2017年07月号Vol.107

【特集1】利用者中心の行政サービスへ
マイナポータル始動

内閣官房番号制度推進室情報通信技術(IT)総合戦略室 内閣参事官 福田 毅氏
インタビュアー 本誌編集人 湯澤正夫

2013年5月の番号法成立以降、番号の付番・通知やカードの交付などさまざまな準備が進められてきた「マイナンバー制度」。この重要な社会インフラの準備作業も、いよいよ最終段階を迎えている。今秋からは、個人向けポータルサイト「マイナポータル」の本格運用も始まる。これまでにない新たな行政サービスの形として、真価の発揮が期待されるマイナポータルについて、福田毅内閣官房内閣参事官に聞く。

福田 毅(ふくだ・つよし)

福田 毅(ふくだ・つよし)
1993(平成5)年、東京大学法学部卒、自治省(現総務省)入省。茨城県総務部長、総務省行政経営支援室長などを経て2016(平成28)年より現職。

2017年夏
行政サービスは新たなる次元へ

──マイナポータルとはどういうものなのか、あらためてお聞かせください。

福田 マイナポータルとは、インターネット上のWebサービスです。現在、今年秋頃の本格運用に向けて準備を進めています。ここで提供されるサービスには、大きく三つあります。
 一つ目は「情報開示」関係の機能です。これは、①各行政機関が保有している自分の情報は何なのか②どの行政機関が自分の特定個人情報をどのようにやり取りしたか──を本人が確認できるというものです。
 二つ目が「お知らせ」機能です。マイナポータルを通じて市区町村が住民の個別事情に応じたさまざまなお知らせを送り、住民がそれを確認できるというものです。民間送達サービスとの連携により、行政機関だけではなく民間企業等のお知らせもマイナポータル上で受け取れるようなサービスを予定しています。
 三つ目が「サービス検索・電子申請」機能です。これはマイナポータル上で、自分が受けられるサービスを検索できるのに加え、それらのサービスの申請も可能にするというものです。その第一弾として、「子育てワンストップサービス」の提供を開始します。
 これらの基本的な機能に加えて、公金決済サービスも提供する予定です。将来的には民間サービスともAPIを通じてシームレスに連携し、マイナポータルをオンラインサービスにおける一つの“ハブ”として、より拡張性の高いものとしていく計画です。

──それらのサービスが実現されると、住民や市区町村にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。

福田 住民にとって最大のメリットは、多様な属性を持つ全ての人がそれぞれにとって便利な形態でサービスを受けられるようになることです。
 例えば、時間や場所を問わずサービスを利用したい人はオンラインで、いつでもどこでもパソコンやスマートフォンなどから、いろいろな手続きができるようになります。これにより、市区町村にとってもオンライン申請されたものはバックオフィス側で即座に処理でき、窓口業務の効率化が図れます。その分、窓口で対面しながら相談やサービスを受けたい住民に対して、きめ細かな対応も可能になるでしょう。
 加えて、住民がマイナポータルからオンライン申請する際には、名前・住所等の情報がマイナンバーカードから申請画面に自動入力される機能を実装する予定です。これにより、住民は申請の手間が軽減されます。

全団体で早期導入が求められる子育てワンストップサービス

──そうした中で、いま「子育てワンストップサービス」の準備が進められています。進捗状況はいかがですか。

福田 5月中旬までに、各市区町村にサービス内容を確認していただきました。また、6月下旬をめどに申請画面の確認テストやテスト用申請書の受け取りを実施していただいています。
 マイナポータルは国が整備するものです。さらに、子育てに関するサービスについても、国が一括してシステムに登録しますが、マイナポータルと市区町村間をつないで申請データを受け取れるようにする接続部分は、それぞれの市区町村に準備していただくことになります。

本誌編集人 湯澤正夫

本誌編集人 湯澤正夫

──なるほど。ところで、申請書の様式は、市区町村ごとに異なっていましたが、今回、オンライン化するにあたって、その様式を統一せずに、既存の様式をそのまま採用されましたね。

福田 そうですね。ご指摘のとおり、同一のサービスであれば全国どこでも同じ申請様式であるべきで、将来的にはその統一が望まれます。
 しかし、それにも増して子育て世代への支援が急がれることから、まずは各市区町村の負担が少なく全団体が参加しやすいよう、慣れ親しんできた申請書の様式をそのまま申請画面として取り込みました。これにより各市区町村は取り込まれた申請画面が正しいかどうかと、その申請画面で入力されたデータを正しく受け取れるかを確認するだけで、子育てワンストップサービスを実現できます。
 業務効率化の点では、職員の手を介さずに申請データを業務システムに直接取り込めるようにするのが理想ですが、その場合、システム改修を伴うことから、すぐに対応できないところもあるでしょう。そのため、最初はLGWAN接続サービス端末でデータを受け取り、それを既存システム側で読み込むような簡易な仕組みから始め、時間をかけてシステムを整備していくことも可能です。
 なお、今後は申請様式の標準化も進めます。そのほか、市区町村ごとに同じサービスを並べて表示し、比較できるような機能も提供する予定です。

