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2017.11.07
旅券返納命令及び渡航先制限取消請求事件 
LEX/DB25547177/東京地方裁判所 平成29年 4月19日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第462号
ジャーナリストである原告が、トルコ共和国とシリアとの国境付近に渡航し、現地を取材した上でその成果を発表する計画を有していたところ、外務大臣から旅券法19条1項4号の規定に基づく一般旅券の返納命令を受け、その後、原告が一般旅券の発給の申請をしたところ、外務大臣から一般旅券の発給処分を受けるに当たり、同法5条2項の規定に基づき、その渡航先を本件渡航先とする制限を受けたことから、上記各処分が、いずれも原告の報道及び取材の自由(憲法21条1項)並びに海外渡航の自由(憲法22条2項)を侵害し、外務大臣の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものであり、また、憲法31条に由来する行政手続法13条1項の規定に基づく聴聞の手続を経なかったものであるから、違憲かつ違法であるとして、その各取消しを求めた事案において、原告の請求を棄却した事例。
2017.10.31
障害年金請求事件 
LEX/DB25448960/最高裁判所第三小法廷 平成29年10月17日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第44号
厚生年金保険の被保険者であった昭和45年6月、交通事故により左下腿を切断する傷害を負い、平成23年6月、厚生年金保険法47条(昭和60年法律第34号による改正前)に基づく障害年金の裁定及びその支給をそれぞれ請求したところ、厚生労働大臣は、平成23年8月、上告人に対し、受給権を取得した年月を昭和45年6月とする障害年金の裁定をする一方、厚生年金保険法36条(平成2年2月1日より前については平成元年法律第86号による改正前)所定の支払期から5年を経過した障害年金についてはその支給を受ける権利が時効により消滅しているとして支給しなかったことにつき、本件は、上告人が、上記権利の消滅時効は上記裁定の時から進行すると主張して、被上告人に対し、支給されなかった上記障害年金の支払を求めた事案の上告審において、上記支分権(支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利)の消滅時効は、当該障害年金に係る裁定を受ける前であっても、厚生年金保険法36条所定の支払期が到来した時から進行するものと解するのが相当であるとし、上告人の前記傷害に係る障害年金のうち厚生年金保険法36条所定の支払期から5年を経過したものにつき、時効により消滅したものとした原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2017.10.31
債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448955/最高裁判所第三小法廷 平成29年10月10日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第46号
抗告人が、抗告人の相手方に対する元金及びこれに対する支払済みまでの遅延損害金の支払を内容とする金銭債権を表示した債務名義による強制執行として、債権差押命令の申立てをし、上記債務名義による強制執行として既に発せられた債権差押命令(前件差押命令)に基づく差押債権の取立てに係る金員が、前件差押命令の申立書に請求債権として記載されていなかった申立日の翌日以降の遅延損害金にも充当されるか否かが争われ、原審が債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告を棄却決定したため、抗告人が許可抗告した事案において、本件取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が当該債権差押命令に基づく差押債権の取立てとして第三債務者から金員の支払を受けた場合、申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となると解され、原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、本件申立てを却下した原々決定を取り消した上、本件を原々審に差し戻した事例。
2017.10.24
訴訟代理人の訴訟行為排除決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448947/最高裁判所第一小法廷 平成29年10月 5日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第6号
