2021.07.27
損害賠償請求事件
LEX/DB25571651/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 7月19日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1968号
株式会社である上告人が、その監査役であった被上告人に対し、被上告人がその任務を怠ったことにより、上告人の従業員による継続的な横領の発覚が遅れて損害が生じたと主張して、会社法423条1項に基づき、損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人はその任務を怠ってはいないとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、会計限定監査役は、計算書類等の監査を行うに当たり、会計帳簿が信頼性を欠くものであることが明らかでない場合であっても、計算書類等に表示された情報が会計帳簿の内容に合致していることを確認しさえすれば、常にその任務を尽くしたといえるものではないと判示し、これと異なる見解に立って、被上告人はその任務を怠ってはいないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人が任務を怠ったと認められるか否かについては、上告人における本件口座に係る預金の重要性の程度、その管理状況等の諸事情に照らして被上告人が適切な方法により監査を行ったといえるか否かにつき更に審理を尽くして判断する必要があり、また、任務を怠ったと認められる場合にはそのことと相当因果関係のある損害の有無等についても審理をする必要があるから、本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。