注目の判例

2020年

2020.02.18
(不動産業者敗訴確定:仲介手数料、上限は半月分)
LEX/DB25580356/東京高等裁判所 令和 2年 1月14日 判決 (上告審)/令和1年(ツ)第120号
被上告人(原告・控訴人)が、本件建物の賃貸借契約の締結を媒介した上告人(被告・被控訴人)が、媒介の依頼を受けるに当たって被上告人の承諾を得ていないにもかかわらず、宅地建物取引業法46条1項及び「宅地建物取引業法の規定により宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額」(昭和45年10月23日建設省告示第1552号。本件賃貸借契約が締結された当時のものは、平成16年2月18日国土交通省告示第100号による改正後のもの)の規制を超える額の媒介報酬を被上告人から受領したものであり、上記規制を超える額の受領は宅建業法46条2項に違反し無効であると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、上告人が受領した媒介報酬のうち上記規制を超える11万8125円の支払等を求め、第1審は、被上告人は上告人との間の本件賃貸借契約のための媒介契約が成立した際に上告人から媒介報酬額の承諾を得ていたと認められ、宅建業法46条2項に違反しないとして被上告人の請求を全部棄却したため、被上告人がこれを不服として控訴し、控訴審は、第1審判決を取消し、宅建業法46条1項、2項及び報酬告示所定の最高額を超える契約部分は無効であり、本件において同条項の最高額を超える部分である11万8125円の媒介報酬の支払については無効であるから、上告人は、被上告人に対し、不当利得に基づく利得金返還を命じたため、上告人が上告した事案で、控訴審の認定判断は、正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2020.02.18
損害賠償請求事件
LEX/DB25564685/東京地方裁判所 令和 1年12月20日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第6203号
原告が、株式会社S社に対し、原告が運営するインターネット上の通販サイトにおけるクレジットカードによる決済の機能を利用して商品を購入することができるシステム全体について、セキュリティ対策を含めたシステムの運用、保守管理を委託し、その一環としてハートブリードというセキュリティ上の脆弱性への対策を依頼したにもかかわらず、S社が対策を講じなかったことから、原告の顧客のクレジットカード情報が漏えいし、原告において顧客への対応のための費用等の支出を余儀なくされ、これにより損害を被ったとして、S社を吸収合併した被告に対し、委託契約の債務不履行に基づく損害賠償金の支払を求めた事案において、本件契約に基づき委託される業務にシステム全体のセキュリティ対策を講じることが含まれていたことを根拠付けるものということはできないし、S社における本件契約の担当者が本件情報漏えいの原因について考察しS社の担当者のメールアドレスから送信されたメールも、自らがS社の業務として本件システム全体のセキュリティ対策をしていた旨を明確に示したものということはできないし、そのメールアドレスがS社のものであるからといって、担当者の対応がS社の業務として提供された業務であったことを示すことにはならないとし、請求を棄却した事例。
2020.02.18
労災保険遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件
LEX/DB25564683/福岡高等裁判所 令和 1年12月 5日 判決 (控訴審)/令和1年(行コ)第28号
被控訴人(原告)が、その夫であり養殖業者に対する魚薬の営業販売等の業務に従事していたDが心室細動を原因とする急性心不全を発症し、これにより死亡したのは、取引先からのストレスにさらされながらの長時間の過重労働や海上での過酷な消毒作業に従事したことによるものであるとして、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付等の請求をしたところ、処分行政庁がいずれも不支給とする決定をしたため、同決定は違法である旨主張して、控訴人(被告、国)に対し、同不支給決定の取消しを求め、原審は、被控訴人の請求を認めて、処分行政庁による不支給決定をいずれも取り消したため、控訴人が、これを不服として控訴した事案において、亡Dの業務と急性心不全の発症との間に相当因果関係があると認めることはできないとして、控訴人の控訴を棄却した事例。
2020.02.12
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件 
LEX/DB25570677/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 1月27日 決定 (上告審)/平成29年(あ)第242号
