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2018.02.13
暴力団事務所使用差止仮処分命令申立事件
(対立2組事務所 同時使用差し止め 全国初の同時命令)
LEX/DB25548291/福井地方裁判所 平成29年10月20日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第32号
本件土地建物の付近に居住する住民らから委託を受けた債権者が、本件土地建物が本件暴力団事務所として使用されていることにより、本件住民の生命や身体に危険が及ぶおそれがあるとして、組長である債務者に対し、本件土地建物につき、指定暴力団事務所としての使用差止めの仮処分を求めた事案において、本件土地が今後も本件暴力団事務所として使用されることにより、本件土地建物の付近を日常的に通行する機会のある一般市民の人格権が受忍限度を超えて違法に侵害されるおそれがあるということができるところ、本件住民については、人格権侵害のおそれが疎明されているものというのが相当であり、債権者は債務者に対し、本件土地建物を本件暴力団事務所として使用することの差止めを求めることができるとし、申立てを認容した事例。
2018.02.13
暴力団事務所使用差止仮処分命令申立事件
(対立2組事務所 同時使用差し止め 全国初の同時命令)
LEX/DB25548293/福井地方裁判所 平成29年10月20日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第33号
本件土地建物の付近に居住する住民等から委託を受けた債権者が、本件土地建物が本件暴力団事務所として使用されていることにより、本件住民等の生命や身体に危険が及ぶおそれがあるとして、債務者に対し、本件土地建物につき、指定暴力団事務所としての使用差止めの仮処分を求めた事案において、本件土地建物が今後も本件暴力団事務所として使用されることにより、本件土地建物の付近を日常的に通行する機会のある一般市民の人格権が受忍限度を超えて違法に侵害されるおそれがあるということができるところ、本件住民等は、人格権侵害のおそれが疎明されているものというのが相当であり、債権者は債務者に対し、本件土地建物を暴力団事務所として使用することの差止めを求めることができるとし、申立てを認容した事例。
2018.02.06
インターネット上での掲載サイト情報記事の削除請求控訴事件
(平成29年8月10日松江地方裁判所(平成29年(ワ)第65号)の控訴審)
LEX/DB25549094/広島高等裁判所松江支部 平成30年 1月10日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第63号
控訴人(原告)が、ウェブサイト管理運営している被控訴人(被告)に対し、控訴人に係る被疑事件について不起訴処分がされたにも関わらず、被控訴人が同事件に関する控訴人の逮捕を報じる記事をインターネット上に掲載し続けていることが人権侵害に当たるとして、不法行為に基づき、本件記事の削除及び損害賠償金の支払を求め、原判決は、請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案において、記事をウエブサイトに複製掲載することができる者が無数に存在すること、被控訴人の元記事を実際にウエブサイトに複製掲載した者を特定するのが極めて困難な場合も多いことは容易に推測でき、それらの者との間で元記事を含む本件ウエブサイト掲載記事の複製掲載についてルール化を求めるのは、不可能を強いるものというべきであるとし、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2018.02.06
インターネット上での掲載サイト情報記事の削除請求事件
(平成30年1月10日広島高等裁判所松江支部(平成29年(ネ)第63号)の原審)
LEX/DB25549093/松江地方裁判所 平成29年 8月10日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第65号
原告が、ウェブサイト管理運営している被告に対し、原告に係る被疑事件について不起訴処分がされたにも関わらず、被告が同事件に関する原告の逮捕を報じる記事をインターネット上に掲載し続けていることが人権侵害に当たるとして、不法行為に基づき、本件記事の削除及び損害賠償金の支払を求めた事案において、検索サイトを利用して表示される本件記事は、被告ではない第三者が管理するウェブページにおいて掲載されているものであることが認められ、インターネット上で記事の複製をすることが容易にできること(公知の事実)からすれば、本件記事は、被告が掲載した記事を被告以外の当該第三者が複製し、掲載しているものであることが強く窺われるとし、原告の請求を棄却した事例。
2018.02.06
公務外認定処分取消請求控訴事件
LEX/DB25549117/大阪高等裁判所 平成29年12月26日 判決 (控訴審)/平成29年(行コ)第68号
