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2016.08.30
(カンリ事件(上告審)) 
LEX/DB25543187/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月16日 決定 (上告審)/平成28年(オ)第140号 等
上告人兼申立人(被告、控訴人)の経営する会社で勤務していた被上告人兼相手方(原告、被控訴人)が、上告人兼申立人からその本名である韓国名を名乗るよう他の従業員の前で繰り返し求められ、本件訴えの提起後には勤務内容を不当に変更されるなどしたことにより、人格的利益を侵害され、精神的苦痛を被ったと主張して、上告人兼申立人に対し、不法行為による損害賠償金の支払いを求め、1審が請求を一部認容し、2審が控訴を棄却した事案において、上告を棄却し、上告審として受理しないことを決定した事例。
2016.08.30
営業秘密の使用差止等請求事件(配置薬業界の顧客情報 懸場帳(かけばちょう)訴訟) 
LEX/DB25543186/富山地方裁判所 平成28年 6月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第223号
訴外会社から、同社が所持していた医薬品配置販売業における顧客情報を記録した懸場帳と呼ばれる帳簿並びに同懸場帳記載の顧客に係る営業権、配置済医薬品及び使用分に係る売掛金債権等を譲り受けた原告甲社並びに原告甲社からの譲渡先から更に譲渡を受けた原告乙社及び原告丙社が、訴外会社の従業員であった被告に対し、同懸場帳に記録された顧客情報は、不正競争防止法2条6項所定の営業秘密に当たるところ、被告は同条1項4号所定の窃取行為又同条1項7号所定の営業秘密保有者からの提示により取得した同顧客情報を不正の利益を得る目的で又は原告らに損害を加える目的で使用し、原告らにこれがなかったならば得られたであろう利業利益相当の損害等を生じさせた旨主張し、原告乙社及び原告丙社が不正競争防止法3条に基づき営業行為の差止め及び記録媒体の破棄を求め、原告らが不正競争防止法4条及び民法709条に基づき損害金及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、同顧客情報は営業秘密には当たらないなどとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.30
営業秘密の使用差止等請求事件(配置薬業界の顧客情報 懸場帳(かけばちょう)訴訟) 
LEX/DB25543186/富山地方裁判所 平成28年 6月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第223号
訴外会社から、同社が所持していた医薬品配置販売業における顧客情報を記録した懸場帳と呼ばれる帳簿並びに同懸場帳記載の顧客に係る営業権、配置済医薬品及び使用分に係る売掛金債権等を譲り受けた原告甲社並びに原告甲社からの譲渡先から更に譲渡を受けた原告乙社及び原告丙社が、訴外会社の従業員であった被告に対し、同懸場帳に記録された顧客情報は、不正競争防止法2条6項所定の営業秘密に当たるところ、被告は同条1項4号所定の窃取行為又同条1項7号所定の営業秘密保有者からの提示により取得した同顧客情報を不正の利益を得る目的で又は原告らに損害を加える目的で使用し、原告らにこれがなかったならば得られたであろう利業利益相当の損害等を生じさせた旨主張し、原告乙社及び原告丙社が不正競争防止法3条に基づき営業行為の差止め及び記録媒体の破棄を求め、原告らが不正競争防止法4条及び民法709条に基づき損害金及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、同顧客情報は営業秘密には当たらないなどとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.23
地位確認等請求控訴事件(参院選差し止め訴えは不適法)
LEX/DB25543116/東京高等裁判所 平成28年 6月 2日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第21号
参議院議員通常選挙の選挙人となることが予定されている原告ら(控訴人)が、参議院選挙区選出議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める公職選挙法の定めは、憲法の定める代議制民主制等に違反しているなどとして、原告らが人口に比例して配分された法律に基づいて投票をすることができる地位にあることの確認等を求めたところ、訴えが却下されたため、控訴した事案において、国会が具体的な選挙制度を決定する前に、裁判所が「平等に配分された状態」を示す具体的な選挙制度の内容等を定め、有権者がそれに基づく選挙権の行使をする権利を有することの確認をするようなことは、三権分立の趣旨に反するとし、控訴を棄却し、追加請求に係る訴えを却下した事例。
2016.08.23
