注目の判例

刑事訴訟法

2013.12.10
強盗殺人、死体遺棄被告事件
LEX/DB25502138/東京高等裁判所 平成25年5月28日 判決 (控訴審)/平成24年(う)第946号
被告人には、強盗殺人罪の故意を肯定できるのみならず、その関与の程度は、単なる幇助犯にとどまらず、自己の犯罪として主体的に関与する共謀共同正犯の域に達していると評価すべきであるとした原判決に対する、被告人の控訴につき、本件各強盗殺人について共謀共同正犯の成立を認めた原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があり、被告人には、被害者3名に対する各強盗殺人についてそれぞれ幇助罪が成立するとして、懲役28年とした原判決を破棄し、被告人を懲役18年に処した事例。
2013.12.03
傷害致死被告事件
LEX/DB25502103 / 東京地方裁判所 平成25年10月3日 判決 (第一審)/ 平成24年(合わ)第238号
被告人は、5歳の息子の手足をビニールひもで縛り、目や口等に粘着テープを貼り付けた上、ごみ収集袋に閉じ込め、眠り込んでしまったことから、同児を呼吸不全状態に陥らせ、低酸素脳症により死亡させたとして傷害致死により起訴された事案において、結果は極めて重大であり、犯行態様は非常に悪質であるが、睡眠導入剤と飲酒の併用による意識障害があったことや、背景には被告人に同情しうる事情もあったこと、被告人が反省の態度を示していることなどから、被告人に懲役3年、保護観察付執行猶予5年間を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2013.12.03
銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25502104 / 東京地方裁判所 平成25年9月19日 判決 (第一審)/ 平成25年(合わ)第99号
被告人が、自宅の倉庫内に、けん銃87丁、けん銃実包62発、けん銃部品3点を所持していたとして銃砲刀剣類所持等取締法違反により起訴された事案において、被告人が所持していたけん銃等の数の多さは強い非難に値するが、使用することを想定していない点で動機の悪質性は高くなく、反省の態度を示していることなどを考慮し、被告人に対し懲役3年、執行猶予5年間を言い渡した事例。
2013.11.26
現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反被告事件
LEX/DB25502074 / 福岡地方裁判所 平成25年10月4日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第655号
被告人は、介護を要する多数の入居者や施設職員のいる老人ホームの建物に火炎びんを投げ入れるなどして放火したとして、現住建造物等放火、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反により起訴された事案において、犯行態様は大変危険で悪質なものであること、入居者や施設職員が厳しい処罰感情を抱いていること、動機について被告人への非難を弱める事情は見出せないことなどから、刑の執行を猶予すべき事案ではないとして、被告人を懲役5年の実刑に処した事例(裁判員裁判)。
2013.11.26
道路交通法違反、自動車運転過失致死傷被告事件
LEX/DB25502069 / 大阪高等裁判所 平成25年9月30日 判決 (控訴審) / 平成25年(う)第486号
未成年者である被告人が、無免許で7回にわたり普通乗用自動車を運転するとともに、京都府亀岡市の国道を走行中、いわゆる居眠り運転により集団登校中の小学生の列に突っ込み、保護者1名を含む3名を死亡させるとともに、7名に傷害を負わせたという道路交通法違反及び自動車運転過失致死傷により起訴され、原判決が被告人を懲役5年以上8年以下に処したことに対し、検察官及び被告人が各控訴した事案において、原判決は、被告人のために酌むべき事情をやや過大に評価する一方、犯情の悪さをやや過小に評価したものとして、軽きに失するというべきであるとして、原判決を破棄し、被告人を懲役5年以上9年以下に処した事例。
2013.11.26
各犯人隠避被告事件
LEX/DB25502072 / 大阪高等裁判所 平成25年9月25日 判決 (控訴審) / 平成24年(う)第784号
