2017年1月号Vol.105

【特集3】地方自治情報化推進フェア2016
開催ICTで創るスマートな未来社会

兵庫県姫路市情報政策室
室長 田中英男氏 / 課長補佐 原秀樹氏

11月8〜9日の2日間、東京ビッグサイトにおいて、地方自治情報化推進フェア2016(主催:地方公共団体情報システム機構)が開催された。会期中に行われた「マイナンバー活用セミナー」(講師・兵庫県姫路市情報政策室 田中英男室長、同 原秀樹課長補佐)と、「公会計事例セミナー」(講師・奈良県香芝市会計課 細川家央課長補佐)の講演要旨をご紹介する。

講演の様子

マイナンバーカードを活用した市民サービスの取り組みについて

 姫路市ではマイナンバー制度の導入にあたり、①内部事務の一層の効率化、②個人情報の保護と情報セキュリティー対策、③制度活用による特色ある市民サービスへの展開、の三つの目標を掲げた。

 特に三点目は、「マイナンバーカード」の多目的利用により、市民生活に密着したサービスを実現しようというものだ。カード普及のためにも、市民が利便性向上を実感できるよう〝目に見える〟サービス導入が必要と考え、平成28年1月より「証明書コンビニ交付サービス」を開始した。

高評価で「クラウド」型を選択

向井治紀(むかい・はるき)

田中英男室長

 サービス導入を決めた当時は、LGWAN-ASP型(クラウド型)で提供できるベンダーが限られていた。そのため、調達仕様ではセルフASP方式(自庁型)での提案も可能とし、サービス対象の証明書は4種類(住民票の写し、印鑑登録証明書、課税(所得)証明書、戸籍証明書)とした。

 また、既存システムからの連携データ形式を仕様書で指定し、その改修は調達範囲外としたことで公平性を確保した。なお、戸籍証明書はシステム更新を控えていたため、サービス開始を翌年度に延期することとした。

 各社からの提案を検討した結果、全てにおいて評価が高かったクラウド型を採用した。主な理由は四つある。

 まず、システム導入や保守・運用における職員負荷が抑えられたことだ。新たに構築が必要なのは既存システムからのデータ出力部分のみで、また保守運用面でも職員の手間がかからない。

 次がサービスの継続性の確保だ。災害等で庁舎が被災・停電した場合でも、データセンターが稼働している限りサービスが止まることはない。加えて、自社データセンターで専門スタッフ(社員)が24時間365日体制で運用監視していることも心強かった。

 さらに、構築作業の効率化が図れる点も評価した。短期間で構築できるのはクラウド型の利点だが、特に他社システムとの連携実績に基づき、効率的で確実なスケジュールを提示してもらったことは安心につながった。

 最後が導入コストだ。今回は、特別交付税措置も適用できたため導入費用を大幅に抑制することができた。

カード活用で新サービスも開始

向井治紀(むかい・はるき)

原秀樹課長補佐

 コンビニ交付サービスをスタートしてまだ1年に満たないが、マイナンバーカードの交付申請件数に比例してサービスの利用も順調に伸びてきた。ただ、最近少し鈍化傾向にある。それは市民がカードを持つメリットを十分感じられないということがあり、新たな市民サービスの導入が求められている。

 そこで、平成28年11月からマイナンバーカードを図書館カードとしても利用できるようにした。公的個人認証(JPKI)を活用した図書館カードは全国初の試みとなる。

 ICチップの条例利用領域に書き込みを行う手法と異なり、JPKIを利用する場合は独自利用には当たらず、条例改正とICチップへの書き込み作業が不要となる。この取り組みは、姫路市が中心となっている播磨圏域連携中枢都市圏(8市8町)への拡大も検討中で、これが実現するとマイナンバーカード1枚で複数団体の図書館(37館)のサービスが利用できるようになる。すでに、2団体と導入に向け調整している。

 マイナンバーカードや、マイナポータルを活用する構想はほかにもある。一例が、マイナンバーカードの活用による窓口改革の推進だ。姫路市は合併から10年が経過し、出先機関の統廃合の課題に直面している。行政サービスの水準を維持しつつ窓口の統廃合を進めるにはICTが不可欠であり、特にマイナンバーカードの活用は避けては通れないと考えている。また、国が推進するマイキープラットフォームに、先ほどの図書館カードのサービスを対応させる構想もある。さらに国が積極的に検討する自治体ポイントサービスも考えていきたい。

 マイナポータルへの対応では、子育てワンストップサービスに関する事務から、お知らせ表示や電子申請を実現していきたい。また、出先機関に設置している情報提供端末でもマイナポータルを閲覧できるようにする予定だ。さらに、JPKIで認証する市独自のポータルサイトの構築を検討しており、マイナポータルとの連携も視野に入れている。

 こうした新たな市民サービスの導入には、常に変化するニーズを的確に捉える必要がある。そのためには、さまざまなデータの分析結果を施策立案に反映していくことも一層重要になる。

 姫路市では、データ分析に基づくマネジメントを職員一人一人が実践できるよう行政情報分析基盤を構築している。これは住基や税などの業務システムのデータを統合データベースに連携し、匿名加工した上でビックデータとして利用できるようにするものだ。業務システムに限らず、これからはコンビニ交付サービスの利用状況など日々の変化も施策立案に生かしていきたいと考えている。

※掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、取材当時のものです。

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