東日本大震災の被災地支援として岩手県に派遣されていた大阪府元職員の亡Aが同派遣中に死亡したことにつき、亡Aの妻である控訴人(1審原告)が、地方公務員災害補償基金大阪府支部長(処分行政庁)に公務災害認定請求をしたところ、処分行政庁から公務外認定処分を受けたため、被控訴人(1審被告。地方公務員災害補償基金)に対し、本件処分の取消しを求め、原審は控訴人の請求を棄却したところ、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、本件疾病の発症と公務との間の相当因果関係の存在を肯定し、亡Aの死亡は、地方公務員災害補償法にいう公務上の死亡に当たるとして、これと異なる原判決を取消し、控訴人の請求を認容した事例。
2018.01.30
不開示決定処分取消等請求事件
「新・判例解説Watch」H30.3月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449195/最高裁判所第二小法廷 平成30年 1月19日 判決 (上告審)/平成29年(行ヒ)第46号
上告人(1審原告)が、情報公開法に基づき、内閣官房内閣総務官に対し、平成24年12月から同25年12月31日までの内閣官房報償費の支出に関する行政文書の開示を請求したところ、これに該当する行政文書のうち、政策推進費受払簿、支払決定書、出納管理簿、報償費支払明細書、領収書、請求書及び受領書の本件各文書に記録された情報が情報公開法5条3号及び6号所定の不開示情報に当たるとして、本件各文書を開示しないなどとする決定を受けたため、被上告人(1審被告。国)に対し、本件決定のうち同年1月1日から同年12月31日までの本件対象期間の内閣官房報償費の支出に関する本件各文書(本件対象文書)を不開示とした本件不開示決定部分の取消し及び本件対象文書の開示決定の義務付けを求めたところ、第1審判決は、一部の行政文書を不開示した部分を取り消し、開示決定をする旨を命じたほか、一部開示決定の義務付け請求に係る訴えを却下したため、双方が控訴し、原判決は、本件対象文書のうち政策推進費受払簿、出納管理簿(国庫からの内閣官房報償費の支出(受領)に係る記録部分を除く。)及び報償費支払明細書に係る本件不開示決定部分の取消請求を棄却し、これに係る開示決定の義務付けを求める訴えを却下すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、政策推進費受払簿、出納管理簿のうち政策推進費の繰入れに係る記録部分及び月分計等記録部分並びに報償費支払明細書のうち政策推進費の繰入れに係る記録部分及び繰越記録部分に係る本件不開示決定部分が適法であるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、内閣官房内閣総務官が上記の文書及び各記録部分について開示決定をすべきであることは明らかであり、これに係る上告人の本件不開示決定部分の取消請求及び開示決定の義務付け請求は、いずれも認容し、他方、報償費支払明細書のうち調査情報対策費及び活動関係費の各支払決定に係る記録部分に係る本件不開示決定部分が適法であるとした原審の判断は、是認することができ、これに関する上告人の上告は理由がなく、また、上告人のその余の請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除し、原判決を変更した事例(意見がある)。
2018.01.23
(平成29年 6月28日東京高等裁判所(平成28年(ネ)第5763号)の上告審)
LEX/DB25548338/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月12日 決定 (上告審)/平成29年(受)第1808号
一審原告(申立人)は、本件土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅(本件不動産)を購入して代金を支払い、自己に対する所有権移転登記を経たが、その際、弁護士である一審被告が、不動産登記規則72条に基づく本人確認情報を提供し、登記義務者代理人として所有権移転登記申請をし、売主として売買契約に立ち会った者が売主に成りすました他人であり、売主の住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであったため、後に、真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ、当該不動産の所有権を取得することができず損害を被ったとして、一審原告が、一審被告に対し、一審被告が過失により、売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたことに気付かないまま誤った本人確認情報を提供したとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払等を求めた事案において、第一審判決は、一審被告には、売主である女性(自称g)の本人確認で、成りすましによるものであることを疑うべき事情があり、これによって一審原告が損害を被ることについての結果予見可能性及び結果回避可能性があるところ、一審被告において注意義務を尽くしたとはいえないから不法行為責任を負うべきであるとして、一部認容、一部棄却したため、これに不服の双方(なお、一審被告が死亡したため一審被告の相続について限定承認をした一審被告訴訟承継人が地位を承継した)が控訴し、控訴審判決は、一審原告の請求は理由がないから全部棄却すべきであり,これを一部認容した原判決は失当であり、一審被告訴訟承継人の控訴は理由があるとし、原判決中一審被告訴訟承継人敗訴部分を取消した上、前記取消しに係る一審原告の請求を棄却することとし、一審原告の控訴を棄却したため、一審原告が上告受理の申立てをした事案において、本件を上告審として受理しないと決定した事例。
