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2016.04.26
詐欺被告事件(オレオレ詐欺の被告 逆転有罪)
LEX/DB25542022/大阪高等裁判所 平成28年 1月29日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第639号
被告人は、共犯者らと共謀の上、被害者(当時70歳)に電話をかけてうそを言うなどして現金1000万円を交付させたとして、詐欺により起訴され、原審では故意及び共謀が認められないとして無罪を言い渡され、検察官が控訴をした事案において、被告人には詐欺の故意及び共謀が認められるとして、一審判決を破棄し、被告人に対し、懲役2年4月を言い渡した事例。
2016.04.26
各不正競争防止法違反被告事件(転職先に企業秘密漏洩で4人有罪判決) 
LEX/DB25542109/横浜地方裁判所 平成28年 1月29日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第628号 等
被告会社の従業員である被告人らが、被告会社の業務に関し、eが被害者会社から領得していた被害者会社の営業秘密である設計図面のファイルデータの開示を受け、そのファイルデータを複写して新たな図面に貼り付けるなどして、被告会社が受注した包装機械の設計図面を作成し、被害会社の営業秘密を使用したという被告人両名及び被告会社の各営業秘密侵害罪の事案において、本件各犯行において使用された各設計図は、被害者会社の技術面での優位性や高いオリジナリティーのある営業秘密であるとまでいうことはできないが、効率的な設計・製造を可能にするという点で有用性の認められるものであると示し、被告人らのみならず被告会社の刑事責任も相応に重いとして、被告人aを懲役1年6月及び罰金80万円に、被告人bを懲役1年2月及び罰金60万円に、被告会社を罰金1400万円に処した事例(a、bとも執行猶予3年)。
2016.04.19
損害賠償請求事件 
LEX/DB25447903/最高裁判所第三小法廷 平成28年 4月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第754号
死刑確定者として拘置所に収容されている原告(控訴人・被上告人)が、信書の発信を拘置所長が許さずこれを返戻した行為が違法であると主張して、被告(被控訴人・上告人。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、本件各信書がA弁護士に対する信書であり、刑事収容施設法139条1項所定の信書には該当しないとした上で、原告の請求を一部認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、大阪拘置所長が、刑事収容施設法139条2項の規定により発信を許すことができないものとし、原告に対し本件各信書を返戻した行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとし、原審の判断には法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であり、原告の控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損失填補請求控訴事件 
LEX/DB25542150/東京高等裁判所 平成28年 1月21日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第4127号
厚生年金基金である原告(控訴人)が、原告との間で年金特定信託契約を締結したR信託銀行の承継人である被告(被控訴人)R銀行及び同契約に関する信託事務の処理につき被告R銀行と同一の責任を負うことを三者間で合意した被告(被控訴人)T信託銀行に対し、控訴人との間で年金投資一任契約を締結して被告らに信託財産の運用につき指示した投資一任業者であるAIJが運用実績の偽装等の不正を行っていたのに、これに気付かずにAIJに資産の運用を任せたことにより、原告が約28億6000万円の運用損を被ったのは、原告との間の年金特定信託契約及び三者間合意に基づく被告らの信託事務の処理に任務懈怠(監査報告書確認義務違反、報告説明義務違反、名義登録義務違反)があったことによるものであり、また、被告らの上記任務懈怠は、委託者である原告に対する債務不履行及び不法行為にも当たると主張して、被告らに対し、〔1〕主位的に、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、連帯して21億円等の金員を控訴人に支払うことを求め、〔2〕予備的に、信託法40条に基づく損失填補として、上記と同額を原告の信託財産に支払うことを求めるとともに、〔3〕被告R銀行に対し、被告R銀行の信託事務の処理には重大な債務不履行があるので、原告は被告R銀行に対する信託報酬の支払義務を負わないと主張して、不当利得返還請求権に基づき、既に支払った信託報酬相当額である452万0764円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被告らについて任務懈怠が認められないとして、各請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案において、原告が当審において主張する監査報告書の確認義務違反及び口座管理に関する説明義務違反はいずれも認められないとし、本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損害賠償等請求事件 