水俣病認定申請棄却処分取消等請求事件(第1事件、第2事件、第3事件)
「新・判例解説Watch」H28.10中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543242/新潟地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第26号 等
新潟市長が、原告q13の公害健康被害の補償等に関する法律5条、4条2項及び3項の規定に基づく水俣病認定申請並びに原告q13を除く原告らの公害健康被害の補償等に関する法律4条2項及び3項の規定に基づく水俣病認定申請をいずれも棄却した各処分に対し、原告らが、被告(新潟市)に対し、上記各処分の取消しを求めるとともに、原告q13が、同法5条,4条2項及び3項に基づき、亡q4が、かかっていた疾病が公害健康被害の補償等に関する法律施行令1条に基づく別表第2の1の新潟県の区域のうち、新潟市の区域に係る水質の汚濁の影響による水俣病である旨の認定を受けることができる者であった旨の決定をすることの義務付けを、原告q13を除く原告らが、同法4条2項及び3項に基づき、同原告らがかかっている疾病が上記区域に係る水質の汚濁の影響による水俣病である旨の認定をすることの義務付けを求めた事案において、〔1〕原告q5、原告q6、原告q7、原告q8、原告q10、原告q11及び原告q12の請求を認容し、〔2〕それ以外の原告らの訴えのうち、公健法上の水俣病認定の義務付け請求に係る部分はいずれも不適法であるとして却下し、その余の請求を棄却した事例。
2016.08.23
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件)(野外ライブで落雷死亡 主催者に責任認めず) 
LEX/DB25543324/大阪地方裁判所 平成28年 5月16日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第7807号 等
原告らが、コンサートの企画等を業とする被告らに対し、実質的に被告らが主催する音楽イベントの会場付近で、原告らの娘であるP6が落雷により死亡した事故について、被告らには亡P6を落雷の危険から保護すべき義務の違反ないし債務の不履行等があったと主張して、共同不法行為又は債務不履行に基づき、原告らそれぞれにつき4089万1265円及びこれに対する遅延損害金の支払(被告らは連帯)を求めた事案において、被告らに、上記落雷事故につき亡P6に対する注意義務違反又は債務不履行があったとは認められないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2016.08.23
発信者情報開示請求事件(「他人に成り済まされない権利」 アイデンティティー権 認定) 
LEX/DB25543323/大阪地方裁判所 平成28年 2月 8日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第10086号
第三者が原告になりすましてインターネット上の掲示板に投稿したことによりアイデンティティ権、プライバシー権ないし肖像権を侵害され、又は、名誉を毀損されたとする原告が、上記投稿をした者(発信者)に対する損害賠償請求権の行使のために、発信者にインターネットサービスを提供した被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、発信者の氏名又は名称、住所及び電子メールアドレスの開示を求めた事案において、上記投稿により原告の権利が侵害されたことが明らかであると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.08.16
管轄移転の請求事件(沖縄の女性殺害 東京地裁への移管認めず) 
LEX/DB25448102/最高裁判所第二小法廷 平成28年 8月 1日 決定 /平成28年(す)第398号
米軍属である申立人が那覇地方裁判所に起訴されている強姦致死、殺人、死体遺棄被告事件について、沖縄県内で、米軍基地やいわゆる日米地位協定の問題と絡めて、大々的に報道され、また、広範な抗議活動が行われたことから、沖縄県民にあっては、被告人の自白内容、自白を補強する物証等の存在を知り、被告人が有罪との心証を有しているだけでなく、被告人を厳罰に処すべきとの予断を持つに至っているところ、そのような県民の中から裁判員を選任しなくてはならないことなどからすると、那覇地方裁判所において公平な裁判を行うことは不可能であるなどとして、東京地方裁判所への管轄の移転を請求した事案において、刑事訴訟法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとし、本件請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.08.16
ヘイトデモ禁止仮処分命令申立事件(川崎市ヘイトデモ禁止仮処分命令申立事件決定) 
