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2016.05.31
損害賠償請求事件  
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447956/札幌地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第2188号
東日本大震災に伴い福島第一原子力発電所から放射性物質が放出される事故により福島県内における5店舗の閉店等を余儀なくされた原告が。福島第一原発を設置、運転していた被告に対し、原子力損害の賠償に関する法律3条1項本文に基づき、原子力損害として、〔1〕休業損害7077万3163円、〔2〕9年分(上記事故の10年後まで)の逸失利益10億0608万2962円、〔3〕違約金損害7195万1734円、〔4〕有形固定資産の損害4808万1616円及び弁護士費用5000万円の合計12億4688万9475円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求は、〔1〕損害金元本1億8590万9472円と、〔2〕上記〔1〕に対する平成23年3月11日から平成26年5月16日までの確定遅延損害金の残額1648万5888円(〔1〕と〔2〕の合計は2億0239万5360円)、〔3〕上記〔1〕に対する平成26年5月17日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。
2016.05.31
傷害致死被告事件  
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542490/横浜地方裁判所 平成28年 3月14日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第638号
被告人(犯行当時17歳1か月)が、Aからカッターナイフを受け取り、当時13歳の被害者に対して殺意を有していたA及び傷害の限度でAと共謀していたCとの間で、傷害の限度で共謀の上、被告人が被害者の頸部を前記カッターナイフで3回切り付ける等の暴行を加え、被害者に頸部切創、頸部刺切創及び前額部挫創の傷害を負わせ、前記頸部刺切創に基づく出血性ショックにより死亡させたとされた傷害致死の事案において、被告人ら3名による本件犯行は誠に悪質なものであり、本件に顕れた諸事情を考慮しても、被告人が自ら本件犯行の契機を作出した危険が大きい上に、被告人が被害者に加えた暴行も危険性、悪質性の高いものであることに照らせば、被告人について、その凶悪性、悪質性を大きく減じて保護処分を許容し得るまでの「特段の事情」があるということはできないとして、被告人を懲役4年以上6年6月以下に処した事例(裁判員裁判)。
2016.05.31
原発再稼働禁止仮処分申立事件
「新・判例解説Watch」H28.6下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542439/大津地方裁判所 平成28年 3月 9日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第6号
滋賀県内に居住する債権者らが、福井県大飯郡において原子力発電所である高浜発電所3号機及び同4号機(本件各原発)を設置している債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立てた事案において、債務者の保全段階における主張及び疎明の程度では、新規制基準及び本件各原発に係る設置変更許可が、直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ないなどとして、本件各原発の運転差止めを命じた事例。
2016.05.24
保全異議申立事件 
LEX/DB25542514/東京地方裁判所 平成28年 4月 7日 決定 (第一審)/平成28年(モ)第40004号
債権者は、自らが編集著作物たる判例解説雑誌[第4版](本件著作物)の共同著作者の一人であることを前提に、債務者(出版社)が発行しようとしている判例解説雑誌[第5版](本件雑誌)は本件著作物を翻案したものであるなどと主張して、本件著作物の〔1〕翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利(著作権法28条)を介して有する複製権、譲渡権及び貸与権又は〔2〕著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権を被保全権利として、債務者による本件雑誌の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出を差し止める旨の仮処分命令を求め、当裁判所は、本件仮処分申立てには理由があると判断し、「債務者は、本件雑誌の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出をしてはならない。」との仮処分決定をしたため、債務者がこれを不服として保全異議を申し立て、原決定である上記仮処分決定の取消しと仮処分申立ての却下を求めた事案において、上記仮処分申立てには理由があり、これを認容した原決定(仮処分決定)は相当であるとして、同裁判所が平成27年10月26日にした仮処分決定を認可した事例。
