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租税法

2020.07.14
通知処分取消等請求事件 new
LEX/DB25570928/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 7月 2日 判決 (上告審)/平成31年(行ヒ)第61号
破産者K社の破産管財人である被上告人(控訴人・原告)が、平成7年度から同17年度まで(同11年度を除く。)の各事業年度(4月1日から翌年3月31日までの各1年間。本件各事業年度)において支払を受けた制限超過利息等についての不当利得返還請求権に係る破産債権が、その後の破産手続において確定したことにより、これに対応する本件各事業年度の益金の額を減額して計算すると納付すべき法人税の額が過大となったとして、本件各事業年度の法人税につき国税通則法23条2項1号及び同条1項1号に基づく更正の請求をしたところ、更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けたため、上告人(被控訴人・被告。国)に対し、主位的には本件各通知処分の一部の取消しを、予備的には上記制限超過利息等に対応する法人税相当額の一部についての不当利得返還等をそれぞれ求める事案の上告審において、本件各事業年度に制限超過利息等を受領したK社が、これを本件各事業年度の益金の額に算入して行った本件各申告はもとより正当であったといえるところ、その後の事業年度に本件債権1が破産手続において確定したことにより、本件各事業年度に遡って益金の額を減額する計算をすることは、本件債権1の一部につき現に配当がされたか否かにかかわらず、公正処理基準に従ったものということはできないとし、上記の減額計算を前提とする本件各更正の請求が国税通則法23条1項1号所定の要件を満たすものでないことは明らかであるとして、原判決を破棄し、本件各通知処分が最後配当及び追加配当がされる前にされたことをもって違法であるということもできないから、本件各通知処分は適法であり、また、上告人が本件債権1及び2の発生原因となった制限超過利息等に対応する法人税相当額を保持することについて法律上の原因がないということもできないとし、被上告人の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却した第1審判決は正当であるから、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.07.07
不指定取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和2年9月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570926/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 6月30日 判決 (上告審)/令和2年(行ヒ)第68号
平成31年法律第2号(本件改正法)による地方税法の一部改正により、いわゆるふるさと納税として個人の道府県民税及び市町村民税に係る特例控除の対象となる寄附金について、所定の基準に適合する都道府県、市町村又は特別区として総務大臣が指定するものに対するものに限られるという制度(本件指定制度)が導入され、被上告人(国)が上記の指定の申出をした泉佐野市に対して当該指定をしない旨の決定(本件不指定)をしたことについて、上告人(泉佐野市長)が、本件不指定は違法な国の関与に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件不指定の取消しを求め、原審は、泉佐野市は平成31年総務省告示第179号(本件告示)2条3号に定める基準を満たさず指定の要件を欠くとし、本件不指定は適法であるとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件告示2条3号の規定のうち、本件改正規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は、地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であるとし、原判決を破棄し、上告人の請求を認容した事例(補足意見あり)。
2020.06.09
法人税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25570858/東京地方裁判所 令和 2年 3月11日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第395号
内国法人である原告が、原告と米国法人との間で、医薬品用化合物の共同開発等を行う本件JVを形成する契約を締結し、同契約に基づき、英国領ケイマン諸島において、特例有限責任パートナーシップであるCILPを設立し、そのパートナーシップ持分を保有していたが、その後本件JVの枠組みの変更に際し、上記持分全部を原告の英国完全子会社に対し、現物出資により移転したことについて、本件現物出資は、平成28年改正前法人税法施行令4条の3第9項に規定する「国内にある事業所に属する資産」を外国法人に移転するものではなく、適格現物出資に該当すると主張して、法人税等にかかる本件各更正処分等の各取消しを求めた事案において、本件現物出資の対象財産であった本件CILP持分は、「国内にある事業所に属する資産」には該当しないから、本件現物出資は、適格現物出資に該当するとして、原告の請求を一部認容した事例。
