談支援部門)