注目の判例

民法(財産法)

2020.09.01
損害賠償請求事件
LEX/DB25565753/宇都宮地方裁判所 令和 2年 4月16日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第651号
被告厚生農業協同組合連合会の開設する被告病院に入院し、腰部脊柱管狭窄症に対する後側固定手術を受けたq4が、その後に死亡したところ、本件患者の相続人である原告らは、本件患者が血栓性疾患又は播種性血管内凝固症候群(DIC)を発症して、これらの症状の悪化により死亡したものであり、被告病院の医師らは、術後管理としてDICの発生防止措置を取る義務等があるところ、それを怠ったものであると主張して、不法行為(民法715条)ないし債務不履行に基づく損害賠償請求として、被告に対し、それぞれ賠償金及びその遅延損害金の支払を求めた事案で、本件患者は、DICを発症したことにより、本件患者の頭蓋内に出血・血栓を生じたことで、脳ヘルニアを生じ、死亡に至ったものと認めることが相当であり、被告において、発症当日、本件検査を行い、DICに対応する治療を行っていれば、本件患者が以降もなお生存していたと認めることができるから、被告には過失があったといえるとして、原告らの請求を認容した事例。
2020.08.25
損害賠償(交通)請求事件
LEX/DB25566391/千葉地方裁判所佐倉支部 令和 2年 6月15日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第407号
原告が、被告に対し、被告運転の自家用普通乗用自動車(被告運転車両)と、原告運転の原動機付自転車(原告運転車両)とが衝突した交通事故により、原告は傷害を負い、自動車損害賠償保障法施行令別表第2の後遺障害等級併合7級の後遺障害が遺ったと主張して、自賠法3条及び不法行為に基づき、損害賠償金及び確定遅延損害金合計7163万1887円の支払及びうち5559万7133円に対する平成30年6月26日から支払済みまでの間の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、本件事故については、原告、被告共に過失があり、原告と被告の過失割合は、原告30-被告70としたうえで、原告の請求は、3593万3567円に平成30年6月25日までの確定遅延損害金919万2912円を加算した4512万6479円及びうち3593万3567円に対する平成30年6月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求を認める限度で、請求を一部認容した事例。
2020.08.04
損害賠償請求事件
LEX/DB25566236/高知地方裁判所 令和 2年 6月30日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第135号
被告が運営する被告病院の集中治療室(ICU)において、ベッドから転落して頭蓋骨骨折等の傷害を負い、脳死とされる状態となり、そのまま意識を回復することなく約3か月半後に死亡した患者(当時26歳・男性)の両親である原告らが、被告に対し、患者がベッドから転落し、脳死とされる状態という重篤な傷害を負った事故が発生したのは、被告病院が患者の転落を防止し、又は、転落により重篤な傷害が発生することを防止するための措置を講ずべき義務を懈怠した過失があったためであり、さらに、患者が死亡したのは、本件事故に加え、その後の不適切な輸液投与を行った過失があったためであるとして、主位的に患者が死亡したことによる損害につき、予備的に患者が脳死とされる状態となったことによる損害(金額は死亡の場合と同額)について、原告ら固有の慰謝料と併せて、債務不履行又は不法行為に基づき、それぞれ損害金の支払等を求めた事案で、被告に本件事故の予見可能性が認められず、また、2月の輸液投与についても、被告に過失があったとは認められないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2020.07.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25570946/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 7月 9日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1856号
交通事故によって傷害を受け、その後に後遺障害が残った被上告人が、加害車両の運転者である上告人Y1に対しては民法709条に基づき、加害車両の保有者である上告人N社に対しては自動車損害賠償保障法3条に基づき、損害賠償を求めるとともに、加害車両につき上告人N社との間で対人賠償責任保険契約を締結していた保険会社である上告人S保険会社に対しては同保険契約に基づき、上告人Y1又は上告人N社と被上告人との間の判決の確定を条件に、上記損害賠償の額と同額の支払を求めた事案の上告審において、被上告人は本件後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めているところ、被上告人は、本件事故当時4歳の幼児で、高次脳機能障害という本件後遺障害のため労働能力を全部喪失したというのであり、同逸失利益は将来の長期間にわたり逐次現実化するものであり、これらの事情等を総合考慮すると、本件後遺障害による逸失利益を定期金による賠償の対象とすることは、損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められ、また、本件後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たり、被上告人について、上記特段の事情はうかがわれないとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.07.14