2018.01.23
損害賠償請求控訴事件
(平成29年12月12日最高裁判所第三小法廷(平成29年(受)第1808号)の原審)
LEX/DB25548251/東京高等裁判所 平成29年 6月28日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第5763号
7筆の土地並びにその一部の土地上にある3階建共同住宅を購入して代金を支払い、自己に対する所有権移転登記を経たが、その際、弁護士である被告が、不動産登記規則72条に基づく情報を提供し、登記義務者代理人として所有権移転登記申請をしたところ、売主として売買契約に立ち会った者が売主に成りすました他人であり、売主の住民基本台帳カード等の書類が偽造されたものであったため、後に、真実の所有者から所有権移転登記抹消登記手続を求められ、当該不動産の所有権を取得することができず損害を被ったとして、原告が、被告に対し、被告が過失により、売主の本人確認の際に提示を受けた住民基本台帳カード等の書類が偽造されたことに気付かないまま誤った本人確認情報を提供したとして、不法行為に基づく損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、被告には、売主であるgを名乗る女性(自称g)の本人確認において、成りすましによるものであることを疑うべき事情があり、これによって原告が損害を被ることについての結果予見可能性及び結果回避可能性があるところ、被告において注意義務を尽くしたとはいえないから不法行為責任を負うべきであるとした上で、原告にも4割の過失相殺を認め、請求を一部認容したため、被告及び原告が控訴した事案において、被告において、本件本人確認情報を作成する際に相応な調査・確認を行っていると認められるのであり、それ以上に、売主と名乗る者の自宅を訪れ、あるいは、QRコードを読み取るなど、住基カードの提示を求める方法以外の方法によって本人確認すべき注意義務があったとは認められないとして、原判決を取り消し、請求を棄却した事例。
2018.01.23
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H30.2月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25449105/大阪高等裁判所 平成29年11月30日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第53号
控訴人(原告)が、大阪府情報公開条例に基づき、大阪府知事に対し、第16回ピースおおさか展示リニューアル監修委員会配付資料等の公開請求をしたのに対し、大阪府知事から、上記配付資料に記録されている情報が本件条例8条1項所定の非公開条例に該当することを理由とする非公開決定を受けたところ、同決定は違法であり、これにより精神的苦痛を受けたと主張して、被控訴人(被告。大阪府)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払を求めた事案の控訴審において、本件文書を公開することにより、本件センターの正当な利益を害すると認められるとして、法人等情報に該当することを理由に本件非公開決定をしたことに相応の合理的な根拠が認められず、本件非公開決定は、大阪府知事が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件非公開決定をした点で、国賠法上も違法であるとして、原判決を変更して、控訴人の請求のうち、被控訴人に対し5万円を支払うよう命じ、その余の請求を棄却した事例。
2018.01.16
傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25548218/仙台高等裁判所 平成29年10月31日 判決 (控訴審)/平成29年(う)第130号
被告人が、〔1〕駅のプラットホームにおいて、見知らぬ女性の背後から千枚通し様の先端が鋭利な凶器でその背中を1回突き刺して傷害を負わせたといういわゆる通り魔的な傷害の事案、及び〔2〕折りたたみ式ナイフ2本をトートバッグ内に入れて携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反の事案の控訴審において、被告人は、本件犯行当時、広汎性発達障害の影響を受けてはいたもののその影響は大きいものではなく、善悪を判断する能力や自己の行動を制御する能力が著しく低下していたとはいえないから、完全責任能力を有していたと認められ、原判決に事実の誤認はなく、また、広汎性発達障害に罹患しており、行動の前の緩衝材ともいえる想像力や共感性の欠如が傷害の犯行に影響を与えていた可能性があることなどの原判決が説示するところの酌むべき事情や、その他所論が主張するところを十分考慮しても、本件は刑の執行を猶予するのが相当な事案であるとはいえず、被告人を懲役3年6月に処した原判決の量刑は刑期の点も含めて相当であって、これが重過ぎて不当であるとはいえないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2018.01.16
