2000年3月期から連結決算中心のディスクロージャー制度になって20年、
2009年3月期から四半期開示がはじまって10年以上が経過しました。
この20年、金融商品取引法の改正を受けながらも、連結決算業務は少しずつ定着してきました。
また、連結決算を実施したい企業も増加しています。
しかしながら、連結決算に対応できる人材の育成、システムの導入、効率的な運用といった相談も今もなお大変多くいただいています。
本サイトでは、当社が20年かけて蓄積してきたノウハウを業務の進め方ガイドとしてご紹介します。
連結決算の今を学び、業務の変革にチャレンジしましょう。
連結決算の種類とその内容は次の表のように定められています。
決算の種類 | 東京証券取引所等への開示 (取引所の規則及び決算短信の作成要領を含む適時開示ガイドブック) |
金融商品取引法 | 企業会計基準委員会(ASBJ) | |
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年度決算 | 決算短信 遅くとも期末後45日以内 (さらに30日以内が望ましい) |
有価証券報告書 当該事業年度経過後3か月以内 |
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第1・第3四半期 | 四半期決算短信 45日以内(決算発表の早期化の要請対象外) ○四半期累計期間(第2四半期を除く)に係る決算の内容の開示において、四半期財務諸表又は四半期連結財務諸表として、少なくとも以下の事項を開示することとします。 ・四半期連結貸借対照表 ・四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書又は四半期連結損益及び包括利益計算書 ・セグメント情報等の注記 ・キャッシュ・フローに関する注記(任意に四半期連結キャッシュ・フロー計算書を開示する場合は除く) ○四半期累計期間(第2四半期を除く)に係る四半期財務諸表等に対する公認会計士又は監査法人による期中レビューを受けることは原則として任意とします。 |
廃止 | 企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」等 ○金融商品取引法上は四半期報告制度が廃止されますが、上場会社においては引き続き取引所規則に基づき第1・第3四半期決算短信の報告が行われるため、今後、(仮称)期中財務諸表に関する会計基準等の開発が行われるまでの間、四半期会計基準等は適用を終了しないことを予定しています。 |
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第2四半期 | 四半期決算短信 45日以内(決算発表の早期化の要請対象外) ○法定開示が存続することから、第2四半期・通期の決算短信については、現行の取り扱いを維持 |
上場会社等 | 非上場の会社等 | 企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」等 |
半期報告書 第1種中間財務諸表 45日以内 (一部の事業会社60日以内) |
半期報告書 第2種中間財務諸表 |
金融商品取引法の第193条では、「この法律の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類は、内閣総理大臣が一般に公正妥当であると認められるところに従って内閣府令で定める用語、様式及び作成方法により、これを作成しなければならない。」とされており、様式等が、「連結財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)」に定められています。
上場会社では当たり前になった連結決算。
情報開示という面が強く認識されていますが、グループ経営の意思決定のための会計として、
時として非上場会社にも連結決算・連結管理会計の導入が必要なのではないでしょうか?