2016.05.24
住居侵入,強盗殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(福島夫婦強盗殺人事件)
LEX/DB25447955/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月 8日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第959号
職に就くことなく、家賃滞納のため借家を明け渡さざるを得なくなり、妻と車上生活を送っていた被告人が、就職して勤務先から住宅購入資金が借りられることになったなどと妻に嘘を重ねた結果、多額の金員を手に入れる必要に迫られた挙げ句、民家に押し入って金品を強奪しようと計画するとともに、家人に騒がれたときには殺害もやむを得ないなどと考え、あらかじめペティナイフ等を準備した上、早朝、福島県内の民家に侵入し、財布を窃取した後、起床してきた夫婦(夫Aは当時55歳,妻Bは当時56歳)の頸部、頭部等を同ナイフで多数回突き刺すなどして殺害し、金品を強奪したという被殺者2名の強盗殺人に起訴され、第1審及び第2審は、被告人に対し死刑としたため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は、極めて重大であるといわざるを得ず、被告人が遺族らに謝罪し、反省の態度を示していること、前科がないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても、その刑事責任は極めて重大であり、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑を是認せざるを得ないとし、上告を棄却した事例。
2016.05.24
原爆症認定義務付等請求控訴事件
LEX/DB25542386/大阪高等裁判所 平成28年 2月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第102号
被爆者援護法1条所定の被爆者である亡P2(原審係属中の平成23年7月15日に死亡し、亡P2の妻である被控訴人P3並びに亡P2と被控訴人P3との間の子である被控訴人P18(長女)及び被控訴人P19(長男)が亡P2の有する一切の権利義務を共同相続し、亡P2の訴訟手続を受継)が、平成20年3月6日に被爆者援護法11条1項の規定による認定の申請(本件P2申請)をしたところ、厚生労働大臣が平成22年8月26日付けで本件P2申請を却下する旨の処分をしたことから,亡P2が控訴人(国)に対し、本件P2却下処分の違法を主張して、本件P2却下処分の取消し及び本件P2申請に係る原爆症認定の義務付けを求めるとともに、本件P2却下処分が国家賠償法上違法であり、これにより亡P2が精神的苦痛を受けた旨主張して、300万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被控訴人らの請求のうち、本件P2却下処分の取消請求及び本件P2申請に係る原爆症認定義務付け請求を認容し、その余の請求を棄却したため、控訴人が自己の敗訴部分を不服として控訴した事案(原審では、亡P1訴訟承継人原審第2事件原告P4の控訴人に対する第2事件に係る訴えが第1事件と併合審理され、原判決で第2事件についても判断が示されたが、亡P1訴訟承継人原審第2事件原告P4及び控訴人がいずれも控訴ないし附帯控訴しなかったため、原判決中、第2事件に関する部分は確定)において、被控訴人の訴えのうち、本件P2申請に係る原爆症認定の義務付けを求める部分は不適法であり、本件P2却下処分取消請求は理由がないところ、これと結論を異にする原判決主文第2項及び第3項は失当であるとし、原判決主文第2項及び第3項を取消して、被控訴人らの訴えのうち、本件P2申請に係る原爆症認定の義務付けを求める部分を却下し、被控訴人らのその余の請求を棄却した事例。
2016.05.17
処分取消請求訴訟事件(氷見冤罪情報公開訴訟判決) 
LEX/DB25542307/富山地方裁判所 平成28年 3月 9日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第2号
原告が、被告(富山県)に対し、原告が、富山県情報公開条例に基づき、富山県氷見市で発生した2件の強姦及び同未遂事件に関する捜査指揮簿等の開示を請求したところ、富山県警察本部長が原告の開示請求に係る公文書の一部を同条例7条2号又は4号の非公開情報に該当するなどの理由で非開示とし、その余を開示する旨の部分開示決定をしたことについて、行政事件訴訟法に基づく処分取消しの訴え及びいわゆる申請型義務付けの訴えとして、非開示とされた部分の取消し及び同取消しに係る部分について開示決定の義務付けを求めた事案において、取消請求を一部認容し、義務付け請求を却下した事例。
2016.05.17
(砂川事件再審認めず) 
LEX/DB25542451/東京地方裁判所 平成28年 3月 8日 決定 (再審請求審)/平成26年(た)第12号
