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2019.08.27
措置取消等請求事件
LEX/DB25570407/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第299号
死刑確定者である被上告人(控訴人・原告)が、被上告人宛ての信書の一部について受信を許さないこととして当該部分を削除した拘置所長の措置は違法であると主張して、上告人(被控訴人・被告)を相手に、同措置の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求め、原審は、被上告人の本件処分の取消請求を認容し、損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、拘置所は、被収容者と外部との間で日常的に多数の信書の発受が行われており、被収容者が外部から受ける信書の一部を抹消する作業には相当の負担を伴うものであること等に照らせば、所長が、本件記述部分の発受を許さないこととするに当たり、これを削除したことについて、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるとはいえず、本件処分は適法であり、所長が本件処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の請求を棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例。
2019.08.27
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25563320/東京高等裁判所 令和 1年 7月16日 判決 (控訴審)/平成30年(う)第1849号
被告人が、平成29年11月上旬頃から同月15日までの間に、東京都内又はその周辺において、覚せい剤を自己の身体に摂取したとし、原審は、有罪判決を言い渡したため、被告人が控訴した事案で、本件鑑定書は、違法収集証拠として証拠能力を否定すべきであって、原裁判所がこれを証拠として採用したことは、刑事訴訟法317条に違反するものであり、本件鑑定書を証拠として採用しなければ、原判示の覚せい剤使用の事実を認めるに足りる証拠はないから、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2019.08.27
各取締役に対する損害賠償請求控訴事件、同附帯控訴事件
LEX/DB25570365/東京高等裁判所 令和 1年 5月16日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第2968号 等
一審原告会社及び一審原告株主が、巨額の金融資産の損失の計上を避けるために、ファンド等に金融資産を買い取らせるなどして損失を分離した上、それを解消するために企業を買収するなどした結果、金利及びファンド運用手数料等の支払を余儀なくされ、虚偽の記載のある有価証券報告書等の提出により、罰金の納付を余儀なくされたなどとして、取締役らに対し損害賠償を請求するなどした事案の控訴審において、本件罰則等が科されたのは、一審被告A5らが取締役として判断、意思決定をして虚偽記載がある本件有価証券報告書等を提出した結果であって、承継前一審被告A1及び一審被告A2による本件善管注意義務違反と本件罰則等の損害との間に相当因果関係を認めることはできないとし、請求を一部認容した原判決を一部取り消し、一部変更した事例。
2019.08.20
執行文付与に対する異議事件
LEX/DB25570406/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1626号
被上告人が、上告人に対し、本件相続放棄を異議の事由として、執行文の付与された本件債務名義に基づく被上告人に対する強制執行を許さないことを求める執行文付与に対する異議の訴えで、甲が死亡し、その相続人である乙が甲からの相続について承認又は放棄をしないで死亡し、丙が乙の相続人となったいわゆる再転相続に関し、民法916条は、同法915条1項の規定する相続の承認又は放棄をすべき3箇月の期間(熟慮期間)は、「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算する旨を規定しているところ、本件では、Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間がいつから起算されるかが争われた事案の上告審において、民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものであるとし、原審の判断に、民法916条の解釈適用を誤った違法があるが、本件相続放棄が熟慮期間内にされたものとして有効であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2019.08.20
文書提出命令申立についてした決定に対する抗告事件
LEX/DB25563340/大阪高等裁判所 令和 1年 7月 3日 決定 (抗告審)/令和1年(ラ)第620号