LEX/DB25542149/東京地方裁判所 平成27年12月25日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第23164号
厚生年金基金である原告が、原告との間で年金特定信託契約を締結して信託事務の処理を受託した被告U信託銀行及び上記信託事務の処理を被告U信託銀行と共同受託した被告M信託銀行に対し、被告らが上記年金特定信託契約等に基づいて負う義務を怠ったために、原告が投資一任業者であるAIJによる運用成績の粉飾等の不正にも気付くことができないままに同社に資産の運用を任せたことにより、少なくとも32億9000万円の運用損を被ったと主張して、主位的に、信託法40条1項1号に基づき、連帯して、上記運用損の一部である30億円及びこれに対する遅延損害金を信託財産に損失填補することを求め、予備的に、債務不履行又は不法行為に基づき、連帯して、上記と同額の損害賠償金及び遅延損害金を原告に支払うことを求めた事案において、被告らが信託事務を処理するに当たりその任務を怠った事実を認めることはできないとし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.04.19
根抵当権設定登記抹消登記手続等請求、 貸金請求控訴事件
(山陰合銀訴訟 山陰合同銀行が逆転勝訴) 
LEX/DB25542028/広島高等裁判所松江支部 平成28年 1月13日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第49号
本件各不動産を所有している控訴人会社らが、いずれも根抵当権者である控訴人銀行が本件各不動産について競売による差押えを申し立てた後に被担保債権である各債権を譲り受けた被控訴人会社に対し、主位的に、本件各根抵当権の設定契約の無効を主張した等の根抵当権設定登記抹消登記手続等請求、貸金請求控訴事件の控訴審において、既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき、期限の利益を放棄することができるというだけでなく、期限の利益又は喪失等により、その弁済期が現実に到来していることを要し、また、時効により消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには、消滅時効が援用された自働債権は、その消滅時効期間が経過する以前に自働債権と相殺適状にあったことを要すると示して、控訴人会社らによる相殺の主張を斥ける等して、原判決を取り消し控訴人会社らの請求を棄却した事例。
2016.04.12
詐欺,証拠隠滅被告事件 
LEX/DB25447891/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1857号
被告人が、Aと共に警察署を訪れ、同署刑事課組織犯罪対策係所属のB警部補及びC巡査部長から,暴力団員である知人のDを被疑者とする覚せい剤取締法違反被疑事件について参考人として取り調べられた際、A、B警部補及びC巡査部長と共謀の上、C巡査部長において、「Aが、Dが覚せい剤を持っているのを見た。Dの見せてきたカバンの中身をAがのぞき込むと、中には、ティッシュにくるまれた白色の結晶粉末が入った透明のチャック付きポリ袋1袋とオレンジ色のキャップが付いた注射器1本があった」などの虚偽の内容が記載されたAを供述者とする供述調書1通を作成し、他人の刑事事件に関する証拠を偽造したという事案において、前記行為は、単に参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし、それが供述調書に録取されたという事案とは異なり、作成名義人であるC巡査部長を含む被告人ら4名が共同して虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出したものといえ、刑法104条の証拠を偽造した罪に当たるとし、被告人について、A、B警部補及びC巡査部長との共同正犯が成立するとした原審の判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.04.12
供託金払渡認可義務付等請求事件 
LEX/DB25542292/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第374号
宅地建物取引業の免許の有効期間が満了した原告(控訴人・上告人)が、宅地建物取引業法25条1項に基づき供託した営業保証金につき,宅地建物取引業法30条1項に基づき取戻請求をしたところ、東京法務局供託官から、本件保証金の取戻請求権の消滅時効が完成しているとして、上記取戻請求を却下する旨の決定を受けたため、被告(被控訴人・被上告人。国)を相手に、本件却下決定の取消し及び上記取戻請求に対する払渡認可決定の義務付けを求め、原審は、原告の本件却下決定の取消請求を棄却し、本件保証金の払渡認可決定の義務付けの訴えを却下すべきものとしたため、原告が上告した事案において、原告につき宅建業の免許の有効期間が満了し本件保証金の取戻事由が発生したのは平成10年4月1日であるところ、その後原告は取戻公告をしていないため、本件取戻請求権の消滅時効は同日から10年を経過した時から進行し、本件保証金の取戻請求がされたのはその約5年6か月後である同25年9月20日であるから、本件取戻請求権の消滅時効が完成していないことは明らかであるとし、原審の判断には法令違反があるため、原判決を破棄し、本件却下決定は取り消されるべきものであり、上記義務付けの訴えは適法であり、東京法務局供託官が本件保証金の払渡認可決定をすべきであることも明らかで、原告の請求はいずれも理由があるとし、上記取消請求を棄却し上記義務付けの訴えを却下した第1審判決を取消した上、その請求をいずれも認容することとした事例。