被告人は、昭和57年から同59年にかけて初版本が出版された写真集に掲載された写真3点の画像データ(本件各写真)を素材とし、画像編集ソフトを用いて、コンピュータグラフィックスである画像データ3点(本件各CG)を作成した上、不特定又は多数の者に提供する目的で、本件各CGを含むファイルをハードディスクに記憶、蔵置させているところ、本件各写真は、実在する18歳未満の者が衣服を全く身に着けていない状態で寝転ぶなどしている姿態を撮影したものであり、本件各CGは、本件各写真に表現された児童の姿態を描写したとした事案の上告審において、被告人が本件各CGを含むファイルを記憶、蔵置させたハードディスクが児童ポルノであり、本件行為が児童ポルノ法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たるとした第1審判決を是認した控訴審の判断は正当であり、児童ポルノ法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには、同条4項に掲げる行為の目的で、同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り、当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しないというべきであるとした事例(補足意見がある)。
2020.02.12
婚姻費用分担審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
「新・判例解説Watch」家族法分野 7月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570671/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 1月23日 決定 (許可抗告審)/平成31年(許)第1号
妻である抗告人は、夫である相手方に対し、婚姻費用分担調停の申立てをし、離婚の調停が成立したが、同調停において、財産分与に関する合意はされず、いわゆる清算条項も定められなかった。上記婚姻費用分担調停事件は、離婚調停成立の日と同日、不成立により終了したため、上記申立ての時に婚姻費用分担審判の申立てがあったものとみなされて、審判に移行し、原決定は、抗告人の相手方に対する婚姻費用分担請求権は消滅したから、離婚時までの婚姻費用の分担を求める本件申立ては不適法であるとして、これを却下したため、抗告人が許可抗告をした事案において、婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権が消滅するものとはいえないとし、本件申立てを却下した原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2020.02.12
行政措置要求判定取消請求事件(第1事件)、国家賠償請求事件(第2事件) 
(性同一性障害訴訟:トイレ使用制限は「違法」)
LEX/DB25580421/東京地方裁判所 令和 1年12月12日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第667号 等
トランスジェンダーで国家公務員の原告が、その所属する経済産業省で女性用トイレの使用に関する制限を設けないこと等を要求事項として国家公務員法86条の規定に基づいて人事院に対してした勤務条件に関する行政措置の各要求に関し、本件各措置要求がいずれも認められない旨の判定を受けたことから、本件判定がいずれも違法である旨を主張して、被告国に対し、本件判定に係る処分の取消しを求めた事案(第1事件)、また、上記の原告が、経済産業省において女性用トイレの使用についての制限を受けていること等に関し、経済産業省の職員らがその職務上尽くすべき注意義務を怠ったものであり、これによって損害を被った旨を主張して、国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求として、被告国に対し、慰謝料等の支払を求めた事案(第2事件)において、第1事件に係る本件判定のうち原告が女性トイレを使用するためには性同一性障害者である旨を女性職員に告知して理解を求める必要があるとの経済産業省当局による条件を撤廃し、原告に職場の女性トイレを自由に使用させることとの要求を認めないとした部分を取り消す内容で一部認容し、第2事件に係る慰謝料等の支払を一部認容した事例。
2020.02.04
詐欺、窃盗、詐欺未遂被告事件
LEX/DB25570664/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 1月23日 判決 (上告審)/平成29年(あ)第2073号
