税理士による開業コラム

開業準備編

一歩踏み出す勇気を!
開業にあたって
実行した3つのこと

山口 友和

山口友和税理士事務所

税理士 山口友和(昭和52年生まれ 奈良県奈良市で平成29年に開業)

開業するにあたっては希望と不安が交互に押し寄せてくると思います。
自分を信じて一歩踏み出してください!先輩先生方や同年代の先生方が温かくも厳しくも親身に相談に乗ってくれます!是非、業界を盛り上げましょう!

40歳で独立開業するまでの私は、会計事務所に13年間勤務していました。そのうち10年間は所属税理士として働いていました。
仕事の内容にもサラリーにも何ら不満なく過ごしていた35歳の頃から、ぽつぽつと年下の経営者が増えだしました。
そこからです。「一度きりの人生、自分も経営者になりたい!」という思いが強くなり、一念発起して開業しました。

開業にあたって実行した3つのこと

開業準備をしている時、先に独立開業して成功された先輩税理士の方から話を聞く機会がありました。そこで、皆様が口を揃えて「開業するにあたっては次の3点を実行するように」とアドバイスされました。

  • 1 自宅で開業せず、事務所を最初から借りるべし。
  • 2 金融機関から借入をすべし。
  • 3 最初からスタッフを採用すべし。

無謀な私はこの3点を素直に実行しました(笑)。

  • 1 駅前の1等地に事務所を借りました(銀行も近く、スタッフもクライアントも来やすい)。
  • 2 誰もが「アッ」と驚くお洒落な事務所にしたく、まあまあ多くの借入をしました。
  • 3 AIに打ち勝つためにITに強い社員を採用することにしました(最初から男性の正社員を雇用しました)。
事務所の写真(内観)

私の実体験からアドバイス

今となっては後悔してないですが、私の経験からアドバイスするならば・・・

  • 1 最初から事務所を借りるのは大正解
    一等地でなくて良いと思います。でも、それより事務所の広さは大切です。狭いとそのキャパの事務所成長に留まってしまいます。
  • 2 借入も少しはすべき
    金融機関の方と関係構築が可能になります。
  • 3 最初から正社員ではなく、パート・アルバイト2名が良かったかも
    所長は常に外出しているため職員1名では話し相手がいなくて孤独になります。

開業時のピンチを救ってくれた「つながり」

会計事務所に長年勤務していたこともあり、ある程度の関与先は自分についてきてくれると高を括ってました。蓋を開けると、お洒落な事務所をつくると意気込み、退社から開業まで半年を擁してしまったため、来てくれるはずのクライアントも来ず。本当に焦りました。
従業員も雇い、借入もしている手前、新規顧問先を増やすしか手立てがない状況に。

際立って専門特化した業務もできない私を救ってくれたのが、出身事務所で培ったものでした。一つは自計化を前提とした「毎月巡回監査します!」という勤務時代の当たり前の業務です。これが私の事務所の特色、強みになりました。

もう一つは「つながり」です。私には3つの大きなつながりがありました。

  • 1 同業者(税理士)とのつながり
  • 2 金融機関とのつながり
  • 3 ハウスメーカーとのつながり
事務所の写真2(内観)

出身事務所では、同業者同士で事務所見学会を開催する等、よく集まり仲良くしていました。勤務時代は何だか不思議な感覚を抱いていましたが、開業後に多くの先生方と接し、事務所経営のノウハウを隠すことなく教えてくれたことが本当に助かりました。
実はその出身事務所は、TKC全国会の会員事務所だったんです。
他にも金融機関交流会等の様々な外部機関と繋がりを持つことができました。一個人事務所では開拓が困難な金融機関、資産税業務を行うのに切っては切り離せない不動産業界の方々と繋がりを持てたことはとても強みとなりました。

開業時の無謀な私を、この「つながり」が救ってくれたからこそ何とか開業から5年を 経過することができました。

メッセージ最後にお伝えしたいこと

税理士資格を持つということは経営者になる・起業する資格を与えられた方だと思います。一度きりの人生なので後悔なきよう、独立開業という一歩を踏み出してはどうでしょうか?
自由と裏腹に責任もつきものかと思いますが、3年経って軌道に乗らなければまた勤務すればいいや、という思いでもいいかと思います。私もそうでした。

経営者として一人でも多くのクライアントに感謝され、そして一人でも多くのスタッフを幸せにする。そんな税理士をともに目指しましょう!