2020.04.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25570799/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(受)第388号
本件家屋を所有し、その固定資産税及び都市計画税を納付してきた上告人が、本件家屋の建築当初である昭和58年に行われた本件家屋の評価等に誤りがあったことから、その後の各年度において過大な固定資産税等が課されたなどと主張して、被上告人に対し、固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額等の損害賠償を求め、原審が、除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、昭和58年の建築当初の評価行為及び価格決定時であり、遅くとも同年6月30日の価格決定時としたため、上告人が上告した事案で、家屋の評価の誤りに基づき、ある年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権の除斥期間は、当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行するものであるとし、本件家屋の新築部分の評価の誤りに基づき本件各年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことを理由とする上告人の被上告人に対する損害賠償請求権については、年度ごとに、当該年度の納税通知書が上告人に交付された時から除斥期間が進行することとなるところ、本件各年度における納税通知書の交付の具体的な時点はいずれも明らかでないが、本件訴訟が提起された平成25年1月27日の時点で20年を経過していなかったものがあると考えられる。よって、これと異なる見解の下に、本件各年度の固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額に係る上告人の損害賠償請求をいずれも棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中これに関する部分を破棄し、損害賠償請求権に関し、それぞれ除斥期間が経過したか否か、除斥期間が経過していない場合における当該年度の上告人の損害額等について更に審理を尽くさせるため、平成4年度から同20年度までの各年度の部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2020.03.31
所得税更正処分取消等請求事件
LEX/DB25570798/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第422号
法人に対する株式の譲渡につき、被上告人(控訴人・原告)らが、当該譲渡に係る譲渡所得の収入金額を譲渡代金額と同額として所得税の申告をしたところ、当該代金額が所得税法59条1項2号に定める著しく低い価額の対価に当たるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、上告人(被控訴人・被告。国)に対し、これらの各処分(更正処分については修正申告又は先行する更正処分の金額を超える部分)の取消しを求め、当該株式の当該譲渡の時における価額が争点となり、原審は、所得税基本通達59-6が定める条件の下に適用される評価通達に定められた評価方法が、取引相場のない株式の譲渡時における客観的交換価値を算定する方法として一般的な合理性を有するものであれば、これによって算定された価額は、原則として所得税法59条1項にいう「その時における価額」として適正なものと認められ、評価通達において定められた評価方法自体は一般的な合理性を有するとした上で、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、原審は、本件株式の譲受人であるCが評価通達188の(3)の少数株主に該当することを理由として、本件株式につき配当還元方式により算定した額が本件株式譲渡の時における価額であるとしたものであり、この原審の判断には、所得税法59条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件株式譲渡の時における本件株式の価額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2020.03.31
不動産取得税賦課決定処分取消請求事件
LEX/DB25570791/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月19日 判決 (上告審)/平成31年(行ヒ)第99号
