2021.11.24
「黒い雨」被爆者健康手帳交付請求等控訴事件
LEX/DB25590503/広島高等裁判所 令和 3年 7月14日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第10号
本件申請者らが、昭和20年8月6日に広島市に原子爆弾が投下された後に発生した雨(黒い雨)に遭ったことをもって、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条3号の「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に当たると主張して、広島市長又は広島県知事に対し、同法2条1項に基づく被爆者健康手帳の各交付申請をし、また、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令附則2条、別表第3が黒い雨降雨域全体を第一種健康診断特例区域に指定していないのは、被爆者援護法附則17条の委任の趣旨を逸脱・濫用するものであり、広島原爆が投下された際黒い雨降雨域に所在した本件申請者らについては、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則附則2条2項に基づく第一種健康診断受診者証の各交付申請が認められてしかるべきであると主張して、広島市長又は広島県知事に対し、上記各交付申請をしたところ、広島市長及び広島県知事が被爆者健康手帳及び第一種健康診断受診者証の各交付申請をいずれも却下したことから、控訴人・広島市らに対し、主位的に、被爆者健康手帳交付申請の各却下処分の取消しと被爆者健康手帳交付の義務付けを求め、予備的に、第一種健康診断受診者証交付申請の各却下処分の取消しと第一種健康診断受診者証交付の義務付けを求め、原審が、本件申請者らの被爆者健康手帳交付申請の各却下処分の取消し及び被爆者健康手帳交付の義務付けの各主位的請求をいずれも認容したところ、控訴人ら及び参加行政庁が控訴した事案で、被控訴人らの各主位的請求はいずれも理由があるところ、これと同旨の原判決は、本件申請者らが原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条3号の「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当するとの判断の根拠として402号通達を用いるなどした点で失当であるが、結論において相当であるとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。