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基づく行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法及び土地収用法により、内閣総理大臣の使用認定を得て、東京調達局においてアメリカ合衆国空軍の使用する東京都北多摩郡所在の立川飛行場内民有地の測量を行った際、これに反対する砂川基地拡張反対同盟員及びこれを支援する各種労働組合員、学生団体員等1000余名の集団が前記飛行場北端付近の境界柵外に集合して反対の気勢を上げていたところ、同集団に参加していた請求人Z1、同Z4及びZ5が、他の参加者約300名と意思を通じて、正当な理由がないのに前記境界柵の破壊された箇所からアメリカ合衆国軍隊が使用する区域であって入ることを禁じられた場所である前記立川飛行場内に、深さ約4、5メートルにわたって立ち入り、また、労働組合の一員として前記集団に参加していた請求人Z3が、正当な理由がないのに、前記境界柵の破壊された箇所から前記立川飛行場内に深さ2、3メートルにわたって立ち入ったという、元被告人ら(Z1、Z3、Z4及びZ5)に対する日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反被告事件(確定判決は、元被告人らをいずれも無罪とした東京地方裁判所判決に対し、検察官が跳躍上告したことに対する最高裁判所大法廷判決が、上記無罪判決を破棄し、事件を東京地方裁判所に差し戻す旨判示したことを受けて言い渡された、元被告人らを各罰金2000円に処する旨の有罪判決である)の再審請求審において、弁護人提出に係る新証拠をもってしても、Z6裁判官(最高裁判所大法廷判決における裁判長裁判官)に不公平な裁判をする虞があると認めるに足る事情を合理的に疑わせることはできず、その余の点につき判断するまでもなく、これらの証拠は請求人ら(Z1、Z2、Z3及びZ4)に対して免訴を言い渡すべき明らかな証拠とは認められないとして、再審請求を棄却した事例。
2016.05.17
銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(「違法おとり捜査」再審へ)
LEX/DB25542306/札幌地方裁判所 平成28年 3月 3日 決定 (再審請求審)/平成25年(た)第2号
請求人は、けん銃加重所持罪により懲役2年に処せられ、同判決が確定したところ、確定判決が有罪認定に用いた各種証拠の証拠能力は覆ったとして、再審の請求をした事案において、本件おとり捜査は、およそ犯罪捜査の名に価するものではなく、重大な違法があるのは明らかであるとして、再審開始を決定した事例。
2016.05.17
損害賠償請求控訴事件(緑のオーナー訴訟 控訴審) 
「新・判例解説Watch」H28.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542349/大阪高等裁判所 平成28年 2月29日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第3086号
国有林野に成育している樹木の共有持分を国以外の者に譲渡し、その費用負担者から持分の対価及び当該樹木について国が行う保育及び管理(育林)に要する費用の一部の支払を受け、育林による収益を国と費用負担者が分収するという分収育林制度(緑のオーナー制度)に関し、被告と分収育林契約を締結した費用負担者又はその承継人である原告らが、被告に対し、被告の担当者の違法な勧誘によって分収育林契約を締結し、払込額に相当する損害を被ったとして、主位的に国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権に基づき、予備的に不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき、各「損害額元本」及び「弁護士費用」の賠償並びに損害額元本に対する「確定遅延損害金」及び遅延損害金の支払を求め、原審が、原告らの請求を一部認容・一部棄却、原告らの請求を全部棄却したため、原告ら及び被告の双方が控訴をした事案において、原判決は、一部異なる限度で相当ではないとし、(1)「認容額一覧表1」及び「認容額一覧表2」の各「原告氏名」欄記載の原告らの控訴に基づき、原判決主文1、2項中同原告らに関する部分を変更し、(2)被告の控訴に基づき、一部原告らに関する被告敗訴部分を取消し、同原告らの請求を棄却し、(3)被告の控訴に基づき、原告亡P4訴訟承継人P5(原告番号54)に関する部分を変更し、(4)その余の原告らの控訴及び被告のその余の控訴を棄却した事例。
2016.05.17
損害賠償請求事件(女性アイドル交際、認める判決) 
LEX/DB25542337/東京地方裁判所 平成28年 1月18日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1759号
