2020.12.15
道路交通法違反、電子計算機使用詐欺被告事件
LEX/DB25567115/名古屋高等裁判所 令和 2年11月 5日 判決 (控訴審)/令和2年(う)第141号
2件の無免許運転(道路交通法違反)と自動改札機を介したキセル乗車1件(電子計算機使用詐欺)の事件につき、原判決は、無免許運転2件については有罪としたが、キセル乗車については構成要件該当性がないから無罪とし、被告人を懲役1年2月、3年間執行猶予に処したため、無免許運転2件については、被告人が控訴し、キセル乗車1件については、検察官が控訴した事案において、弁護人の控訴は理由がないとし、検察官の控訴については、原判決が、本件自動改札機が旅客の入場情報それ自体を事務処理の対象としていないことを前提にして、自動改札機による事務処理システムが予定している事務処理の目的を実質的に検討することなく限定的に解するという誤りを犯し、その結果、被告人の行為が、虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供したと認められるにもかかわらず、これを否定するという誤認に至ったものであり、判決に影響を及ぼすことは明らかであるとし、原判決を破棄したうえで、被告人は、利欲的動機からキセル乗車に及んだと推察され酌むべきものはなく、また、平成28年9月及び平成29年4月に無免許運転によりいずれも罰金刑に処せられたのに、その後2回も無免許運転に及んだものであり、無免許運転の常習性及び交通規範意識の薄さは顕著であるとして、被告人に懲役2年に処し、執行猶予4年を言い渡した事例。