自治会入会等請求事件
LEX/DB25565999/奈良地方裁判所 令和 2年 5月28日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第500号
奈良県天理市内の自治会に居住する原告が、被告が正当な理由なく平成4年から現在に至るまで原告の被告の会員たる地位を認めないことにより、様々な不利益を受け、精神的苦痛を被ったなどと主張して、被告に対し、原告が被告の会員たる地位を有することの確認を求めるとともに、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告が被告の会員たる地位を有するものと認めることはできず、被告による不法行為を構成するとは認められないとして、請求を棄却した事例。
2020.05.12
損害賠償請求事件(元社長に賠償命令、東京地裁 偽メール信じ3億円損害)
LEX/DB25565139/東京地方裁判所 令和 2年 1月30日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第13489号
著名な高級ファッションブランドを展開する企業の日本法人である原告が、その代表取締役の地位に在った被告が善管注意義務に違反して任務を懈怠し、当該企業の幹部を名乗る人物から送信された偽の電子メールに基づいて部下に指示をして合計280万米ドルを送金させたため、同額の損害を被った旨を主張して、被告に対し、会社法423条1項(平成17年法律第86号)の規定に基づく損害賠償請求として当該280万米ドルを当該送金の時における為替相場によって邦貨に換算した額及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、原告に対し、被告の善管注意義務違反を内容とする任務の懈怠が認められる本件送金によって生じた原告の損害を賠償すべき責任があることになり、本件送金によって銀行の原告の預金口座から280万米ドルが現実に送金されたのであるから、原告には、同額(3億0727万円)の損害が生じたものと認め、原告の請求を一部認容した事例。
2020.05.07
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25565230/東京高等裁判所 令和 2年 2月27日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第4448号
鉄骨造2階建ての本件建物を使用し又はこれに居住していた1審原告らが、本件建物の2階ベランダに設置されていた1審被告の製造に係る家庭用ルームエアコンの室外機がその欠陥に起因して発火し、本件建物に延焼して2階部分の大半が焼損した(本件火災)、本件建物内にあった什器備品等の動産も焼損し又は消火活動によって水損したと主張して、1審被告に対し、製造物責任法3条に基づき、本件火災によって被った財産的損害及び精神的損害に係る賠償金の支払等を求め、これに対し、1審被告は、上記の室外機は本件火災の発火源ではなく、同室外機に製造物責任法2条2項所定の欠陥があったとはいえないなどと主張して、1審原告らの請求を争い、原審は、ルームエアコンの室外機が本件火災の発火源であると認められ、これは1審被告の製品である同室外機の欠陥によるものであるとして、製造物責任法3条に基づき、1審原告らの請求を原判決主文第1項ないし第6項の限度で認容したところ、1審被告がその敗訴部分を、1審原告らがその敗訴部分の各一部をそれぞれ不服として双方が控訴した事案で、1審原告への賠償額について原判決を一部変更した事例。
2020.04.21
不法行為による損害賠償請求事件
LEX/DB25570868/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 4月 7日 判決 (上告審)/平成31年(受)第606号
被上告人は、上告人らに対して本件建物部分の明渡しを命ずる仮執行の宣言を付した判決に基づく強制執行について、民事執行法42条1項に規定する強制執行の費用で必要なものに当たる合計161万3244円の本件執行費用を支出した。本件は、被上告人が、本件執行費用を上告人らによる本件建物部分の占有に係る共同不法行為による損害として主張して、上告人らに対し、不法行為に基づき、本件執行費用及び弁護士費用相当額並びに遅延損害金の連帯支払等を求め、原審は、被上告人の上記の主張に理由があると判断し、上記連帯支払を求める請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件執行費用は、民事訴訟費用等に関する法律2条各号に掲げられた費目の費用に該当するから、上告人らに対する不法行為に基づく損害賠償請求においてこれを損害とする被上告人の主張は許されず、当該主張に理由があるとした原審の判断には明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人ら敗訴部分のうち、上告人らに対し本件執行費用及びこの請求に係る弁護士費用相当額並びにこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める請求に関する部分を破棄し、上記部分に関する被上告人の請求は、本件執行費用及び弁護士費用相当額の連帯支払を求める請求に関する部分については,第1審判決を取消し、被上告人の請求をいずれも棄却し、原審における追加請求である本件執行費用及び弁護士費用相当額に対する遅延損害金の連帯支払を求める請求に関する部分については、被上告人の請求をいずれも棄却した事例(補足意見がある)。