芸能プロダクションである原告が、原告との間で専属マネージメント契約を締結した上で原告に所属する女性アイドルであった被告甲、被告甲と交際していたファンである被告乙、に対しては、同契約の債務不履行又は不法行為に基づき、逸失利益等の損害賠償を、被告甲の父母である被告丙夫妻に対しては、信義則上の管理監督義務違反の不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案において、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.05.17
損害賠償、連帯債務履行請求控訴事件
LEX/DB25542340/東京高等裁判所 平成27年 8月27日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1630号
訴外会社の普通社債を取得した一審原告(ケイマン諸島の法律に基づき設立された会社)が、被告銀行を割当先とする同社の転換社債型新株予約権付社債の発行に際して作成された臨時報告書等に、同社が転換社債型新株予約権付社債発行により調達する資金を一審被告銀行との間で締結された2つのスワップ契約に基づく支払いに充てる旨公表しなかったことにより、損害を被ったとして、一審被告銀行及びその100パーセント子会社である一審被告甲社、一審被告甲社から事業を譲り受けた一審被告乙証券に対し、損害賠償を請求し、原審が被告甲社に対する請求を一部認容した事案において、一審原告及び一審被告甲社の控訴をいずれも棄却した事例。
2016.05.10
債務不存在確認等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件 
LEX/DB25447923/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月28日 判決 (上告審)/平成27年(受)第330号
被上告人らが、死亡共済金及び死亡保険金の各請求権が上告人Y1又はAの各破産財団に属するにもかかわらず、上告人Y1が金員を費消したことは、上告人Y1において金員を法律上の原因なくして利得するものであり、また、上告人Y2には上告人Y1が金員を費消したことにつき弁護士としての注意義務違反があると主張して、上告人Y1に対しては不当利得返還請求権に基づき、上告人Y2に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、被上告人X1において800万円及び遅延損害金等の連帯支払を、また、被上告人X2において200万円及び遅延損害金等の連帯支払を求め(本訴請求)、上告人Y1が、上記保険金等請求権が上告人Y1の破産財団に属しないにもかかわらず、被上告人X1が法律上の原因なくその一部である1400万円を利得していると主張して、被上告人X1に対し、不当利得返還請求権に基づき、1400万円及び遅延損害金の支払を求め(反訴請求)、原審は、上記保険金等請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして、各破産財団に属することになるから、上告人Y1が本件金員を費消したことは、上告人Y1において金員を法律上の原因なくして利得するものであり、また、上告人Y1が本件金員のうち800万円を費消したことについて、上告人Y2に弁護士としての注意義務違反が認められるとして、被上告人らの本訴請求のうち上告人Y1に対する請求を認容するとともに上告人Y2に対する請求を一部認容し、上告人Y1の反訴請求を棄却すべきものとしたため、上告人Y1、同Y2が上告した事案において、当該生命共済契約及び生命保険契約はいずれも本件各開始決定前に成立し、当該生命共済契約に係る死亡共済金受取人は上告人Y1及びAであり、当該生命保険契約に係る死亡保険金受取人は上告人Y1であったから、上記保険金等請求権のうち死亡共済金に係るものは本件各破産財団に各2分の1の割合で属し、上記保険金等請求権のうち死亡保険金に係るものは上告人Y1の破産財団に属するとして、原審の判断は正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2016.05.10
株式取得価格決定に対する抗告、同附帯抗告事件 
LEX/DB25542515/東京高等裁判所 平成28年 3月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第991号 等
東宝による利害関係参加人を完全子会社化する取引の一環として、利害関係参加人の株式の公開買付け後にされた利害関係参加人による全部取得条項付種類株式の全部の取得について、原審申立人らが、会社法172条1項に基づき、保有していた利害関係参加人の全部取得条項付普通株式の取得価格の決定を求め、原審は、上記株式の取得価格は、1株につき835円とすると決定し、原審申立人ら及び利害関係参加人が抗告し、附帯抗告人が附帯抗告した事案において、裁判所が裁量により取得価格を決定するに際し、公正な手続を実質的に履践して定められたと認められる公開買付価格に依拠せずに、新たに価格を決定し直すべき特段の事情はないものと思料されるとして、上記株式の取得価格は1株につき735円と定めるのが相当であるところ、これと異なり1株につき835円と定めた原決定は不当であるとし、原決定を変更した事例。
2016.05.10
立替金等請求控訴事件(安藤・間VS新潟大学) 
LEX/DB25542516/東京高等裁判所 平成28年 3月10日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第3355号
