2017年1月号Vol.105

【特集4】地方自治情報化推進フェア2016
開催ICTで創るスマートな未来社会

奈良県香芝市会計課
課長補佐 細川家央氏

地域経営への活用を視野に「日々仕訳」を選択

 香芝市では、昭和50年代後半から市制施行を見据えて公共施設の充実などに努めてきた。しかし、そのために普通建設事業費が増大し、平成22年度には実質公債費比率が22・6%にまで上昇してしまった。市債発行額を償還元金以内に抑制するなど行財政改革に取り組んだことで、平成27年度には19・2%まで改善したが、依然として厳しい状況が続いている。

「日々仕訳」を選んだ理由

細川家央課長補佐

細川家央課長補佐

 そうしたなか、「統一的な基準による公会計の整備」へ取り組むにあたり、香芝市では「日々仕訳」方式の採用を決めた。

 日々仕訳方式の導入を決めた理由は大きく分けて二つある。

 第一が、「期末一括仕訳」方式では香芝市が考える将来構想(図)を実現できなかったためだ。

 期末一括仕訳方式の場合、出納閉鎖後に一括して仕訳を作成するため、月次や四半期ごとの部門別・事業別の財務書類の作成や、予算編成時の予定財務書類が作成できない。また、出納閉鎖後に約7万枚の伝票を一括で仕訳するとなると、職員の負荷が大きいだけでなく、9月議会での公表が間に合わないことも想定された。さらに、決算時期に1年分の伝票と固定資産台帳の異動を照合するのは困難であろう。そのため、選択肢は日々仕訳しかないと考えたわけだ。

 とはいえ、実際に導入するにあたっては、「システム改修費がどの程度かかるのか」「全職員に複式簿記を理解してもらう必要があるのでは」などの課題も考えられた。だが、情報収集の結果、これらの課題もシステムやサポートで回避できることが判明した。これが第二の理由だ。

 実際、香芝市では従来利用していた財務会計システムにオプション機能を追加することで対応できたため、大きな改修費をかけずに済んだ。また、特別な知識がなくても従来同様の操作で複式仕訳が自動作成される仕組みも構築することができた。さらに、導入準備や運用面において各部門で新たな業務が発生することも懸念されたが、これも関連システムの拡充で解決できた。

 日々仕訳方式の場合、あらかじめ財政課が予算科目と勘定科目を1対1の関係になるまで細分化しておく必要があるが、これはベンダーのサポートもあってスムーズに作業を進めることができた。加えて、会計課や管財課では伝票と固定資産台帳を照合する作業も必要となるが、伝票起票と固定資産台帳の作成を同時に行うことで照合作業もほとんど不要となった。

成功のポイントは「細分化」

地方自治情報化推進フェア

 せっかくシステムを導入しても、予算科目と複式簿記の勘定科目が1対Nの状態では自動仕訳はできない。そのため、1対1となるよう予算科目の細節や細々節での細分化が必要となる。

 例えば、「13節 委託料」の場合、資産形成につながる支出とそうではない支出が混在する。財務書類を作成する際には、資産形成につながる支出は「貸借対照表」に資産として、資産形成につながらない支出は「行政コスト計算書」に経費として計上しなければならない。これを正しく自動変換できるよう、香芝市では細節で予算科目を三つ(設計・監理、ソフトウエア構築関係、その他)に細分化している。

 「15節 工事請負費」も同様で、資産形成につながる支出とつながらない支出、解体・撤去にかかる支出を細節で細分化し、資産計上するのか、費用計上するのかを区別できるようにした。

 予算科目の細分化には手間がかかるが、一度作成しておけば翌年度からは新たに追加された項目を加えていくだけで済む。決算時期に数万枚の伝票の仕訳を確認する作業負荷を考えれば、当初は大変でも予算科目をきちんと細分化しておいた方が、確実に業務の簡素化・効率化につながるだろう。

 なお、導入前に、平成26年度と平成27年度の予算科目で仕訳の自動変換率を検証してみたところ、歳入・歳出ともに99%以上となった。その要因には、平成17年度から事業別予算を採用し、予算科目体系を予め細分化してきたことが挙げられると考えている。

サービス検索・電子申請機能の位置付け

◇   ◇   ◇

 公会計の目的は財務書類を作成することではなく、その結果を次年度の予算や施策にどのように活用し、限られた財源を賢く使うにはどうすべきかを探求していくことにある。

 香芝市では今後、「予定財務書類」を作成して月次・四半期ごとに期末の状況をシミュレーションする、あるいは事業別・施設別の財務書類を分析して資産更新時期の分散化や施設利用料改訂等の検討に役立て、その結果を翌年度の計画や予算編成に反映させる「PDCAサイクル」により行財政改革につなげたいと考えている。

 そのためには改革を推進する職員のスキルアップも大切で、従来から取り組んできた複式簿記などの職員研修を今後も継続する計画だ。

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