注目の判例

刑事訴訟法

2014.01.14
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25502392/静岡地方裁判所 平成25年11月22日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第506号
被告人は、実質的に違法な身柄拘束(逮捕)の中で、尿を提出したものであり、その尿及びこれに関連する証拠は違法な捜査によって収集された証拠というべきであり、そしてその違法は令状主義を没却する重大なもので到底看過できるものではなく、将来の違法捜査抑制の観点からも、司法の廉潔性保持の観点からもそれらの証拠の証拠能力を認めることは相当でないから、既に取り調べたこれらの証拠については証拠排除するとした上で、被告人は公判廷で覚せい剤の使用について認めているものの、この自白を補強すべき証拠がないから、被告人を有罪とすることはできず(刑事訴訟法319条2項)、結局、犯罪の証明がないことに帰するとして、被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2014.01.14
殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件、証拠隠滅被告事件
LEX/DB25502347/福岡地方裁判所小倉支部 平成25年11月15日 決定 (第一審)/平成24年(わ)第949号等
被告人甲及び乙の両名は、氏名不詳者らと共謀の上、午前5時31分ころ、路上において、被害者(当時52歳)に向けて、けん銃で弾丸2発を発射して命中させたが、同人に全治約86日間を要する傷害を負わせたにとどまったとして、殺人未遂及び銃刀法違反被告事件において起訴された事案において、被告人甲が実行犯であると認めるには、合理的疑いが残り、被告人乙についても共謀の成立を認めることができないとして、被告人両名に無罪を言い渡した事例。
2014.01.14
中国人妻による替え玉殺人事件
LEX/DB25502395/最高裁判所第三小法廷 平成25年11月11日 決定 (上告審)/平成23年(あ)第881号
中華人民共和国の国籍を有する被告人が、不詳の方法によって自己の夫に傷害を負わせて死亡させ(傷害致死)、糖尿病患者である別の男性を亡夫の身代わりとして病死を装って殺害し、亡夫の資産を相続の名目で不正に入手しようと考え、共犯者と共謀の上、上記男性の身体に麻袋様のものを巻き付け、同人を真冬の納屋に数日間監禁するなどし、インスリンの投与を受けさせないことにより糖尿病を悪化させて同人を殺害し、亡夫とその前妻との間の娘らの作成名義の住民異動届等を偽造、行使して、同女らに無断で住民票を異動し、印鑑を登録した上で印鑑登録証明書を入手し、これを用いて、亡夫の遺族の知らぬ間に、不正に亡夫名義の土地の所有権移転登記を受け、相続届等を偽造、行使するなどして亡夫名義の預貯金等合計約2900万円をだまし取り(殺人、有印私文書偽造、同行使、電磁的公正証書原本不実記録、同供用、公正証書原本不実記載、同行使、詐欺)、その他、詐欺、出入国管理及び難民認定法違反、公用文書毀棄を行ったという事案の上告審において、被告人を無期懲役に処した第一審判決を維持した原判決について、その刑の量定がこれを破棄しなければ著しく正義に反するということはできないとして、検察官及び被告人の各上告を棄却した事例。
2014.01.14
保護責任者遺棄致死被告事件
LEX/DB25502335/大津地方裁判所 平成25年11月6日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第494号
被告人は、日頃から十分な食事を与えないなど、子(当時1歳7か月)の育児を疎かにしていたものであるところ、同児が高熱を出し、その後も容体が回復しないのを認めていたのであるから、適切な医療措置を受けさせて保護を加える責任があったにもかかわらず、面倒くさいなどという思いから、適切な医療措置を受けさせず、自宅において、同児を気管支肺炎により死亡させたとして保護責任者遺棄致死により起訴された事案において、結果が悲惨であり、被告人が強い非難を受けることは避けられないなどとして、被告人に懲役5年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.01.14
自動車運転過失傷害被告事件
LEX/DB25446015/千葉地方裁判所 平成25年10月8日 判決 (第一審)/平成23年(わ)第1722号
被告人が、普通乗用自動車を運転中、対面信号機が赤色信号表示であったのに交差点に進入し、右方道路から青色信号表示に従って進行してきた普通乗用自動車と衝突し、6名に傷害を負わせたとして、自動車運転過失致死傷罪で起訴された事案において、被告人が本件事故当時、睡眠時無呼吸症候群を原因として予兆なく急激に睡眠状態に陥り、対面信号機の信号表示に留意する義務を履行することができない状態に陥っていたとの合理的疑いを払拭することができないから、被告人に前記義務違反の過失を認めることはできないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2014.01.14
