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2016.02.02
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」H28.4上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447720/最高裁判所第二小法廷 平成28年 1月22日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第156号
高知県安芸郡東洋町がA漁協に対し漁業災害対策資金として1000万円を貸し付けたことにつき、同町の住民である原告(控訴人・被上告人)が、当該貸付けに係る支出負担行為及び支出命令が違法であるなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、同町の執行機関である上告人を相手に、当時の被告(被控訴人・上告人)町長、副町長、会計管理者に対し1000万円の損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、第一審は、当該支出負担行為等について、被告らが損害賠償責任を負うものではないとし、請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、原判決を取り消し、本件訴え中、副町長及び会計管理者に対し連帯して1000万円を支払うよう請求することの請求に係る部分をいずれも却下し、東洋町長に対して1000万円を支払うよう請求することを命じたため、被告東洋町長が、上告した事案において、当該支出負担行為等が町長の裁量権の範囲を逸脱してされたものであって違法であり、被告東洋町長は損害賠償責任を負うとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中被告敗訴部分を破棄し、高裁へ差し戻しを命じた事例。
2016.02.02
損害賠償請求事件(NHK逆転勝訴 台湾統治番組訴訟)
LEX/DB25447710/最高裁判所第一小法廷 平成28年 1月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第547号
被告(被控訴人・上告人。日本放送協会)が、番組内で、1910年の日英博覧会において、台湾南部高士村のパイワン族の男女24名が展示され、そのうちの1人の娘である原告(控訴人・被上告人)Xは今も悲しいと述べているなどと報道されたことにより、名誉やプライバシーが侵害されたとする原告Xやその他の台湾人等のほか、知る権利を侵害されたなどとする視聴者など総勢1万0335人の一審原告らが、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求め、第一審では請求を全部棄却し、原告Xを含む42名が控訴し、第二審では第一審判決を変更し、当該番組について原告Xに対する名誉毀損による不法行為の成立を認め、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、当該番組を見た一般の視聴者が、原告Xの父親が動物園の動物と同じように扱われるべき者であり、その娘である原告X自身も同様に扱われるべき者であると受け止めるとは考え難く、したがって当該番組の放送により原告Xの社会的評価が低下するとはいえず、当該番組は、原告Xの名誉を毀損するものではないとし、当該番組について名誉毀損による不法行為の成立を認めた原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分は破棄を免れず、原告Xの請求を棄却した第1審判決は正当であり、上記部分につき原告Xの控訴を棄却した事例。
2016.02.02
法人税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25541733/東京高等裁判所 平成27年11月26日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第197号
原告(控訴人)が、平成14年9月27日から平成20年9月26日まで合計11回にわたり,100%子会社であったG社に対する債権を放棄し、貸倒損失として損金の額に算入して確定申告したところ、平成18年3月期以降の債権放棄について、法人税法37条(平成18年3月期につき平成18年法律第10号、平成19年3月期及び平成20年3月期につき平成20年法律第23号による各改正前のもの。)の寄付金に該当するため損金算入限度額を超える部分は損金の額に算入できず、これを益金に算入して所得の金額を計算すべきであるとして、東税務署長から本件各法人税更正処分等を受け、また、本件各課税期間の消費税等についても上記債権放棄を消費税法39条(平成22年法律第6号による改正前のもの。)の貸倒れとしてその税込価格に係る消費税額を課税標準額に対する消費税の額から控除して確定申告をしたところ、消費税課税標準額から控除することはできないとして、東税務署長から本件各更正処分を受けたことから、被告(被控訴人。国)に対し、第1の2項から8項までのとおりその取消しを求め、第一審は原告の請求をいずれも棄却したため、これを不服として原告が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2016.02.02