堺市所在の土地を共有していたAが、同土地の共有物分割により他の共有者の持分を取得したところ、大阪府泉北府税事務所長から不動産取得税賦課決定処分を受けたことについて、被上告人(控訴人・原告。Aは原審係属中に死亡し、同人の弟である被上告人が相続により本件訴訟を承継。)が、上記の取得に対しては地方税法73条の7第2号の3の規定により不動産取得税を課することができず、本件処分は違法であると主張して、上告人(被控訴人・被告。大阪府)を相手に、その取消しを求め、原審は、共有物の分割による不動産の取得に係る持分超過部分の有無及び額は、当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格によって判断すべきところ、本件処分において評価基準により本件土地1の価格を算定するに当たり、本件各土地を一画地と認定して画地計算法を適用したこと自体は評価基準に適合するとした上で、本件処分の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件処分において、本件各土地を一画地として画地計算法を適用して算出した価格に本件土地1と本件各土地との地積比を乗ずることにより、本件土地1の価格を算定したことは、評価基準の定める評価方法に従ったものということができ、本件処分は、本件取得につき、地方税法73条の21第2項に基づき、評価基準によって本件土地1に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を算定し、これに基づいて持分超過部分に係る課税標準及び税額を算定してされたものであるところ、本件土地1の価格について、評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回る違法があるとはいえず、その客観的な交換価値としての適正な時価を上回る違法があるというべき事情もうかがわれないとし、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、本件処分の取消請求を棄却した第1審判決は正当であるとし、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.01.28
相続税返還請求控訴事件
LEX/DB25564618/大阪高等裁判所 令和 1年10月10日 判決 (控訴審)/平成31年(行コ)第25号
平成18年11月8日に死亡したCを相続し、その相続税に係る納税申告(平成20年12月19日)において相続財産である株式の価額を同申告当時の財産評価基本通達に従って評価して納税した控訴人(原告)らが、被控訴人(被告。国)に対し、同申告に係る納税額(控訴人Aにつき3億1872万7000円、控訴人Bにつき848万4200円)と同申告後に改正された同通達の関係部分に従って株式の価額を評価して算出した納税額との差額を被控訴人が保持することには法律上の原因がない旨主張して、不当利得返還請求権に基づき、控訴人Aにおいては6692万0300円及び法定利息の支払を、控訴人Bにおいては106万2800円及び法定利息の支払をそれぞれ求め、これと選択的に、国税庁長官には、上記相続に係る相続税の申告納付期限である平成19年9月10日までに上記通達を改正すべき職務上の注意義務があり、伊丹税務署長には、平成24年3月2日(後述する判決により改正前の通達の合理性を否定する地方裁判所の判断がされた日)までに上記相続税につき減額更正処分をすべき職務上の注意義務があったにもかかわらず、これらの注意義務に違反したことにより控訴人らは前同額の損害を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、前同額の金員及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めたところ、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したことから、これを不服とする控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの本件各請求はいずれも理由がないとし、本件控訴を棄却した事例。
2019.12.10
法人税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25564253/東京地方裁判所 令和 1年 6月27日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第508号
原告が、その完全子会社を被合併法人とする適格合併を行い、当該子会社が有していた未処理欠損金額を法人税法57条2項の適用により原告の欠損金額とみなして損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁から、上記未処理欠損金額を原告の損金の額に算入することは原告の法人税の負担を不当に減少させる結果となるとして、法人税法132条の2の適用により更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、上記の損金算入を認めなかったことは違法であると主張して、これらの一部の取消しを求めた事案で、本件未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなして損金の額に算入する計算は、法人税法132条の2の規定に基づき否認することができ、原告の本件各事業年度における法人税の額及び原告に課される過少申告加算税の額は、本件各更正処分等における法人税の額及び過少申告加算税の額と同額であると認められ、本件各更正処分等は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2019.11.26
過誤納付金還付等請求事件
LEX/DB25564167/札幌地方裁判所 令和 1年10月24日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第42号