──7月からのサービス開始に間に合わない団体も少なくなさそうです。

福田 利用者の視点で考えると、可及的速やかに全団体でサービスが開始されることが望まれます。そのために入力フォームの登録を一括して行うなど、国としても最大限の支援を行ってきました。
 特に、子育て関連のイベントでは、毎年10月頃から保育所の翌年度入所申請の受け付けが始まります。その点でも、7月に間に合わなかった市区町村では、子育てワンストップサービスの本格運用が始まる今秋までを一つの目安として、しっかりと準備をしていただきたいと思います。

利用者にとってもっと便利に進化を続けるマイナポータル

──今年3月には、『マイナンバーカード利活用推進ロードマップ』も公表されました。

福田 『マイナンバーカード利活用推進ロードマップ』では、マイナンバーカードの利便性を高めるための具体的な取り組みとその実現時期などを掲げました。その中で、マイナポータルについても今後予定するサービスをいくつか例示しています。
 その一つが、「引っ越しや死亡等のライフイベントに関する手続きのワンストップサービス」で、来年以降、可能なものから、順次実現していく計画です。
 また、「医療費通知を活用した医療費控除の簡素化」も計画されています。現在、医療費控除を受けるには医療機関等の領収書を集計し、電子申告の場合はこれらを入力する必要があります。マイナポータルを活用して医療費の集計を簡単に行えるとともに、マイナポータル上で医療費を確認し、その内容を電子申告データに転記できるようにする計画です。
 さらに「ふるさと納税額通知を活用した寄付金控除の簡素化」では、ふるさと納税を行った自治体から納税受領金額等の通知をマイナポータル上で受け取り、これをe-Taxに連携して確定申告が行えるようにする計画です。
 そのほかにも、「国民年金保険料の免除該当者等に対する情報提供の強化」などについて、実現に向けた検討を進めていきます。

──来年以降、利用者にとって便利なサービスが、いろいろと実現されていくということですね。

福田 そうですね。また、住民に広くマイナポータルを利用していただくため、ロードマップと合わせて四つの改善策も公表しました。
 第一が操作マニュアルを読まなくても直感的に操作できるようにするもので、これはすでに対応を完了しました。
 第二に、これまでマイナポータルを利用するにあたって手間がかかっていた準備作業を3分以内で完了できるよう、今秋以降、パソコン向けに専用アプリを提供する計画です。
 第三がスマートフォンへの対応計画の前倒しで、今秋にはAndroid版向けのアプリを提供する計画です。
 第四がAPIを提供することで、マイナポータルとさまざまな民間サービスとの連携を促進し、利用者にとって利便性の一層の向上を図ります。これについては、来年度以降、段階的に実施する計画です。

今後のスケジュール(案)

──マイナポータルの利用を広げるには、これまで以上にマイナンバーカードの普及促進が重要となりますね。

福田 そのためにも、まずはマイナンバーカードの利便性を理解してもらうことが大切だと考えています。
 そうした取り組みの一つとして、7月頃を目途に全国の市区町村に合計1万台のタブレット端末を配備し、住民がマイナポータルでどんなサービスを受けられるのか実体験できる環境を整備します。なお、このタブレットを使ってマイナンバーカードの交付申請も行えるような仕組みも考えています。
 また、現状ではマイナポータルの入り口は専用サイトに限られていますが、利用のしやすさという点でSNSとの連携も検討しています。第一弾として「LINE」と連携することが、先般、発表されたところです。

──それは面白い試みですね。

福田 情報連携やマイナポータルが始まることで、マイナンバー制度という社会インフラの整備は完了しますが、それよりも大切なのは「これで何ができるか」だと思います。そこでは、利用者にとってより身近な市区町村の取り組みが重要となるでしょう。
 マイナポータルは、国と地方、官民の枠組みを超えて、より便利な社会の実現を目指すものです。そのスタートを切るのが、子育てワンストップサービスです。利用者価値の最大化の点からも、まずは早期に全団体で子育てワンストップサービスを開始していただきたいと考えています。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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