国家賠償請求控訴事件(面会不許可訴訟 第2審も国が敗訴)
LEX/DB25547531/名古屋高等裁判所 平成29年10月 5日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第480号
岐阜刑務所長が岐阜刑務所に収容中の受刑者である控訴人P1とそれ以外の控訴人ら8名との間の各面会を不許可としたことについて、控訴人らが、これらの処分は、いずれも岐阜刑務所長の裁量権の範囲を逸脱し又は裁量権を濫用した違法なものであると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償を請求した第1事件と、控訴人P1との信書発受を禁じた処分によって生じた損害について、控訴人P1及び控訴人P4らが国賠法1条1項に基づく損害賠償を求めた第2事件からなる事案の控訴審において、本件面会不許可処分は、1審原告P7との面会を除き、刑事収容施設法111条2項に関する岐阜刑務所長の裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものであり、少なくとも1審原告P1との関係では、国家賠償法1条1項の適用上も違法な処分というべきであるなどとして、1審原告P7を除く1審原告らの請求を一部認容した事例。
2018.01.09
殺人未遂幇助被告事件
LEX/DB25449154/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第137号
オウム真理教による平成7年の東京都庁郵便小包爆破事件に関与したとして、元信徒の被告人が、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の幇助罪に問われたところ、第1審判決は、爆発物製造及び爆発物使用の罪については幇助の意思が認められないから、その幇助罪は成立せず、殺人未遂罪については、幇助の意思が認められ、同罪の幇助罪が成立するとして、被告人に対し懲役5年に処したが、原判決は、被告人が本件当時、本件殺人未遂幇助の意思を有していたとの原判決の認定は、経験則、論理則に反する不合理な推論に基づくものであり、原判決の認定した幇助行為を被告人が行った際、正犯者らが人を殺傷するテロ行為を行うことを認識してこれを幇助したものと認めるにはなお合理的な疑いが残るといわざるを得ず、第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認があるとして、第1審判決を破棄し、被告人に対し無罪を言い渡したため、検察官が上告した事案において、原判決は、間接事実からの推論の過程が説得的でないなどとして、第1審判決が説示する間接事実の積み重ねによって殺人未遂幇助の意思を認定することはできないとしたものであり、第1審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があり、控訴審で破棄を免れないものであったことに照らすと、第1審判決を破棄し,被告人に対し無罪の言渡しをした原判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2018.01.09
再審請求棄却決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25449157/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第587号
a社の実質経営者A及び友人Bと共謀の上、同社の財産に対する徴収職員からの滞納処分の執行を免れる目的で,真実はBに譲渡した事実はないのに,同社が経営する風俗営業店5店舗の営業をBに譲渡したかのように装って同社の財産を隠蔽することを企て、〔1〕4回にわたり,不動産賃貸借契約に関し同社が返還を受け得る賃借保証金債権をBに仮装譲渡し、〔2〕本件店舗の営業主体が同社からBに変更されたかのように装って、79回にわたり、クレジット会社の係員をして、aに帰属すべきクレジット売上金をB名義の口座に振込入金させ、滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽した事件で、第1審で、請求人は、A及びBとの共謀の事実を否認し、A公判廷供述やB捜査段階供述の信用性等を争ったが、神戸地裁は、請求人から財産隠蔽のやり方を教えてもらい仮装譲受人としてBを提案された旨のA公判供述、請求人から仮装譲受人になる話を持ち掛けられ了承した旨のB捜査段階供述の信用性を肯定し、共謀の事実を認定した上、請求人を懲役1年6月,執行猶予3年に処したため、請求人は控訴したが、大阪高裁は、控訴棄却の判決を受け、最高裁でも上告棄却の決定を受け、第1審判決は確定(確定判決)したが、請求人は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとして、確定判決に対する再審を請求し、新証拠として、Aの陳述書等を提出したが、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとは到底認められないとして、