「LEX/DBインターネット」の「新着判例」コーナー
から、実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
ピックアップしてご紹介します。

その他の最新収録判例は、「LEX/DBインターネット」
ログイン後のデータベース選択画面にあります
「新着判例」コーナーでご確認いただけます。

「LEX/DBインターネット」の詳細は、こちらからご確認いただけます。

2017.04.25
行政処分取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545343/横浜地方裁判所 平成29年 3月 8日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第32号
〔1〕海老名市長から、指定管理者の承認を受けずに、自由通路上を移動しながら、プラカードを持って静止する行為(ポージング)を原告P1らが行ったことなどについて、海老名市海老名駅自由通路設置条例19条5項及び30条2項に基づき、あらかじめ指定管理者の承認を受けること、及び、プラカードを掲げる行為を行わないことを命令された原告P1が、被告(海老名市)に対し、上記命令が違法であると主張してその取消しを求め、また、〔2〕上記行動を呼びかけたと主張する原告団体及び原告P1とともに上記行動に参加したと主張する原告P4ら8名(原告P1及び原告団体以外の原告ら)が、被告に対して、市長が上記行動につき当該原告らに上記命令と同様の命令をすることの差止めを求めた事案において、上記命令のうち、原告P1が、同条例30条1項3号所定の禁止行為である「集会、デモ、座込み」をしたことを理由として、同条例30条2項に基づき命令された部分は、同条例の解釈適用を誤った違法であるとし、原告P1の取消請求の部分について一部認容し、その余の原告らの訴えを却下した事例。
2017.04.25
子の監護者の指定及び子の引渡し審判に対する抗告事件 
(平成28年11月9日横浜家庭裁判所横須賀支部(平成28年(家)第181号)の抗告審)
LEX/DB25545290/東京高等裁判所 平成29年 2月21日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第2102号
相手方(原審申立人。子の母。妻)が、別居中の夫であり未成年者を事実上監護している抗告人(原審相手方。子の父)に対し、未成年者の監護者を相手方と指定し、未成年者を相手方に引き渡すよう求め、原審が相手方の申立てを全部認めたため、抗告人が抗告した事案において、原審判は相当であるとして、抗告を棄却した事例。
2017.04.25
子の監護者の指定申立事件、子の引渡し申立事件
(平成29年2月21日東京高等裁判所(平成28年(ラ)第2102号)の原審判)
LEX/DB25545289/横浜家庭裁判所横須賀支部 平成28年11月 9日 審判 (第一審)/平成28年(家)第181号
相手方(子の父。夫)は、共同で監護していた未成年者(子)を、申立人(子の母。妻)の同意なく、予期できない時期に突然、一方的に連れ出し、所在さえ明らかにしないとして、申立人が、相手方に対し、未成年者の監護者を申立人と指定した上、未成年者を申立人に引き渡すよう命じた事案において、申立てを認め、未成年者の監護者を申立人と指定し、相手方に対し、引き渡しを命じた事例。
2017.04.18
預金返還等請求事件 
LEX/DB25448583/最高裁判所第一小法廷 平成29年 4月 6日 判決 (上告審)/平成28年(受)第579号
被上告人(亡Cの子)が、上告人(信用金庫)に対し、亡Cが有していた普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権を相続分に応じて分割取得したなどと主張し、その法定相続分相当額の支払等を求め、原審は、上記預金等債権は当然に相続分に応じて分割されるなどとして、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきであるとして、原審の判断には明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分のうち預金及び積金に係る請求に関する部分は破棄し、上記部分に関する被上告人の請求については、同部分につき第1審判決を取消し、同部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却し、その余の上告については、上告人及び上告補助参加人らは上告受理申立ての理由を記載した書面を提出しないため、却下した事例。
2017.04.18
じん肺管理区分決定処分取消等請求事件
LEX/DB25448584/最高裁判所第一小法廷 平成29年 4月 6日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第349号
建物の設備管理等の作業に従事した労働者Aが、福岡労働局長に対し、じん肺法15条1項に基づいてじん肺管理区分の決定の申請をしたところ、管理1に該当する旨の決定を受けたため、じん肺健康診断の結果によれば管理4に該当するとして、被上告人(被告・控訴人。国)を相手に、その取消し等を求め、Aが本件訴訟の第1審口頭弁論終結後に死亡したことから、同人の妻及び子である上告人らが相続により本件訴訟におけるAの地位を承継したと主張して訴訟承継の申立てをし、その成否が争点となり、原審が、第1審判決を取消して本件各訴訟について訴訟終了を宣言したため、上告人が上告した事案において、本件訴訟は、Aの死亡によって当然に終了するものではなく、上告人らがAの死亡の当時同人と生計を同じくしていたのであれば労働者災害補償保険法11条1項所定の遺族に該当するものとしてこれを承継することになるとし、原審の判断は明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人らに関する部分を破棄し、上告人らが遺族に該当するか否か等について、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2017.04.18