2020.04.14
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件
LEX/DB25565089/東京地方裁判所 令和 2年 2月13日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第40038号等
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している原告が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった被告に対し、これらの役職に在任していた当時、被告が、〔1〕被告及び被告の親族の資産管理会社であり、原告の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、原告の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付けた行為、〔2〕自己の個人的な利益を図る目的で、原告の海外子会社の代表者として、受取人白地の1600万香港ドルの小切手を振り出した行為、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、原告の海外孫会社の取締役に指示をし、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたとして、被告の上記各行為は、原告の取締役としての善管注意義務、忠実義務に反するものであり、原告はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、被告の任務懈怠と原告の同費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金の支払等を求めた事案で、被告の任務懈怠と原告が支払った調査費用との間に相当因果関係を認め、原告の請求を認容した事例。
2020.03.31
投稿動画削除請求事件
LEX/DB25564955/徳島地方裁判所 令和 2年 2月17日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第338号
原告会社及び原告会社の従業員である原告bが、インターネット上の動画投稿サイトに投稿された各投稿動画、動画のタイトル及び動画の紹介記事が原告らの名誉・信用を毀損するものであると主張して、同サイトを運営する被告に対し、人格権に基づき、本件各動画等の削除を求めるとともに、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、本件発信者情報の開示を求めた事案において、本件各動画等は専ら公益を図る目的のものでないことが明らかであり、かつ、被害者が重大にして回復困難な損害を被るおそれがあると認め、原告らの被告に対する本件各動画等の削除請求について認容し、発信者情報開示請求については、ユーザーネームの開示を求める部分を除く範囲の限度で一部認容した事例。
2020.03.24
発信者情報開示仮処分命令申立事件
LEX/DB25564903/東京地方裁判所 令和 2年 2月20日 決定 (第一審)/令和1年(ヨ)第3933号
債権者(医療法人)が、債務者(インターネット上で、地図上に事業者の情報及び事業者に対するいわゆるクチコミ掲載の機能を有するサイトを管理、運営する法人)に対し、債務者の管理、運営するウェブサイトに何者かによる本件各投稿記事により、債権者の名誉権が侵害された旨を主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、各情報の仮の開示を求めた事案において、本件各投稿記事のいずれも、名誉権侵害の前提となる社会的評価の低下がないか、仮に社会的評価が低下していたとしても違法性阻却事由の存在を窺わせる事情がないことの疎明がなく、プロバイダ責任制限法4条1項1号の権利侵害の明白性の疎明がないとして、本件申立てを却下した事例。
2020.03.17
損害賠償請求事件 
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LEX/DB25570748/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 3月 6日 判決 (上告審)/平成31年(受)第6号
不動産所有権移転登記の連件申請で、被上告人(原告・控訴人)が、後件申請の委任を受けた司法書士である上告人(被告・被控訴人)には、前件申請がその申請人となるべき者による申請であるか否かの調査等をしなかった注意義務違反があると主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、3億4800万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求め、原審は、被上告人の請求を、上告人に対し3億2400万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容したため、上告人が上告した事案において、上告人にとって委任者以外の第三者に当たる被上告人との関係において、上告人に正当に期待されていた役割の内容や関与の程度等の点について検討することなく、注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務があったと直ちにいうことは困難であり、まして上告人において更に積極的に調査した上で代金決済の中止等を勧告する等の注意義務を被上告人に対して負っていたということはできないとして、上記の点について十分に審理することなく、直ちに上告人に司法書士としての注意義務違反があるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(意見がある)。