大阪地検特捜部長と特捜部副部長の検事であった被告人両名は、当時地裁で係属中の各虚偽有印公文書作成等被告事件の証拠である本件フロッピーディスクに記録された文書データを変造したことを部下から告白を受け、犯人である部下による本件改ざんした事実を、共謀の上、証拠隠滅罪の犯人を隠避させたとして、原判決が犯人隠避罪の成立を認め有罪判決を言い渡し、これに対し、被告人両名が、無罪を主張して控訴をした事案において、原判決に事実誤認はなく、法令適用の誤りもないとして、各控訴をいずれも棄却した事例。
2013.11.26
公務執行妨害、傷害被告事件
LEX/DB25502070 / 大阪地方裁判所 平成25年8月26日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第5372号
被告人は、警戒警備活動に従事していた警察官らに対し暴行を行い傷害を負わせたとして公務執行妨害及び傷害の罪で起訴された事案において、被告人が、各警察官に対して故意に暴行を加えたと認定することには、なお合理的な疑問の余地があるといわざるを得ないため、いずれの公訴事実についても犯罪の証明がないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2013.11.26
道路交通法違反、自動車運転過失致死傷被告事件
LEX/DB25502068 / 京都地方裁判所 平成25年2月19日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第747号
未成年者である被告人が、無免許で7回にわたり普通乗用自動車を運転するとともに、京都府亀岡市の国道を走行中、いわゆる居眠り運転により集団登校中の小学生の列に突っ込み、保護者1名を含む3名を死亡させるとともに、7名に傷害を負わせたという道路交通法違反及び自動車運転過失致死傷の事案において、何の落ち度もない被害者を死傷させた結果は重大であり、過失の内容・程度は悪く、遺族や被害者は峻烈な処罰感情を有しており、被告人の責任は重いが、他方で、被告人は、反省・後悔し、捜査に協力していることなどを考慮し、被告人を懲役5年以上8年以下に処した事例。
2013.11.19
傷害致死被告事件
LEX/DB25445977 / 札幌地方裁判所 平成25年10月7日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第966号
被告人が、被告人方において、うつ伏せに倒れていたAの後頸部を手で押さえる暴行を加えて、同人の胸腹部及び顔面を床面に圧迫させ、同人を窒息により死亡させたとして、起訴された事案において、被告人が、Aが抵抗しなくなった後、相当の時間Aを押さえつけていたとは認められないから、急迫不正の侵害が止んでからも、被告人がAの後頸部を押さえ続けたという事実は認められず、被告人には正当防衛が成立するとして、被告人に対し無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2013.11.19
収賄、詐欺被告事件
LEX/DB25501811 / 岐阜地方裁判所 平成25年10月4日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第178号等
市の水道技手である被告人と水道業を営む相被告人が、かねてより癒着した関係にあったところ、被告人が相被告人から賄賂を収受するに至り、その費用等の捻出のため、市に対する詐欺に及んだという事案において、法律上重い詐欺についてみると、公金を扱う公務員でありながら、自らの利益などのために主導的に詐欺を行っており悪質であり、その被害金額も、前後6回にわたって合計75万円余りに上り高額であるとし、収賄についても、本件各犯行は、被告人が主体的に行った常習的なものであって、収受した金額も低額ではないとして、被告人を懲役2年6月(執行猶予3年)に処した事例。
2013.11.19
国家公務員法違反被告事件
LEX/DB25501823 / 静岡地方裁判所 平成25年10月4日 判決 (第一審)
検察事務官である被告人Aが、交際相手である被告人Bを介して、暴力団幹部の被告人Cから、暴力団組員による詐欺事件の捜査の端緒及び求刑予定という重要な秘密の漏洩をそそのかされ、これを被告人Cに漏らしたという事案において、暴力団関係者の情報を暴力団幹部に漏らすなど、暴力団根絶に努力している捜査機関や一般市民に対する背信的な行為であって、到底容認できない悪質な事案というほかないとして、被告人Aを懲役1年(執行猶予4年)に、被告人Bを懲役1年(執行猶予3年)に、被告人Cを懲役7月に処した事例。
2013.11.19