「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543108/横浜地方裁判所川崎支部 平成28年 6月 2日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第42号
社会福祉法人の認可を受けた債権者が、債務者に対し、いわゆるヘイトデモ禁止仮処分命令を申し立てた事案において、専ら本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で、公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し、又は本邦外出身者の名誉を毀損し、若しくは著しく侮辱するなどして、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由に本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する、差別的言動解消法2条に該当する差別的言動は、平穏に生活する人格権に対する違法な侵害行為に当たるものとして不法行為を構成すると解され、また、当該法人の事業所において平穏に事業を行う人格権を侵害する違法性が顕著な場合には、当該法人は、自然人の場合と同様に、人格権に基づく妨害予防請求権として、その差別的言動の事前の差止めを求める権利を有するとして、本件申立てを認容した事例。
2016.08.16
強制わいせつ物陳列、わいせつ電磁的記録等送信頒布、わいせつ電磁的記録媒体頒布被告事件
(ろくでなし子被告に罰金) 
「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543071/東京地方裁判所 平成28年 5月 9日 判決 (第一審)/平成26年(刑わ)第3268号
漫画家兼芸術家である被告人が、アダルトショップにおいて、被告人ほか2名の女性器を象った石膏ようのもの3点を展示したほか、自己の女性器の三次元形状データファイルが保存されたURL情報等を送信し、同データファイルが記録されたCD-Rを発送したとして、わいせつ物陳列やわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた事案において、「本件各造形物が、女性器であるとの印象を殊更強く与えるものでなく、それぞれの性的刺激も限定的であることに加えて、本件各造形物に表象された一定の芸術性や思想性による性的刺激の緩和も認められることからすれば、本件各造形物は、主として表現の受領者の好色的興味に訴えるものとは認められないから、刑法175条にいうわいせつ物には該当しない」として、わいせつ物陳列罪については無罪とする一方、「本件各データは、いずれも、女性器の形状を立体的かつ忠実に再現したものであり、それらの形状やその表象方法、データ全体に占める性的部位の割合に照らせば、それぞれの性的刺激の程度が強い上、表現された思想とその表象との関連性を一見して読み取ることは困難であって、芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の程度もさほど大きく評価できないことからすれば、本件各データは、主として受け手の好色的興味に訴えるものになっているといわざるを得ないから、刑法175条にいうわいせつな電磁的記録に該当する」として、わいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪については有罪とし、罰金40万円を言い渡した事例。
2016.08.16
(東住吉事件執行停止異議申立決定) 
LEX/DB25543253/大阪高等裁判所 平成27年10月26日 決定 (異議審)/平成27年(け)第35号
再審請求人両名からの各再審請求について大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件に関して、平成27年10月23日大阪高等裁判所がした各刑の執行停止決定に対し、検察官からそれぞれ異議の申立てがあった事案で、原決定の判断手法は、再審の裁判において無罪判決が言い渡される蓋然性に加え、特別抗告審での抗告理由の制限や、身柄保全の必要性、早期釈放の必要性等をも総合考慮した相当なものであり、各事情の評価にも誤りはなく、本件について各刑の執行を停止しないことが正義に反するとの判断も、即時抗告審を自ら担当した原裁判所による合理的な裁量の範囲内として、首肯することができ、さらに、原決定が、各刑の執行を停止するに当たり、各請求人について、指定された住居に居住し、住居変更時には裁判所の許可を受け、海外渡航はせず、逃亡や証拠隠滅はしないことを指定条件としたことも相当であるとして、検察官の各異議の申立てをいずれも棄却した事例。
2016.08.16
(東住吉事件刑の停止決定) 
LEX/DB25543252/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審)/平成24年(く)第144号
