2019.12.10
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(心斎橋通り魔殺人事件上告審判決)
LEX/DB25570577/最高裁判所第一小法廷 令和 1年12月 2日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第621号
覚せい剤中毒後遺症の状態にあって「刺せ刺せ」などという幻聴が連続的に聞こえていた被告人が、頼ろうとしていた実兄に見捨てられ、知人に紹介された仕事も期待外れであったという思いから、将来に強い不安を抱く中、自殺することもできず自暴自棄となり、もう幻聴に従ってしまおうと考え、白昼の繁華街で、一人目の被害者(当時42歳)に背後から突進して包丁を突き刺した上、倒れた同人に馬乗りになって包丁を何回も突き刺し、その後、自転車を押しながら逃げようとしていた二人目の被害者(当時66歳)の背後から突進して包丁を突き刺した上、倒れた同人に包丁を何回も突き刺し、さらに、一人目の被害者が動いたことからその場に向かい同人に包丁を突き刺し、両名を殺害したという無差別殺人で、原判決が、被告人を死刑に処した第1審判決を量刑不当として破棄し無期懲役に処したため、検察官側、被告人側の双方が上告した事案で、原判決の刑の量定が甚だしく不当であり、原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めることはできないとして、原判決の量刑を維持し、本件上告を棄却した事例。