傷害致死被告事件
LEX/DB25501820 / 福岡高等裁判所 平成25年10月2日 判決 (控訴審) / 平成25年(う)第156号
被告人が、異常な言動を示すようになっていた被害者の中にある不調の原因を取り去って被害者を元の状態に戻す目的で、共犯者と共謀の上、被害者の身体を木製土台付きのプラスチック製椅子に固定した上、共犯者が、上記土台上に上がり、被害者の背後からその頭部を両手で挟み込むなどして固定し、約5分間にわたり、被害者の上部前方から流れ落ちる水をその顔面等に打ち当てて、被害者を窒息死又は心臓性突然死させたという事案の控訴審において、被害者の死因について、溺水による窒息死又は本件滝行によるストレスから発症した急性心疾患による心臓性突然死と認定し、被告人の行為との因果関係も認め、被告人の行為が正当業務行為に当たらないことなどを判断した上、被告人に傷害致死罪の成立を認めた原判決は、論理則、経験則等に照らして不合理な点はなく、正当というべきであり、事実誤認をいう論旨は、理由がないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2013.11.19
窃盗被告事件
LEX/DB25501810 / 大津地方裁判所 平成25年9月13日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第592号
コンビニエンスストアにおける万引窃盗の事案において、被告人は、窃盗罪(タバコを窃取した車上狙い)で執行猶予の付いた懲役刑に処せられて、その猶予期間中であったにもかかわらず、焼酎が飲みたいと考えて安易に本件の万引を行ったものであるが、被告人には刑法上の完全責任能力が認められるものの、その知的能力の程度が犯行に影響を及ぼしたことがうかがえるとし、本件で実刑とすることは酷であり、情状に特に酌量すべきものがあると認めて再度刑の執行を猶予するとして、被告人を懲役1年(保護観察付執行猶予4年)に処した事例。
2013.11.19
自動車運転過失致死傷被告事件
LEX/DB25445986 / 名古屋地方裁判所 平成25年9月5日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第484号
被告人が、コンテナを積載したトレーラを牽引して大型貨物自動車を運転中、ロックピンによりトレーラに緊締されていない状態のコンテナを横転、落下させ、並走していた自動車を押し潰し、2名を死亡させ、1名に傷害を負わせた事案において、本件事故は、被告人が、本件車両の運転に当たりトレーラとコンテナとをロックピンを確実に緊締し、又は、本件現場道路の最後の右カーブを漫然と時速約48kmで走行するのではなく、ロックピンが緊締されていなくてもコンテナが横転しないような速度に調整して走行していれば回避できたものであることは明らかであるとして、自動車運転過失致死傷罪を適用し、被告人を禁固3年6月に処した事例。
2013.11.05
傷害被告事件
LEX/DB25501757 / 静岡地方裁判所沼津支部 平成25年9月20日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第137号
被告人が、同じ職場で勤務する被害者に対して好意を抱いていたところ、同人から冷たい態度を取られたと感じたことなどから、同人に対して憎しみの感情などを抱くようになり、同人の靴の内側にフッ化水素酸を付着させ、同人の足にフッ化水素酸を曝露させ、足部腐食等の傷害を負わせた事案において、被告人を懲役7年に処した事例。
2013.11.05
業務上過失傷害被告事件
LEX/DB25445945 / 横浜地方裁判所 平成25年9月17日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第576号
麻酔科医師である被告人が、手術室において患者に対して全身麻酔を施したが、患者に酸素を供給していた蛇管が脱落していたことに気付かず、患者に低酸素脳症による脳機能傷害等の傷害を負わせたとして、業務上過失傷害罪で起訴された事案において、手術室全体の調整や後期研修医の指導・補助等のために約27分間手術室を不在にした被告人の行動について、常時在室して患者の全身状態を絶え間なく看視すべき業務上の注意義務を認めることはできないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2013.11.05
逮捕監禁,強姦致傷被告事件
