【ユーザー事例】 目指したのは“市民の利便性向上”

住民向けソリューション「証明書コンビニ交付システム」 > 宮城県大崎市

大崎市 民生部市民課 住民記録係 係長 熊谷賢一氏

住所
宮城県大崎市古川七日町1番1号
電話
0229-23-2111
面積
796.76平方キロメートル
人口
136,111人(平成24年9月1日現在)
URL
http://www.city.osaki.miyagi.jp/
熊谷賢一係長

熊谷賢一係長

──平成24年8月1日より「コンビニにおける証明書等の交付」(コンビニ交付)をスタートされました。サービスに取り組まれた目的を教えてください。

熊谷 コンビニ交付サービスの目的は、第一に「市民の利便性向上」のためです。

 市民の生活スタイルは実にさまざまです。そうしたなか、コンビニ交付サービスがあれば市民は“いつでも、どこでも”コンビニを利用して住民票の写しや印鑑登録証明書の交付を受けられるようになります。また、窓口の混雑緩和といった効果も期待されます。

 第二に、行財政改革の観点でも有効な手段ではないかと考えています。

 本市でも、社会保障関係費が年々増加するなか、少ない予算でいかに市民サービスの向上を図っていくかが課題となっています。そのためには、コスト削減に努めて将来の財源を確保するための行財政改革が不可欠です。平成19年に『大崎市集中改革プラン』を策定し、より効率的な予算執行を目指すための施策を進めてきました。その一つに「出張所のあり方の検討」がありました。市民との話し合いを通して廃止という結論に至りましたが、出張所廃止によるサービスの低下は、不安や不満をもたらしかねません。そのため出張所に替わる新たな拠点として、身近なコンビニを活用できるようにすることでサービス低下を防ぎたいと考えました。

 加えて将来に目を向ければ、コンビニ交付により普及が見込まれる住基カードを利用した市民サービスの拡充ということも考えています。実は、大崎市は平成18年に1市6町が合併したため、いまだ7種類の印鑑登録証が利用されています。管理のしやすさから、これを住基カードへ移行するとともに、多様なサービスを円滑に進めていければいいですよね。

 市では、これらをもとに導入計画を練り、平成23年1月の庁議においてコンビニ交付サービスの導入を決定しました。

災害時に有効な、クラウド型を採用!

──サービスを開始して2か月が経過しましたが、市民の反応や実際の利用状況はいかがですか。

熊谷 県内初のコンビニ交付サービスということもあって、開始当日は地元のケーブルテレビや新聞など多くのメディアに取り上げられました。また、サービス開始後は「どうすれば利用できるのか」といった問い合わせも数多く寄せられるなど、市民の関心の高さがうかがえます。

 現在の利用状況は、住民票の写し87件、印鑑登録証明書は90件となっています(平成24年9月末日現在)。市外での利用はまだそれほど多くはありませんが、閉庁時間帯の利用が半数近くを占めているところを見ると、市民の利便性向上には確実につながっているのではないでしょうか。また、相乗効果として住基カードへの関心も高まり、発行件数も増加しています。ただ必要な手続きを知らない市民の方はまだまだいると思われ、広報誌なども利用しながらサービスの理解促進を続けていかなければと考えています。

──クラウド型での導入は東北地方第一号となりましたが、なぜクラウド型を選択したのですか。

熊谷 第一の理由は、証明発行サーバを共同利用するため、単独で構築するよりも大幅に初期投資や運用にかかるコストを抑えることができることです。また、サーバ機器などの運用管理にかかる作業負担も軽減できます。

 第二に、証明発行サーバが設置されている場所が堅牢性の高いTKCのデータセンターだということです。東日本大震災の教訓を通じて、市町村では重要な行政情報をいかに保全するかが課題となっています。この点、クラウドサービスを利用すれば、行政情報はデータセンターで安全に保管されるため、庁内にサーバを設置するよりも安心です。ハードウェアやシステム障害といった不測の事態にも、データセンターに常駐する専門スタッフが迅速に対応してくれるため、この点でも安心できます。

 実際に大震災を経験した近隣の市町村では、「クラウド」への関心度は高く、多くの自治体から導入した経緯やコスト面、システムの内容、サービス導入後の市民の反応、住基カードの伸び率などについて問い合せが寄せられています。なかには視察に訪れる市町村もあり、注目度は非常に高いですね。

──クラウド導入で苦労した点や課題はありましたか。

熊谷 私自身は4月に異動してきたため、担当者としての苦労話も不安も分からないのですが、短期間でのサービスの立ち上げながら、特に大きな問題はなかったと聞いています。

 むしろ、課題は今後のサービス普及だと考えています。そのためには、やはり住基カードの普及が欠かせません。本市では今年度末までに9000枚の発行を目標としています。これまでにもコンビニの店頭にのぼりを置いてもらったり、市の広報誌と一緒に全世帯に普及チラシを配付するなどPRに努めてきましたが、さらなる普及促進活動を進めていきます。

市民が主役、協働のまちづくり

──市民の利便性向上へ、今後のご計画について教えてください。

熊谷 大崎市では、「市民が主役、協働のまちづくり」を掲げ、その仕組みの一つとして市民と市がともに取り組む事案などについて一緒に知恵を出し合い、考え、話し合う場として「パートナーシップ会議」を設置し、新たな協働体制の構築を進めています。

 コンビニ交付サービスの開始により、住基カードの活用範囲が「コンビニ交付(住民票の写し、印鑑証明)」「電子申告」「公的な身分証明」に拡大しました。全国的には図書の貸し出し、公共施設予約、病院の診察券としての利用などのサービスが見られますが、図書館利用カードなど、これからのサービスの展開については「パートナーシップ会議」やパブリックコメントなどを活用し、市民の皆さんとともに、自律的・創造的な市政運営を進めて行きたいと思います。