補助参加人において分譲マンション用地を購入するに際していわゆる地面師詐欺被害に遭い、購入代金55億円余を支払ったにもかかわらず所有権移転登記を受けることができなかったことにつき、株主である原告が、当時の役員である被告ら各自に善管注意義務違反ないし忠実義務違反があったとして、補助参加人のために前記購入代金相当額の損害賠償等を求めた株主代表訴訟の基本事件に対し、本件は、原告が上記の各義務違反を基礎付ける事実等を立証するために必要があるとして、補助参加人が所持する本件調査報告書外について文書提出命令を申し立てたところ、原決定は、補助参加人に対し、「本決定確定後14日以内に」本件調査報告書を受訴裁判所に提出するよう命ずる決定をしたため、これに不服の抗告人(本案被告ら補助参加人)が抗告した事案で、本件調査報告書は自己利用文書に該当するとは認められないとし、原決定は相当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2019.08.13
在外日本人国民審査権確認等請求事件(第1事件)、国家賠償請求事件(第2事件)
「新・判例解説Watch」憲法分野 10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570333/東京地方裁判所 令和 1年 5月28日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第143号 等
日本国外に住所を有する日本国民である原告らが、〔1〕主位的に、次回の最高裁判所裁判官国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求め、予備的に、次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求め、また、〔2〕平成29年10月22日執行の前回国民審査において審査権を行使することができなかったことについて、国家賠償を求めた事案において、前回国民審査において在外国民が審査権を行使することを認めないことについて、やむを得ない事由があったとは到底いうことができないから、最高裁判所裁判官国民審査法が、前回国民審査当時、在外国民であった原告らの審査権の行使を認めていなかったことは、国民に対して審査権を認めた憲法15条1項並びに79条2項及び3項に違反するものであったとして、〔1〕に係る訴えをいずれも却下し、〔2〕の国家賠償請求を一部認容した事例。
2019.08.13
選挙供託金制度違憲国家賠償請求事件
LEX/DB25563149/東京地方裁判所 令和 1年 5月24日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第17007号
原告が、第47回衆議院議員総選挙における小選挙区選出議員の選挙に立候補しようとしたところ、公職選挙法92条1項1号が立候補のために必要と定める300万円又は同額の国債証書を供託することができず、上記選挙に立候補することが許されなかったが、同選挙に立候補するために供託が必要と定める公選法92条1項1号は、憲法15条1項により保障される立候補の自由を侵害し、立候補者資格について財産又は収入による差別を禁止する憲法44条ただし書、市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)25条に違反することが明らかであり、国会は、公選法を改正して供託の定めを廃止し又は供託金の額を減額することが必要不可欠であるにもかかわらず、正当な理由なく、長期にわたり立法措置を怠ったというべきであるから、当該立法不作為は国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けると主張して、被告(国)に対し、慰謝料の支払を求めた事案において、選挙供託金制度は、憲法15条1項、憲法44条ただし書及びB規約25条のいずれにも違反するものではなく、国会が選挙供託金制度を廃止し又は供託金の額を減額する立法行為をしなかったことが国賠法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとして、原告の請求を棄却した事例。
2019.08.13
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25563247/東京高等裁判所 令和 1年 5月16日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第272号
中国で腎臓移植手術を受けた控訴人が、同手術後の継続治療(フォローアップ治療)を受けるため、被控訴人(国立大学法人)が開設、運営する被控訴人病院を受診したところ、診療を拒否されたことが不法行為ないし債務不履行に当たるとして、被控訴人に対し,使用者責任(民法715条)若しくは不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求又は債務不履行に基づく損害賠償請求(民法415条)として、損害賠償金の支払等を求め、原審が控訴人の請求を棄却したため、これに不服の控訴人が控訴した事案において、本件対応の時点で、控訴人に対して緊急の診療の必要性があったとはいえないこと、通院の利便性が劣る面はあったにせよ、紹介元での診療が確実に見込まれていたし、その他の医療機関で診療を受けることも十分可能であったこと、本件申合せに基づく本件対応は、イスタンブール宣言に則っての大学病院の対応として、相応の合理性のあるものであったことが認められ、応招義務に関する医師法19条1項の規定の趣旨を十分考慮しても、被控訴人担当医師が控訴人の診療を拒否したことは、社会通念上正当として是認できるものであり、不法行為が成立するとは認められないとし、また、本件対応について、被控訴人に債務不履行責任が成立するとは認められないとし、本件控訴を棄却した事例。