破産者T配送サービスの破産管財人である抗告人X2、破産者Tエキスプレスの破産管財人である抗告人X1及び破産者T運輸の破産管財人である抗告人X3を原告とし、相手方株式会社R商事を被告とする訴訟において、抗告人らが、上記各破産者との間で委任契約を締結していた弁護士である相手方Y2及び同Y3が相手方R商事の訴訟代理人として訴訟行為をすることは弁護士法25条1号に違反すると主張して、相手方Y2及び同Y3の各訴訟行為の排除を求めるとともに、相手方Y2から委任を受けるなどして相手方R商事の訴訟復代理人等となった弁護士である相手方Y1の訴訟行為の排除を求めたのに対して出された訴訟行為排除決定に対する抗告審の取消決定に対して許可抗告をした事案において、原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、原々決定中、丁事件につき相手方Y1の訴訟行為の排除を認めた部分は不当であるから、これを取り消し、上記取消部分に関する抗告人X1の申立ては理由がないから、これを却下し、原々決定のその余の部分は正当であるから、原々決定に対する相手方R商事のその余の抗告を棄却し、原々決定に対する相手方Y2、同Y3及び同Y1の抗告は不適法であるとし却下した事例。
2017.10.24
文書提出命令申立て却下決定に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448943/最高裁判所第二小法廷 平成29年10月 4日 決定 (許可抗告審)/平成29年(行フ)第2号
相手方(香川県の住民)が、議員らが県議会の議長に提出した平成25年度分の政務活動費の支出に係る領収書及び添付資料の写しのうち、本件各領収書について、議長の属する地方公共団体である抗告人を文書の所持者として、文書提出命令の申立てをしたのに対し、却下決定が出されたので、これ対する抗告審においてだされた変更決定に対する許可抗告をした事案において、地方公共団体は、その機関が保管する文書について、文書提出命令の名宛人となる文書の所持者に当たるというべきであるとし、抗告人が本件各領収書に係る文書の所持者に当たるとした原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2017.10.24
発信者情報開示仮処分命令申立事件 
LEX/DB25547114/東京地方裁判所 平成29年 8月30日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第1552号
歯科医院を運営する医療法人社団である債権者が、「Googleマップ」という名称の口コミを書き込むことができるサイトを管理・運営する法人である債務者に対し、本件サイトに書き込まれた本件歯科医院の記事により債権者の名誉権が侵害されていると主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報開示請求権を被保全権利として、情報の開示を求めた事案において、本件について権利侵害の明白性の要件を一応認めることはできないから、被保全権利があることを一応認めることはできないとして、本件申立てを却下した事例。
2017.10.17
業務上過失致死被告事件 
LEX/DB25448933/東京高等裁判所 平成29年 9月20日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第344号
A社が運営していた天竜川の舟下り事業において、旅客船の運航中に、噴流の発生していた流域を通過する際、噴流等の影響により、舳先が180度右転回したため、船頭が旅客船を上流に遡らせようとしたところ、上流からの強い流れに押されて遡上できずに左岸方向に斜航し、左岸岸壁に旅客船を衝突させて転覆させ、乗船していた乗客4名及び船頭1名の計5名を溺死させたという業務上過失致死の罪で起訴され、原判決は、舟下り事業の安全統括管理者兼運行管理者であったBを禁錮2年6月に、船頭主任及び運航管理補助者であった被告人を禁錮2年6月に、舳乗り船頭であったDを禁錮3年にそれぞれ処し、それぞれに執行猶予4年を言い渡したため、被告人が控訴した事案において、二人の船頭の適切な状況判断や操船があったといえるかはさておき、被告人の立場からは、本件噴流等の影響によって旅客船の舳先が振られ、安全に操船することが困難な状態になったために転覆してしまうことについての現実的な危険性を認識し得なかったものと考えるのが相当であるとし、被告人には本件転覆事故について注意義務違反を認めることはできないとして、原判決を破棄し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2017.10.17
権利変換計画不認可処分取消等請求事件 
LEX/DB25546955/徳島地方裁判所 平成29年 9月20日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第9号
第一種市街地再開発事業の施行者である原告(市街地再開発組合)が権利変換計画認可申請に対し、徳島市長(処分行政庁)が不認可処分をしたことから、原告が、不認可処分は違法であり、徳島市長は権利変換計画を認可すべきであると主張して、処分行政庁の所属する公共団体である被告に対し、不認可処分の取消しと上記権利変換計画の認可処分の義務付けを求めた事案において、権利変換計画の認可について判断権者たる市長には、裁量が認められるところ、本件処分の理由には合理性があり、本件処分についての市長の判断について裁量の逸脱濫用と認めうる事情はなく、その他の原告の主張する違法事由はいずれも認められないから、本件処分が違法であるとする原告の主張は認められないとし、請求を棄却した事例。
2017.10.17
執行文付与の拒絶処分に対する異議申立て事件 
LEX/DB25546971/東京地方裁判所 平成29年 8月21日 決定 (第一審)/平成29年(行ク)第256号