都市計画決定無効確認等請求事件(「外環の2」道路計画 住民の訴え却下)
LEX/DB25541629/東京地方裁判所 平成27年11月17日 判決 (第一審)/平成20年(行ウ)第602号
都市計画決定に係る都市計画施設である外環の2(幹線街路外郭環状線の2)の区域内に不動産を所有して居住していた承継前原告Aから同不動産を相続した原告らが、外環の2に係る都市計画は、外環本線(都市高速道路外郭環状線)の構造形式が嵩上式(高架式)であることを基礎となる重要な事実としていたところ、平成19年外環本線変更決定において外環本線の構造形式が嵩上式から大深度地下方式に変更されたことにより、当該都市計画は重要な事実の基礎を欠くこととなって違法なものになったなどとして、〔1〕行政事件訴訟法3条4項所定の無効等確認の訴えとして、都市計画決定が無効であることの確認を求め、〔2〕行政事件訴訟法3条6項1号所定のいわゆる非申請型の義務付けの訴えとして、都市計画の廃止手続の義務付けを求め、〔3〕行政事件訴訟法4条所定の公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、(a)都市計画が違法であることの確認、(b)原告らが上記不動産について都市計画法53条1項の規定する建築物の建築の制限を受けない地位にあることの確認、及び、(c)被告が都市計画の廃止手続をとらないことが違法であることの確認を求めるほか、承継前原告Aから上記不動産以外の全ての遺産を相続した原告Bが、〔4〕承継前原告Aにおいて、外環の2に係る都市計画の廃止義務の懈怠という被告による不作為の違法な公権力の行使により、承継前原告Aが、上記不動産を収用されるという不安を抱いたり、同項の規定する建築物の建築の制限等がされたりして、財産権(憲法29条1項)、居住の自由(憲法22条1項)及び平穏に生活する自由(憲法13条)を侵害されたことにより、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料100万円及びこれに対する遅延損害金の支払請求権を有していたところ、これを相続したとしてその支払を求め、〔5〕少なくとも平成19年外環本線変更決定において外環本線の構造形式が嵩上式から大深度地下方式に変更されたことにより、外環の2に係る都市計画の根拠とされた公共的必要性が消滅し、都市計画決定に伴う都市計画法53条1項の規定する建築物の建築の制限が承継前原告Aに対して特別な犠牲を課すものとなったため、承継前原告Aが、憲法29条3項に基づき、建築物の建築の制限による土地の価格の下落分2118万円の損失補償の請求権を有していたところ、これを相続したとして当該損失補償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、各訴えのうち、都市計画決定の無効確認を求める訴え、都市計画の廃止手続を求める訴え、都市計画の違法確認を求める訴え、原告らが都市計画法53条1項の規定する建築制限を受けない地位にあることの確認を求める訴え及び都市計画決定の廃止手続をとらないことの違法確認を求める訴えを、いずれも却下し、原告Bのその余の請求をいずれも棄却した事例。
2016.02.02
強姦未遂、強姦、強制わいせつ被告事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25541525/福岡高等裁判所宮崎支部 平成27年 9月15日 決定 (抗告審)/平成27年(く)第34号
被告人に対する強姦未遂、強姦、強制わいせつ被告事件について、宮崎地方裁判所がした提出命令に対し、弁護人から抗告の申立てがあった事案において、弁護人は、本件デジタルビデオカセットをいずれも、一旦、警察官又は検察官に提出して開示しており、本件デジタルビデオカセットについては、弁護人の上記開示行為によって、秘密性を喪失したといえ、刑訴法105条の「他人の秘密に関するもの」には当たらないから、弁護人らは、いずれも本件デジタルビデオカセットにつき押収拒絶権を有しないとし、また、原裁判は、本件デジタルビデオカセットにつき、没収すべき物と思料するものに当たるとした上で、本件デジタルビデオカセットの内容は、複製DVDが証拠請求され、取調べ済みである上、公判手続は結審していること、この間、被告人がその提出を頑なに拒み、具体的な保管場所も明らかにしない態度であったこと、上級審における証拠調べの機会は失われていないことを踏まえて、本件デジタルビデオカセットに没収の言渡が行われる事態を想定し、押収する必要性を認めたものであるところ、原裁判の差押えの必要性についての上記判断に、その裁量を逸脱した点は見当たらないとし、原裁判に弁護人らの押収拒絶権を侵害する違法はなく、その他に被告人の弁護人依頼権を侵害する点も見当たらないから、原裁判は憲法37条3項に違反するものではないとして、抗告を棄却した事例。
2016.01.26
損害賠償等請求事件
LEX/DB25541496/東京地方裁判所 平成27年 9月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第20437号