2020.03.17
債務確認請求本訴、求償金請求反訴事件 
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LEX/DB25564902/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 2月28日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1429号
本件本訴請求は、被上告人の被用者であった上告人が、被上告人の事業の執行としてトラックを運転中に起こした交通事故に関し、第三者に加えた損害を賠償したことにより被上告人に対する求償権を取得したなどと主張して、被上告人に対し、求償金等の支払を求め、原審は、上告人の本訴請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償することができるものと解すべきであるとしたうえで、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人の本訴請求に関する部分を破棄し、上告人が被上告人に対して求償することができる額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2020.03.17
損害賠償請求事件
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LEX/DB25564900/広島地方裁判所尾道支部 令和 1年10月15日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第29号
被告が経営する入浴施設を利用したことにより、原告が同入浴施設に発生したレジオネラ菌感染によりレジオネラ肺炎に罹患し、その結果、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の後遺障害を負ったとして、原告が被告に対し、主位的には不法行為、予備的に入浴施設利用契約上の安全配慮義務違反に基づく損害賠償金の支払等を求めた事案において、原告がレジオネラ肺炎罹患を原因とするPTSDを発症したとは認められないと判断したうえで、原告の請求額を減額した内容で一部認容した事例。
2020.02.18
(不動産業者敗訴確定:仲介手数料、上限は半月分)
LEX/DB25580356/東京高等裁判所 令和 2年 1月14日 判決 (上告審)/令和1年(ツ)第120号
被上告人(原告・控訴人)が、本件建物の賃貸借契約の締結を媒介した上告人(被告・被控訴人)が、媒介の依頼を受けるに当たって被上告人の承諾を得ていないにもかかわらず、宅地建物取引業法46条1項及び「宅地建物取引業法の規定により宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額」(昭和45年10月23日建設省告示第1552号。本件賃貸借契約が締結された当時のものは、平成16年2月18日国土交通省告示第100号による改正後のもの)の規制を超える額の媒介報酬を被上告人から受領したものであり、上記規制を超える額の受領は宅建業法46条2項に違反し無効であると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、上告人が受領した媒介報酬のうち上記規制を超える11万8125円の支払等を求め、第1審は、被上告人は上告人との間の本件賃貸借契約のための媒介契約が成立した際に上告人から媒介報酬額の承諾を得ていたと認められ、宅建業法46条2項に違反しないとして被上告人の請求を全部棄却したため、被上告人がこれを不服として控訴し、控訴審は、第1審判決を取消し、宅建業法46条1項、2項及び報酬告示所定の最高額を超える契約部分は無効であり、本件において同条項の最高額を超える部分である11万8125円の媒介報酬の支払については無効であるから、上告人は、被上告人に対し、不当利得に基づく利得金返還を命じたため、上告人が上告した事案で、控訴審の認定判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2020.02.18
損害賠償請求事件
LEX/DB25564685/東京地方裁判所 令和 1年12月20日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第6203号
原告が、株式会社S社に対し、原告が運営するインターネット上の通販サイトにおけるクレジットカードによる決済の機能を利用して商品を購入することができるシステム全体について、セキュリティ対策を含めたシステムの運用、保守管理を委託し、その一環としてハートブリードというセキュリティ上の脆弱性への対策を依頼したにもかかわらず、S社が対策を講じなかったことから、原告の顧客のクレジットカード情報が漏えいし、原告において顧客への対応のための費用等の支出を余儀なくされ、これにより損害を被ったとして、S社を吸収合併した被告に対し、委託契約の債務不履行に基づく損害賠償金の支払を求めた事案において、本件契約に基づき委託される業務にシステム全体のセキュリティ対策を講じることが含まれていたことを根拠付けるものということはできないし、S社における本件契約の担当者が本件情報漏えいの原因について考察しS社の担当者のメールアドレスから送信されたメールも、自らがS社の業務として本件システム全体のセキュリティ対策をしていた旨を明確に示したものということはできないし、そのメールアドレスがS社のものであるからといって、担当者の対応がS社の業務として提供された業務であったことを示すことにはならないとし、請求を棄却した事例。
