税理士による開業コラム

事務所のビジョンと戦略

TKCシステムを
活用したOJTを実践!

藤澤克哉先生

藤澤克哉税理士事務所

税理士 藤澤克哉(昭和62年生まれ 香川県高松市で平成31年に開業)

開業後、順調に関与先が増えれば必ずスタッフの採用・育成という壁が立ちはだかります。 そして「どのような人材を採用するのか」「採用したスタッフをどう育成していくか」全て所長である自分自身が決めていくことになります。昨今の人材不足の時代に、この職業とこの事務所を選んでくれたことに感謝しつつ、誇りをもって働いてもらえるような職場づくりを大切にしていきましょう。

私の事務所で採用したスタッフが、関与先に一人で巡回監査に行くまでのOJTの手法をご紹介したいと思います。

自身の成長過程を振り返り、OJTを実践

現在、私の事務所では、正社員2名(うち1名税理士有資格者)、パート2名、所長である私を含めて計5名で業務を行っています。
巡回監査は基本的に私と正社員2名で実施しており、それぞれが担当関与先を持ち、サポートしています。

正社員のうち1名は税理士の資格を持っていたため、採用時から会計や税務の知識はありましたが、もう1名は異業種からの転職者でした。
そのため、会計や税務の知識はほとんどなく、採用後にそれらの知識を身につけてもらい、TKCシステムを使った巡回監査ができるように育成する必要がありました。

未経験のスタッフを採用するのは私にとっても初めての経験だったため、まずは自分自身がどのように成長してきたかを振り返ってみました。
その結果、私は関与先で社長や経理担当者と直接やりとりをし、様々な質問や相談に誠実に対応してきた経験の積み重ねで成長してきたことに気付きました。
そこで、スタッフにも恐れずに社長や経理担当者と直接やりとりしてもらいたいという想いから、TKCシステムを活用したOJTを実施することにしました。

事務所の写真(外観・内観)
事務所の外観
事務所の内観

主役はスタッフ、でも心には余裕を持てる育成を

具体的には、関与先にはクラウド会計システムを使って証憑保存・経理事務を行っていただき、その内容を事前に事務所で確認した上で関与先を訪問するという手法です。
事前に不明点や不足資料を確認できるため、事務所にいる先輩スタッフに確認しながら進められます。
これにより、最初は時間を気にせずに監査を行い、心の余裕をもって関与先に訪問できるようになります。
さらに、不明点や質問事項を事前に関与先に伝えておくことで、訪問時には効率的に巡回監査を実施することができ、社長や経理担当者との対話時間も多く取れるようになりました。

また、TKCのチャット機能も活用しています。TKCチャットでは、関与先、所長、スタッフというメンバー構成でグループを作成することができ、関与先の社長や経理担当者からの質問や相談をチャットを通じて受け付けています。
その回答は、原則スタッフが行うようにしています。これにより、スタッフは関与先からの質問に自ら調べて対応する力を身につけることができるようになりました。
私もそのチャットグループに参加しているため、やりとりの内容を確認でき、誤った回答を防ぐことができます。
またスタッフが回答に困った際には、自ら調べた結果とその回答内容を先輩スタッフに確認してもらえるため、時間的・精神的な余裕が生まれました。

長く働いてもらえるように

上記の「クラウド会計システムの活用」「TKCチャットの活用」により、採用から半年でスタッフは関与先に一人で巡回監査に行けるようになりました。
まだ担当している関与先は少ないですが、今後は経験を積み、徐々に様々な業種の関与先を担当してもらいたいと考えています。
せっかく採用した人材にはできる限り長く働いてもらいたいので、今後もTKCシステムをフル活用し、スタッフの育成に役立てていきたいと思います。