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2016.11.29
決定取消請求事件 
LEX/DB25544104/東京地方裁判所 平成28年 9月 1日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第464号
原告(金融コンサルタント)が、電力会社が公表した公募増資を巡り、同社の増資に関する情報を証券会社営業員から事前に伝えられ、公表前に保有していた電力会社株計200株を約44万円で売却したとして、処分行政庁(金融庁)から、課徴金6万円を納付すべき旨の決定を受けたのに対し、原告は、被告(国)に対し、インサイダー取引には当たらないとして、同決定の取消しを求めた事案において、証券会社営業員がほかの顧客と交わしたメールの内容などから、証券会社営業員が公表前に電力会社の公募増資や公表日を知っていたとは認められないとして、原告の請求を認容した事例。
2016.11.29
固定資産税都市計画税賦課処分取消請求事件(ビル型納骨堂の課税は適法 東京地裁)
LEX/DB25535515/東京地方裁判所 平成28年 5月24日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第414号
曹洞宗を宗派とする宗教法人である原告が、処分行政庁(東京都港都税事務所長)から、原告所有の各土地及び建物に係る平成26年度の固定資産税及び都市計画税の各賦課処分を受けたことに関し、上記建物において納骨堂を運営しており、上記各土地はその敷地であることからすれば、地方税法348条2項3号所定の「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法3条に規定する境内建物及び境内地」に該当し、固定資産税及び都市計画税を賦課することはできないと主張して、被告(東京都)に対し、上記各賦課処分の取消しを求めた事案において、本件非課税対象外部分は、「宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第3条に規定する境内建物及び境内地」に当たるということはできないとし、本件各賦課処分は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.11.29
LEX/DB25544206/大阪地方裁判所 平成27年 1月14日 決定 /平成26年(た)第22号
強制わいせつ、強姦被告事件につき、地方裁判所の有罪確定判決に対し、再審の開始を始めた請求人の弁護人が、検察官に対して、本件捜査の開始から再審請求後の補充捜査に至るまでに収集された証拠の全てを開示する旨の証拠開示命令を発せられたいとの申立てをした事案において、本件は、当時中学生であったA及び高校生であったBが、養父である請求人を強姦等の犯人とする供述をし、その後一転してこれが虚偽の供述であったと述べたという特異な事件であり、このような中で弁護人が開示を求める証拠を具体的に特定することは、相当な困難が伴い、ひいては,本件再審請求事件の迅速な判断が阻害されるおそれがあるとし、本件の審理を円滑に進行させるため、訴訟指揮権に基づき、検察官に対し、弁護人に、捜査機関の保管する一切の証拠の一覧表を交付することを命じた事例。
2016.11.22
地位確認等請求控訴事件(定年後再雇用賃下げ「適法」 原告逆転敗訴)
LEX/DB25543977/東京高等裁判所 平成28年11月 2日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2993号
被告(控訴人。一般貨物自動車運送事業等を目的した会社)を定年により退職した後に、被告との間で有期契約労働者である原告(被控訴人)らが、被告と無期契約労働者との間に不合理な労働条件の相違が存在すると主張して、〔1〕主位的に、当該不合理な労働条件の定めは労働契約法20条により無効であり、原告らには無期契約労働者に関する就業規則等の規定が適用されることになるとして、被告に対し、当該就業規則等の規定が適用される労働契約上の地位に在ることの確認を求めるとともに、その労働契約に基づき,当該就業規則等の規定により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額の支払等を求め、〔2〕予備的に、被告が上記労働条件の相違を生じるような嘱託社員就業規則を定め、原告らとの間で有期労働契約(嘱託社員労働契約)を締結し、当該就業規則の規定を適用して、本来支払うべき賃金を支払わなかったことは、労働契約法20条に違反するとともに公序良俗に反して違法であるとして、被告に対し、民法709条に基づき、その差額に相当する額の損害賠償金の支払等を求め、原判決は、原告らの各主位的請求をいずれも認容したので、これを不服とする被告が控訴した事案において、〔1〕原告らの主位的請求につき、原告ら有期労働契約者と無期契約労働者の間で労働条件に相違は、労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理なものであるということはできず、労働契約法20条に違反するとは認められないとし、〔2〕原告らの予備的請求につき、被告が、原告らと有期労働契約を締結し、定年前と同一の職務に従事させながら、賃金額を20ないし24パーセント程度切り下げたことが社会的に相当性を欠くとはいえず、労働契約法又は公序(民法90条)に反し違法であるとは認められないとして、被告の本件控訴に基づき、原判決を取り消し、原告らの被告に対する各主位的請求及び各予備的請求をいずれも棄却した事例。