2016.04.12
地位確認等請求事件(野村證券の社員解雇無効)
LEX/DB25542267/東京地方裁判所 平成28年 2月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第29263号
被告(有価証券の売買の媒介、取次ぎ及び代理、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い等を目的とする株式会社)との間で労働契約を締結していた原告が、被告に対し、被告による平成24年6月29日付け懲戒解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、労働契約に基づき、平成24年7月1日から同月31日までの間の月例賃金の残金、同年8月1日以降の月例賃金及び平成25年以降の賞与並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求め、また、上記懲戒解雇が原告に対する不法行為を構成すると主張して、民法709条に基づき、慰謝料1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件訴えのうち本判決確定後の月例賃金及び賞与の各請求に係る部分は不適法であるとして各支払請求に係る部分を却下し、原告が、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、原告の請求を一部認容した事例。
2016.04.12
現住建造物等放火,殺人,殺人未遂被告事件(大阪パチンコ店放火殺人事件) 
LEX/DB25447874/最高裁判所第三小法廷 平成28年 2月23日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第1329号
勤務の内容や条件が期待どおりでなかったことから、仕事を辞め就職活動を続けていたものの、新たな仕事が見付からず、借金の申込みもままならず、生活に行き詰まりを感じていた被告人が、精神障害の症状により妄想上の人物らの声を聞くなどの体験があったことから、そのような状況に追い込まれたのはそうした人物らの嫌がらせのせいであると考えるようになり、これを黙認して放置している世間の人に対する仕返しとして、営業中のパチンコ店に放火して客や店員等を殺害しようと決意し、大阪市内のパチンコ店において、ガソリンスタンドで購入したガソリンをバケツに移し替えるなどの準備を整えた上で、これを店内に持ち込み床にまいて点火し、同店を全焼させるとともに、店内にいた客ら5名を焼死させるなどして殺害し、10名に熱傷等の重軽傷を負わせたという現住建造物等放火、殺人、殺人未遂の事件で、第1審及び第2審判決は、被告人に対し死刑を言い渡したため、被告人が上告した事案において、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑を是認せざるを得ないとして、上告を棄却した事例。
2016.04.12
法人税更正処分取消等請求控訴事件(株式会社デンソーVS国) 
LEX/DB25542132/名古屋高等裁判所 平成28年 2月10日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第91号
内国法人である一審原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された一審原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が一審原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、一審被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち一審原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求め、原審は、一部認容・一部却下したため、一審原告及び一審被告双方が控訴した事案において、原判決中一審原告の請求を認容した部分は不当であるとし、一審被告の控訴に基づき、原判決中、一審被告敗訴部分を取り消し、同部分に関する一審原告の請求を棄却し、一審原告の控訴は失当であるとし、棄却した事例。
2016.04.12
法人税更正処分取消等請求事件(株式会社デンソーVS国(平成28年2月10日名古屋高裁(平成26年(行コ)第91号)の原審))
LEX/DB25542131/名古屋地方裁判所 平成26年 9月 4日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第116号
内国法人である原告が、平成20年3月期及び平成21年3月期各事業年度の法人税の各確定申告をしたところ、処分行政庁から、租税特別措置法66条の6第1項(タックスヘイブン対策税制)により、シンガポール共和国において設立された原告の子会社の課税対象留保金額に相当する金額が原告の上記各事業年度の所得金額の計算上益金の額に算入されるなどとして、平成22年6月28日付けで上記各事業年度の法人税の更正処分及び平成20年3月期の法人税に係る過少申告加算税賦課決定処分を受けた上、平成24年6月22日付け及び平成25年2月28日付けで平成21年3月期の法人税の各再更正処分を受けたため、被告(国)に対し、上記各更正ないし再更正処分のうち原告主張金額を超える部分及び上記賦課決定処分の取消しを求めた事案において、本件訴えのうち、〔1〕平成21年3月期第1次更正処分について取消しを求める部分、〔2〕第2次更正処分について取消しを求める部分、〔3〕第4次更正処分のうち所得金額マイナス688億6903万1633円を超えない部分及び翌期へ繰り越す欠損金688億6903万1633円を超える部分の取消しを求める部分はいずれも不適法であるからこれを却下し、原告のその余の請求はいずれも理由があるとして、認容した事例。