再審請求を棄却する旨の決定(原々決定)をしたため、請求人からの即時抗告を受けた原審は、事実の取調べとしてAの証人尋問(新証人尋問)を実施した上で、原々決定を取消し、再審を開始する旨の決定(原決定)をしたため、最高裁に特別抗告した事案において、A新供述は、A公判供述の信用性を動揺させるものではなく、その余の新証拠を考え併せてみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえず、A新供述等の新証拠が、請求人に対し無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原判断には、刑事訴訟法435条6号の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ず、原決定を取り消し、即時抗告を棄却した事例。
2018.01.09
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律による医療の終了の申立て及び退院の許可の申立て各棄却決定に対する各抗告棄却決定に対する再抗告事件
LEX/DB25449158/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月25日 決定 (再抗告審)/平成29年(医へ)第20号 等
検察官は、対象者が夫と共に居住していた自宅を焼損したが、その際心神耗弱の状態にあったと認めて公訴を提起しない処分をし、地方裁判所に対し、前記行為を対象行為として対象者について医療観察法33条1項の申立てをし、今後服薬を継続するとともに心理社会的な治療を受けることによりその改善の見込みがあり、対象者に対しては手厚い医療が必要であるなどとし、通院による医療の確保は困難であるとして、対象者に対し、入院による医療を受けさせる旨決定し、その後、原々審に対し、対象者から医療観察法による医療の終了の申立てがされ、翌日には指定入院医療機関の管理者から退院の許可の申立てがあり、各申立てを棄却したが(各原々決定)したため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ抗告を申し立てたが、原審は、各原々決定と同旨の判断を示して各抗告を棄却した(各原決定)ため、対象者及び指定入院医療機関の管理者がそれぞれ再抗告を申し立てた事案において、各原々決定には、医療観察法51条1項の解釈適用を誤り、本件意見の合理性・妥当性の審査を尽くすことなくこれを排斥した点で、審理不尽の違法があり、これを維持した各原決定にも同様の違法があるというべきであり、この違法は各原決定に影響を及ぼし、各原決定を取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、医療観察法71条2項により、各原決定及び各原々決定を取消し、現在の対象者の状態や治療可能性等に関する審理を尽くした上で同法による医療の終了等の可否を判断させるため、各事件を原々審である地方裁判所に差し戻した事例。
2018.01.09
居住確認等請求本訴、家屋明渡等請求反訴事件
LEX/DB25449141/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月21日 判決 (上告審)/平成29年(受)第491号
本件本訴は、上告人が、被上告人(京都市)の所有する住宅地区改良法2条6項の改良住宅である本件住宅を使用する権利を上告人の母であるAから承継したなどと主張して、被上告人に対し、本件住宅の使用権及び賃料額の確認等を求めるものであり、本件反訴は、被上告人が、本件住宅を占有する上告人に対し、所有権に基づく本件住宅の明渡し及び賃料相当損害金の支払等を求め、原審は、上告人による本件住宅の使用権の承継を否定したため、上告人が上告した事案において、原審の判断は是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2018.01.09
終局決定の変更決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449155/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月21日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第9号
相手方が、変更前決定が確定した後の事情の変更によりこれを維持することが不当になったと主張して、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律117条1項に基づき、変更前決定を変更し、本件申立てを却下するよう求めた事案の許可抗告審において、変更前決定は、その確定後の事情の変更によってこれを維持することが不当となるに至ったと認めるべきであるから、同法117条1項の規定によりこれを変更し、本件申立てを却下するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、結論において是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.01.09
否認権行使請求事件