受刑中両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対する各即時抗告申立事件につき、請求人B主任弁護人及び請求人C主任弁護人から、請求人両名についてそれぞれ刑の執行停止を求める申出があった事案において、刑事訴訟法435条6号該当事由があるとした地方裁判所の再審開始決定を高等裁判所が更に事実取調べをした上で維持しており、請求人両名に対して無罪を言い渡すべき蓋然性がより高くなっているといえること、高等裁判所の即時抗告棄却決定に対する不服申立の方法は特別抗告であって、抗告理由が限られていること、請求人らの逮捕以来の身柄拘束期間が約20年と非常に長期に及んでいることに照らすと、請求人両名に対する確定判決に基づく刑の執行を今後も継続することが正義に反する場合に当たるとして、請求人両名に刑の執行停止を決定した事例。
2016.08.16
(東住吉事件再審開始決定に対する即時抗告審) 
LEX/DB25543255/大阪高等裁判所 平成27年10月23日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成24年(く)第144号
各現住建造物放火、殺人、詐欺未遂被告事件につき大阪地方裁判所が請求人Z1に対し平成11年3月30日、請求人Z2に対し同年5月18日、それぞれ言い渡した有罪の確定判決に対する請求人両名からの各再審請求について、平成24年3月7日大阪地方裁判所がした各再審開始決定に対し、検察官が各即時抗告を申し立てた事案において、新証拠が確定審に提出されていれば、各確定判決においてなされたような事実認定には到達しなかったと考えられ、各確定判決の有罪認定には合理的な疑いが生じているというべきであり、原決定の検討判断に不十分な点はあるものの、請求人両名に対し、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき(刑事訴訟法435条6号)に該当するとして、請求人両名について、それぞれ再審を開始した原決定の判断は、当審の事実取調べの結果により、正当として是認できることが明らかになったといえるとし、本件各即時抗告をいずれも棄却した事例。
2016.08.09
覚せい剤取締法違反被告事件 
LEX/DB25448089/最高裁判所第一小法廷 平成28年 7月27日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第456号
本件覚せい剤取締法違反の被告人の弁護人が、原判決の事実誤認、量刑不当を主張し上告した事案において、刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)による刑の一部の執行猶予に関する各規定(刑法27条の2ないし刑法27条の7)の新設は、被告人の再犯防止と改善更生を図るため、宣告刑の一部についてその執行を猶予するという新たな選択肢を裁判所に与える趣旨と解され、特定の犯罪に対して科される刑の種類又は量を変更するものではなく、刑の一部の執行猶予に関する前記各規定の新設は、刑事訴訟法411条5号にいう「刑の変更」に当たらないとして、上告を棄却した事例。
2016.08.09
殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件(松橋事件再審開始決定) 
「新・判例解説Watch」H28.9下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543182/熊本地方裁判所 平成28年 6月30日 決定 (再審請求審)/平成24年(た)第3号 等
昭和61年12月22日熊本地方裁判所が言い渡した殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、火薬類取締法違反被告事件の有罪確定判決について、被告人の法定代理人成年後見人である弁護士P1(請求人)及び被告人の長男であるP2(請求人)が、上記有罪の言渡しを受けた事件のうち殺人被告事件について無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したと主張して、それぞれ再審請求をした事案において、確定判決の有罪認定に合理的な疑いが生じたものと認められるから、本件再審請求は、刑事訴訟法435条6号所定の有罪の言渡しを受けた者に対して無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するとし、本件再審請求は理由があることになるが、確定判決は、P3に対し、本件事件と別事件とを併合罪として、1個の刑を言い渡しているから、その全部について再審開始の決定をすべきであると解するので、刑事訴訟法448条1項により本件について再審を開始することとした事例。
2016.08.09
(恵庭OL殺人事件特別抗告審) 
LEX/DB25543233/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月13日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第422号
