2018年4月号Vol.110

【レポート】高齢者バス等優待乗車
姫路市でカード利用を実証

マイナンバーカードの利用拡大へ
姫路市で行われた実証についてレポートする。

 2月20日、兵庫県姫路市内において、姫路市(市長・石見利勝)と神姫バス株式会社(本社・姫路市/取締役社長・長尾 真)の全面的な協力の下、バス乗車における「マイナンバーカード」の利活用の実証が行われた。これは、総務省の『公共交通分野におけるマイナンバーカードの利活用実現に向けた諸課題に関する調査研究』事業の一つとして実施されたもの(実証実施事業者はTKC)。
 当日は、高齢者等を対象とした優待乗車カードとしての活用を想定し、市民モニター27名が実証実験用のマイナンバーカードを使ってバスへの乗車・降車などを体験した。

実証の目的と概要

姫路市 バス優待乗車実証イメージ

姫路市 バス優待乗車実証イメージ

 実証の目的は、バスでのカード利活用のニーズや課題を整理し、すべての利用者(市民・行政・事業者)にとって利便性向上につながるサービスの在り方を検討することにある。そこで今回は、①カードを使った優待乗車制度の利用申し込み手続き②カードを使ったバスの乗車・降車体験③バス車両・神姫バス姫路事業所・姫路市役所間での運賃の精算──の三つについて実証を行った(図)。
 姫路市では、満75歳以上の高齢者を対象にバスなどの乗車料金の一部を助成する「高齢者バス等優待乗車助成制度」を実施している。現行の申請手続きは、誕生日の前月初め頃に市が案内文と申請書を市民に郵送し、利用を希望すれば行政窓口へ申請書を提出。その後、審査を経て、専用の交通系ICカードの作成・郵送となるわけだが、この間約2カ月かかっているそうだ。
 今回、申し込み手続きは申請書レスとし、①申請書の記入・入力の代わりにマイナンバーカードから基本情報を取得②利用者証明用電子証明書による本人確認③ICチップの空き領域へ優待乗車に必要な情報を書き込む──一連の流れを実証した。また、スマートフォンによる事前申請により、手続き時間をさらに短縮する試みも行った。
 さらにバスの乗車・降車体験では一部を無効なカードとしたり、他の交通系ICカードなどと一つのパスケースに入れて使用してみるなど、実運用さながらの実証を実施。
 姫路市総務局情報政策室情報政策担当の原秀樹課長補佐は、今回の成果について「利用申請からカード交付までにかかる時間が大幅に短縮され、市職員やバス事業者の手間やコストを削減できる。市民にとっては申請後すぐに優待乗車が可能となり、利便性向上が期待できる」と語る。
 乗車・降車体験では、交通系ICカードと比べ読み取りに時間がかかることを指摘する声が聞かれたが、使い勝手の点では他のICカードと変わらないためモニターが戸惑うようなことはなかった。
 サービスが実用化されるまでには、運賃収受システム機器のカード対応やそれを搭載したバス車両の拡大が欠かせないことから、それ相当の時間がかかると予想される。とはいえ、カード保有率が他の世代より高い高齢者を対象とした今回の試みは有用なユースケースであろう。
 マイナンバーカードは健康保険証としての利用も検討されていることから、高齢者がカード1枚持ってバスに乗って病院へ行き、帰りに図書館で本を借りる──といった利用が当たり前になる日も決して遠くない。

姫路市 実証実験 全体像:マイナンバーカードの優待乗車制度(敬老パス)利用

カードで生活をもっと便利に

 モニターアンケートの結果を見ても、マイナンバーカード活用が利便性向上につながると評価されたことが分かる。特に評価が高かったのは、「申請書の記入が不要になる」(約62%)と「身分証と乗車優待カードが1枚になる」(約55%)で、今回参加した市民モニターの半数が「マイナンバーカードでバス乗車優待が実現したら利用したい」と回答している。
 姫路市は、生活に密着した分野でマイナンバーカードの多目的利用を積極的に進めている。例えば、「コンビニ等における証明書交付サービス」や「図書貸出サービス」で、昨年秋には地方認証プラットフォームを利用し自動貸出機のカード対応も実現した。ほかに「市民開放インターネット端末でのマイナポータル利用」や「申請書自動作成サービス」など次々と市民サービスを充実させている。先述のモニターアンケートでも「コンビニ等における証明書交付サービス」で約37%、「図書貸出サービス」では約30%が、サービスを「利用したことがある・知っている」と回答している。
 こうした取り組みについて、原課長補佐は「カードの普及とともに、市民のQOL*の向上を目指したもの」と話す。サービスの充実がさらなるカードの普及につながり、その結果として窓口サービス等の効率化につながっていく──だからこそ、普及とサービスの充実を同時にかつ継続的に行うことが重要といえるのだ。
 姫路市では今回の実証もそうした取り組みの一つと捉えている。この成果を他のサービスへ利用できないか継続して研究するとともに、今後は近隣圏域と連携したカード活用なども検討したいと意欲的に語っていた。

※quality of life:一人一人の人生あるいは生活の質のこと

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