ここでは、連結決算を実施するメリット、単純合算では見えてこない点、グループ経営のためのキャッシュ・フロー計算書、決算早期化、
予測連結、海外子会社の連結等、上場/非上場に関わらず、
グループ経営の観点から連結決算を分かりやすく解説します。
連結と個別で取扱いが異なる会計基準
会計基準の中には連結決算書と個別決算書で取扱いが異なるものがあります(包括利益の表示、退職給付会計)。非上場会社における連結決算の活用
連結会計制度がどのように変わったとしても、最終的には会計を経営に活かしていくという観点が重要である点は変わりません。連結財務諸表は、連結グループ全体を1つの会社とみなして作成します。
連結会計制度では、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表する会計基準等や公認会計士協会から公表される実務指針等によって、詳細にその処理内容が決められており、非常に複雑です。個別財務諸表の作成とは異なった手順で作成することになります。
例えば、連結財務諸表のうち、連結貸借対照表・連結損益計算書・連結株主資本等変動計算書は、次のプロセスで作成します。
役 割 | 内 容 | |||
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1 | 方針決定 | 親会社 | 連結決算を実施する方針を固める。対象会社の決定など | |
親会社・子会社 | 連結決算の実施方針を対象会社に伝える | |||
2 | マスタ設計 | 親会社 | 連結決算の組み方(マスタ設計など)を取り決める | |
3 | データ収集 | 親会社・子会社 | 子会社は個別財務諸表を親会社に提出 | |
4 | 連結決算処理 | 資本連結 | 親会社 | 親会社と子会社の財務諸表を合算する |
親会社 | 子会社の資産および負債を時価評価する | |||
親会社 | 親会社の子会社への投資と子会社の資本を相殺消去する | |||
親会社 | 子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分を非支配株主持分とする | |||
成果連結 | 親会社 | 連結会社間の債権と債務を相殺消去する。 | ||
親会社 | 連結会社間の収益と費用を相殺消去する。 | |||
親会社 | 連結会社間の取引で発生した未実現損益を消去する。 | |||
5 | 決算・開示 | 親会社 | 連結修正仕訳の作成と連結精算表の作成 | |
親会社 | 開示用・報告用連結財務諸表の作成 |
連結決算業務を実施するにあたっての進め方や注意点について【連結決算業務の進め方ガイドブック】にまとめております。
連結決算を行うためには、グループに含まれる会社を選定し、会社から様々な情報を収集する必要があります。
そして、収集した情報が正しいかどうかを確認した後、
数多くの会計基準等にしたがって、グループ会社間の取引を消去しなければなりません。
特に、会計基準等の連結会計制度は頻繁に改正され、それぞれの会計基準をそのつど正確に理解していくのは困難です。
ここではシステムを活用して連結決算業務を効率化した事例を紹介します。
事例1
極東開発工業株式会社 様
個別・連結決算から税務申告までTKCシステム採用で業務の最適化を実現
事例2
ー なぜ、TKCのソフトを?
菅原 当初、4つのソフトを比較検討しましたが、TKCのコンサルティング体制は群を抜いていました。担当者の方も熱心に相談に乗ってくれる上、会計の専門家がコンサルティングをしてくれるというところが魅力的でした。こんなソフトは他にはないですし、価格的にはより安いものもあったのですが、トータルに見て『eCA-DRIVER』が最も安心でき、コストパフォーマンスもいいと判断したのです。また、クラウドサービスなので、どこからでもアクセス可能で、グループ会社側からダイレクト入力できる。これもTKCを選択した理由のひとつです。
増村 連結決算は間違うと莫大(ばくだい)な金額の差異が出ますから、非常にリスキーです。そのため『eCA-DRIVER』のエラーチェック機能には助けられています。この機能を間違いなく活用できるように、詳細なチェックリストつくって取りこぼしがないようにグループ会社にも徹底しました。せっかくの機能も運用を正しく行わないと意味がないですからね。これによってグループ全体の業務品質がかなり上がり、ミスはほとんどなくなりました。
菅原 淳 様
増村 明彦 様
株式会社長大 様
個別・連結決算から税務申告までTKCシステム採用で業務の最適化を実現
事例3
ー 『eCA-DRIVER』選択の理由は?