2020.01.14
損害賠償請求控訴事件
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LEX/DB25564331/名古屋高等裁判所 令和 1年 8月22日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第936号
控訴人が、被控訴人従業員らによる不招請勧誘禁止違反、適合性原則違反、説明義務違反、新規委託者保護義務違反、実質的一任売買、過当取引等の一連の違法行為が存在したとして、被控訴人従業員らに対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求として、また、被控訴人従業員らの不法行為は被控訴人会社の事業の執行についてなされたものであるとして、被控訴人会社に対し、民法715条に基づく損害賠償請求として、さらに、被控訴人役員らには、被控訴人会社における教育指導体制等の内部統制システム整備・運営義務違反があったとして、被控訴人役員らに対し、会社法429条1項に基づく損害賠償請求として、連帯して1698万3780円の支払等を求めたところ、原審は、被控訴人T及び被控訴人Iの新規委託者保護義務違反、被控訴人従業員らの指導・助言義務、信任・誠実公正義務違反、被控訴人会社の使用者責任及び被控訴人役員らの法令等遵守及び内部管理体制を確立・整備し、適正な勧誘・受託の履行を確保すべき任務の懈怠を認め、控訴人の過失割合を4割、控訴人の損害額は1019万0268円と認めるのが相当であるとし、控訴人の請求を、被控訴人従業員ら、被控訴人会社及び被控訴人役員らに対し、連帯して、1019万0268円の支払を求める限度で一部認容したため、双方がこれを不服として控訴した事案で、控訴人の請求は、被控訴人らが、控訴人に対し、連帯して、1018万3880円の支払等を求める限度で理由があると判断し、原判決を変更した事例。
2020.01.07
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25564448/大阪地方裁判所 令和 1年12月 3日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第7518号
被告の提供するインターネット接続サービスを介してインターネット上のウェブサイトに投稿された投稿記事は、原告(NHK)の社会的評価を低下させるものであり、原告の権利を侵害することは明らかであると主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,本件投稿に関する発信者情報の開示を求めた事案で、被告は、本件投稿に関してプロバイダー責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に該当し、本件発信者情報を保有していることが認められ、本件投稿により原告の名誉ないし信用が侵害されたことが明らかであるから、原告が本件投稿の発信者に対する損害賠償請求等を行うために、被告に対して本件発信者情報の開示を求めることには正当な理由が認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2020.01.07
管理組合資料等閲覧謄写請求事件
LEX/DB25564404/名古屋地方裁判所 令和 1年10月25日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第2323号
マンション管理組合である被告が保管する各銀行預金通帳、訴訟代理人弁護士への委任にかかる費用についての請求書及び銀行振り込み領収書(本件各文書)について、当該マンションの区分所有者である原告が、民法645条に基づき、閲覧及び謄写(コピー各1部)を請求した事案において、原告の請求のうち、被告の管理事務所で閲覧及び閲覧の際の写真撮影について、一部認容した事例。
2019.12.24
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25564418/東京高等裁判所 令和 1年 7月17日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第4718号
心臓病でA医療センターに入院中の本件患者が、ペースメーカー植込手術が必要になったが、体重の重さが原因で手術に伴う所要の検査の安全な実施が確保できないために、被告病院に転院することになり、本件患者は、転院当日、救急車で被告病院の救急外来の処置室に到着し、所要の診察・検査を終えた後、徒歩で病室に移動中に突然倒れ込んで一時心肺停止状態になり、その50日余り後に死亡した。そこで、本件患者の両親である第1審原告らは、被告病院の医師には、〔1〕病室への移動に当たっては、致死性不整脈の発症を予見し、移動用ベッド等を利用すべきであった(徒歩移動がやむを得なかったとしても、酸素投与、移動用モニターの装着等の措置をとるべきであった。)、〔2〕徒歩移動中に本件患者が苦しいと申告した時点で、直ちに酸素投与、移動用モニターの装着等の措置をとった上で移動用ベッド等を利用すべきであったところ、これらを怠った注意義務違反ないし過失があるなどと主張して、第1審被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金の支払を求め、原判決は、第1審原告らの請求を全部棄却したため、これに不服とする第1審原告らが控訴した事案で、被告病院の医師が、前院であるA医療センターにて本件患者に許可されていた歩行の範囲を超えて本件患者を歩行させたとの事実を認めることはできず、被告病院の医師に注意義務違反ないし過失があったとする第1審原告らの主張は採用できないなどとして、本件控訴を棄却した事例。