原告が、被告新聞社らがそれぞれ発行する日刊新聞の朝刊に掲載された実名による原告の逮捕事実等に関する記事によって名誉を毀損され、名誉感情及びプライバシーを侵害されたとして、被告新聞社らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償請求として、2200万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、民法723条に基づき、謝罪広告をそれぞれ掲載することを求めた事案において、原告の請求は、被告b新聞社に対し、55万円及びこれに対する本件b新聞記事の掲載日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容した事例。
2016.01.26
発信者情報開示等仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告申立事件
LEX/DB25541697/東京高等裁判所 平成27年 6月 4日 決定 (許可抗告審)/平成27年(ラ許)第134号
相手方の管理、運営する短文投稿を共有するウェブ上の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録1ないし3記載の各ユーザー名に係るアカウントが開設された上,本件目録1のアカウントには原決定本件投稿記事目録4の番号欄1ないし4記載の各投稿内容が掲載され、また、上記各アカウントを用いて本件投稿記事目録の各番号欄記載の投稿(ツイート)がされたため、抗告人が、相手方に対し、本件各情報及び本件各投稿がいずれも抗告人の名誉を毀損するなどと主張して、これらを投稿する際に使用されたアカウントにつき、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、ログインした際のIPアドレス並びにログイン情報が送信された年月日及び時刻の開示を求めるとともに、人格権に基づき、本件各情報の削除を求めたところ、原決定が抗告人の申立てをいずれも却下したため、抗告人がこれを不服として即時抗告をしたが、抗告人の申立てをいずれも却下した原決定は相当であるとして、抗告を棄却したため、抗告人が許可抗告を申立てた事案において、本件許可抗告の申立ての理由には、原決定について、民事訴訟法337条2項所定の事項を含むものとは認められないとして、本件抗告を許可しないとした事例。
2016.01.26
発信者情報開示等仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25541642/東京高等裁判所 平成27年 4月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第579号
相手方の管理、運営する短文投稿を共有するウェブ上の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録1ないし3記載の各ユーザー名に係るアカウントが開設された上,本件目録1のアカウントには原決定本件投稿記事目録4の番号欄1ないし4記載の各投稿内容が掲載され、また、上記各アカウントを用いて本件投稿記事目録の各番号欄記載の投稿(ツイート)がされたため、抗告人が、相手方に対し、本件各情報及び本件各投稿がいずれも抗告人の名誉を毀損するなどと主張して、これらを投稿する際に使用されたアカウントにつき、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、ログインした際のIPアドレス並びにログイン情報が送信された年月日及び時刻の開示を求めるとともに、人格権に基づき、本件各情報の削除を求めたところ、原決定が抗告人の申立てをいずれも却下したため、抗告人がこれを不服として即時抗告をした事案において、本件本文情報についてこれが流通することによる抗告人の権利侵害が明白であるということはできないとし、また、本件リンク情報がその流通によって抗告人の公衆送信権を侵害するということはできないとし、抗告人の申立てをいずれも却下した原決定は相当であるとして、抗告を棄却した事例。
2016.01.26
発信者情報開示仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25541644/東京高等裁判所 平成27年 4月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第578号
相手方の管理、運営する短文投稿の情報サービス(本件サイト)に本件投稿がされたところ、本件投稿には別のウェブページ(中間ウェブページ)へのリンクが張られており、中間ウェブページには更に別のウェブページ(本件ウェブページ)のリンクが張られていて、抗告人は、本件投稿が中間ウェブページを介して本件ウェブページと一体となって抗告人の名誉を毀損していると主張して、相手方に対し、本件投稿の送信の際のアカウントへのログイン時に用いられたIPアドレスのうち、仮処分決定が相手方に送達された日の正午(日本標準時)時点で最も新しいものを仮に開示するよう求める仮処分を申し立てたが、原決定は、上記申立てを却下したため、抗告人が即時抗告した事案において、本件申立てを却下した原決定は相当であるとして、即時抗告を棄却した事例。