申立人が、別訴の仮の差止めの申立て事件で、同裁判所がした決定(本件決定)につき、執行文の付与の申立てをしたところ、同裁判所の裁判所書記官から、本件決定に基づく国に対する強制執行はできないとして、執行文の付与を拒絶する処分を受けたことから、民事執行法32条1項に基づき、上記拒絶処分に対する異議を申し立てた事案において、本件決定を債務名義として強制執行をすることはできないから、本件決定について執行文を付与することを拒絶した上記拒絶処分は正当であると判断し、本件申立てを却下した事例。
2017.10.17
決定取消請求控訴事件 
LEX/DB25546970/東京高等裁判所 平成29年 6月29日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第334号
原告(被控訴人)は、N証券のキャピタル・マーケット部従業員らがT社との間の引受契約の締結の交渉に関し知り、その後N証券の機関投資家営業二部営業員がその職務に関し知った、T社が株式の募集を行うことについての決定をした旨の事実について、同営業員から伝達を受けながら、上記事実が公表される前に,自己の計算においてT社の株式200株を売り付けたとして、金融商品取引法175条1項1号、同法166条3項に基づき、処分行政庁から、課徴金6万円を納付すべき旨の決定を受けたのに対し、原告が、本件決定は、法の解釈適用を誤り事実を誤認した違法があるなどと主張して、本件決定の取消しを求めたのに対し、原審は、N証券の営業員が、T社が株式の募集を行うと決定したことや、それが平成22年9月29日に公表されることを知ったとは認められないとして、原告の本件請求を認容し、本件決定を取消したため、被告(控訴人。国)が、これを不服として控訴した事案において、原告について金融商品取引法166条3項に該当する事実はなく、これがあるとしてされた本件決定は違法であるから、被告の本件請求を認容した原判決は結論において相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.10.10
選挙無効請求事件 
LEX/DB25448923/最高裁判所大法廷 平成29年 9月27日 判決 (上告審)/平成29年(行ツ)第47号
平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙について、東京都選挙区及び神奈川県選挙区の選挙人である上告人(原告)らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、本件選挙当時、平成27年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとし、原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見、反対意見がある)。
2017.10.10
選挙無効請求事件  
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448924/最高裁判所大法廷 平成29年 9月27日 判決 (上告審)/平成29年(行ツ)第4号 等
平成28年7月10日施行の参議院議員通常選挙について、各選挙区(東京都選挙区ほか20選挙区)の選挙人である上告人らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の上告審において、本件選挙当時、平成27年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとし、原審の各判断は、いずれも是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見、反対意見がある)。
2017.10.10
地位確認等請求事件 
LEX/DB25546920/東京地方裁判所 平成29年 9月14日 判決 (第一審)/ 平成26年(ワ)第11271号
被告との間で期間の定めのある労働契約を締結した原告らが、期間の定めのない労働契約を締結している被告の正社員と同一内容の業務に従事していながら、手当等の労働条件において正社員と差異があることが労働契約法20条に違反するとして、被告社員給与規程及び被告社員就業規則の各規定が原告らにも適用される労働契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、上記差異が同条の施行前においても公序良俗に反すると主張して、同条の施行前については、不法行為による損害賠償請求権に基づき、同条の施行後については、主位的に同条の補充的効力を前提とする労働契約に基づき、予備的に不法行為による損害賠償請求権に基づき、労働契約法20条の施行前である平成24年4月から平成25年3月までの正社員の諸手当との差額等の支払を求めた事案において、原告らの主位的請求については、いずれも棄却し、予備的請求については、原告P1、原告P2、原告P4の請求に対し、一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2017.10.03
求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件 