(平成28年11月30日名古屋高等裁判所金沢支部(平成28年(ネ)第144号)の上告審) 
LEX/DB25545322/最高裁判所第一小法廷 平成29年 3月23日 決定 (上告審)/平成29年(受)第369号
相手方(被告・被控訴人)法人の設置する大学の教授であった申立人(原告・控訴人)が、相手方法人の代表者理事長である相手方(被告・被控訴人)Bによって、相手方法人の内部における役職はもとより、関係外部の役職からも違法に解任され、かつ、その事実を内外に伝達・表明されたため、申立人の社会的信用が毀損したなどと主張して、相手方Bに対しては不法行為に基づく損害賠償請求として、相手方法人に対しては私立学校法29条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づく損害賠償請求として、連帯して慰謝料の支払等を求め、第1審及び控訴審も申立人の請求を棄却したため、上告した事案において、本件を上告審として受理しないと決定した事例。
2017.04.18
公文書非公開決定取消請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448531/神戸地方裁判所 平成29年 3月 2日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第26号
原告が、神戸市情報公開条例に基づき、同市教育委員会に対し、平成25年度までの教職員による体罰事故報告書の公開を請求したところ、一部を非公開とし、その余の部分を公開する旨の本件決定を受けたため、本件決定のうち非公開とした部分の取消しを求めた事案において、条例10条1号前段の非開示情報(「特定の個人が識別され、若しくは識別されうる情報」)に当たるか否かは、特定の立場にある者が有する情報との照合による個人の特定可能性ではなく、一般人が通常入手し得る情報との照合により、特定の個人を識別することが相当程度の確実性をもって可能と認められるか否かにより決すべきであるなどとし、本件非公開部分は、本件条例10条1号前段所定の非開示情報、同号後段所定の非開示情報のいずれにも当たらないとして、原告の請求を認容した事例。
2017.04.18
損害賠償請求控訴事件
(平成29年3月23日最高裁判所第一小法廷(平成29年(受)第369号)の原審) 
LEX/DB25545321/名古屋高等裁判所金沢支部 平成28年11月30日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第144号
被控訴人(被告)法人の設置する大学の教授であった控訴人(原告)が、被控訴人法人の代表者理事長である被控訴人(被告)Bによって、被控訴人法人の内部における役職はもとより、関係外部の役職からも違法に解任され、かつ、その事実を内外に伝達・表明されたため、控訴人の社会的信用が毀損したなどと主張して、被控訴人Bに対しては不法行為に基づく損害賠償請求として、被控訴人法人に対しては私立学校法29条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条に基づく損害賠償請求として、連帯して慰謝料の支払等を求め、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、控訴人の本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2017.04.11
再審請求棄却決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448574/最高裁判所第一小法廷 平成29年 3月31日 決定 (特別抗告審)/平成28年(し)第639号
請求人は、自宅で、当時の被告人の妻Aに対し、その鼻部付近を手のひらで押し、同人を転倒させて臀部を床に打ち付ける暴行を加え、加療約5日間を要する左臀部挫傷、鼻部打撲の傷害を負わせたとの事実で起訴され、簡裁で、罰金15万円に処する旨の略式命令を受け確定(本件確定裁判)したが、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとして、本件確定裁判に対する再審を請求し、新証拠として、「実際には暴行を受けていないし、けがもしていないが、請求人との離婚を有利に進めるため、医師に頼んで診断書を書いてもらい、虚偽の被害届を出した」という内容のAの陳述書等を提出し、原々審は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するものとはいえないとし棄却したため、請求人が即時抗告し、原審は、原々審の決定を取り消し、再審開始の決定をしたため、検察側が特別抗告した事案において、Aの証人尋問や請求人の本人尋問等を行わないまま、陳述書の信用性は相当に高いなどと評価し、陳述書等の新証拠を基にすると、Aの従前の供述や請求人の捜査官に対する自白は信用するに足りるものとはいえないと断定して、新証拠が請求人に対し無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たると判断した原審の手続には、新証拠の信用性、とりわけ陳述書の作成経緯・過程の吟味を怠った点で、審理不尽の違法があるとして、原決定を取消し、高裁へ差し戻した事例。
2017.04.11
犯人隠避,証拠隠滅被告事件 
LEX/DB25448564/最高裁判所第二小法廷 平成29年 3月27日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第1266号
被告人は、道路交通法違反及び自動車運転過失致死の各罪の犯人がAであると知りながら、同人との間で、A車が盗まれたことにするという、Aを各罪の犯人として身柄の拘束を継続することに疑念を生じさせる内容の口裏合わせをした上、参考人として警察官に対して口裏合わせに基づいた虚偽の供述をしたもので、このような被告人の行為は、刑法103条にいう「罪を犯した者」をして現にされている身柄の拘束を免れさせるような性質の行為と認められるのであって、同条にいう「隠避させた」に当たると解するのが相当であるとし、被告人について、犯人隠避罪の成立を認めた原判断は是認できるとして、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.04.11