最終的にTKCさんに決定した理由は、第1に会社の規模と導入実績。とくに製造業への導入が多いことがプラス材料でした。第2に、クラウド運用でデータセンターを自社で所有されていること。当社の情報管理課からもサーバ管理から解放され楽になることや、安全にデータを保管してもらえ、障害発生時は迅速な対応が期待できると肯定的な意見をもらいました。第3は機能面です。データ連携が容易にできるので、『eCA-DRIVER』導入前から利用しているスプレッドシートの連結パッケージ資料(注記を含めて約30シート)をそのまま継続利用することで、子会社に負担をかけずに導入できること。実際、回収した連結パッケージ資料は『eCA-DRIVER』の各項目に全社・複数パッケージを一括で連携されるように設定できました。それから、データを自動的に切り出して管理帳表をつくることができる『マネジメントレポート(MR)設計ツール』が非常に有効であると感じたことが挙げられます。
齋藤 祐一 様
株式会社滝澤鉄工所 様
連結決算業務のシステム化でコスト削減と属人性削除に成功
事例4
ー システム・コンサルタントに対する評価をお聞かせください
また、再現処理を支援いただく中で、当社の連結決算の流れを確認いただき、各プロセスで、質疑応答などを行って、処理の見直しも行ってきました。開始仕訳だけでなく、未実現損益消去の台帳や連結キャッシュフロー計算書の作成に関するマスター設計など、ここまで専門的な領域について業務の整理ができたのは、会計専門家の支援があってこその成果だと思います。
柴田 昌一 様
カーリットホールディングス株式会社 様
以前のシステムで抱えていた課題を解決し業務の効率化を実現
連結決算をスプレッドシートで実施していたら、この業務負担は、どうしても減らすことができません。
システムの検討が必要です。
連結決算のやり方の見直しが必要です。
子会社のサポートを手厚くする必要があります。
連結パッケージのわかりにくい部分の洗い出しと修正可否の判断が必要です。
それが難しい場合は、システムの利用を検討します。
誤りが多い原因に合わせて、報告データの正確性を向上させる必要があります。子会社の体制の問題なら支援体制の強化。
連結パッケージの問題ならパッケージの見直し。親会社のチェック能力の問題ならスキルアップなどの対応が必要です。
システムでは、Webや専用パッケージ、Excelテンプレートなど、複数の方法でデータ収集が可能です。
クラウドシステムであれば、データ収集からデータの一元管理まで統一したインフラで構築されているものもあります。
多くの企業が苦労する課題です。当年度のうちに次年度の開始仕訳の作成と確認、できれば監査まで完了できると早期化の可能性が高まります。システムであれば次年度の開始仕訳を自動生成し、利益剰余金残高のつながりの確認まで実施できます。
システムであればファイル読込が可能で、
中には、レイアウト変換機能や連結パッケージをそのまま連携できる機能を搭載しているものもあります。
システムであれば連結修正仕訳の作成は概ね自動化され、
自動生成された仕訳はデータでチェックが可能です。
資本連結取引の基礎情報を収集し、システムで持分計算書を用いて連結修正仕訳を自動生成すると、
資本連結の元となる情報や仕訳が確認できます。
システムでは、標準帳表が搭載されているとともに、
データベースから任意の帳表を作成するBIツールが用意されているものがあります。
開示システムにはファイル読込機能が搭載されています。
連結システムによっては、API連携を実現しているものもあります。
連結決算に絞った研修会への参加や実務に精通した会計専門家の支援を受けることを検討してはどうでしょうか。
連結会計システムベンダーが開催する研修会への参加が近道かもしれません。
会計基準の変更に関するセミナーを受講するとともに連結会計システムの研修会に参加するとスキルアップにつながります。
業務マニュアルを作るのが望ましいが、それをおこなう時間がないから困っているので、ここはやはり連結会計システムベンダーへの相談になるでしょう。
システム管理者にとって大きな課題です。連結決算のように決算時という特定の期間に集中して利用するシステムの場合、
クラウドサービスの利用により、運用管理もコスト管理も負担が軽減されるでしょう。
保守費用の考え方はシステムベンダーによってまちまちです。
バージョンアップにおける将来のメーカー方針を確認しましょう。
ー 最終的にシステムを採用した要因は何だったのでしょうか。
ノンカスタマイズで利用できる点を評価しました。他の2社は、多くの部分でカスタマイズが必要でしたが、TKCのeCA-DRIVERは、業務の流れを一部システムに合わせることで標準パッケージでの運用が可能でした。また、クラウドサービスという点も評価しました。社内にサーバーを設置する場合に比べ、コスト面でも管理面でも負担軽減が図れます。自社のデータセンターを利用している点も安心できました。
清水 紳司 様