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448912/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月15日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第33号
大分県の住民である上告人らが、被上告人(大分県知事)を相手に、被上告人が教員採用試験で受験者の得点を操作するなどの不正に関与した者に対する求償権を行使しないことが違法に財産の管理を怠るものであると主張し、地方自治法242条の2第1項3号に基づく請求(3号請求)として、本件不正に関与したと上告人らが主張するE、F等に対する求償権行使を怠る事実の違法確認を求めるとともに、同項4号に基づく請求(4号請求)として、本件不正に関与したA、B、C及びD並びにE及びFに対する求償権に基づく金員の支払を請求することを求めた住民訴訟の上告審において、上記求償権のうち本件返納額に相当する部分を行使しないことが違法な怠る事実に当たるとはいえないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人らのAらに関する4号請求並びに上告人X1らのEらに関する3号請求及び4号請求に関する部分を破棄し、県の教員採用試験において不正が行われるに至った経緯や、本件不正に対する県教委の責任の有無及び程度、本件不正に関わった職員の職責、関与の態様、本件不正発覚後の状況等に照らし、県による求償権の行使が制限されるべきであるといえるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、上告人らのその余の上告を棄却した事例(意見がある)。
2017.10.03
配当表に対する異議申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25448911/最高裁判所第三小法廷 平成29年 9月12日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第3号
破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた破産債権者である相手方が、破産手続開始の時における債権の額として確定したものを基礎として計算された配当額のうち実体法上の残債権額を超過する部分を物上保証人に配当すべきものとした抗告人作成の配当表に対する異議申立てをしたところ、原々審は、超過部分は債権の一部を弁済した求償権者に配当すべきであるなどとして、配当表に対する相手方の異議申立てを却下し、これに対し、原審は、超過部分を求償権者に配当することはできないとし、原々決定を取消し、本件を原々審に差し戻しを命じたため、これに不服の抗告人が許可抗告した事案において、破産債権者が破産手続開始後に物上保証人から債権の一部の弁済を受けた場合に、破産手続開始の時における債権の額として確定したものを基礎として計算された配当額が実体法上の残債権額を超過するときは、その超過する部分は当該債権について配当すべきであるとし、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるが、相手方の異議申立てを却下した原々決定は不当であるから、原々決定を取り消して本件を原々審に差し戻した原審の判断は、結論において是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.09.26
廃止負担金請求事件
LEX/DB25448903/最高裁判所第一小法廷 平成29年 9月14日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1187号
大阪府が営む工業用水道事業に係る条例に基づき、府との間で給水契約を締結して工業用水道を使用していたところ、上記条例の改正により、工業用水道の使用者がその使用を廃止したときは負担金を納付しなければならない旨の規定が設けられたところ、被上告人は工業用水道の使用を廃止したことより、府から上記事業を承継した一部事務組合である上告人が、被上告人に対し、上記給水契約に基づく負担金の支払を求め、原審は、本件廃止負担金が分担金に当たるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件廃止負担金は、地方自治法224条、228条1項にいう分担金に当たらないというべきであり、条例で定めなければならないものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人に本件規定が適用されるか等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.09.26
障害補償費不支給決定取消等請求事件
「新・判例解説Watch」H29.12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448889/最高裁判所第二小法廷 平成29年 9月 8日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第371号
