2017.03.21
窃盗被告事件(窃盗 元アナウンサー 逆転無罪)
LEX/DB25448514/最高裁判所第二小法廷 平成29年 3月10日 判決 (上告審)/平成27年(あ)第63号
被告人が、銀行で、客の被害女性Aが記帳台の上に置いていた現金(6万6600円)及び振込用紙2枚在中の封筒1通を窃取したとして起訴され、第1審は、(1)前日の夜、手持ちの封筒の中に振込用紙2枚とともに現金を入れたとするB(Aの母親)の証言、及び、当日の朝、出掛ける前に、上記封筒の中に現金が入っていることを確認したとするAの証言の各信用性を肯定して、Aが封筒を記帳台上に置き忘れた時点でその中に現金が在中していたとの事実を認定し、(2)同銀行に設置された防犯カメラの映像によれば、Aが封筒を置き忘れてから、行員が記帳台上に置き忘れられた封筒(現金の在中していないもの)を発見するまでの間に、封筒から現金を抜き取ることが可能であったのは、Aと同じ記帳台を利用した被告人しかいないとして、犯罪事実を認定し、被告人を懲役1年、執行猶予3年を言い渡したため、被告人が控訴し、第2審は、第1審の認定を是認して、控訴を棄却したため、これに不服の被告人が上告した事案において、被告人が公訴事実記載の窃盗に及んだと断定するには、合理的な疑いが残るとし、被告人に窃盗罪の成立を認めた第1審判決及びこれを是認した原判決には、判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があるとし、これを破棄し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例(反対意見がある)。