F市長は、原告の平成21年度分から平成23年度分の市民税及び道民税の全額を徴収した後、平成20年分から平成22年分の各所得税に係る総所得金額が減額されたことに伴い、本件市道民税額を減額したため、過誤納に係る地方団体の徴収金(過誤納金)が発生したとして,これを原告に還付した。本件は、原告が、還付された過誤納金については、徴収された時点に存在していた他の滞納税に充てるべきであるのに、これがされていないため、本件市道民税額に係る延滞金額の計算に誤りがあると主張し、被告に対し、〔1〕地方税法17条に基づき過誤納金及び還付加算金の支払を求めるとともに、〔2〕被告が本件延滞金の計算を誤ったため、本件訴訟を提起せざるを得なくなったとして、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金の支払等を求めた事案において、地方団体の長は、過誤納金が発生した場合、過誤納金が現実に発生した時点で、還付を受けるべき者について地方団体の徴収金があるときは、地方税法17条の2に基づき過誤納金を徴収金に充当し、地方団体の徴収金がないときは、地方税法17条に基づき過誤納金を還付すればよいというべきであり、これに沿って行われたF市長による本件過誤納金の還付手続は、地方税法の規定に沿う適法なものであったと解するのが相当であり、本件延滞金の額の計算に法令違反などの誤りはないとし、原告の請求を棄却した事例。
2019.10.15
法人税並びに消費税及び地方消費税更正処分等取消請求控訴事件
LEX/DB25563811/東京高等裁判所 平成30年 9月 5日 判決 (控訴審)/平成30年(行コ)第101号
控訴人が、自社の工場で設置した機械装置について、本件事業年度の法人税の所得の金額の計算上、法人税法31条の規定の適用による減価償却(普通償却)の方法により計算した減価償却費、及び租税特別措置法52条の3の規定の適用による特別償却準備金として積み立てた金額を損金の額に算入して法人税の確定申告をし、かつ、当該法人税の確定申告に基づき、本件課税事業年度の復興特別法人税の確定申告をするとともに、さらに、本件課税期間の消費税及び地方消費税の納税額の計算上、本件機械装置に係る支払対価の額に対する消費税額を消費税法30条1項に規定する仕入れに係る消費税額(控除対象仕入税額)として控除し、消費税等の確定申告をしたところ、所轄税務署長が、控訴人は本件機械装置を本件事業年度終了のときにおいて取得しておらず、本件事業年度の法人税の所得の金額の計算上、本件減価償却費等を損金の額に算入することはできず、かつ、この処理を前提とした本件課税事業年度の復興特別法人税の計算には誤りがあり、さらに、控訴人は本件機械装置を本件課税期間中に取得しておらず、本件課税期間の消費税等の納税(還付)額の計算上、本件機械装置に係る支払対価の額に対する消費税額を控除対象仕入税額として控除することはできないとして、本件事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに本件課税事業年度の復興特別法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をするとともに、本件課税期間の消費税等に係る更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしたことに対して、控訴人が、本件各更正処分等のうち、一部分の取消しを求め、原審は、控訴人の請求を棄却したため、これに不服として控訴した事案で、原判決を維持し、控訴を棄却した事例。
2019.07.30
固定資産価格審査申出棄却決定取消請求事件
「新・判例解説Watch」租税法分野 10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570343/最高裁判所第三小法廷 令和 1年 7月16日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第139号
鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付き9階建事務所(本件建物)を所有している上告人が、東京都知事によって決定され固定資産課税台帳に登録された本件建物の平成24年度の価格を不服として東京都固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、被上告人を相手に、その取消しを求めた事案の上告審において、原審は、本件訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下するとともに、本件主張追加に係る事由によって、本件登録価格が平成24年度評価基準により決定される本件建物の価格を上回ることとならないか否かについて審理判断することなく本件決定を適法としたものであり、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2019.06.25
所得税増額更正処分等取消請求事件
LEX/DB25555318/東京地方裁判所 平成30年 6月29日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第487号
原告が、西大寺税務署長から、平成19年ないし平成25年分の所得税についての更正処分及びこれらの所得税に係る重加算税の賦課決定処分を受けたことから、西大寺税務署長が所属する被告(国)に対し、〔1〕平成19年ないし平成22年分の所得税の各更正処分のうち、期限内申告及び修正申告の額を超える部分について、原告に「偽りその他不正の行為」はなく、更正処分の除斥期間である3年を経過してされたものであり、違法であるとして、〔2〕平成19年ないし平成22年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分について、違法な更正処分を前提とし、かつ、重加算税の賦課要件である「隠蔽又は仮装」の事実がないのにされた違法なものであるとして、〔3〕平成23年ないし平成25年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分について、「隠蔽又は仮装」の事実がないのにされた違法なものであるとして、それぞれ、その取消しを求めた事案において、原告の請求は理由がないとして棄却した事例。