2016.11.22
損害賠償等請求本訴事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)、不当利得返還請求事件(第3事件)、債務不存在確認請求反訴事件(第4事件) 
LEX/DB25544075/奈良地方裁判所 平成28年10月26日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第77号 等
原告aが、第1事故及び第2事故により受傷した上、これらの事故が相俟って後遺障害を生じ、かつ、精神障害の治療を要したと主張し、被告らに対し、共同不法行為責任に基づく損害賠償として、両事故が相俟って生じたと主張する損害から既払金を控除した残額818万5279円の連帯支払を求めるとともに、被告cに対し、不法行為責任に基づく損害賠償として、第2事故によって生じたと主張する損害から既払金を控除した残額624万4379円の支払を求めた事案(第1事件)、原告a及び被告bとそれぞれ自動車総合保険契約を締結していた原告fが、〔1〕原告aは、第1事件で虚偽の主張を繰り返し、被告bに対する多額の損害賠償請求を行ったものであり、これは被告b及び原告fに対する不法行為を構成すると主張して、原告aに対し、不法行為責任に基づく損害賠償として、原告aの行動調査に要した費用117万7000円の支払を求めるとともに、〔2〕原告fが原告aとの自動車総合保険契約に基づき支払った金員は原告aの不当利得に当たると主張し、原告aに対し、不当利得返還請求として、27万3750円の支払を求めた事案(第2事件)、被告cと自動車保険契約を締結していた原告dが、第2事故により原告aに人身損害が発生した事実はないから、原告dが上記保険契約に基づき対人賠償保険金として原告aに支払った金員は原告aの不当利得に当たると主張し、原告aに対し、悪意の受益者に対する不当利得返還請求として、322万5437円の支払を求めた事案(第3事件)、被告cが、第2事故により原告aに人身損害が発生した事実はないと主張し、第2事故に基づく被告cの原告aに対する損害賠償義務が存在しないことの確認を求めた事案(第4事件)において、原告aの本訴請求を棄却し、第2事件につき、原告aは、原告fに対し、不法行為責任に基づく損害賠償117万7000円及び不当利得返還請求27万3750円の支払を命じ、第3事件につき、原告aは、原告dに対し、不当利得返還請求として322万5437円及びこれに対する遅延損害金の支払を命じた事例。
2016.11.22
氏名権侵害妨害排除等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.1月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25544090/東京地方裁判所 平成28年10月11日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第5802号
被告の設置する中高一貫校の教員である原告が、業務に当たり通称として婚姻前の氏を使用することを希望したにもかかわらず、被告により戸籍上の氏を使用することを強制されたと主張して、被告に対し、人格権に基づき、時間割表等において原告の氏名として婚姻前の氏名を使用することを求めるとともに、人格権侵害の不法行為又は労働契約法上の付随義務違反による損害賠償請求権に基づき、慰謝料の支払等を求めた事案において、職場という集団が関わる場面において職員を識別し、特定するものとして戸籍上の氏の使用を求めた行為をもって不法行為と認めることはできず、また、違法な人格権の侵害であると評価することもできないとし、仮に、被告の上記行為が業務命令に該当するとしても、原告が婚姻前の氏を使用することができないことの不利益を考慮してもなお、当該業務命令の適法性を基礎付けるに足りる合理性、必要性が存するというべきであるとし、被告が労働契約法上の付随義務に違反したとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2016.11.22
株式価格決定申立事件 
LEX/DB25544091/静岡地方裁判所沼津支部 平成28年10月 7日 決定 (第一審)/平成27年(ヒ)第4号 等
利害関係参加人が、対象会社の特別支配株主として、対象会社の株主(利害関係人及び対象会社を除く。)の全員に対して、会社法179条1項に基づく株式売渡請求を行ったところ、売渡株主である申立人らがその所有していた対象会社の普通株式について売買価格の決定の申立て(会社法179条の8第1項)を行った事案において、対象会社の普通株式の売買価格として決定すべき価格を公開買付けの価格と同額とするのが相当であるとし、申立人らが有する対象会社の普通株式の売買価格を1株あたり370円と定めた事例。
2016.11.15
間接強制の申立事件 
LEX/DB25543836/東京家庭裁判所 平成28年10月 4日 決定 (第一審)/平成28年(家ロ)第374号
