2017年10月号Vol.108

【レポート】小規模団体の強みを生かし交付率3割を実現

マイナンバーカードの普及・利用促進へ取り組む茨城県五霞町。広報大賞受賞のまちの活動状況を紹介する。

住所
茨城県猿島郡五霞町小福田1162番地1
電話
0280-84-1111
面積
23.09平方キロメートル
人口
8,793人(2017年9月1日現在)
URL
http://www.town.goka.lg.jp/

 茨城県五霞町では、マイナンバー制度の推進にあたり、職員総出で独自の「草の根ローラー作戦」を展開し、大きな成果を挙げました。その取り組みは高く評価され、総務省「マイナンバー・マイナンバーカード広報大賞」の広報企画部門で大賞を受賞。国の公表資料(2017年5月15日現在)によると、人口に対する交付枚数率の全国平均9%に対して、五霞町は28・2%と群を抜いて高く、住民の制度への理解が広まっていることがうかがえます。

推進は五つのステップでまずは見て、知ってもらうこと

茨城県五霞町

茨城県五霞町

 「取り組みのきっかけは窓口対応への不安だった」と、第1期プロジェクトチームのリーダーを務めた豊田みと町民税務課主幹は当時を振り返ります。それは「職員数が約100名と県内で最も少なく、町民税務課の窓口業務は3名体制で行っている。もしもカード申請や問い合わせで住民が押し寄せた場合、他の窓口サービスにも影響する」ことへの不安でした。

 そこで逆転の発想で取り組んだのが独自の「行政区交付方式」でした。全職員を五つのグループに分け、町内15カ所の行政区へ出向き、カードの申請補助と交付を実施。これにより窓口集中を回避するとともに、申請・交付拡大につなげようというものです。

 推進にあたり基本に据えたのが、①見てもらう②知ってもらう③分かってもらう④申請してもらう⑤活用してもらう──の五つのステップ。これについて、香取幸子町民税務課長は、「住民に対して最初から申請という行動を求めるのではなく、まずは見て・知ってもらうことから始め、制度への理解を深めていくことが重要だと考えた」と述べています。

 15年2月から始めたという〝見て・知って〟もらう活動は、ホームページやSNS、広報紙による周知活動だけでなく、プロジェクトメンバーが各地へ「出前講座」に出向き、手作りの動画を上映するなど分かりやすく伝える工夫を重ねています。また、高齢者への理解促進を図るため民生委員にも出前講座を行い、協力を得たそうです。

 15年9月からは、〝分かって〟もらう活動として主に二つのことへ取り組んでいます。それが①配達地域指定郵便を利用して、全世帯へ確実に説明資料を配付②行政懇談会などによる住民との直接対話の実施、です。これにより「一方的にPRするだけではなく、住民の〝生の声〟を直接聞くことで、どんな点に不安・不満があり、どうすればそれを解決できるかを考えられた」(香取課長)そうです。

 さらに〝申請して〟もらう活動には、五霞町の創意工夫が数多く取り入れられています。

 その一つが申請用の写真を、職員がタブレット端末を使ってその場で撮影すること。これも出前講座で寄せられた住民の声に応えて生まれました。当初は「庁内でも過剰サービスではないかという声があった」(豊田主幹)そうですが、最終的に番号制度推進委員会が決断し、実現しています。

 また、カード申請時にあらかじめ暗証番号を預かり、職員が代理入力するようにしたことで、カード交付時の混雑も回避。これらの工夫により業務の効率化とともに、住民がカード申請で感じるハードルを下げることができました。

目指すのは、「もってうれしいマイナンバーカード」

活動の中心となったみなさん。写真左から、香取幸子課長、豊田みと主幹、石橋輝一副主幹

活動の中心となったみなさん。写真左から、香取幸子課長、豊田みと主幹、石橋輝一副主幹

 第2期のプロジェクトを任された石橋輝一町民税務課副主幹は、今回の成果を「住民との距離感が近く、職員全員が当事者意識を持たざるを得ない小規模団体ならではの強みを生かせた」と分析します。しかし、そこには規模に関係なく他団体に役立つ多くのヒントがあるのではないでしょうか。

 五霞町では、番号制度推進委員会(委員長は副町長)にワーキングチームを設置し、さらにその下に実働部隊となるプロジェクトチームを置いています。特筆すべきなのは、①「小規模自治体のメリットを最大限に生かし全職員が協力して一丸となって取り組む」宣言により、染谷森雄町長が積極的にコミットしたこと②上部組織が判断する際には、プロジェクトメンバーの〝現場の肌感覚〟を大切にしたこと──です。その結果、トップと現場が同じ方向を向き全庁一丸となった取り組みにつながったといえるでしょう。

 加えて、前述の「五つのステップ」が職員の日々の行動にしっかりと根付いていることも挙げられます。こうした意識はプロジェクト活動を通じて醸成されました。

 例えば、コンビニ交付サービスの利用が伸び悩んでいることでは、大型看板やコンビニ店舗へのぼり旗を設置(見て知ってもらう)するとともに、高齢者が苦手とする機械操作も窓口での操作体験(分かってもらう)ができるように計画中。これによりコンビニ交付へ住民を誘導し、サービスの向上と窓口業務の効率化を狙うと語っています。

 また、「今年度末までの交付率40%の達成と、『もってうれしいマイナンバーカード』を合言葉として利用促進へ次なる作戦を準備中」(豊田主幹)で、そのために庁舎内での申請補助の実施に加え、企業や団体などに出向いて申請補助へ取り組む計画です。「企業の従業員は必ずしも町民とは限らないが、そうした方も支援することでカード普及・利活用促進の輪も広がるだろう」(豊田主幹)と期待感を示しています。

 現在、町民が日々の生活で身近にメリットを感じられる利用法もいろいろ検討中だとか。五霞町の今後の取り組みが注目されます。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

※掲載団体様への直接のお問い合わせはご遠慮くださいますようお願いいたします。

  • 特設 マイナンバー
  • 特設 コンビニ交付
  • 特設 公会計
  • TASKクラウドシステムソリューションへ
  • TASKクラウドシステムユーザー事例
  • TKCインターネットサービスセンター「TISC」のご紹介