2016.04.12
投稿記事削除仮処分保全異議申立事件
(逮捕歴「忘れられる権利」認定 検索結果の削除決定)
LEX/DB25542268/さいたま地方裁判所 平成27年12月22日 決定 (第一審)/平成27年(モ)第25159号
グーグル検索で債権者の住所の県名と氏名を入力して検索すると、3年余り前の児童買春の罪での逮捕歴に関する記事が検索結果の表示により、債権者は、「更生を妨げられない利益」が違法に侵害されているから、人格権に基づく妨害排除又は妨害予防の請求として検索結果の削除請求権を有すると主張し、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、検索結果の削除を求める仮処分の申立てをし、原決定が、債権者の主張を認め、人格権に基づき検索エンジンの管理者である債務者に対し検索結果の削除を求めることができ、検索結果が今後表示し続けられることにより回復困難な著しい損害を被るおそれがあるとして、検索結果を仮に削除することを債務者に命じたため、債務者が、原決定の取消しを求めて保全異議を申し立てた事案において、検索結果のリンク先ウェブサイトが3年以上前から発信されているものであり、検索結果としても相当長期間表示されてきたものであるからといって、保全処分による必要性や緊急性が否定されると考えるのは背理であり、債務者の主張はあたらないとし、債権者の検索結果の削除を求める仮処分の申立てを認可した事例。
2016.04.05
差押処分取消請求事件 
LEX/DB25447866/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月29日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第228号
彦根市長が、被上告人会社が彦根市内に所有する当該土地、当該家屋及びその他複数の土地の固定資産税等の滞納処分として、被上告人会社の訴外A社に対する当該土地及び当該家屋の賃貸借契約に基づく賃料債権の差押えをしたことから、被上告人らが、当該土地は、被上告人X2を委託者兼受益者、被上告人会社を受託者とする信託財産であって、上記賃料債権のうち当該土地の賃料相当額部分も信託財産であるから、滞納処分を行うことはできないなどとして、上告人を相手に、当該差押えの取消しを求め、原審は、当該差押えが全体として違法であるとして、これを取り消したため、上告人が上告した事案において、当該差押えを違法であるとした原審の判断は、法令違反があるとし、原判決を破棄し、当該差押えが適法であるとして被上告人らの請求を棄却した第1審判決は結論において是認することができるとし、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2016.04.05
傷害,傷害致死被告事件 
LEX/DB25447859/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月24日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第703号
被告人A及び同Bが、共謀の上、被害者(当時39歳)に対して第1暴行を加え傷害を負わせ、さらに被告人Cが、被害者に対して第2暴行を加え、これらの一連の暴行により被害者を死亡させたが、被告人A及び同B並びに同Cのいずれの暴行に基づく傷害により被害者を死亡させたか知ることができないという公訴事実につき、第1審判決が、刑法207条の適用を否定し、被告人A及び同Bについては傷害罪の成立を、被告人Cについては傷害致死罪の成立を認めたところ、検察官及び弁護人の双方が控訴し、控訴審判決は、第1審判決を破棄し、地方裁判所に差し戻しを命じたため、被告人らが上告した事案において、共犯関係にない二人以上による暴行によって傷害が生じ更に同傷害から死亡の結果が発生したという傷害致死の事案で、同時傷害の特例である刑法207条適用の前提となる事実関係が証明された場合には、各行為者は、自己の関与した暴行が死因となった傷害を生じさせていないことを立証しない限り、当該傷害について責任を負い、更に同傷害を原因として発生した死亡の結果についても責任を負うというべきであるとし、第1暴行と第2暴行の機会の同一性に関し、その意義等についての適切な理解の下で更なる審理評議を尽くすことを求めて第1審判決を破棄し、当該事件を第1審に差し戻した控訴審判決は相当であるとして、各上告を棄却した事例。
2016.04.05
損害賠償等請求控訴事件(新聞の実名報道訴訟 東京高裁) 
LEX/DB25542147/東京高等裁判所 平成28年 3月 9日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第5700号
