2018年4月号Vol.110

【寄稿2】財務書類の早期作成へ、予算科目の細分化を

熊本県宇城市総務部次長 天川 竜治

 地方公共団体における予算・決算にかかる会計制度(官公庁会計)は、予算の適正・確実な執行を図るという観点から「現金主義会計」を採用しています。
 一方で、現金主義会計では把握できないストック情報(資産・負債)や見えにくいコスト情報(減価償却費等)を把握する必要があり、その補完のため「統一的な基準」による発生主義・複式簿記が導入されました。
 しかし、職員の多くは仕訳等の複雑さから公会計へ苦手意識があります。
 また、仕訳のタイミングによって「日々仕訳」と「期末一括仕訳」の仕訳方式があります。「日々仕訳」は伝票起票時に仕訳を決定し、「期末一括仕訳」は年度終了後に一括で仕訳を決定する方式です。
 宇城市では、2016年度予算から日々仕訳方式の地方公会計システムを導入しています。統一的な基準による発生主義・複式簿記を導入するにあたり、日々仕訳方式を採用した場合は伝票入力担当者に仕訳判断が任されるため、簿記知識が足りない職員にとって業務負荷になると想定されました。職員による仕訳判断を極力避けるためには、予算編成段階から仕訳変換表に沿って予算科目体系を設定しておく必要があります。
 そこで、予算編成時点で歳出歳入科目の説明レベルで全て一対一の仕訳コードを割り振り、自動で統一的な基準仕訳のデータに変換されるようにしました。これにより、職員は説明コードを選択することで仕訳の知識がなくても、随時自動的に複式仕訳ができる体制を構築しました。
 期末一括仕訳方式は年度末に一括して仕訳を行います。ここで危惧されるのは、1年分の伝票データ(宇城市規模で約6万件)の仕訳・内容確認をまとめて行うため、決算統計などの通常業務を行いながら出納整理期間後に全ての仕訳行うのは相当な業務負荷になることです。
 例えば「委託料」だけを見ても、学校の実施設計委託料等の資産形成につながる委託料と、清掃費等の施設管理委託料等の行政コストにつながる委託料が混在しており、伝票データを1件ずつ確認するのはかなりの手間と時間を要すると思われます。
 また、財務書類等を次年度予算や行政評価に活用するためには早期に作成し公表するのが望ましいとされていますが、期末一括仕訳方式の場合は非常に負荷がかかると想定されます。
 公会計導入は“備えあれば患いなし”の言葉の通り事前準備が重要です。

◇   ◇   ◇

天川竜治(あまかわ・りゅうじ)
1992年、熊本県宇城市(旧三角町)入庁。行財政改革担当などを経て、2008年に 早稲田大学パブリックサービス研究所招聘研究員、監査法人トーマツ大阪事務所パブリックセクタ─へ出向。「地方公会計の活用の促進に関する研究会」委員などを歴任。2018年4月から現職

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