危険運転致死、道路交通法違反被告事件
LEX/DB25502279/名古屋地方裁判所 平成25年6月10日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第2207号
被告人が、強い薬効を持つ脱法ハーブを使用していながら、あえてハンドルを握って本件事故を起こしたばかりか、被害者の救護義務等を怠ってひき逃げもしたという危険運転致死、道路交通法違反被告事件の事案において、被告人は、本件当時、使用した本件脱法ハーブの影響により、事故が道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態であること、すなわち、薬物の影響により正常な運転が困難な状態であることを認識していたものと認められるなどとし、また、本件当時の被告人の責任能力も認めた上で、量刑に当たって、脱法ハーブの影響による危険運転致死事案の判決例が見当たらないため、アルコールの影響による危険運転致死事案の量刑傾向を参照し、本件はそれよりも悪質と認められるとして、被告人に懲役11年を宣告した事例(裁判員裁判)。
2014.01.14
詐欺被告事件
LEX/DB25502343/大津地方裁判所 平成25年3月14日 判決 (控訴審)/平成24年(わ)第251号
宗教団体アレフの信者である被告人両名は、アレフへの入会をヨガ教室への入会と偽って勧誘し、共謀の上、勧誘していた被害者(当時29歳)に対し、アレフへの入会及びそれに伴って必要な入会金等であるのに、単なるヨガ教室への入会金等が必要であるかのように装い、同人から現金2万円の交付を受けたとして詐欺により起訴された事案において、被害者がアレフへの入会金等であることを錯誤して2万円を交付したとの証明がなされていないとして、被告人両名に無罪を言い渡した事例。
2014.01.06
住居侵入、強盗強姦未遂、強盗致傷、強盗強姦、監禁、窃盗、窃盗未遂、強盗殺人、建造物侵入、現住建造物等放火、死体損壊被告事件
LEX/DB25502257/東京高等裁判所 平成25年10月8日 判決 (控訴審)/平成23年(う)第1947号
被告人が、約2か月の間に、強盗殺人や現住建造物等放火の各犯行に加え、強盗致傷や強盗強姦、同未遂等の各犯行を次々と敢行したという事案の控訴審において、本件においては、死刑を選択することが真にやむを得ないものとはいえないとし、原判断は、裁判員と裁判官が評議において議論を尽くした結果であるが、無期懲役刑と死刑という質的に異なる刑の選択に誤りがあると判断できる以上、破棄は免れないとして、原判決(死刑判決)を破棄し、被告人を無期懲役に処した事例。
2014.01.06
殺人、死体遺棄被告事件
LEX/DB25502259/大阪地方裁判所 平成25年10月8日 判決 (第一審)/平成23年(わ)第2828号
被告人は、共犯者らと共謀の上、保険金を取得する目的で、被害者(当時36歳)を殺害し、その死体を遺棄したとして、殺人、死体遺棄により起訴された事案において、被告人に対し、被告人は、殺人及び死体遺棄の共謀の成立を否定するが、共謀に関する共犯者の供述は信用できるなどとして共謀の成立を認めた上、犯行態様は計画的で悪質であること、被告人は首謀者に準じる立場にあったこと、遺族が厳しい処罰感情を述べていること、被告人に反省の態度は見られないことなどを考慮し、被告人に対し、懲役23年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25446077/最高裁判所第三小法廷 平成25年12月10日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1311号
拘置所に収容されている死刑確定者及びその再審請求のために選任された再審請求弁護人である被上告人らが、拘置所の職員の立会いのない面会を許さなかった拘置所長の措置が違法であるとして、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、その被った精神的苦痛について慰謝料等の支払を求めた事案の上告審で、平成20年5月2日、同年7月15日及び同年8月12日における被上告人らの本件各面会において秘密面会を許さなかった広島拘置所長の各措置は、広島拘置所長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して被上告人らの各利益をいずれも侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、原審の判断は是認することができるとし、本件上告を棄却した事例。
2013.12.24
強盗殺人被告事件
LEX/DB25502296/京都地方裁判所 平成25年10月28日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第90号
