2018年4月号Vol.110

【トレンドビュー】セキュリティーリスクにどう備えるか

埼玉県鶴ヶ島市 総合政策部 市政情報課 課長 河村治人 氏 / 主幹 岸田 聡 氏
IT推進担当 鈴木 玄太郎 氏 / 木下裕太 氏 / 野上詩織 氏 / 山根栄三郎 氏

情報漏えいで“紙”が7割を占める

 『2016年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書』(日本ネットワークセキュリティ協会)によれば、14年には年間約1600件の個人情報漏えいインシデントが発生。その経路では約7割を紙媒体が占める。インシデントそのものは年々減少傾向にあるものの、紙媒体による漏えいが依然最も多い。
 ネットワーク分離などの取り組みが進んでいるとはいえ、機微な情報を紙媒体で取り扱う地方公共団体にとって人ごとではないはずだ。

写真左から鈴木玄太郎氏、岸田 聡主幹、河村治人課長、野上詩織氏、山根栄三郎氏、木下裕太氏
写真左から鈴木玄太郎氏、岸田 聡主幹、河村治人課長、野上詩織氏、山根栄三郎氏、木下裕太氏

ICカードを用いた認証印刷でセキュリティーを高める

City Data 埼玉県鶴ヶ島市

 埼玉県鶴ヶ島市では12年度より、なりすまし防止のためにICカードを導入した。これによりIDとパスワードによる認証にICカードを加えた二要素認証を実現。離席時には画面ロックする仕組みとすることで、情報漏えい対策は進んだが、“紙”に対するセキュリティー対策は十分とは言い難く、印刷物の取り忘れなどによる書類紛失の懸念は残されていた。
 その対策として、13年度よりまずはインターネット系ネットワークの範囲でICカードを用いた認証印刷システムを稼働させた。これは印刷命令後、プリンターや複合機に設置されているICカードリーダーにカードを挿入することで印刷物が出力されるもので、取り忘れ防止などにつながる。
 印刷時にカードを用いることに「職員の抵抗がなかったわけではない」と、岸田聡市政情報課主幹は当時を振り返る。しかし、「セキュリティーを高めることは、市民からの信用を守ることに加えて、職員の身の潔白を証明することにつながる」と、その必要性を強調する。
 職員への説明を地道に続けたことで、今ではカードを用いて印刷するスタイルが庁内に定着した。
 また、システム導入前は各課に1台プリンターが設置されていたが、導入後はフロアに設置されている複合機へ集約が加速したことで、結果的にコスト削減にもつながっていったという。

システム更新を業務改革のきっかけに

 認証印刷システムの更新期が迫り、鶴ヶ島市では新たなシステム調達に動き始めた。特徴的なのは単なる更新ではなく、関連部門が協力して選定作業を進めたことだ。
 具体的には「今後の業務改善の動きにつながることを願って、IT施策を推進する市政情報課に、資産管理、企画立案の所管部門を加えた体制で選定時の評価を行った」と、河村治人市政情報課長はその意義を強調する。
 新たなシステムで重要視したのは、まず印刷速度。認証印刷システムを経由することで、システム導入前と比較して出力までの時間を要していたため、現状よりも高速に印刷できるシステム構築を目指した。
 次にコスト抑制につなげられる仕組みであるかどうか。各課設置のプリンターを複合機に集約したものの、依然として印刷枚数が多く、これを抑制してコストを削減したかったのだ。そのため、どの部署の誰がいつ何枚印刷したかなどを〝見える化〟できる仕組みをさらに推進することで、印刷枚数の抑制に努めるとともに、複合機やプリンターの設置場所の最適化を図ろうとした。
 そして汎用的なシステムであることも重要視した。鶴ヶ島市では接触型のICカードを導入している。しかし、ICカードを活用したさまざまなシステムは、非接触型のICカードに対応していることが多いという。そこで今回の調達では、非接触型ICカードも範囲に含めた。さらに今回はインターネット系ネットワーク以外の今後の展開を見据えて、基幹業務システムなど同市で稼働しているシステムとの親和性も重視した。
 これらを解決する手段としてシステム選定を実施した結果、「Secure Print Ex.」の採用を決めた。
 さまざまなセキュリティー対策を打つ鶴ヶ島市も「最終的に重要となるのは職員のセキュリティー意識」(岸田主幹)と語る。対策を施しても、職員の意識が低ければ、情報漏えいは起こり得るということだ。そのために職員研修にも力を入れている。新規採用職員に対する個人情報保護研修、全職員を対象としたeラーニングを毎年実施することで職員の意識を高めている。18年度からは三役や部長級への研修も充実させていく方針だ。
 組織体制も刷新する。これまで市政情報課はIT施策、統計、広報を担当してきたが、18年度からはIT施策に特化させていく。これにより情報セキュリティーと業務効率の最適化を図っていく考えだ。
 「ICTを活用して業務改善できるという気運を醸成したい」(河村課長)と抱負を語る。また、「認証印刷システムは、校務系や基幹業務系ネットワークへの拡張も検討したい」(岸田主幹)と意欲的だ。
 セキュリティー対策に終わりはない。鶴ヶ島市のこれからの取り組みにも注目していきたい。

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