2018.12.04
所得税更正処分等取消請求事件
LEX/DB25561472/大阪地方裁判所 平成30年 4月19日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第393号
Aの屋号でLPガス、A重油、灯油等の燃料小売業を営む原告が、平成22年分から平成24年分まで(本件各年分)の所得税の確定申告において、原告が代表者を務める本件会社にAの業務を委託したとして、その外注費を事業所得の金額の計算上必要経費に算入したところ、所轄税務署長が、本件外注費を必要経費に算入することはできないとして、原告に対し、本件各年分の所得税の更正及び過少申告加算税の賦課決定をしたため、被告(国)を相手に、本件各更正処分のうち各申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求めた事案において、本件外注費は、原告の事業所得に係る必要経費には該当しないとし、また、本件各通知書に附記された理由は、本件各更正処分の根拠を、行政庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制し、不服申立ての便宜を図るという理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものというべきであり、所得税法155条2項が求める理由の附記として欠けるところはなく、本件各更正処分について理由附記の不備の違法はないとし、本件各処分はいずれも適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.11.27
通知処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25561443/大阪高等裁判所 平成30年10月19日 判決 (控訴審)/平成30年(行コ)第21号
破産会社の破産管財人である控訴人が、〔1〕主位的に、本件破産会社の平成7年度から同17年度まで(ただし、同11年度を除く。)の各事業年度に係る法人税の確定申告について控訴人が平成27年6月19日付けでした各更正の請求に対して,所轄税務署長が同年9月14日付けで更正すべき理由がない旨の各通知処分をしたことについて、本件破産会社の破産手続において一般調査期間の経過をもって総額555億3373万9096円の過払金返還請求権が破産債権者表に記載されることにより破産債権として確定したことが国税通則法23条1項1号及び同条2項1号に該当するから、これに対応する法人税額が減額更正されるべきであるのに、これを認めなかった本件各通知処分は違法であると主張して、被控訴人に対し、本件各通知処分のうち法人税額合計5億円の範囲での一部取消し(一部請求)を求めるとともに、〔2〕予備的に、本件各通知処分が適法であるとしても、被控訴人は本件各事業年度において益金の額に算入された上記各過払金返還債権に対応する同事業年度の法人税相当額66億5526万3845円を法律上の原因なく利得している旨主張して、不当利得返還請求権に基づき、そのうち5億円の支払等を求め、原審は、控訴人の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却したため、これを不服とする控訴人が控訴した事案(当審で不服の範囲を限定し、法人税額合計2億5000万円の範囲で本件各通知処分の取消しを求め、予備的に同額の不当利得返還を求めた)で、控訴人が本件破産会社についてした本件会計処理は法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に合致するものであり是認されるべきであったから、結果的に、本件申告に係る納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っておらず、同納税申告書の提出により納付すべき税額が過大であったことになり、国税通則法23条1項1号に該当するところ、本件破産手続で本件破産会社が本件過払金返還債権1に係る不当利得返還義務を負うことが確定判決と同一の効力を有する破産債権者表の記載により確定し、その結果、破産会社に生じていた経済的成果が失われたか又はこれと同視できる状態に至ったと解されることにより、本件申告に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実と異なることが確定したというべきであるから、同確定の日から2か月以内にされた本件各更正の請求は理由があり、これに理由がないとした本件各通知処分はいずれも違法であると判断し、これと異なる原判決は不当であり、本件控訴は理由があり、控訴人は当審における不服の範囲を本件各通知処分中法人税額合計2億5000万円に関する部分の取消請求に限定していることから、原判決中上記範囲で原判決を取消した上、同範囲で控訴人の主位的請求を認容した事例。
2018.11.06
所得税更正及び加算税賦課決定一部取消等請求事件
LEX/DB25561323/東京地方裁判所 平成30年 4月12日 判決 (第一審)