被告人が知人女性から預かった鞄の中にあった財布内からクレジットカードを窃取した上、さらに同人になりすまして同カードを使用して商品を詐取し、あるいは詐取しようとしたが未遂に終わったとして起訴され、クレジット機能付きポイントカードを詐取し、さらにこれを使用して財布等を詐取した犯行については、被告人が犯人である可能性が高いとは言えるものの、被告人以外の人物が各犯行を行ったことを否定できるほどの事情は認められないとして、無罪を言い渡し、その余の犯行については犯人と認め、第1審判決は懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡したため、双方が控訴し、控訴審判決は、一切事実の取調べをしていないが、直ちに判決をすることができるとして自判し、被告人を本件公訴事実についても有罪として、懲役2年6月に処したため、双方が上告した事案で、控訴審判決は、本件公訴事実の存在を確定せず無罪を言い渡した第1審判決を事実誤認で破棄し、およそ何らの事実の取調べもしないまま本件公訴事実を認定して有罪の自判をしたのであって、控訴審判決は、最高裁判例(昭和31年7月18日最高裁大法廷判決、昭和31年9月26日最高裁大法廷判決)と相反する判断をしたものであるとして、控訴審判決を破棄し、高等裁判所に差し戻した事例。
2020.02.04
投稿記事削除請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 4月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25580335/東京地方裁判所 令和 1年10月11日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第66号 等
原告が、ツイッターに投稿された原告の過去の逮捕歴に係る本件各投稿記事により原告の前科等を公表されない利益や社会生活の平穏を害されない利益が侵害されていると主張して、同ウェブサイトを管理運営する被告に対し、前記各利益に係る人格権及び人格的利益に基づく妨害排除請求権に基づき、本件各投稿記事の削除を求めた事案において、本件各投稿記事がグーグルにおける検索結果では表示されず、ツイッターにおける検索結果においてのみ表示されるものであって、本件各投稿記事が伝達される範囲は一定程度限られたものであることを考慮したとしても、本件逮捕に関する事実を公表されない原告の法的利益は、本件各投稿記事により本件逮捕に関する事実の公表を継続する法的利益ないし必要性に優越するものと認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2020.02.04
親子関係不存在確認事件
「新・判例解説Watch」国際私法分野 2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25580357/名古屋家庭裁判所豊橋支部 平成30年10月 2日 判決 (第一審)/平成30年(家ホ)第18号
原告が被告に対し、原告の母である原告法定代理人母は、被告と婚姻中に原告を懐胎したが、懐胎当時、母と被告が性交渉をもった可能性がなく、原告は被告の子ではないとして、原告と被告との間の親子関係が存在しないことの確認を求めた事案において、準拠法についての検討で、親子関係の成立という法律関係のうち嫡出性取得の問題を一個の独立した法律関係として規定している法の適用に関する通則法28条、29条の構造上、親子関係の成立が問題になる場合には、まず嫡出親子関係の成立についての準拠法により嫡出親子関係が成立するかどうかを見た上、そこで嫡出親子関係が否定された場合には、嫡出とされなかった子について嫡出以外の親子関係の成立の準拠法を別途見いだし、その準拠法を適用して親子関係の成立を判断すべきであるとし、本件の母(本国法:ルーマニア法)及び被告(本国法:日本法)は、日本で婚姻し、婚姻生活を送り、離婚していることから、離婚当時、婚姻の効力を規律した法律は日本法であるとし、法の適用に関する法律41条により、日本法が適用されることとなり、被告の本国法も日本法であることから、嫡出親子関係に係る準拠法は日本法となるとした上で、母と被告とは、母が原告を懐胎した頃には、事実上離婚状態にあり、また、科学的証拠により原告と交際相手eとの間に親子関係が存在することが認められるところ、翻って、原告と被告との間に親子関係が存在しないことが明らかであるから、原告は民法772条の推定を受けるものではなく、かつ、原告は、被告の子ではないことが明らかであるとし、原告と被告との間には、親子関係は存在しないとして、原告の請求を認容した事例。
2020.01.28
投稿記事削除仮処分命令申立事件
LEX/DB25580250/大阪地方裁判所堺支部 令和 1年12月27日 決定 (第一審)/令和1年(ヨ)第66号
債権者(歯科医院)が、債務者の管理・運営するウェブサイト上に投稿された記事により債権者の人格権(名誉権)が侵害されていると主張して、債務者に対し、人格権(名誉権)に基づき、上記記事の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案において、本件記事の削除請求を基礎付ける被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとして、債権者の申立てを却下した事例。
2020.01.28
相続税返還請求控訴事件