債務者(夫・同居親)が、確定決定に従わず、長女である未成年者(12歳)との第1回面会交流に応じなかったため、債権者(妻・別居親)は、次回の面会につき履行勧告の申立てをしたが、債務者は確定決定に従わなかったため、債権者は本件申立てをした事案において、債務者は債権者に対し、速やかに未成年者との面会を認めるべき義務があることは明らかであるところ、もはや任意の履行を期待することは困難な状況にあることから、間接強制の方法によって実現を図る必要及び理由があり、債務者の資力その他を考慮し、民事執行法172条1項により、間接強制の方法として、未成年者と面会交流を命じ、債務者が面会を履行しないときは、債権者に対し、不履行1回につき100万円の割合による金員の支払を命じた事例。
2016.11.15
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543851/宇都宮地方裁判所 平成28年 9月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第173号
被告(建設会社)のために施工図作成業務を行っていた亡Gが、被告が元請であった会社の技術研究所の現場事務所で倒れているのを発見され、脳幹出血で死亡し、亡Gの相続人である原告らは、亡Gは被告の労働者であり、被告は亡Gに対し安全配慮義務を負っているところ、これを怠ったため亡Gは死亡したとして、債務不履行に基づく損害賠償として、亡Gの妻である原告Aが1688万5680円及び遅延損害金の支払、亡Gの子である原告B、同C、同D及び同Eが、それぞれ1556万3518円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2016.11.15
面会交流審判に対する抗告事件 
LEX/DB25543835/東京高等裁判所 平成28年 4月14日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第142号
妻である原審申立人が、夫である原審相手方との間にもうけた長女である未成年者(12歳)について、その監護をしている原審相手方に対して面会交流を求めたところ、原審判が、未成年者の福祉に配慮し、月1回5時間の面会交流を実施し、手紙による通信及び贈り物を送ることを認めたことに対し、双方が抗告した事案において、原審判を一部変更し、(1)当事者や未成年者の病気や未成年者の学校行事等やむを得ない事情により、日程を変更する必要が生じたときは、上記事情が生じた当事者が、他方当事者に対し、速やかにその理由と共にその旨を電子メールによって通知し、原審申立人及び原審相手方は、未成年者の福祉を考慮して代替日を決める。(2)原審相手方は、原審申立人が、未成年者に対し、原審相手方の勤務する事務所を送付先とする方法によって、社会的に相当な範囲内の贈り物を送付することを妨げてはならず、原審申立人が未成年者宛てに送付した贈り物を受領した時は、速やかに当該贈り物を未成年者に交付しなければならないとした事例。
2016.11.15
面会交流申立事件 
LEX/DB25543834/東京家庭裁判所 平成27年12月11日 審判 (第一審)/平成26年(家)第10152号
妻である申立人が、夫である相手方と同居している夫妻の子の未成年者(12歳)との面会交流を求める調停の申立てをし、不成立となって審判手続に移行した事案において、申立人と未成年者との面会交流について、未成年者の福祉に配慮し、相手方に対し、月1回5時間の面会交流を実施し、手紙による通信及び贈り物を送ることを認めるのが相当であるとした事例。
2016.11.08
保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448235/最高裁判所第一小法廷 平成28年10月25日 決定 (特別抗告審)/平成28年(し)第607号
公訴提起後の第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告審において、原々審の裁判官が、検察官の意見書について弁護人に謄写を許可しなかった点は是認できないとした事例。
2016.11.08
損害賠償請求事件(相続税対策で損害 税理士法人に賠償命令)
LEX/DB25543800/東京地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第26327号
原告が、原告の顧問税理士であった被告に対し、〔1〕被告は、原告の前代表者Cの相続税対策としてデット・エクイティ・スワップ(DES)を提案するに際し、当該DESにより原告に多額の債務消滅益が生じることを説明せず、このため原告は課税リスクを認識することなくDESを実行したが、多額の法人税等の納付義務を生じ、本来支払う必要のなかった法人税等相当額計2億9309万3200円の損害を被った、〔2〕被告は、税務代理人として原告の税務申告書を作成、提出した際、事実と異なりDESはなかったとする前提の申告をしたため、原告はその後修正申告を余儀なくされ、延滞税等計516万5800円の損害を被った、〔3〕被告は、役員事前確定届出給与制度についての助言指導を怠ったために、原告は役員給与について同制度を利用できず、不要な納税義務が生じ、計85万7200円の損害を被った、〔4〕以上の被告の不法行為により本件訴訟に係る弁護士費用2991万1620円の支出を余儀なくされたと主張して、税務顧問契約の債務不履行又は不法行為に基づき、上記損害額合計3億2902万7820円及びその内金である上記〔1〕、〔2〕の小計2億9825万9000円に対する催告の日の翌日から、同じく上記〔3〕、〔4〕の小計3076万8820円に対する訴状送達の日の翌日から、各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求が全部認容された事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件 (愛知県弁護士会の転居先照会拒否 損害賠償請求認めず) 