2019.08.06
命令服従義務不存在確認請求事件
LEX/DB25570367/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月22日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第195号
陸上自衛官である被上告人(控訴人・原告)が、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に際して内閣総理大臣が自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる旨を規定する自衛隊法76条1項2号の規定は憲法に違反すると主張して、上告人(被控訴人・被告。国)を相手に、被上告人が同号の規定による防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求めた事案の上告審において、差止めの訴えの訴訟要件については、行政庁によって一定の処分がされる蓋然性の要件を満たすことが必要とされるとし、将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は、蓋然性の要件を満たさない場合には不適法というべきであるとし、原審は、蓋然性の要件を満たすものか否かの点を検討することなく本件訴えを適法としたもので、判決に影響を及ぼすことが明らかな違法があるとして、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した事例。
2019.08.06
使用料請求事件
LEX/DB25570359/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月18日 判決 (上告審)/平成30年(受)第533号 等
被上告人が、上告人ら及び選定者Aの本件排水により被上告人の本件水路に係る排他的管理権が侵害され、被上告人の定める基準により計算される使用料相当額の利得が上告人ら及び選定者Aに生ずるとともに同額の損失が被上告人に生じたと主張して、上告人らに対し、上告人ら及び選定者Aに対する不当利得返還請求権に基づき、当該使用料相当額及び遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、公水使用権は、公共用物である公水の上に存する権利であることに鑑み、その使用目的を満たすために必要な限度の流水を使用し得る権利にすぎないと解され、当該使用目的を満たすために必要な限度を超えて他人による流水の使用を排斥する権限を含むものではないとし、本件水路に被上告人が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れていることから、被上告人が第三者に対し本件水路への排水を禁止することができるとし、上告人ら及び選定者Aの本件排水により本件水路の流水についての被上告人の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、原審各判決中、上告人ら敗訴部分を破棄し、被上告人の上告人らに対する請求を棄却した第1審判決は相当であり、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見あり)。
2019.07.30
土地明渡等請求本訴、所有権移転登記手続請求反訴事件
LEX/DB25570358/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月18日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1563号
本件本訴は、上告人が、本件土地を公園の敷地として占有する被上告人に対し、本件土地につき上告人が所有権を有することの確認並びに所有権に基づく本件土地の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め、原審が、上告人の本訴請求のうち本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求に係る部分を棄却したため、上告人が上告した事案において、都市計画区域内にある公園について、湖南市地域ふれあい公園条例に基づく公告がされたことをもって、都市公園法2条の2に基づく公告がされたということはできないとし、都市公園法2条の2に基づく公告がされていない本件公園が同法に基づいて設置された都市公園に当たるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、上告人の本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求が権利濫用に当たるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2019.07.30
固定資産価格審査申出棄却決定取消請求事件
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LEX/DB25570343/最高裁判所第三小法廷 令和 1年 7月16日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第139号
鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付き9階建事務所(本件建物)を所有している上告人が、東京都知事によって決定され固定資産課税台帳に登録された本件建物の平成24年度の価格を不服として東京都固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、被上告人を相手に、その取消しを求めた事案の上告審において、原審は、本件訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下するとともに、本件主張追加に係る事由によって、本件登録価格が平成24年度評価基準により決定される本件建物の価格を上回ることとならないか否かについて審理判断することなく本件決定を適法としたものであり、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2019.07.30
LEX/DB25563291/大阪高等裁判所 令和 1年 7月12日 決定 (抗告審)/令和1年(く)第258号
被告人に対する恐喝被告事件について、地方裁判所がした接見等禁止決定に対し、刑事訴訟法81条にいう罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとはいえないから、これを取り消した上、被告人に対する接見等禁止の請求を却下する旨の裁判を求め、弁護人が抗告した事案において、接見等禁止決定に対する抗告が認容され、原決定を取消した事例。
2019.07.30
各未払賃料等請求事件(甲事件、乙事件、丙事件、丁事件)
(レオパレスオーナ敗訴 レンタル家具等を巡る訴訟)
LEX/DB25563283/名古屋地方裁判所 令和 1年 7月 2日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第5402号 等
建物の所有者である原告らが、被告(不動産の売買、仲介、斡旋、賃貸及び管理等を目的とする株式会社)との間で、それぞれ建物の賃貸借契約を締結するとともに、同契約に関する家具・家電の保守及びレンタル業務を内容とする家具・家電総合メンテナンスサービス契約(TMS契約)を締結したところ、〔1〕TMS契約上のレンタル業務が開始されたと主張する原告ら(別表の各「未払賃料」欄に金額の記載がある原告ら)が、レンタル業務の履行なく同業務代として賃料から差し引かれた価額につき、被告に対し、賃貸借契約に基づいて、同各「未払賃料」欄記載の各未払賃料及び遅延損害金の支払を、〔2〕別表の「特約金」欄に金額の記載がある原告らが、(1)TMS契約全体又はTMS契約上の特約金支払合意が消費者契約法10条又は民法90条に違反し無効である、(2)TMS契約は錯誤により無効である、(3)レンタル業務期間移行時に、被告が家具・家電の入替えを履行しないことを解除条件とする特約金支払合意をし、各特約金を支払ったが、被告が家具・家電の入替えを履行しないため、上記解除条件が成就した、(4)被告のレンタル業務期間移行時における家具・家電の入替えに関する債務不履行を原因としてTMS契約を解除したなどと主張して、不当利得に基づき、支払済みの別表の各「特約金」欄記載の各特約金及び遅延損害金の支払を、〔3〕原告らが、被告のレンタル業務期間移行時における家具・家電の入替えに関する債務不履行を原因としてTMS契約を解除したなどと主張して、TMS契約に基づくサービス料の支払義務不存在の確認をそれぞれ求めた事案において、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.07.23
年金額減額処分取消請求事件
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LEX/DB25570261/札幌地方裁判所 平成31年 4月26日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第15号
老齢基礎年金、老齢厚生年金及び遺族厚生年金の受給者である原告らが、平成24年改正法及び平成25年政令に基づいて厚生労働大臣が行った原告らの年金額を減額する改定(本件各処分)は、憲法13条、25条及び29条に反する違憲のものであり、又は厚生労働大臣に認められた裁量を逸脱及び濫用するものであって違法のものであるなどと主張して、本件各処分の取消しを求めた事案において、本件特例水準は、その創設時から将来における解消が予定されていたものであり、また、その解消の判断に至る過程における判断及び手続に誤りがあるということもできないから、平成24年改正法の内容の策定について、国会に明らかな裁量権の逸脱又はその濫用があるということはできないから、憲法25条に反するということはできず、したがって、本件各処分が同条に違反するとはいえないなどとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.07.23
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LEX/DB25570294/東京高等裁判所 平成31年 4月10日 判決 (控訴審)/平成29年(行コ)第246号
控訴人Aが、甲府刑務所に収容されていた当時、同控訴人と養子縁組をしていた亡Dに対して信書を発信しようとしたところ、甲府刑務所長が信書の発信を禁止する決定をしたことについて、国家賠償を請求した事案の控訴審において、控訴人AとDとが、同性愛関係にあり、両名が、助け合って共に生活しようという意思を持って、養子縁組を行った本件においては、両名に縁組意思を認めることができ、養子縁組は有効というべきであり、Dは刑事収容法128条所定の親族に該当するとして、原判決を取り消し、被控訴人の請求を一部認容した事例。