LEX/DB25564618/大阪高等裁判所 令和 1年10月10日 判決 (控訴審)/平成31年(行コ)第25号
平成18年11月8日に死亡したCを相続し、その相続税に係る納税申告(平成20年12月19日)において相続財産である株式の価額を同申告当時の財産評価基本通達に従って評価して納税した控訴人(原告)らが、被控訴人(被告。国)に対し、同申告に係る納税額(控訴人Aにつき3億1872万7000円、控訴人Bにつき848万4200円)と同申告後に改正された同通達の関係部分に従って株式の価額を評価して算出した納税額との差額を被控訴人が保持することには法律上の原因がない旨主張して、不当利得返還請求権に基づき、控訴人Aにおいては6692万0300円及び法定利息の支払を、控訴人Bにおいては106万2800円及び法定利息の支払をそれぞれ求め、これと選択的に、国税庁長官には、上記相続に係る相続税の申告納付期限である平成19年9月10日までに上記通達を改正すべき職務上の注意義務があり、伊丹税務署長には、平成24年3月2日(後述する判決により改正前の通達の合理性を否定する地方裁判所の判断がされた日)までに上記相続税につき減額更正処分をすべき職務上の注意義務があったにもかかわらず、これらの注意義務に違反したことにより控訴人らは前同額の損害を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、前同額の金員及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めたところ、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、これを不服とする控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの本件各請求はいずれも理由がないとし、本件控訴を棄却した事例。
2020.01.21
地位確認等請求事件
LEX/DB25564433/東京地方裁判所 令和 1年 8月 7日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第23597号
被告の入社試験を受け、採用内定を得た原告が、その後、被告から内定を取り消されたが、本件内定取消しは、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないようなものであって、取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができない事実に基づきなされたものであるから無効であり、被告との労働契約は成立しているとして、被告に対する労働契約上の地位確認及び賃金の支払を求めた事案で、「本件採用内定が被告の錯誤により無効といえるか」について、本件全証拠に照らしても、原告が被告に対し、その経歴や能力を詐称したこと(原告による欺罔行為)を認定することはできず、また被告において、これらの事情が本件採用内定の判断の基礎とした事情となったことや、これらの事情に関する認識が真実に反すること等についての主張及び的確な立証はなされていないから、被告の主張を採用することはできないとする一方、遅くとも、試用期間満了後の時点では、原告の雇用状況は一応安定していたと認められ、原告の被告における就労意思は失われたと評価するのが相当であるところ、本件訴えのうち、原告の被告に対する労働契約上の地位確認を求める部分(請求1)については、もはや訴えの利益がなく、却下を免れないが、本件採用内定通知に定められた労働契約の始期(平成29年1月1日)から同年7月9日までの賃金(バックペイ)請求については、使用者たる被告の責めに帰すべき事由により、原告が労務の提供ができなかった期間に当たり、原告はその間の賃金請求権を失わないから(民法536条2項)、その限度において理由があるというべきであるとして、原告の確認請求を却下し、賃金請求を一部認容した事例。
2020.01.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25563894/名古屋地方裁判所 令和 1年 7月30日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3483号
他人名義の偽造旅券を行使して日本に入国したスリランカ国籍の原告が、退去強制令書の発付処分を受けた後、難民不認定処分を受け、その後前記処分に対する異議申立てをし、同申立てが棄却された場合は難民不認定処分に対して取消訴訟等をする意向を示していたにもかかわらず、入国警備官らが、前記異議申立棄却決定の後、原告による難民不認定処分に対する取消訴訟等の提起を妨害するために、同棄却決定の告知をあえて遅らせて原告を収容し、同棄却決定の告知後は弁護士との連絡もできなくしたほか、原告に対してスリランカ帰国後に訴訟ができるとの虚偽の説明をするなどして、原告を強制送還したという一連の違法な公権力行使により、原告の裁判を受ける権利が違法に侵害されたとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負っているわけではなく、裁判所における裁判を受ける権利が保障されていることを直接の根拠として、退去強制を受ける立場にあった原告について、本件不認定処分に対する取消訴訟を提起するまでの合理的期間、強制送還されない具体的権利が保障されていたと認めることはできないが、原告がスリランカに送還されてしまえば訴えの利益が失われることになるにもかかわらず、入国警備官らは、原告がスリランカに送還されてもなお前記訴訟を提起することが可能であるかのような誤った教示を行っており、これは、公務員たる入国警備官が職務上通常尽くすべき義務を尽くさなかったことにほかならないというべきであるから、国家賠償法上違法であると認めるのが相当であるところ、原告においては、裁判を受ける権利そのものが侵害されたのではなく、その前提となる適切な教示を受ける権利が侵害されていると認められ、原告の請求は、それによる慰謝料を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。
2020.01.14
選挙供託金制度違憲国家賠償請求控訴事件 
LEX/DB25564528/東京高等裁判所 令和 1年12月11日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第2797号
控訴人(原告)が、第47回衆議院議員総選挙における小選挙区選出議員の選挙に立候補しようとしたところ、公職選挙法92条1項1号が立候補のために必要と定める300万円または同額の国債証書を供託することができず、上記選挙に立候補することが許されなかったが、上記公職選挙法の規定は、憲法15条1項が保障する立候補の自由を侵害し、立候補資格について財産又は収入による差別を禁止する憲法44条ただし書並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約25条に違反することが明らかであり、国会は、上記公職選挙法の規定を改正して供託の定めを廃止し又は少なくとも供託金の額を減額することが必要不可欠であったにもかかわらず、正当な理由なく、長期間にわたってそのような立法措置を怠ったものであるから、この立法の不作為は国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものであると主張して、被控訴人(被告)である国に対し、同法1条1項に基づき慰謝料の支払を求め、原判決が、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人が控訴した事案で、原判決は相当であるとし、控訴人の本件控訴を棄却した事例。
2020.01.14
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25564331/名古屋高等裁判所 令和 1年 8月22日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第936号
控訴人が、被控訴人従業員らによる不招請勧誘禁止違反、適合性原則違反、説明義務違反、新規委託者保護義務違反、実質的一任売買、過当取引等の一連の違法行為が存在したとして、被控訴人従業員らに対し、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求として、また、被控訴人従業員らの不法行為は被控訴人会社の事業の執行についてなされたものであるとして、被控訴人会社に対し、民法715条に基づく損害賠償請求として、さらに、被控訴人役員らには、被控訴人会社における教育指導体制等の内部統制システム整備・運営義務違反があったとして、被控訴人役員らに対し、会社法429条1項に基づく損害賠償請求として、連帯して1698万3780円の支払等を求めたところ、原審は、被控訴人T及び被控訴人Iの新規委託者保護義務違反、被控訴人従業員らの指導・助言義務、信任・誠実公正義務違反、被控訴人会社の使用者責任及び被控訴人役員らの法令等遵守及び内部管理体制を確立・整備し、適正な勧誘・受託の履行を確保すべき任務の懈怠を認め、控訴人の過失割合を4割、控訴人の損害額は1019万0268円と認めるのが相当であるとし、控訴人の請求を、被控訴人従業員ら、被控訴人会社及び被控訴人役員らに対し、連帯して、1019万0268円の支払を求める限度で一部認容したため、双方がこれを不服として控訴した事案で、控訴人の請求は、被控訴人らが、控訴人に対し、連帯して、1018万3880円の支払等を求める限度で理由があると判断し、原判決を変更した事例。
2020.01.14
懲戒処分無効確認等請求控訴事件 
LEX/DB25564423/東京高等裁判所 令和 1年 6月27日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第630号