殺人、死体損壊被告事件(申立人が、北海道千歳市、恵庭市又はそれらの周辺で、被害女性(当時24歳)に対し、殺意をもって、その頸部を何らかの方法で圧迫し、同女を窒息死させて殺害し、路上で、同女の死体に灯油をかけた上、それに火を放って焼損し、死体を損壊したという)について、札幌高高等裁判所がした即時抗告棄却決定に対し、特別抗告の申立てがあった事案(特別抗告審)において、申立人の抗告趣意は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらないとし、抗告を棄却した事例。
2016.08.09
保証債務履行請求控訴事件(融資後に反社会的勢力と判明 信用保証協会に保証命令) 
LEX/DB25543072/東京高等裁判所 平成28年 5月26日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(ネ)第464号
控訴人(H信用金庫)が、A社及びB社に貸し付けた金銭債権について信用保証をした被控訴人(K協会)に対し、主位的請求として保証契約に基づき、貸金残元金、未払利息及び未払遅延損害金等の支払を求め、予備的に被控訴人において反社会的勢力を主債務者とする保証契約を締結しないように注意すべき義務を怠ったことにより、控訴人は回収不能となった貸金相当額について不法行為に基づく損害賠償を請求した事案の控訴審において、本件各保証の締結当時において、反社会的勢力対応部署を整備して一元的な管理態勢を構築すること、融資に伴う審査等の通常業務の中で、主債務者及びその関係者について反社会的勢力でないかどうかを調査、確認すること等が金融機関において求められていたといえるから、これらの方法を用いて反社会的勢力か否かの調査を行うことは一般的に行われている調査方法に含まれていたとして、原判決を取り消し、控訴人の主位的請求を認容した事例。
2016.08.09
請負代金等請求本訴事件(本訴事件)、違約金請求反訴事件(反訴事件)
(F15戦闘機契約解除を巡り 違約金支払い命令) 
LEX/DB25543078/東京地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第24885号 等
原告(T社)が、被告(国)に対し、F-15戦闘機を母体とする偵察機を用いた偵察システムを構成する装置等を調達することを内容とする請負契約に基づきDBRP(光学・赤外線偵察ポッド)を製造して被告に納入する義務が被告の帰責事由により履行不能になったと主張して、危険負担の債権者主義に基づき、DBRPの代金の支払を求めた(本訴請求)事案と、被告が、原告に対し、上記偵察システム等契約は、原告が同意内容どおりのDBRPを製造しなかったため、原告の帰責事由によりその全部が履行不能により解除されたと主張して、違約金の支払を求めた(反訴請求)事案において、DBRPを被告に納入する義務が履行不能になったことにつき、原告に帰責事由があり、当該債務不履行を理由に、上記偵察システム等契約は解除されたとして、本訴請求を棄却し、反訴請求を認容した事例。
2016.08.02
売掛金請求控訴事件 
LEX/DB25448029/知的財産高等裁判所 平成28年 6月23日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第10026号
カメラマンである控訴人が、被控訴人に対し、控訴人の著作物である本件各写真を被控訴人が控訴人の許諾を得ることなく電子データ化し、これを被控訴人が管理運営するホームページに掲載したなどとして、著作権及び著作者人格権の不法行為による損害賠償を請求した事案において、ホームページ掲載行為につき控訴人による黙示の許諾があったとは認められないとして、控訴人の請求を棄却した原判決を変更した事例。
2016.08.02
売掛金請求事件
(上記平成28年6月23日知的財産高等裁判所(平成28年(ネ)第10026号)の原審) 
LEX/DB25543177/水戸地方裁判所龍ケ崎支部 平成28年 2月 1日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第24号
カメラマンである原告が、被告との間で、被告が発行する冊子に掲載するための写真撮影を行う契約を締結し、撮影した写真を納品したが、〔1〕被告が、原告の許可を得ずに上記冊子をいわゆるPDFファイルにして被告が運営するホームページに掲載したこと、〔2〕仮に原告が許可していたとしても、原告は、被告が上記撮影契約は有償であると偽った詐欺を理由に同契約を取り消したにもかかわらず、その後も掲載を続けたことにより、著作権及び著作者人格権を侵害され、著作権の侵害により314万2800円の、著作者人格権の侵害により500万円の損害を受けたとして、いずれも不法行為に基づき、合計814万2800円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件掲載行為が、原告の著作権及び著作者人格権を侵害したとはいえないとして、原告の請求を棄却した事例。