不動産貸付業を営む原告は、平成22年分から平成24年分までの本件各係争年分の所得税について、各確定申告及び各修正申告をしたところ、所轄税務署長から、(ア)本件各修正申告に基づく過少申告加算税の各賦課決定処分1を受けるとともに、(イ)本件各係争年分に係る原告の不動産所得につき、〔1〕必要経費に算入することができない修繕費や修繕積立金等を必要経費に算入したこと、〔2〕不動産の減価償却費を過大に必要経費に算入したこと、〔3〕総収入金額に算入すべき敷金を算入していないことなどから、本件各修正申告後の申告額が過少であることを理由に、各更正処分及びこれらの更正処分に基づく過少申告加算税の各賦課決定処分2を受けたため、原告が、(ア)本件各更正処分は、その根拠とされている上記〔1〕~〔3〕がいずれも誤りであるから違法である、(イ)本件各賦課決定処分1及び本件各更正処分等は、理由附記の不備があるから違法である、(ウ)本件各修正申告に係る修正申告書の提出は「更正があるべきことを予知してされたものでないとき」(国税通則法65条5項)に行われたものであって、本件各修正申告には同条1項の規定は適用されないから、これに反してされた本件各賦課決定処分1は違法である、(エ)本件各更正処分に基づく税額計算の基礎となった事実につき更正前の税額計算の基礎とされなかったことについて「正当な理由」(同条4項)があるから、同項を適用せずにされた本件各賦課決定処分2は違法であると主張して、本件各更正処分並びに本件各賦課決定処分1及び2(ただし、平成23年分及び平成24年分については平成27年11月4日付け裁決により一部取り消された後のものに限り、かつ、課税の計算の基礎となる金額及び計算方法に争いのない部分を除く。)の取消しを求めた事案において、原告主張の本件修繕費及び本件賃室リフォーム代金を必要経費に算入すべきとするものはその一部(本件会社による修繕及びリフォーム工事等の実施並びにこれらによる原告の費用支払債務の確定が認められる部分)につき理由があるとして、請求を一部認容した事例。
2018.10.09
納税告知処分等取消請求事件
LEX/DB25449691/最高裁判所第三小法廷 平成30年 9月25日 判決 (差戻上告審)/平成29年(行ヒ)第209号
上告人(被控訴人・原告。権利能力のない社団)が、その理事長であったAに対し、同人の上告人に対する借入金債務の免除をしたところ、所轄税務署長から、上記の債務免除に係る経済的な利益がAに対する賞与に該当するとして、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたため、被上告人(控訴人・被告。国)を相手に、上記各処分(ただし、上記納税告知処分については審査請求に対する裁決による一部取消し後のもの)の取消しを求めた事案の差戻後上告審において、給与所得に係る源泉所得税の納付義務を成立させる支払の原因となる行為が無効であり、その行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたときは、税務署長は、その後に当該支払の存在を前提として納税の告知をすることはできないものと解され、当該行為が錯誤により無効であることについて、一定の期間内に限り錯誤無効の主張をすることができる旨を定める法令の規定はなく、また、法定納期限の経過により源泉所得税の納付義務が確定するものでもないとし、給与所得に係る源泉所得税の納税告知処分について、法定納期限が経過したという一事をもって、当該行為の錯誤無効を主張してその適否を争うことが許されないとする理由はないというべきであるとし、上告人が法定納期限の経過後に本件債務免除の錯誤無効を主張することは許されないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるものといわざるを得ない。しかしながら、上告人は、本件債務免除が錯誤により無効である旨の主張をするものの、納税告知処分が行われた時点までに、本件債務免除により生じた経済的成果がその無効であることに基因して失われた旨の主張をしておらず、上告人の主張をもってしては、本件各部分が違法であるということはできないとして、本件各部分が適法であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとし、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.09.11
法人税更正処分取消請求事件 
LEX/DB25550515/東京地方裁判所 平成29年11月24日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第263号
所轄税務署長(処分行政庁)が、原告(めっき薬品の製造販売等を業とする会社)に対し、原告が租税特別措置法66条の4第1項(平成18年法律第10号による改正前のもの)に規定する国外関連者との間でしためっき薬品の製造・販売に係る技術やノウハウ等の無形資産の使用許諾及び役務提供の取引について、原告が当該国外関連者から支払を受けた対価の額が、同条2項2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項(平成16年政令第105号による改正前のもの)所定の方法(利益分割法)のうちの残余利益分割法と同等の方法によって算定した独立企業間価格に満たないとして、その独立企業間価格によって当該取引が行われたものとみなして所得金額を計算し、平成12年3月期ないし平成16年3月期の法人税に係る本件各更正処分及び本件各賦課決定処分をしたところ、原告が、上記取引の独立企業間価格の算定方法として残余利益分割法と同等の方法を採用するのは不相当であり、その算定過程にも誤りがあるなどとして、被告(国)に対し、本件各更正処分等(ただし、法人税の減額更正処分、過少申告加算税の変更決定処分及び国税不服審判所長の裁決による一部取消し後のもの)のうち申告額等を超える部分の取消しを求めた事案において、本件各事業年度の原告の所得金額及び納付すべき法人税額並びに過少申告加算税額を計算すると、予備的主張額の通りとなり、いずれも本件各更正処分等におけるこれらの金額を上回るから、本件各更正処分等は、いずれも適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.08.28