被控訴人(被告。放送法に基づく基幹放送事業及び一般放送事業等を目的とする株式会社)の従業員である控訴人(原告)が、被控訴人に対し、控訴人の受けたけん責処分が懲戒権の濫用に当たり無効であって、違法な懲戒処分により精神的苦痛を被ったと主張して、けん責処分の無効確認とともに、不法行為に基づく損害賠償金の支払等を求め、原審は、控訴人の請求について、けん責処分の無効確認請求に係る訴えを却下し、その余の請求を棄却し、控訴人が控訴した事案で、当審における当事者の補充主張についても、控訴人の主張は採用することができないとし、本件控訴を棄却した事例。
2020.01.07
遺留分減殺請求事件
LEX/DB25570618/最高裁判所第三小法廷 令和 1年12月24日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1551号
亡Aの長女である被上告人が、Aがその所有する一切の財産を長男である上告人に相続させる旨の遺言をしたことにより遺留分が侵害されたと主張して、上告人に対し、遺留分減殺請求権の行使に基づき、第1審判決別紙遺産目録記載の各不動産について遺留分減殺を原因とする持分移転登記手続を求めるとともに、上告人が上記遺言によって取得した上記財産のうち解約済みの預貯金及び現金並びに上記各不動産の一部について上告人がAの死後に受領した賃料に係る不当利得の返還等を求め、被上告人の遺留分の侵害額の算定に関し、合資会社の無限責任社員であったAが、退社により本件会社に対して金員支払債務を負うか否かが争われた事案の上告審において、無限責任社員であるAが本件会社を退社した当時、本件会社は債務超過の状態にあり、退社時における計算がされた結果、Aが負担すべき損失の額がAの出資の価額を超える場合には、定款に定めがあるなどの特段の事情のない限り、Aは、本件会社に対してその超過額の支払債務を負うことになるとした事例。
2020.01.07
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25570614/最高裁判所第二小法廷 令和 1年12月20日 判決 (上告審)/平成30年(あ)第437号
被告人は、Aとの間で、覚せい剤100gを代金80万円で譲り渡すこと、覚せい剤は80gと20gに分けて引き渡すことを約束し、代金全額を被告人名義の預金口座に入金させた。被告人は、その約束に係る覚せい剤の一部として、覚せい剤78.76gを、宅配便により発送し、Aに覚せい剤を譲り渡そうとしたが、未遂に終わった事件で、原判決は、被告人が薬物犯罪である本件譲渡未遂により得た財産は、本件覚せい剤の代金相当額に限られるとし、被告人は、約束した覚せい剤100gのうち、その8割に相当する分として本件覚せい剤を発送したと認め、麻薬特例法2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」は64万円であり、既に費消されて没収することができないので、同額を追徴すべきものとしたが、当最高裁では、被告人は、覚せい剤100gを代金80万円で譲渡するという約束に基づき、代金の支払を受けるとともに、本件覚せい剤の譲渡の実行に着手したもので、代金全額が、その約束に係る覚せい剤の対価として本件譲渡未遂と結び付いており、本件譲渡未遂を原因として得た財産といえるから、麻薬特例法2条3項にいう「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」として薬物犯罪収益に該当するとした事例(補足意見がある)。
2020.01.07
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25564448/大阪地方裁判所 令和 1年12月 3日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第7518号
被告の提供するインターネット接続サービスを介してインターネット上のウェブサイトに投稿された投稿記事は、原告(NHK)の社会的評価を低下させるものであり、原告の権利を侵害することは明らかであると主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき,本件投稿に関する発信者情報の開示を求めた事案で、被告は、本件投稿に関してプロバイダー責任制限法4条1項の「開示関係役務提供者」に該当し、本件発信者情報を保有していることが認められ、本件投稿により原告の名誉ないし信用が侵害されたことが明らかであるから、原告が本件投稿の発信者に対する損害賠償請求等を行うために、被告に対して本件発信者情報の開示を求めることには正当な理由が認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2020.01.07
管理組合資料等閲覧謄写請求事件
LEX/DB25564404/名古屋地方裁判所 令和 1年10月25日 判決 (第一審)/令和1年(ワ)第2323号
マンション管理組合である被告が保管する各銀行預金通帳、訴訟代理人弁護士への委任にかかる費用についての請求書及び銀行振り込み領収書(本件各文書)について、当該マンションの区分所有者である原告が、民法645条に基づき、閲覧及び謄写(コピー各1部)を請求した事案において、原告の請求のうち、被告の管理事務所で閲覧及び閲覧の際の写真撮影について、一部認容した事例。