【ユーザー事例】「作る」から「使う」公会計へ
予算への活用を見据え、日々仕訳を選択

公会計システム > 奈良県香芝市

香芝市総務部財政課 課長 滝村 豊 氏 / 課長補佐 細川家央 氏 / 主幹 楠本視和 氏 / 主事 美馬 翔 氏

住所
奈良県香芝市本町1397番地
電話
0745-76-2001
面積
24.26平方キロメートル
人口
78,327人(平成27年7月末日現在)
URL
http://www.city.kashiba.lg.jp/
近年、大阪近郊のベッドタウンとして発展し、人口増加のめざましい香芝市は、大阪府に隣接する地理的な要因もあり、街道の発達とともに古くから人々の生活の場として開けた歴史と文化のあるまちだ。写真は、万葉集にも詠まれている二上山(左)と市のマスコットキャラクター「カッシー」(右)

──統一的な会計基準への対応に向けて、これまでに取り組まれてきたことを教えてください。

細川 昨年4月に、総務省より『今後の新地方公会計推進に関する研究会報告書』が公表されましたが、当初は日々仕訳、期末一括仕訳など、詳細が全く分からない状態でした。そのため、まずは平成26年7月から27年1月にかけて、市の職員約100名弱を対象に新公会計に向けた簿記の基礎研修を実施しました。正味1日半の研修を5回ほど行いましたが、これにより複式簿記がどういうものか、大体理解してもらえたかなと思っています。

 固定資産台帳整備に関しては、関係所管課が協力しあって固定資産の評価基準など台帳の整備や運用に向け、市の方針を固めました。

年度より日々仕訳採用を決断

細川家央 課長補佐

細川家央 課長補佐

滝村 豊 課長

滝村 豊 課長

──日々仕訳方式を選択された理由は。

細川 実は、本年度当初までは日々仕訳方式をあまり考えていませんでした。新会計基準への対応にあたっては、まず期末一括仕訳方式に慣れた方がよいだろうと考えていました。

滝村 近隣も含めて多くの市町村が、「期末一括仕訳方式から始めて、3年くらいで日々仕訳方式への移行を考える」という動きであると感じる中で、香芝市も同じにしよう──というのが当初の考えでした。しかし、実際に期末一括仕訳方式を採用した場合のメリット、デメリットを考察した際に、次の問題点があることが分かりました。

 それは、期末一括仕訳方式を選択した場合、年度末に膨大な量の伝票の仕訳が必要になるというものです。香芝市では、年間約7万枚の伝票を切っています。仕訳を担当する課が会計課になるのか財政課になるのかという問題はありますが、いずれにしても日々の業務をこなしながら短期間で7万枚分もの伝票の仕訳をしなければならないというのは、少し現実的ではないかなと考えました。

 一方で、日々仕訳方式に関しては職員が理解できるのかという不安がありました。しかし、システム面では「通常の伝票入力を行えば自動的に複式簿記の仕訳が作成される」と聞いていたことに加え、「初めから日々仕訳方式を選択することで職員の意識付けを図ることができる」のではないかと考えました。先進的な取り組みにもなりますし、私が所管している財政課自らが率先して取り組むことでこれを実現できれば、最終的には市としてのメリットも大きいと判断しました。

 また、費用面でもメリットがあったため、平成28年度から日々仕訳方式を採用することを決定しました。

細川 さらに、公会計の活用という観点も重要なポイントでした。新年度予算への活用を考えた際に、従来、財務書類4表を6〜8月にかけて作成していますが、期末一括方式を採用した場合では、とても間に合わないと考えたからです。

美馬 翔 主事

美馬 翔 主事

楠本視和 主幹

楠本視和 主幹

──日々仕訳方式の採用に向け、どのような準備をされていますか。

美馬 平成28年度から日々仕訳を開始するためには、予算編成時に日々仕訳に適した科目体系に再編しておく必要があります。各課における当初予算要求が始まるのは10月末あたりからになりますので、それまでに現在の各節における細々節等の科目の見直しを行っています。

 具体的には、今年1月に公表された「統一的な基準による地方公会計マニュアル」に記載されている仕訳例と照らし合わせながら、実際にその通りにできるのか確認作業を行っています。これは仕訳の自動変換率を高めるためにも必要な作業です。各職員が複式仕訳について理解しているとしても、仕訳についてはなるべくシステムで自動化された方が業務の効率化が望めます。そのため、TKCの協力を得ながら科目の細分化と統合などを進めているところです。

──最後に、今後の計画をお聞かせください。

細川 新公会計の勘定科目を使用した仕訳例がある程度まとまってきたことから、まずは統一的な基準による財務書類の作成要項の概要も含めた形での研修を実施したいと考えています。仕訳の知識がなくてもシステムを利用できるとのことですが、その裏側、つまりシステムの中では何が行われているかを理解しておいた方が後々役に立つと思っています。

楠本 また、新公会計については、財務書類を作ることはもちろん大事ですが、その後〝いかに活用するか〞が一番大事です。今はまだ作ることに必死でそこまでの段階にはありませんが、いずれは、分析方法等も含めてTKCさんにいろいろとアドバイスを頂ければと思っています。