被告人は、貴金属買取業者の営業員として働いていたが、以前に指輪の買取りをしたことがある被害者から、脅して無理矢理にでも指輪を取る目的で、被害者方を訪問し、玄関先で被害者(当時68歳)に「貴金属くれ。」と言ったところ、被害者が外に逃げ出す素振りを見せたことから、訪問の目的を達成するため、とっさに左手で被害者の首を強く押さえて、その場に押しとどめ、中に入って右手で玄関扉を閉めた後、被告人が首から左手を離すと被害者はその場に仰向けに倒れたが、それを見た被告人は、さらに、殺意をもって、被害者の首を手や肌着で絞め付け、被害者を窒息により死亡させて殺害した上、被害者の所有する指輪5点を強奪したとして、被告人を無期懲役に処した事例(裁判員裁判)。
2013.12.24
 
LEX/DB25502305/大阪地方裁判所 平成25年10月28日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第3561号
現職の警察官であった被告人が、捜査中の事件に係る証拠品を偽造したという事案において、被告人は、知人の警察官に情を秘して真正な本件証拠品と同種の注射器を指定して調達させたり、注射器の指紋を拭き取って封筒に収納するなど、容易に露見することのないよう巧妙に本件犯行を行っており、その態様は悪質であるとする一方、本件証拠品を紛失したのは被告人ではない上、被告人も、当初は本件証拠品が見当たらないことを管理責任者らに報告して適切な処理を求めていたのであり、このような経緯に鑑みると、本件犯行は、管理責任者らによる無責任な対応に象徴されるような、組織全体としての証拠品のずさんな管理体制に誘発された側面もあるとして、被告人を懲役4月(執行猶予2年)に処した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502306/大阪地方裁判所 平成25年10月17日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第9822号
死刑確定者として大阪拘置所に収容されている原告が、京都弁護士会所属の弁護士に対して再審請求事件(和歌山カレー事件)の弁護人への就任等を依頼する旨の手紙につき、発信願の申出をしたところ、これを不許可とされたことから、当該不許可処分によって再審弁護人の選任権を侵害されるとともに肉体的・精神的苦痛を受けたとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案において、大阪拘置所長がした本件不許可処分は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号に違反するものであり、大阪拘置所長の職務上の法的義務に違背するものとして国家賠償法上違法なものというべきであるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2013.12.24
住居侵入、強盗致傷、銃砲刀剣類所持等取締法違反、わいせつ略取、強制わいせつ、強制わいせつ未遂被告事件
LEX/DB25502298/宇都宮地方裁判所 平成25年8月30日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第661号等
判示第3の各犯行は、刃物を購入し、犯行現場を数回下見して事前に帰宅時間等を確認するなど周到な準備をした上で、被害者に刃物を突き付けるなどして連れ回し、判示のとおりのわいせつ行為に及び、さらに、自宅には成人男性がいないことを同女に確認して同女宅に押し入り、判示のとおり同女に刃物を突き付け、その母親に暴行、脅迫を加えて強盗に及んだものであり、計画的で危険かつ卑劣な態様であるとし、また、判示第1ないし第3の1は、約1か月の間に3度にわたり、自分より体格や腕力が劣る女児を標的として、「殺す」などといった強烈な文言で脅迫した上で行った強制わいせつ、同未遂の事案であり、少年時にも女児に対する同様のわいせつ行為を繰り返していたという経緯に照らせば、被告人にはこの種の犯行の常習性が認められ、態様は悪質であるとして、被告人を懲役9年に処した事例。
2013.12.10
各建造物侵入、傷害致死、凶器準備集合被告事件
LEX/DB25502125/東京地方裁判所 平成25年10月17日 判決 (第一審)/平成25年(合わ)第31号等
被告人両名は、ほか14名の者と共に、予め準備していた上下黒色ジャージ等を着用した上、金属バット4本等を準備して繁華街の路上に集合し、うち7名の者と共に、目出し帽で顔を隠した上で被害者が飲食していたクラブに侵入し、1分にも満たないごく短時間の間に、金属バット等を用いて、集団でよってたかって、無抵抗の被害者に対し、顔面や頭部といった人体の重要な部分に集中して、粉砕骨折を含む多数の骨折や脳への多大な損傷を与えるほどの強度の暴行を加えたもので、しかも、被害者は被告人らのグループとは無関係の一人の客にすぎず、全く落ち度がないにもかかわらず、突然、何が起きているのか、犯人が誰であるのかもわからないまま激しい暴行を受け、理不尽にも命を失ったとして、被告人両名をそれぞれ懲役13年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.12.10