原告(控訴人)が、被告(被控訴人)らに対し、被告らがそれぞれ発行する日刊新聞の朝刊に掲載された実名による原告の逮捕事実等に関する記事によって名誉を毀損され、名誉感情及びプライバシーを侵害されたとして、共同不法行為に基づく損害賠償として、2200万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、民法723条に基づき、謝罪広告をそれぞれ掲載することを求め、原判決は、原告の請求を一部認容、一部棄却したため、原告が控訴した事案において、原告の請求のうち、被告d新聞社に対する請求を110万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却すべきところ、これと異なる原判決は一部失当であり、控訴の一部は理由があるから、原判決を変更した事例。
2016.04.05
強姦被告事件 
「新・判例解説Watch」H28.6中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541932/福岡高等裁判所宮崎支部 平成28年 1月12日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第9号
被告人が、路上で被害女性を強姦したとして強姦罪により起訴され、原判決が、被害者供述の信用性を認め、被告人に懲役4年の有罪判決を言い渡し、被告人が控訴をした事案において、被告人は、合意の下、性的関係を持とうとして被害者と路上で一定の性的接触をしたが、何らかの被害者の感情を害するトラブルが生じたにすぎないという可能性が否定できないとして、原判決を破棄し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.04.05
覚せい剤取締法違反、 関税法違反被告事件(覚醒剤密輸 スペイン人 逆転無罪) 
LEX/DB25541937/東京高等裁判所 平成27年12月22日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第1565号
被告人が、氏名不詳者らと共謀の上、営利の目的で、覚せい剤の本邦への輸入を行うとともに、覚せい剤を携帯しているにもかかわらず、その事実を申告しないまま検査場を通過して輸入しようとしたが、税関職員に発見されたため、これを遂げることができなかった事案の控訴審につき、原判決が、ウガンダの防衛省上級理事の依頼を真正なものと信じていた合理的な疑いがあるとはいえないとした上、遅くともコーヒー豆袋を受領した時点では、その中に違法薬物が入っている可能性を認識していたものと推認でき、犯行に対する故意を認めることができると認定したことについては、その証拠の評価、推認過程に種々の論理則、経験則等に適わない不合理な点があり、是認することができないとし、懲役8年、罰金300万円を言い渡した原判決を破棄し、無罪を言い渡した事例。
2016.03.29
仮処分決定取消及び仮処分命令申立て却下決定に対する保全抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25447854/最高裁判所第二小法廷 平成28年 3月18日 決定 (許可抗告審)/平成27年(許)第15号
建物の区分所有等に関する法律59条1項に規定する競売を請求する権利を被保全権利として、民事保全法53条又は民事保全法55条に規定する方法により仮処分の執行を行う処分禁止の仮処分を申し立てることはできないものと解するのが相当であり、これと同旨の原審の判断は正当として是認できるとし、抗告を棄却した事例。
2016.03.29
自動車運転過失致死被告事件(交通事故死亡判決 高裁で差し戻し)
LEX/DB25447849/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月18日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第1844号
被告人が、平成24年1月1日午後6時9分頃、普通乗用自動車(被告人車)を運転し、栃木県小山市内の信号機により交通整理の行われている丁字路交差点の南方道路(片側3車線)の第2車線を、交差点に向かい、先行する大型貨物自動車(A車)に追従して時速約30kmで北方へ直進するに当たり、当時、交差点内には、約5分前に発生した交通事故(先行事故)の当事者である被害者(当時20歳)が転倒横臥していたところ、交差点の対面信号が青色であるにもかかわらず、先行するA車が、それまでの時速約60kmから交差点手前で相当減速したのを認めたのであるから、A車の前方で異常事態が発生している可能性があることを予測し、第1車線に移ってA車を追い抜いた後、再び第2車線に移りA車の前方に進出するに際しては、進路前方左右を注視し、適宜速度を調節し、進路の安全を確認しながら進行すべき自動車運転上の注意義務を怠り、第1車線に移り時速約40kmに加速してA車を追い越した後、第2車線に移ろうとした際、進路前方左右を十分注視することなく、進路の安全確認が不十分のまま進行した過失により、被害者が倒れていることに気付かずに進行して、自車右前輪で同人の頭顔部を轢過し、頭蓋骨粉砕骨折を伴う脳破裂の傷害を負わせ死亡させた事故で、原判決は、被告人車が被害者を轢過した事実、及び、被告人が進路の前方左右を注視し、安全を確認すべき注意義務を怠った過失を認め、無罪とした第1審判決を破棄し、被告人に禁錮2年、執行猶予4年を言い渡したため、被告人が上告した事案において、原判決には、被告人車の走行態様に関し、防犯カメラの映像内容及び相反する2つの証言の存在を踏まえた審理を十分に尽くさなかった結果、事実を誤認した疑いがあり、これらが被告人の有罪無罪の判断に直結し、原判決に影響を及ぼすことは明らかであるとし、原判決を破棄し、高等裁判所へ差し戻した事例。