LEX/DB25448208/最高裁判所第三小法廷 平成28年10月18日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1036号
弁護士法23条の2第2項に基づく照会を本件会社に対してした弁護士会である被上告人(原告・控訴人)が、本件会社を吸収合併した上告人(被告・被控訴人。日本郵政)に対し、主位的に、本件会社が23条照会に対する報告を拒絶したことにより被上告人の法律上保護される利益が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求め、予備的に、上告人が23条照会に対する報告をする義務を負うことの確認を求めたところ、原審が、被上告人の主位的請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、23条照会に対する報告を拒絶する行為が、23条照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の主位的請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却し、被上告人の予備的請求である報告義務確認請求については、更に審理を尽くさせる必要があるとして、原審に差し戻しを命じた事例(補足意見がある)。
2016.11.01
選挙無効請求事件 
LEX/DB25448209/最高裁判所第三小法廷 平成28年10月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ツ)第115号 等
千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例に基づいて平成27年4月12日に施行された千葉県議会議員一般選挙で、千葉市稲毛区選挙区、千葉市若葉区選挙区、千葉市美浜区選挙区、市川市選挙区、船橋市選挙区、野田市選挙区、習志野市選挙区、柏市選挙区、市原市選挙区、流山市選挙区、浦安市選挙区、八街市選挙区及び印西市選挙区の選挙人である原告ら(上告人)が、被告(被上告人。千葉県選挙管理委員会)に対し、上記条例のうち各選挙区で選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項に違反するとともに憲法14条1項に違反して無効であるから、これに基づき施行された上記選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟で、原審が、請求を棄却したため、原告らが上告した事案において、上記選挙当時における上記定数配分規定は、公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえず適法であるとし、また、上記定数配分規定が憲法14条1項の規定に違反していたものとはいえないとし、上記各請求をいずれも棄却した原審の判断は、是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.11.01
放送受信料請求事件 
LEX/DB25543802/奈良地方裁判所 平成28年 9月23日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3号
原告(NHK)が、被告との間の放送受信契約に基づき、被告に対し、平成24年12月1日から平成27年9月30日までの放送受信料4万3980円及びこれに対する約定遅延損害金の支払を求めた事案において、放送法4条1項に定める放送内容に関する義務は、原告が個々の契約者との関係で放送受信契約に基づき負担する義務ではなく、放送に際して一般的抽象的に負担する義務であるというべきであり、上記義務は、被告が負担する放送受信料支払義務と牽連関係にないものと解するのが相当であるなどとして、原告の請求を認容した事例。
2016.11.01
銃砲刀剣類所持等取締法違反、傷害被告事件
(弁護士の下腹部切断 元法科大学院生に懲役4年6月) 
LEX/DB25543578/東京地方裁判所 平成28年 7月 5日 判決 (第一審)/平成27年(刑わ)第2208号