A建設の権利義務を包括的に承継した控訴人が、被控訴人に対し、主位的には、A建設において米国法人であるO社との間で、A建設を買主、O社を売主として、米国ロマリンダ大学の保有する特許技術に係る陽子線がん治療機器等について購入、導入、メンテナンス等を内容とする国立大学の陽子線がん治療センター 物品の購買・設置・メンテナンス及びライセンスに関する基本契約を締結することを前提に、被控訴人との間で、上記契約上のA建設の買主たる地位を被控訴人に譲渡すること、当該譲渡実行日までに上記契約に基づいてA建設が支払い又は負担した売買代金、費用等相当額を被控訴人がA建設に支払うことなどを内容とする合意をし、その後上記契約を締結してその地位を被控訴人に譲渡したと主張して、当該合意の補償請求権に基づき、〔1〕A建設が上記契約に基づいてO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計16億7932万6987円並びにこれに対する遅延損害金、〔2〕A建設が負担した費用である7493万5635円及びこれに対する遅延損害金、〔3〕本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額1億5442万3795円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、予備的には、被控訴人の副学長兼学長室長が被控訴人の事業の執行として被控訴人学長作成名義の本件合意に係る「損害等補償及び契約上の地位譲渡等に関する合意書」を偽造してこれをA建設に交付したことにより、A建設が上記契約を締結し、上記陽子線がん治療機器等の代金(頭金)を支払うなどの損害を被ったと主張して、不法行為の使用者責任に基づく損害賠償として上記と同額を求め、原審は、上記合意書の被控訴人学長名義部分が真正に成立したと認めることはできず、A建設と被控訴人との間で上記合意が成立したとは認められないから、控訴人の上記合意の補償請求権に基づく請求は理由がなく、また、副学長が上記合意書の被控訴人学長名義部分を偽造したという事情を知らずに上記合意書を締結し、その上で上記契約を締結するに至ったとしても、A建設代表者がそのことを知らなかったことにつき重大な過失があるから、控訴人が使用者責任に基づく損害賠償を請求することはできないなどとして、控訴人の請求をいずれも棄却し、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、学長証明書の体裁及び内容が不自然であることに加え,学長証明書と合意書とに押印された印影が異なっているにもかかわらず、合意書の成立の真正に疑いを抱かずに何らの確認をもしなかったA建設の対応をもって、A建設には合意書の成立の真正を信じたことについて重過失があると評価する根拠とした原判決の認定は相当であり、これを不当とする控訴人の上記主張も採用できないとし、控訴人の被控訴人に対する請求はいずれも理由がなく、それらをいずれも棄却した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。
2016.05.10
損害賠償請求事件(勾留中「鼻から栄養剤」で負傷、男性逆転敗訴) 
LEX/DB25447917/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第755号
被告(被控訴人・上告人。国)が、原告(控訴人・被上告人)に対し、原告の当時の身体状態に照らして不必要であった鼻腔経管栄養補給処置を実施したことが、拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し、債務不履行を構成するなどと主張して、損害賠償を求め、第1審は、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、第1審判決を変更し、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して、その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきであるとし、これと異なる原審の判断は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、上記部分に関する原告の控訴を棄却した事例。
2016.05.10
損失填補請求事件、独立当事者参加事件
(全九州電気工事業厚生年金基金VS日本トラステイ・サービス信託銀行ほか) 
LEX/DB25530845/東京地方裁判所 平成27年 7月 3日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第32336号 等