水俣病の認定を受けた被上告人(原告・控訴人)が、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)に基づく障害補償費の支給を請求したところ、熊本県知事から、被上告人の健康被害に係る損害は損害賠償請求訴訟の結果、原因者により全て填補されているとして、障害補償費の不支給処分の決定を受けたため、上告人(被告・被控訴人。熊本県)を相手に、その取消し等を求め、原審が、第1審判決を取り消したため、上告人が上告した事案において、被上告人は、原因者であるチッソに対して、被上告人の水俣病による健康被害に係る損害につき損害賠償請求訴訟を提起したものであるところ、前訴確定判決は同損害の全てについての賠償をチッソに命じたものと解されるから、被上告人がこれに基づく損害賠償金を受領したことにより、熊本県知事は、被上告人に対する公健法に基づく障害補償費の支給義務の全てを免れたものであり、本件不支給処分が公健法13条1項に違反するものということはできないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼす明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、公害健康被害認定審査会の意見を聴かないことにより本件不支給処分が違法になる旨の被上告人の主張に理由がないことも明らかであり、被上告人の同処分の取消請求は理由がないから、これを棄却した第1審判決は是認することができ、被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.09.26
猶予費用の取立決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448891/最高裁判所第三小法廷 平成29年 9月 5日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第40号
訴訟上の救助の決定を受けた者(受救助者)との訴訟で、受救助者に生じた訴訟費用の一部を負担することとされた相手方当事者(相手方)である抗告人らに対し、裁判所が、民事訴訟法85条前段の費用の取立てとして受救助者に猶予した費用の一部を国庫に支払うことを求めた事案において、第1審は、抗告人ら及びCに対し、Bの猶予費用のうち一部を連帯して、国庫に支払うことを命ずる旨の決定(原々決定)をしたため、抗告人らは,これに対し、本件取立額は、Bの負担すべき費用との差引計算をしてその額の審理をすべきであるにもかかわらず、これをしていない点が違法である旨を主張して、即時抗告をし、原審は、訴訟費用の負担の額を定める処分(訴訟費用額確定処分)を求める申立てがされる前においては、本件取立額につき、Bの負担すべき費用との差引計算を考慮する必要はないとして、本件取立額の算定をしたため、抗告人が許可抗告した事案において、抗告人らに対しBの負担すべき費用との差引計算を求める範囲を明らかにするよう求めることのないまま、本件取立額につき認定した原審の判断には、本件事案に係る事情を踏まえた裁判所の合理的な裁量の範囲を逸脱した違法があるとし、原決定を破棄し、抗告人らに対しBの負担すべき費用との差引計算を求める範囲を明らかにするように求めた上で、Bの抗告人らに対する訴訟費用請求権の額を判断する上で考慮されるBの負担すべき費用の有無及び額について審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.09.19
慰謝料請求控訴事件
(平成29年3月13日仙台地方裁判所(平成28年(ワ)第351号)の控訴審)
LEX/DB25546535/仙台高等裁判所 平成29年 8月10日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第139号
妻である原告(控訴人)が、夫である被告(被控訴人)に対し、被告が、〔1〕cと不貞行為をした、〔2〕その後原告に対して不貞行為を一旦は止めると約束しながら原告に隠れてこれを続け、原告がそれを指摘するとcと示し合わせて不貞行為に及んだことを否定し、更に原告から不貞行為を指摘されてこれを止めるよう注意されたことに立腹して自宅を出て所在を隠した、〔3〕被告が代表者を務めるI社(訴外会社)が新事務所に移転した際、同社で経理等の事務に従事していた原告に対し、罵詈雑言を浴びせるなどした、〔4〕原告に対し、平成23年6月まで生活費として月額40万円を支払っていたが、その後、原告に無断で減額した額の生活費しか支払わなかった、〔5〕原告に対し、東日本大震災で損傷した自宅建物を補修すると約束し、また国からの補助金等が交付されたにもかかわらず、上記補修工事をせずに放置したことがそれぞれ不法行為に当たるとして、損害賠償金等の支払を求めたところ、原審は、原告の主張のうち、慰謝料請求を150万円の限度で一部認容したため、原告が、原判決中控訴人敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決を変更し、原告の請求を慰謝料200万円の限度で一部認容した事例。
2017.09.19
慰謝料請求事件
(平成29年8月10日仙台高等裁判所(平成29年(ネ)第139号)の原審) 
LEX/DB25546534/仙台地方裁判所 平成29年 3月13日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第351号
妻である原告が、夫である被告に対し、被告が不貞行為をしたことなどが不法行為に当たるとして、慰謝料の支払等を求めた事案において、被告がcと不貞行為を行ったことは、原告に対する不法行為に当たるものと認め、原告の請求を一部認容した事例。