犯人隠避被告事件
LEX/DB25502133/名古屋地方裁判所 平成25年10月15日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第1171号
弁護士である被告人が、刑事弁護を受任した勾留中の依頼者らと共謀の上、予想される別事件の捜査が依頼者に波及するのを回避するため、その実行犯を隠避させたという事案において、犯人に他人名義のシムカードや多額の逃走資金を供与したことにより、長期間広範囲の逃走が可能になっており、態様は悪質で、刑事司法作用が害された程度も大きいとし、また、地域や社会から大きな信頼を寄せられていた、実務経験も豊かな弁護士が、受任案件に関連して敢行した犯罪として耳目を集めているなど、社会的な影響も軽視できないとして、被告人を懲役1年6月(執行猶予3年)に処した事例。
2013.12.10
殺人、詐欺被告事件
LEX/DB25502139/大阪地方裁判所 平成25年10月4日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第871号等
被告人は、夫であるXが父親ではない子を妊娠したことをXに気付かれ、既に中絶できない時期であるのにXと母親に対して中絶すると約束したところ、被告人は、病院でYを出産し、Yと共に退院したが、夫らに中絶すると約束していたためにYを自宅に連れて帰ることができず、大阪市A区内の便所内において、Yを殺害しようと考え、Y(当時生後約8日)を鞄に入れて、その外側からYの頸部付近を手で締め付け、その場で、Yを窒息させて殺害したとし、児童手当等の詐欺については、我が子の殺害を隠すために犯したものであり、積極的に金銭を得る意欲まではなかったとして、被告人を懲役5年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.12.10
強盗殺人被告事件
LEX/DB25502132/名古屋高等裁判所 平成25年10月1日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第155号
被告人が、知り合いである被害者を殺害して現金を強奪しようと考え、堤防道路に駐車中の被害者車両内及びその周辺において、殺意をもって、その頚部及び胸部を出刃包丁で複数回突き刺すなどし、被害者を左総頚動脈及び左内頚静脈切断による失血により死亡させて殺害した上、被害者が所有する現金数十万円を奪ったという強盗殺人の事案の控訴審において、当初から強盗目的で本件犯行に及んだと認定した原判決に事実誤認はないとし、また、酌量減軽すべき理由はおよそ見出せないとして、被告人を無期懲役に処したことはやむを得ないものとして是認することができ、重過ぎて不当であるということはできないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2013.12.10
 
LEX/DB25502137/最高裁判所第一小法廷 平成25年9月30日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第971号
被害者3名に対する強盗殺人幇助と、被告人が、共犯者3名と共謀の上、強盗殺人の犯跡隠蔽のため、被害者3名の遺体を遺棄したという事案の上告審において、弁護人の上告趣意は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、被告人の上告を棄却した事例。
2013.12.10
覚せい剤取締法違反、関税法違反被告事件
LEX/DB25502126/大阪地方裁判所 平成25年9月27日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第4480号等
被告人両名は、氏名不詳者らと共謀の上、営利の目的で、みだりに、関西国際空港において、同空港関係作業員らをして、覚せい剤(フェニルメチルアミノプロパン塩酸塩)約1851.33グラム在中の機内手荷物であるスーツケースを、カタール国ドーハ国際空港発カタール航空第802便から搬出させ、前記覚せい剤を本邦に輸入し、大阪税関関西空港税関支署旅具検査場において、輸入してはならない貨物である前記覚せい剤を前記スーツケース内に隠匿して同支署税関職員の検査を受けたが、同職員に発見されたため、これを輸入するに至らなかったという、被告人A及び被告人Bに対する各公訴事実について、被告人Aにおいて、ウガンダ出国時までに検察官主張認識1を有していたと認めるに足りないとし、また、被告人Bにおいて、(募集メールが送信された)8月10日までに検察官主張認識2を有していたと認めるに足りないとして、被告人両名は、いずれも無罪とした事例(裁判員裁判)。