LEX/DB25449126/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1797号
被上告人(Aの破産管財人)が、本件支払1及び本件支払2について、破産法162条1項1号イの規定により否認権を行使して、上告人に対し、167万8905円及び法定利息の支払を求めたところ、原審は、本件支払1及び本件支払2は、いずれもAの財産である給料債権からの支払であり、これによりAの上告人に対する貸金債務が消滅するから、破産法162条1項の規定による否認権行使の対象となるなどとして、被上告人の請求を、法定利息の一部を除いて認容したため、上告人が上告した事案において、本件会社は、本件差押命令の送達を受けた後も、Aに対し、その給料債権のうち本件支払1に係る部分を除いた全額の弁済をし、これによりAの給料債権が消滅した後、更に差押債権者である上告人に対して本件支払2をしたものであるから、本件支払2は、破産法162条1項の規定による否認権行使の対象とならないというべきであるとして、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、被上告人の請求のうち本件支払2に係る部分を棄却すべきであるとし、原判決を変更した事例。
2018.01.09
現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25449139/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第190号
被告人は,2名が現に住居に使用し、かつ、同人らが現にいる居宅(木造トタン葺平屋建、床面積約115.03平方メートル)に延焼し得ることを認識しながら、上記居宅に隣接した作業場建物の軒下に積み上げられていた段ボールに、ライターで着火して火を放ち、その火を上記居宅に燃え移らせて全焼させ、現住建造物等放火罪で起訴された事案において、第1審判決は、量刑事情として、上記居宅に居住していた2名が逃げ切れず一酸化炭素中毒により死亡したことをも考慮し、被告人を懲役13年に処し、原判決は、第1審判決が、刑の量定に当たり,放火行為から人の死亡結果が生じたことを被告人に不利益に考慮したことは、それ自体不当なところはなく、余罪処罰に当たるようなものでもないなどとして是認したため、被告人が上告した事案において、放火により焼損した居宅内にいた2名が一酸化炭素中毒により死亡しており、これを本件の量刑事情として考慮した第1審判決を是認した原判決に違法はないとして、上告を棄却した事例。
2018.01.09
執行停止決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449147/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(行フ)第3号
留寿都村議会が、地方自治法127条1項に基づき、同議会の議員である相手方が地方自治法92条の2の規定に該当する旨の決定をしたため、相手方が、その取消しを求める訴えを提起した上、これを本案として、行政事件訴訟法25条2項に基づき、本件決定の効力の停止を求めた事案において、相手方は、原々決定により、本件補欠選挙の投票及び開票がされる前に留寿都村議会の議員の地位を暫定的に回復していたのであり、同選挙について公職選挙法所定の異議の申出の期間が経過しても、相手方が上記地位を喪失することはず、そして、同議会の議員としての職務の遂行が制限されることによって相手方が受ける不利益は、その性質上、金銭賠償によって容易に回復し得ないものであるから、そのような重大な損害を避けるため本件決定の効力を停止する緊急の必要があるとし、原審は、原々決定に対する抗告人の抗告を棄却したため、抗告した事案において、現時点で、相手方はもはや上記議員の地位を回復することができない以上、本件決定の効力の停止を求める利益はないものといわざるを得ないとし、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、本件決定の効力を停止するとした原々決定を取消し、相手方の本件申立てを却下した事例(補足意見、反対意見がある)。
2018.01.09
再生計画認可決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449148/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第19号
抗告人(税理士)を再生債務者とする小規模個人再生における住宅資金特別条項を定めた再生計画について、民事再生法202条2項4号の不認可事由の有無が争われ、原々審は、本件再生計画案が可決された再生計画につき認可の決定をしたため、相手方が即時抗告し、原審は、抗告人が実際には存在しない本件貸付債権を意図的に債権者一覧表に記載するなどの信義則に反する行為により本件再生計画案を可決させた疑いが存するので、本件貸付債権の存否を含め信義則に反する行為の有無につき調査を尽くす必要があるとして、原々決定を取り消し、本件を原々審に差し戻したため、抗告人が抗告した事案において、本件再生計画を認可した原々審の判断は不当であるとして、原々決定を取消し、更に審理を尽くさせるため本件を原々審に差し戻した原審の判断は是認することができるとして、抗告を棄却した事例(補足意見がある)。