2019.07.16
登記引取等請求事件
LEX/DB25570328/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 7月 5日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1387号
上告人が、Aから同人の被上告人に対する貸金返還請求権を譲り受けたとして、被上告人に対し,貸金及び遅延損害金の支払を求め、原審は、被上告人が上記の否認をすることは信義則に反するとの主張を採用せず、証拠等に基づき、Aが本件金員を本件建物の売買代金として被上告人に支払ったと認定し、上告人の主張する金銭消費貸借契約は成立していないと判断し、上告人の貸金等の支払請求を棄却したため、上告した事案において、原審が、上告人の主張について審理判断することもなく、被上告人が否認をすることは信義則に反するとの主張を採用しなかったものであり、この判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、金員支払請求に関する部分を破棄し、被上告人が否認をすることが信義則に反するか否か等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、その余の請求に関する上告を棄却した事例。
2019.07.16
わいせつ誘拐,殺人,死体損壊,死体遺棄被告事件 
LEX/DB25570324/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月 1日 決定 (上告審)/平成29年(あ)第605号
被告人が、わいせつ目的で当時6歳の被害者を自宅に誘い入れて誘拐した上、被害者の頸部にビニールロープを巻き付けて締め付け、意識を失った被害者の後頸部を包丁で複数回突き刺して殺害し、遺体を切断するなどして損壊し遺棄したという事件で、検察官が量刑不当を理由に上告した事案において、第1審の死刑判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した原判決が、刑の量定において甚だしく不当であってこれを破棄しなければ著しく正義に反するものということはできないとして、本件上告を棄却した事例。
2019.07.16
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25563170/高松地方裁判所 令和 1年 6月21日 判決 (控訴審)/平成31年(レ)第4号 等
控訴人M興業が所有し、控訴人Bが運転する準中型貨物自動車(A車)と、被控訴人TMが所有し、被控訴人Cが運転する普通貨物自動車(TM車)が、丁字路で衝突した事故に関し、控訴人M興業が、被控訴人Cに対し、不法行為に基づく損害賠償(修理費用及び弁護士費用)51万1500円及び遅延損害金の支払を求め(原審第1事件)、被控訴人TMが、控訴人Bに対し、不法行為に基づく損害賠償(修理費用及び弁護士費用)42万9100円及び遅延損害金の支払を求めた(原審第2事件)ところ、原審は、控訴人Bと被控訴人Cの過失割合を2対8として、各請求を一部認容したため、控訴人らが控訴し、被控訴人らが附帯控訴した事案において、被控訴人Cは、控訴人M興業に対し、不法行為に基づき46万0350円及び遅延損害金の支払義務を負うとし、また、控訴人Bは、被控訴人TMに対し、不法行為に基づき4万2909円及び遅延損害金の支払義務を負うとして、控訴人M興業の請求は上記の限度で理由があるから認容し、その余の請求を棄却し、被控訴人TMの請求は上記の限度で理由があるから認容し、その余の請求を棄却した事例。
2019.07.09
再審開始決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
(大崎事件第3次再審請求最高裁棄却決定)
LEX/DB25563156/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 6月25日 決定 (再審請求審)/平成30年(し)第146号
請求人が、義弟を殺害したとする殺人、死体遺棄被告事件(いわゆる大崎事件)で懲役10年に処せられた確定判決について、第3次再審請求をし、原々審及び原審は再審開始の決定をしたため、検察官が特別抗告をした事案において、R鑑定にP・Q新鑑定を含むその余の新証拠を併せ考慮してみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえないとし、R鑑定が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原決定の判断には刑事訴訟法435条6号の解釈適用を誤った違法があり、R鑑定及びP・Q新鑑定がそのような証拠に当たるとした原々決定の判断にも同様の違法があるといわざるを得ず、これらの違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、これらを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、刑事訴訟法411条1号を準用して原決定及び原々決定を取消し、同法434条、426条2項により更に裁判をすると、請求人が提出した新証拠は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものとはいえず、同法447条1項により本件再審請求を棄却した事例。