損害賠償等請求事件(東京メトロ売店 契約社員 賃金格差是正請求を棄却) 
LEX/DB25545272/東京地方裁判所 平成29年 3月23日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第10806号
被告の契約社員として有期労働契約を締結し、東京メトロ駅構内の売店で販売業務に従事してきた原告らが、期間の定めのない労働契約を締結している被告の従業員が原告らと同一内容の業務に従事しているにもかかわらず賃金等の労働条件において原告らと差異があることが、労働契約法20条に違反しかつ公序良俗に反すると主張して、不法行為又は債務不履行に基づき、平成23年5月分から退職日(在職中の原告P1については平成28年9月分)までの差額賃金(本給・賞与、各種手当、退職金及び褒賞の各差額)相当額、慰謝料等の支払を求めた事案において、P1の請求額を減額したうえで、一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2017.04.11
地位確認等請求事件 
LEX/DB25545226/京都地方裁判所 平成29年 3月 1日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第310号
平成26年3月31日当時、被告が設置する大学院の教授であり、同日付けで定年退職の扱いとなった原告が、主位的に、(1)被告就業規則附則1及び昭和48年の理事会決定により、又は、(2)原告と被告との間の労働契約の内容として、予備的に、(3)被告大学院における事実たる慣習として、特段の事情のない限り、満65歳を迎えても70歳まで1年度ごとに定年が延長されると主張し、被告に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び未払賃金の支払いを求めた事案において、原告について、満65歳に達した後の3月31日に特段の事情がない限り定年延長がなされるということはできず、就業規則10条1項、昭和48年理事会決定に基づき、原告は、平成26年3月31日の経過をもって定年退職をしたものであるとし、原告の請求を棄却した事例。
2017.04.11
性別の取扱いの変更審判申立事件 
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545225/岡山家庭裁判所津山支部 平成29年 2月 6日 審判 (第一審)/平成28年(家)第1306号
申立人が、申立人の性別の取扱いを女から男に変更する審判を求めた事案において、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項4号が、憲法13条に違反するほどに不合理な規定であるということはできないとし、本件申立てを却下した事例。
2017.04.11
条例廃止処分取消請求事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545115/青森地方裁判所 平成29年 1月27日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第5号
被告が、公の施設として本件記念館を設け、本件記念館条例において、その設置及び管理に関する事項を定めていたが、その後、本件記念館条例を廃止する条例を制定したことにつき、原告が、被告に対し、本件廃止条例制定行為の取消しを求めた事案において、本件保管覚書合意は、その内容に照らせば、P3(その地位を承継した原告)及び被告の一般的・抽象的な努力義務を定めたものに止まるものであることが明らかであって、これに基づいて具体的な権利ないし法的地位が生ずるという性質のものとはいい難く、本件保管覚書合意を基礎として本件廃止条例制定行為の処分性を認めることはできないとし、訴えを却下した事例。
2017.04.11
書籍販売等禁止仮処分命令申立事件 
「新・判例解説Watch」解説記事が掲載されました
LEX/DB25545218/東京地方裁判所 平成29年 1月 6日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第1284号
Cの著書である本件書籍記載の各記述により名誉を毀損されたと主張する債権者が、本件書籍の発行所である債務者(出版社)に対し、上記各記述を抹消しない限り、書籍の販売、無償配布及び第三者への引渡しを禁止することなどを求めた事案において、本件書籍の出版等の差止めは、表現の自由に重大な制約になることから、表現内容が真実でないこと及び専ら公益目的でないことの疎明責任は債権者が負うべきであるとしても、これらの要件の明白性まで要求するのは相当ではなく、表現内容が真実でないこと、又は公益を図る目的に出たものではないことの相当程度の蓋然性があり、かつ、債権者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれが認められる必要があると解するのが相当であるとし、債権者の申立ては、一部の記述部分の出版、販売又は頒布の禁止を求める限度で認め、300万円の担保を立てることを保全執行の条件としてこれを認容し、その余の申立てを却下した事例。
2017.04.04
特許権侵害行為差止請求事件 
LEX/DB25448553/最高裁判所第二小法廷 平成29年 3月24日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1242号
