税理士事務所開業前に
すべきこと
税理士となる資格を有する者
- 1 税理士試験に合格した者(※1)
- 2 税理士試験を免除された者(※2)
- 3 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む)
- 4 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む)(※3)
(※1)租税又は会計に関する事務に従事した期間が通算して2年以上あることが必要です。
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(※2)主な免除は以下のとおりです。
- ①学位による試験科目免除 修士又は博士の学位を授与された者は、その研究の内容に応じて試験の一部が免除されます。
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②国税従事による試験科目免除
税務署に10年又は15年以上従事した場合、税法に属する科目の試験が免除されます。税務署に23年又は28年以上勤務し、指定研修を修了した場合、
会計学に属する科目が免除されます。
(※3)公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士となります。
(平成29年4月1日施行)
税理士試験
近年は、新型コロナウイルスの影響で、試験の実施スケジュールや試験場が例年と異なっています。
試験告知をしっかりと確認するようにしましょう。
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実施スケジュール
例年4月中旬に受験申込用紙が交付され、5月上旬から中旬が申込みの受付期間になります。そして、8月上旬の平日3日間で試験が開催されます。合格の発表は、12月中旬から下旬に郵送で行われます。
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試験場
各国税局・国税事務所の所在地等(※4)で試験が開催されます。
(※4)北海道、宮城県、埼玉県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県及び沖縄県 -
受験資格
学識、資格、職歴といった様々な分野の受験資格が定められています。次のいずれか一つの要件を満たせば、受験資格を有することになります。
学識による受験資格
- 1 大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
- 2 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
- 3 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
- 4 司法試験合格者
- 5 公認会計士試験の短答式試験に合格した者
資格による受験資格
- 1 日商簿記検定1級合格者
- 2 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格
- 1 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
- 2 銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者
- 3 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
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試験科目
「会計学に属する科目」の2科目と「税法に属する科目」の3科目の合計5科目について試験が行われます。
受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験してもよいことになっています。また、合格科目は生涯有効です。会計科目 必須
(2科目)簿記論
財務諸表論税法科目 選択必須
(1科目または2科目)所得税法
法人税法選択
(1科目または2科目)相続税法
消費税法又は酒税法
国税徴収法
住民税又は事業税
固定資産税 -
合格基準
合格基準点は各科目とも満点の60%とされています。
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合格率
年度や科目によって差はありますが、15%~20%とされています。
勉強の時間
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1会計学に属する科目
簿記論 450時間 財務諸表論 450時間 -
2税法に属する科目
所得税法 600時間 国税徴収法 150時間 法人税法 600時間 住民税 200時間 相続税法 450時間 事業税 200時間 消費税法 300時間 固定資産税 250時間 酒税法 150時間
勉強の方法
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通学
税理士資格取得の専門学校で勉強します。どの専門学校でも、勉強を開始する月や受験科目に応じたカリキュラムが用意されています。講師が直接講義するためモチベーションを維持しやすく、疑問点があれば直ぐに質問できるのは大きなメリットです。通学できる場所に専門学校があり、時間の都合も付くのであれば、有力な選択肢でしょう。
専門学校によっては、講座の動画を学校内で視聴できるプランも用意しています。スケジュールを自分で決められるため、通学はしたいけど時間の都合を付けにくいという方に向いています。
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通信講座(Web講義・DVD講義・冊子テキスト)
Web講義は、インターネット環境があればいつでもどこでも受講できるため、自分のペースで学習を進められるのが大きな魅力です。動画のスピード再生を活用すれば、得意・不得意な分野に合わせて自分のペースで学習できます。学習環境によっては、通信環境に関係無く視聴できるDVD講座も選択肢となります。また、ご自身で勉強を進められる方は、冊子テキストのみで学習する方法も考えられます。
通学より独学に近いため、モチベーションをどのように維持するかがカギになります。
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独学
自身で書店の参考書・問題集で学習する勉強方法です。カリキュラムから自分で考える必要があり、勉強のノウハウは自分で情報収集、不明点も自分で解消する必要があります。勉強費用を抑えられるメリットはありますが、高いモチベーションが求められます。
既に学習・受験経験のある場合を除き、通学や通信講座が一般的に選択されます。
勉強のスタイル
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1働きながら
仕事を続けながら勉強するスタイルです。生活の基盤を維持しながら勉強できることがメリットでしょう。また、会計事務所で働きながら勉強する場合、実務と資格試験の両面から経験・知識を深められる点が、資格取得に対する大きなモチベーションとなるでしょう。税理士登録に必要な実務経験(2年間)を積めるのも大きなメリットです。
反面、勉強時間に割ける時間が限られるため、受験スケジュールによっては週末もかなりの時間を勉強に充てる必要があります。また、勤務先の繁忙期と勉強の両立も鍵となります。職場が資格取得に理解があり、かつ、税理士試験シーズンである夏場が職場の繁忙期とならないか否かがポイントとなります。
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2勉強に専念
仕事をせず、勉強に専念するスタイルです。学生の方が大学の講義以外は資格試験に専念するのもこちらに近いでしょう。勉強時間を確保できるのが最大のメリットで、複数科目にチャレンジする余裕を確保できます。
反面、経済的な基盤が無いため、貯金や家族からのサポートが欠かせません。学生時代を除けば、「全科目の合格まで、残り数科目となり、確実に合格する見込みのある場合」や、「残された学習期間で合格する必要がある場合」の選択肢とするのが望ましいと考えられます。
学習プラン
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資格勉強に専念
2年プラン(資格勉強に専念)
- 1年目:簿記論(450時間) + 財務諸表論(450時間) + 消費税法(300時間)
- 2年目:法人税法(600時間)または所得税法(600時間) + 相続税法(450時間)
3年プラン
- 1年目:簿記論(450時間) + 財務諸表論(450時間)
- 2年目:法人税法(600時間)または所得税法(600時間) + 消費税法(300時間)
- 3年目:相続税法(450時間)
4年プラン
- 1年目:簿記論(450時間) + 財務諸表論(450時間)
- 2年目:法人税法(600時間)または所得税法(600時間)
- 3年目:消費税法(300時間)
- 4年目:相続税法(450時間)
5年プラン
- 1年目:簿記論(450時間)
- 2年目:財務諸表論(450時間)
- 3年目:法人税法(600時間)または所得税法(600時間)
- 4年目:消費税法(300時間)
- 5年目:相続税法(450時間) → 資格勉強と仕事・プライベートをできるだけ両立
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