厚生年金基金である原告が、金融機関である被告らに対し、被告らの委託を受けた証券業者が偽装等の不正を行っていたのに、これに気付かずに運用を任せ原告が運用損を被ったのは、原告との間の年金特定信託契約及び三者間合意に基づく被告らの信託事務の処理に任務懈怠(監査報告書確認義務違反、報告説明義務違反、名義登録義務違反)があったことによるものであるとして損害賠償等を求めた事案につき、任務懈怠があるというには、証券業者の運用が明らかに不当で原告に重大な損失が生ずる危険性が高いことを被告らが認識していたか又は容易に認識し得た一方、委託者である原告においてはそれを認識し得なかったのに、被告らが原告にそのことを告げなかったなどの例外的な事情が認められる場合に限られ、本件においてそのような事情は認められず、また被告らがその任務を怠った事実を認めることもできないとして、請求を棄却した事例。
2016.04.26
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件(組合活動アンケート 二審も大阪市に賠償命令) 
LEX/DB25542305/大阪高等裁判所 平成28年 3月25日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1608号 等
被告(大阪市。控訴人)の職員あるいは職員であった原告(被控訴人)らが、被告が第三者に委託して実施したアンケートは、原告らの思想・良心の自由、政治活動の自由、労働基本権、プライバシー権又は人格権を侵害するなど違憲・違法なものであるから、前市長が、原告らに対し、業務命令をもって上記アンケートに回答することを命令したことは、国家賠償法上違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らに生じた精神的損害に対する賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、原告ら各自につき6000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で原告らの請求を認容したため、被告が控訴し、原告らが附帯控訴した事案において、原告らの本件請求は、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ5000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからそれぞれ認容し、その余の請求については、いずれも棄却すべきであるとし、よって、被告の控訴に基づき、上記と一部結論を異にする原判決を変更し、原告らの附帯控訴を棄却した事例。
2016.04.26
自動車運転過失傷害被告事件(無罪) 
LEX/DB25542447/大津地方裁判所彦根支部 平成28年 3月 8日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第45号
被告人は、早朝、普通乗用自動車を運転し、滋賀県近江八幡市路上で、信号機により交通整理の行われている交差点を直進するに当たり、同交差点の対面信号機の信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、考え事に気を取られ、同信号表示に留意せず、同信号機が赤色の灯火信号を表示していたのを看過したまま漫然時速約60キロメートルで進行した過失により、折から右方道路から青色信号に従って同交差点に進入してきたW運転の普通乗用自動車に気付かないまま同車左側面部に自車前部を衝突させ、自車同乗者V(当時74歳)に加療約63日間を要する右股関節脱臼骨折の傷害を負わせた事案において、被告人の捜査段階における、上記事故当時の対面信号が赤色であった旨の供述には疑問を入れる余地があり、また、自己の対面信号が青色であった旨のWの供述についても、それと相反する被告人の公判における、自己の対面信号が青色であった旨の供述に信用性が認められること、それ以外にWの供述を裏付ける証拠が存在しないことからすれば、そのまま信用するには疑問が残るとし、上記各交差点の信号サイクルからすれば、被告人は対面信号が青色の状態で上記交差点に進入した可能性は大きく、本件公訴事実については、いまだ合理的な疑いを越えない程度の証明がないとして、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.04.26
損害賠償請求事件(日本生命への請求棄却 顧客から詐取 元外交員に賠償命令) 
LEX/DB25542103/静岡地方裁判所浜松支部 平成28年 2月 1日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第598号
被告P12に金銭を貸し付けた原告らが、本件各貸付は被告P12の詐欺により行われたものであると主張した上で、被告P12に対しては、不法行為に基づき、被告N生命に対しては、本件各貸付の際に被告N社から契約貸付を受けたと主張する原告らが、被告P12の不法行為は雇用主たる被告N社の事業の執行の範囲に含まれると主張して、使用者責任に基づく等して、それぞれ損害賠償を求めた等の事案において、被告P12は、原告らに対し、真実は借りた金銭を原告らに伝えた用途で使う意思も、約束通り返済する具体的見込みもその能力もないのに、嘘を述べ、原告らにその旨誤信させて本件各貸付を行わせたと認定する一方、被告N社が原告らに対し、被告P12の詐欺行為について使用者責任を負うことはないと示し、原告らが被告P12が被告P13に対して有する不法行為に基づく損害賠償請求権を代位行使することは認めた事例。