LEX/DB25445946 / 神戸地方裁判所 平成25年7月25日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第155号
被告人が、以前から性的関係のあった被害者との関係修復を試みようとしたが、被害者から拒絶的な態度をとられたことから、被害者を自動車内に逮捕監禁し、強いて姦淫し、暴行を加えて傷害を負わせた事案において、被害者の負傷は、強姦行為によって生じたものとはいえないから被告人に強姦致傷罪は成立せず、被告人の暴行により被害者を負傷させた点は、別途、傷害罪を構成するにとどまるなどとして、被告人を懲役3年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.11.05
詐欺被告事件
LEX/DB25445947 / 神戸地方裁判所 平成25年7月12日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第524号
被告人が、知人及び夫と共謀して、資格試験を受験中の息子を案じる被害者に対し、受験に関して有利に取り扱う口利きができると誤信させ、多額の金銭をだまし取った事案において、被告人には、第一の詐欺については詐欺の故意があったとは認定できないが、第二の詐欺については詐欺の未必的な故意があったと認められ、かつ共同正犯としての罪責を負うとして、被告人を懲役2年(執行猶予3年)に処した事例。
2013.11.05
殺人被告事件
LEX/DB25501758 / 福岡地方裁判所 平成25年7月12日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第223号
被告人が、被告人方において妊娠中の妻を殺害し、心中を装った事案において、被告人と妻との間に心中に関するやり取りはなかったと認められるとして、同意殺人罪の成立を否定し、殺人罪を適用して被告人を懲役16年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.29
再審開始決定及び死刑執行停止決定に対する異議申立ての決定に対する特別抗告事件
(名張毒ぶどう酒殺人事件第7次再審請求の差戻し後の特別抗告事件)
LEX/DB25445953 / 最高裁判所第一小法廷 平成25年10月16日 決定 (特別抗告審) / 平成24年(し)第268号
 原決定(差戻し後の異議審決定)が、新たに実施した鑑定結果によれば、TRIEPPは有機化合物の成分を分離する一方法であるエーテル抽出では抽出されないから、その方法を用いて抽出が行われていた事件検体からTRIEPPが検出されていないからといって、本件使用毒物がニッカリンTでなかったことを導き出すものとはいえないと判断し、また、対照検体からTRIEPPが検出された点については、ニッカリンTに含まれる物質であるペンタエチルトリホスフェート(PETP)がエーテル抽出され、エーテル抽出後にTRIEPPを生成して検出されたものと考えられる旨判断し、本件使用毒物がニッカリンTであることと,TRIEPPが事件検体からは検出されなかったこととは矛盾するものではなく,証拠群3は,刑事訴訟法435条6号には該当するものではない旨判断し、原決定(差戻し後の異議審決定)は、その余の4つの証拠群についても最高裁決定(平成19年(し)第23号同22年4月5日第三小法廷決定)同様に判断して同号該当性を否定して、改めて再審開始決定を取り消して再審請求を棄却したたため、弁護人が特別抗告をした事案において、原審(差戻し後の異議審)の鑑定は、科学的に合理性を有する試験方法を用いて、かつ、当時の製法を基に再製造したニッカリンTにつき実際にエーテル抽出を実施した上でTRIEPPはエーテル抽出されないとの試験結果を得たものである上、そのような結果を得た理由についてもTRIEPPの分子構造等に由来すると考えられる旨を十分に説明しており、合理的な科学的根拠を示したものであるということができ、証拠群3は,本件使用毒物がニッカリンTであることと何ら矛盾する証拠ではなく、申立人がニッカリンTを本件前に自宅に保管していた事実の情況証拠としての価値や、各自白調書の信用性に影響を及ぼすものではないことが明らかであるとして、証拠群3につき刑事訴訟法435条6号該当性を否定した原判断は正当であるとし、また、本件ぶどう酒の開栓方法等に係る実験結果報告書等のその余の4つの証拠群についても,最高裁決定(平成19年(し)第23号同22年4月5日第三小法廷決定)の判示のとおり同号該当性は認められず、同旨の原判断は正当であるとした事例。