2016.01.26
発信者情報開示等仮処分命令申立事件
LEX/DB25541641/東京地方裁判所 平成27年 3月10日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第4144号
債務者の管理、運営する短文投稿の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録1ないし3記載の各ユーザー名に係るアカウントが開設された上、本件目録1のアカウントには本件投稿記事目録4の番号欄1ないし4記載の各投稿内容が掲載され、また、上記各アカウントを使用して、それぞれ別のウェブサイトへのリンクを張った本件投稿記事目録の各番号欄記載の投稿(ツイート)がされているところ、債権者は、本件各情報及び本件各投稿がいずれも債権者の名誉を毀損すると主張して、これらを投稿するに際して使用されたアカウントにつき、ログインした際のIPアドレス並びにログイン情報が送信された年月日及び時刻の開示を求めるとともに、本件各情報の削除を求めた事案において、債権者の本件各情報の削除請求及び本件各情報による権利侵害を理由とする発信者情報の開示請求は、いずれも理由がないとして、本件申立てをいずれも却下した事例。
2016.01.26
発信者情報開示仮処分命令申立事件
LEX/DB25541643/東京地方裁判所 平成27年 3月10日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第4033号
債務者の管理、運営する短文投稿の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録記載の投稿(ツイート)がされ、本件投稿には別のウェブページ(中間ウェブページ)へのリンクが張られており、中間ウェブページにもさらに別のウェブページ(本件ウェブページ)へのリンクが張られているところ、債権者は、本件投稿が中間ウェブページを介して本件ウェブページと一体となって債権者の名誉を毀損すると主張して、債務者に対し、本件投稿を投稿するに際して使用されたアカウントへのログイン時に用いられたIPアドレスのうち、債務者に送達された日の正午(日本標準時)時点で最も新しいものを仮に開示するよう求める仮処分を申し立てた事案において、本件投稿が、中間ウェブページ及び本件ウェブページと一体性を有するという債権者の主張は採用することができないとし、本件投稿それ自体によって債権者の権利が侵害されたことが明らかであると認めることはできないとして、債権者の本件申立てを却下した事例。
2016.01.19
保証債務請求事件
LEX/DB25447695/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1351号
銀行である原告(被控訴人・被上告人)が、信用保証協会である被告(控訴人・上告人)に対し、原告がA社に金銭を貸し付け、被告がこのA社の借入れによる債務を保証したとして、保証契約に基づき、6378万1192円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、これに対し、被告は、主債務者であるA社が反社会的勢力に関連する企業であったにもかかわらず、被告において、そのような企業ではないとの認識の下に上記保証契約を締結したものであるから、同保証契約は、錯誤により無効であるなどと主張して、原告の請求を争っていたところ、第一審では、原告の請求を認容したため、被告が控訴し、原告が附帯控訴(第一審判決認容額のほか、請求額を追加)し、控訴審では、原告の請求は、控訴審で拡張された部分も含めて理由があるので、附帯控訴に基づき原告の当審における拡張請求を認容し、被告の控訴を棄却したため、被告が上告した事案において、原審の被告の本件各保証契約の意思表示に錯誤があったとはいえないとの判断は是認することができるとし、他方、本件各貸付けについて、本件免責条項にいう原告が「保証契約に違反したとき」に当たらないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとし、原判決を破棄し、高等裁判所へ差し戻しを命じた事例。
2016.01.19
保証債務履行請求事件
LEX/DB25447696/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第266号
原告(控訴人・上告人)が被告(被控訴人・被上告人)に対し、主債務者をA社とする消費貸借契約の各貸金債務及び主債務者をB社とする消費貸借契約の各貸金債務について、〔1〕主位的請求として、原告が被告との間で締結していた保証契約に基づき、その保証債務の履行として、未払の残元金並びに約定の期間に対応する利息及び遅延損害金の合計額の支払を求めたところ,被告が主債務者は暴力団が実質的に経営していた会社であるとして、錯誤による保証契約の無効、原・被告間で締結された約定書の保証条件違反による保証人の免責を主張し、〔2〕予備的請求として、被告は反社会的勢力を主債務者とする保証契約を締結しないよう注意すべき義務があるのに、これを怠り保証契約を締結した結果、原告は被告から代位弁済を受けることができると誤信して貸付けを行い、損害を