当時法科大学院の学生であった被告人が、包丁とはさみを携帯し、妻と共に、妻の勤務先の法律事務所に向かい、その途中、地下鉄駅構内で携帯していた包丁をゴミ箱内に投棄したものの、はさみは携帯したまま同事務所に赴き、妻がその専属の事務員を務める弁護士と面会した際、同人を殴打し、その陰茎をはさみで切断したという銃砲刀剣類所持等取締法違反、傷害の事案において、被告人は、本件犯行の約5日前、妻から、被害者との間に性的関係があったことを打ち明けられて強い衝撃を受け、そして、妻の話しぶりなどから、妻が意に沿わない性交渉に応じさせられていたと考え、被害者に強い憎悪を抱いたものであり、被告人が犯行動機を形成するに至った経緯には、一定程度酌むべき事情は認められるものの、被告人の刑事責任は相当に重いといわなければならないとして、被告人を懲役4年6月に処した事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543808/福島地方裁判所 平成28年 5月24日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第17号
福島県知事から産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた原告(産業廃棄物処理会社)が、被告水利組合、被告A、被告B、被告Cに対し、被告らが福島地方裁判所相馬支部に対して原告を債務者とする上記産業廃棄物処理施設の建設工事の続行差止めを求める仮処分の申立てを違法に行い、上記建設工事の続行を禁止する仮処分命令が発令されたため、原告が1518日間にわたって事業の停滞を余儀なくされ、事業停滞期間の借地料、一般経費及び利益金の運用収益の合計4億3404万8616円の損害を被ったと主張して、被告らの共同不法行為に基づき、連帯して上記損害及び内金3159万3510円につき平成20年3月26日から、内金917万8705円につき平成20年3月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告B以外の被告に対し、処分場設置につき同意をしたにもかかわらず、これを撤回し反対運動を行ったことが債務不履行に該当するとして、同額の支払を求めた事案において、被告らが上記仮処分申立てを行ったことに過失があると認めることはできず、また、被告ら(被告Bを除く。)が本件同意に反して仮処分申立てを行ったとしても、それにより債務不履行責任が生じるとも認めることができないこととし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.10.25
賃金等、損害賠償請求控訴事件  (別職種で再雇用は違法 名古屋高裁 トヨタに賠償命令)
LEX/DB25543730/名古屋高等裁判所 平成28年 9月28日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第149号
被告(被控訴人)会社で、60歳に達して定年退職を迎える従業員について、再雇用の選定基準を満たした者は定年後再雇用者就業規則に定める職務を提示し、当該基準を満たさない者はパートタイマー就業規則に定める職務を提示することとされているところ、被告会社に雇用されていた原告(控訴人)は、被告会社に対し、原告に対する再雇用拒否の通告は無効であると主張し、原告と被告会社との間のスキルドパートナーとしての再雇用契約に基づいて原告が雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、定年退職の日の翌日からの賃金、及び、一時金並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求め、(2)被告会社には使用者として労働者である原告の健康を配慮する義務を含む安全配慮義務等があるにもかかわらず、上記義務に違反したとして、雇用契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた甲事件、また、原告が、被告会社で組織的ないじめを受けたと主張し、被告会社の代表取締役はこれを防止するべき任務を負い、又は原告に対してこれを防止するべき債務を負うにもかかわらず、その任務懈怠又は債務不履行があったと主張して、被告会社の代表取締役に対し、会社法429条1項又は債務不履行に基づく損害賠償として、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた乙事件で、原審が、甲及び乙事件の原告の請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案で、原告の被告会社に対する請求は、127万1500円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、これと異なる原判決を変更することとし、原告の被告会社の代表取締役に対する控訴は棄却した事例。
2016.10.25
LEX/DB25541829/大阪高等裁判所 平成26年12月17日 決定 (抗告審)/平成26年(く)第564号
少年Aは、Cと共謀の上、深夜、本件現場において、過去に少年に暴行を加えたことのある被害者に対し、少年が伸縮式警戒棒を伸ばして被害者の左顔面を殴打し、前記Cが鉄棒で被害者の頭部を殴打するなどの暴行を加え、同人に約1週間の安静及び通院加療を要する見込みの頭部外傷、顔面裂傷の傷害を負わせ、原決定の中等少年院送致に対し、少年Aが抗告した事案において、少年らの行為は誤想防衛に該当するとし、傷害罪は成立せず、少年に傷害の犯罪事実があると認めた原決定には重大な事実の誤認があるとして、原決定を取り消し、本件を大阪家庭裁判所に差し戻すこととした事例。