2018.03.27
常習累犯窃盗被告事件
LEX/DB25549505/福島地方裁判所郡山支部 平成30年 1月31日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第230号
被告人は、福島県郡山市内の店舗で、同店の牛肉2パック等9点(販売価格合計2740円)を窃取し(本件犯行1)、盗犯等の防止及び処分に関する法律3条、2条、刑法235条に該当するとして、起訴されたところ、保釈中に同系列の別店舗で、ホットケーキ1袋等9点(販売価格合計1936円)を窃取したため(本件犯行2)、起訴状記載の訴因が本件犯行2の公訴事実を追加する内容に変更された事案において、本件犯行1の当時、被告人は自閉症スペクトラム障害(ASD)及び強迫性障害(OCD)と診断されるが、被告人の判断能力や行動制御能力の低下を疑うべき事情はないとしつつ、本件犯行2の当時、被告人は、他の特定される解離性障害-ストレスの強い出来事に対する急性解離反応(OSDD)により心神喪失の状態にあったとの合理的な疑いが残るので、犯罪の証明がないが、この点は本件犯行1と一罪の関係にあるとして訴因変更請求がされたものと認められるから、主文において特に無罪の言渡しをせず、量刑理由として、鑑定人が、被告人の再犯防止のためにはASDに対する治療や、ホームヘルプなどの社会での支援システムを用いることが効果的であると示唆しており、被告人が今後、再犯に及ばないために治療や支援利用への強い意欲を示していることなど、酌むべき事情もあるので、治療及び支援の開始が可能な範囲で早期に行われるのが相当であるとし、求刑懲役3年に対し、被告人を懲役1年8月(未決勾留日数中540日をその刑に算入)に処した事例。