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償として、貸付金から弁済額を控除した金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、第一審は、保証契約においては主債務者であるA社及びB社が反社会的勢力でないことが契約の要素となっていて、この点について被告に錯誤があったから保証契約は無効であり、また、被告には保証契約を締結したことについて原告に対する注意義務違反はないなどとして、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、原告の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとし、控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、被告の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとして、原判決を破棄し、被告の保証債務の免責の抗弁等について更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻しを命じた事例。
2016.01.19
貸金等請求事件
LEX/DB25447697/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第2365号
被告(被控訴人・被上告人)との間で保証契約を締結していた原告(控訴人・上告人)が、主債務者が期限の利益を喪失したこと等から、被告に対し、保証契約に基づき、主債務に関する貸付残元金等の支払を求め、第一審では原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、第二審では、主債務者が反社会的勢力関係者でないことが本件信用保証に係る法律行為の要素であったといえ、本件信用保証に係る契約書等の文書に明文の条項が設けられていなかったからといって、被告において、錯誤の主張ができないということにはならないと示し、上記保証契約において主債務者が反社会的勢力関係者でないことが法律行為の要素になっていたにもかかわらず、実際には、主債務者が反社会的勢力関係者であったことから、被告に錯誤があったと認められるとし、上記保証契約は民法95条本文により無効であるなどとして原告の請求を棄却した原判決を相当であるとして、控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、被告の本件保証契約の意思表示に要素の錯誤があるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、被告の保証債務の免責の抗弁等について更に審理を尽くさせるため,原審に差し戻しを命じた事例。
2016.01.19
貸金返還請求事件
LEX/DB25447698/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1195号
主債務者から信用保証の委託を受けた被上告人と保証契約を締結していた上告人が、被上告人に対し、同契約に基づき、保証債務の履行を求め、上告人の融資の主債務者は反社会的勢力である暴力団員であり、被上告人は、このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず、そのことを知らずに同契約を締結したものであるから、同契約は要素の錯誤により無効であると主張して争っている事案の上告審において、被上告人の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとし、原判決を破棄し、上告人の請求は、479万7471円及びうち477万9000円に対する本件各保証契約に基づく保証債務につき履行遅滞に陥った日である平成23年9月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、原判決を変更した事例。
2016.01.19
業務上過失往来危険、業務上過失致死傷被告事件(漁船転覆死亡事故 貨物船航海士 無罪)
LEX/DB25541340/和歌山地方裁判所 平成27年 3月18日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第144号
和歌山県由良町沖で、貨物船「神力丸」と2隻引き漁船「広漁丸」が衝突し、乗組員(漁師)2人が死亡した事故で、貨物船の2等航海士の被告人が、業務上過失往来危険と業務上過失致死傷の両罪に問われた事案において、両船がそのまま進めば無難に航過できる態勢の中で一方の船が変針・変速等によって衝突の危険を惹起した場合にはその船が避航義務を負うと解するのが相当であり(新たな衝突の危険の法理)、これを衝突回避の措置をとる余裕のない場合に限定して適用すべき理由はないとし、本件に海上衝突予防法13条を適用すると貨物船が追越し船として避航義務を負うことになるものではあるが、左転後は漁船において避航措置を講ずる義務があり、本件において同条は適用されないというべきである(貨物船が海上衝突予防法13条の避航義務を負っていたと認めることはできない)として、被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2016.01.12