角化症治療薬の有効成分であるマキサカルシトールを含む化合物の製造方法の特許に係る特許権の共有者である被上告人(原告・被控訴人)が、上告人(被告・控訴人)らの輸入販売等に係る医薬品の製造方法は、上記特許に係る特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであり、その特許発明の技術的範囲に属すると主張して、上告人らに対し、当該医薬品の輸入販売等の差止め及びその廃棄を求め、第一審は、被上告人の請求を認容したため、上告人らが控訴し、控訴審は、第一審判決は相当であるとして控訴を棄却したため、上告人らが上告した事案において、被上告人が、特許の特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の上告人らの製造方法と異なる部分につき、客観的、外形的にみて、上告人らの製造方法に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたという事情があるとはうかがわれないとし、原審の判断を是認できるとして、上告を棄却した事例。
2017.04.04
損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448466/神戸地方裁判所 平成29年 2月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1195号
被告の運営する保育園の近隣に居住する原告が、園児が園庭で遊ぶ際に発する声等の騒音が受忍限度を超えているなどと主張し、被告に対し、不法行為による損害賠償を求めるとともに、人格権に基づき、保育園の敷地境界線上において保育園からの騒音が50dB(LA5)以下となるような防音設備の設置を求めた事案において、原告が保育園からの騒音により精神的・心理的不快を被っていることはうかがえるものの、原告宅で測定される保育園の園庭で遊戯する園児の声等の騒音レベルが、未だ社会生活上受忍すべき限度を超えているものとは認められず、不法行為を基礎づける程度の違法があるということはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2017.03.28
遺族補償年金等不支給決定処分取消請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448538/最高裁判所第三小法廷 平成29年 3月21日 判決 (上告審)/平成27年(行ツ)第375号
上告人(原告・被控訴人)の妻が、公務により精神障害を発症し自殺したため、上告人が、遺族補償年金の支給請求をするとともに、遺族特別支給金等の支給申請をしたが、いずれも不支給とする旨の決定を受けたため、被上告人(被告・控訴人。地方公務員災害補償基金)に対し、上記処分の取消しを求め、第一審では、上告人の請求を認容したため、被上告人が控訴し、控訴審では、妻について、遺族補償年金を受給できるものとするが、夫について、「一般に独力で生計を維持することが困難である」と認められる一定の年齢に該当する場合に遺族補償年金を受給できるものとする旨の遺族補償年金の受給要件に係る区別は、合理性を欠くということはできないとし、第一審判決を取り消し、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、地方公務員災害補償法32条1項ただし書及び附則7条の2第2項のうち、死亡した職員の夫について、当該職員の死亡の当時一定の年齢に達していることを受給の要件としている部分が憲法14条1項に違反しないとしたうえで、原審の判断は正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2017.03.21
窃盗,建造物侵入,傷害被告事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448527/最高裁判所大法廷 平成29年 3月15日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第442号
被告人が複数の共犯者と共に犯したと疑われていた窃盗事件に関し、組織性の有無、程度や組織内における被告人の役割を含む犯行の全容を解明するための捜査の一環として、約6か月半の間、被告人、共犯者のほか、被告人の知人女性も使用する蓋然性があった自動車等合計19台に、同人らの承諾なく、かつ、令状を取得することなく、GPS端末を取り付けた上、その所在を検索して移動状況を把握するという方法によりGPS捜査が実施されたことにつき、第1審は、GPS捜査により直接得られた証拠及びこれに密接に関連する証拠の証拠能力を否定したが、その余の証拠に基づき被告人を有罪と認定し、これに対し、原判決は、GPS捜査に重大な違法があったとはいえないと説示して、第1審判決が証拠能力を否定しなかったその余の証拠についてその証拠能力を否定せず、被告人の控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、GPS捜査によって直接得られた証拠及びこれと密接な関連性を有する証拠の証拠能力を否定する一方で、その余の証拠につき、同捜査に密接に関連するとまでは認められないとして証拠能力を肯定し、これに基づき被告人を有罪と認定した第1審判決は正当であり、第1審判決を維持した原判決の結論に誤りはないとし、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.03.21
貸金請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448515/最高裁判所第二小法廷 平成29年 3月13日 判決 (上告審)/平成28年(受)第944号
上告人(被告・被控訴人)と保証契約を締結していた被上告人(原告・控訴人)が、上告人に対し、同契約に基づき、保証債務の履行を求め、上告人が上記保証契約に基づく保証債務履行請求権の時効消滅を主張したのに対し、被上告人が上告人に対する貸金の支払を求める旨の支払督促により消滅時効の中断の効力が生じていると主張して争い、原審が、被上告人の請求を全部認容したため、上告人が上告した事案において、貸金の支払を求める旨の支払督促で貸金債権が行使されたことにより、これとは別個の権利である保証契約に基づく保証債務履行請求権についても行使されたことになると評価することはできず、上記支払督促は、保証債務履行請求権について消滅時効の中断の効力を生ずるものではないとして、原判決を破棄し、被上告人の請求を棄却した第1審判決の結論は正当であるとし、被上告人の控訴を棄却した事例。