納税告知取消請求控訴事件
LEX/DB25560843/東京高等裁判所 平成29年 1月19日 判決 (控訴審)
破産会社が、本件匿名組合を組織し、破産会社を営業者として匿名組合員との間で締結した匿名組合契約において、これを締結した匿名組合員に対して利益の分配として支払った金員につき、所轄税務署長から源泉所得税の納税の告知及び不納付加算税の賦課決定を受けたことに関し、破産会社の破産管財人である控訴人(原告)が、被控訴人(被告。国)に対し、本件匿名組合員に対する上記各支払は出資の払戻しであって「匿名組合契約に基づく利益の分配」に該当せず、源泉所得税の納付義務を負わないと主張して、(1)ア 平成26年10月1日付け納税の告知の取消し、イ 上記アの告知処分に係る納付済みの源泉所得税1億1241万円につき、国税通則法56条1項に基づく還付及びこれに対する同法58条に基づく還付加算金の支払、(2)ア 平成26年10月1日付け納税の告知のうち、匿名組合利益の分配金に対する源泉所得税合計2327万円及びこれに対する不納付加算税合計232万7000円の取消し、イ 上記アの納税の告知記載の租税債務のうち、匿名組合利益の分配金に対する源泉所得税合計2327万円及び不納付加算税合計232万7000円につき、それぞれ支払義務が存在しないことの確認を求め、原判決は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人が控訴した事案において、原判決は相当であるとし、本件控訴を棄却した事例。
2018.07.31
固定資産評価審査決定取消請求事件
LEX/DB25449580/最高裁判所第三小法廷 平成30年 7月17日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第406号
京都市所在の4筆の土地に係る固定資産税の納税義務者であったAが、上記の各土地につき、京都市長により決定され土地課税台帳に登録された平成21年度の価格を不服として京都市固定資産評価審査委員会に対し審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、上告人(Aは、第1審係属中に死亡し、Aの子である上告人が本件訴訟を承継した。)が、被上告人を相手に、本件各決定の取消しを求め、原審は、本件各土地の西側に接する街路(本件街路)が建築基準法42条1項3号所定の道路(3号道路)に該当することを前提とする本件登録価格の決定は適法であるとし、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件街路が3号道路に該当するための要件を満たすか否かは明らかでないとしながら、本件道路判定がされていること等を理由に、建築確認を受けることができないために本件各土地上に建築物を建築することができない事態となる可能性はないとして、本件街路が3号道路に該当することを前提とする本件登録価格の決定は適法であるとした原審の判断には、固定資産の評価等に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、本件街路が3号道路に該当すると認められるか否か、本件登録価格が評価基準によって決定される本件各土地の価格を上回らないか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2018.07.24
国家賠償請求事件
LEX/DB25560641/東京地方裁判所 平成30年 3月12日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第12113号
外資系証券会社に勤務していた原告が、国である被告に対し、平成18年分及び平成19年分の所得税確定申告で、給与の収入金額として、源泉徴収票に記載された支払金額のみを申告し、株式報酬に係る収入を申告しなかったことなどから所得税法違反の罪として国税局収税官吏による告発及び検察官による起訴がされたものの第1審で無罪判決を受け、これに対し、検察官による控訴がされたものの控訴棄却判決を受け無罪判決が確定したところ、それらの〔1〕告発、〔2〕起訴及び〔3〕控訴並びに〔4〕国税局職員等による報道機関への情報漏えいが違法であるとして、国家賠償法1条1項に基づき、逸失利益及び慰謝料の損害の一部である〔1〕から〔4〕までの各行為ごとの各1億2500万円の合計5億円支払等を求めた事案において、本件告発は、告発時における各種の調査資料を総合勘案して合理的な判断過程により犯則があると思料する程度の嫌疑があったということができ、また、本件起訴は、起訴時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があったということができるから、いずれについても、国家賠償法上違法ではないなどとして、請求を棄却した事例。