自動車運転過失致死傷、道路交通法違反被告事件(逆転無罪)
LEX/DB25541354/大阪高等裁判所 平成27年10月 6日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第423号
普通乗用自動車を運転していた被告人が、本件交差点手前において進路変更する際に、第3車線に進入するのであれば、第2車線と第3車線の車線境界線の手前で停止し、第3車線を右後方から進行してくる車両等の有無及びその安全を確認して第3車線に進入すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、進路変更し、その際、第2車線と第3車線の車線境界線の手前で停止せず、第3車線を右後方から進行してくる車両等の有無及びその安全確認不十分のまま、漫然時速約5キロメートルで第3車線に進入した過失により、同信号表示に従って同交差点を右折するべく右後方から普通乗用自動車を運転して第3車線を進行してきたB(当時40歳)をして衝突を避けるために右急転把させて、同車を右方に斜行させ、折から、右方歩道上で信号待ちのために佇立していたC(当時49歳)に同車前部を衝突させるとともに、同車前部を信号柱に衝突させ、同人に骨盤・左右脛骨・腓骨等粉砕骨折、多発性左右肋骨骨折等の傷害を負わせ、同人を失血死するに至らせるとともに、前記Bに入院加療約2か月間を要する骨盤骨折等の傷害を負わせた等として起訴された事案の控訴審において、原判決が、B車両において、西側道路への右折のために右に急ハンドルを切ったという可能性を一切考慮せず、B証言及びE証言を信用し、これらによって認定した事実等を前提として、本件因果関係を肯認したことは、経験則等に照らして不合理なものといわざるを得ないため、本件各公訴事実については犯罪の証明がないことに帰するとして、原判決を破棄し、本件各公訴事実のいずれについても、被告人は無罪とした事例。
2016.01.12
殺人被告事件(元巡査長 懲役18年)
LEX/DB25541355/大阪地方裁判所 平成27年10月 6日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第433号
被告人は、警察官であったが、自己が婚姻したことを秘したまま被害者と交際していたところ、被害者方において、被告人の結婚に気付いた被害者と口論になり、同人から「社会的制裁は絶対受けてもらう。」などと言われるや、同人との交際の事実を被告人の勤務先や妻に暴露されるかもしれないなどと考え、殺意をもって、同人の首を背後から右腕を回して絞めた上、同人から「何もしない。」などと言われたのに、更にその首を革製ベルトや両手で絞め付け、同所において、同人を頸部圧迫による窒息により死亡させたとして起訴された事案において、本件は、男女関係を動機とする被害者1人の殺人事案の中で重い部類に属するというべきであるとして、被告人に対して懲役18年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2016.01.12
執行停止申立事件(「育休退園」 執行停止 判決でるまで復園認める)
LEX/DB25541441/さいたま地方裁判所 平成27年 9月29日 決定 (第一審)/平成27年(行ク)第17号等
所沢市内の保育所に通園している甲の保護者である申立人が、甲について、所沢市長から、保育の利用継続不可決定及び保育の利用解除処分がそれぞれされたことについて、各決定は、児童福祉法24条1項、子ども・子育て支援法施行規則1条9号の解釈、適用を誤った違法があるなどとして、各決定の取消しを求める訴え(本案事件)を提起するとともに、行政事件訴訟法25条1項に基づき、各決定の執行の停止を求めた事案において、各決定により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があり、本案について理由がないと見えるときには当たらないとして、申立てを一部認容し、本案判決の言渡し後40日を経過するまでの各決定の執行停止を認めた事例。
2015.12.29
訴訟救助申立て却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25447660/最高裁判所第一小法廷 平成27年12月17日 決定 (許可抗告審)/平成27年(行フ)第1号
抗告人が、訴訟救助却下決定に対する即時抗告の抗告状に所定の印紙を貼付していなかったため、原審裁判長から、抗告提起の手数料を命令送達の日から14日以内に納付することを命ずる補正命令を受けたが、当該命令で定められた期間内に上記手数料を納付しなかったため、原審裁判長は、抗告人に対して抗告状却下命令(原命令)を発することとし、その告知のため、原命令の謄本が抗告人に宛てて発送されたが、抗告人は、その送達を受ける前に上記手数料を納付したことが認められ、抗告人が、原命令が確定する前に抗告提起の手数料を納付したものであるから、その不納付の瑕疵は補正され、抗告人の上記抗告状は当初に遡って有効となったものであり、これを却下した原命令は失当であるとして、原命令を破棄した事例(補足意見がある)。