注目の判例

2020年

2020.11.24
免責条項等使用差止請求控訴、同附帯控訴事件 new
LEX/DB25566893/東京高等裁判所 令和 2年11月 5日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1093号 等
被控訴人(原告)が、控訴人(被告)は消費者との間でモバゲーに関するサービス提供契約を締結するに当たり、消費者契約法8条1項の不当条項を含む消費者契約の申込み又は承諾の意思表示を現に行い、又は行うおそれがあると主張し、消費契約法12条3項に基づいて、控訴人に対し、消費者との間で本件契約を締結するに際し、原判決別紙契約条項目録記載1及び2の契約条項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示を行わないよう求めるとともに、控訴人が同意思表示を行うための事務を行わないことを従業員らに指示するよう求め、原審は、〔1〕原判決別紙契約条項目録記載1の契約条項に係る被控訴人の請求を全部認容し、〔2〕同目録記載2の契約条項に係る被控訴人の請求を全部棄却したところ、控訴人は、上記〔1〕を不服として本件控訴をし、被控訴人は、上記〔2〕を不服として本件附帯控訴をした事案で、原判決別紙契約条項目録記載1の契約条項に係る被控訴人の請求は全部理由があり、同目録記載2の契約条項に係る被控訴人の請求は全部理由がないものと判断し、被控訴人の請求を一部認容し、その余をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2020.11.24
株式取得価格決定に対する抗告事件 new
LEX/DB25566835/東京高等裁判所 令和 2年10月 6日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和2年(ラ)第1388号
第1事件において、本件株主総会に先立ってジャスダックに株式を上場していた利害関係参加人による本件株式の取得に反対する旨を利害関係参加人に対し通知し、かつ、本件株主総会において当該取得に反対した株主であった抗告人aが、会社法172条1項に基づき、本件株式のうち同抗告人の保有していた5万5000株につき取得価格(1株当たり173円,予備的に1株当たり144円)の決定の申立てをし、第2事件において、基準日後に本件株式100株を取得したため、本件総会において議決権を行使することができない株主であった抗告人が、会社法172条1項に基づき、本件株式のうち同抗告人の保有していた上記100株につき取得価格(1株当たり30円)の決定の申立てをしたところ、原審は、本件株式の取得価格を1株当たり25円とする本件鑑定を採用することなく、1株当たり28円と決定したことで、これを不服とする抗告人らが本件抗告をそれぞれした事案で、本件株式の取得価格を1株当たり28円とした原決定は不当であるが、利害関係参加人の抗告、附帯抗告がない本件においては、不利益変更禁止の原則の趣旨に鑑み、原決定を抗告人らに不利益に変更することは相当ではないから、本件抗告をいずれも棄却するにとどめることとした事例。
2020.11.17
石炭火力発電所運転差止請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和3年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25566855/仙台地方裁判所 令和 2年10月28日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第1175号
石炭火力発電所の本件発電所周辺に居住する原告らが、本件発電所の運転により、原告らの平穏に日常生活を送る権利(平穏生活権)が侵害されていると主張して、被告に対し、平穏生活権に基づき、本件発電所の運転差止めを求めた事案で、現時点において、本件発電所の運転により排出される大気汚染物質の実測値は、環境基準等をいずれも下回るものであり、本件発電所の周辺地域における大気汚染物質の実測値は、本件発電所の運転前と比較しても通常の変動の範囲内で推移していることが認められるとし、本件発電所の運転により環境を汚染する行為は、環境汚染の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くということはできず、平穏生活権を侵害するものとして違法となると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2020.11.17
発信者情報開示等請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 令和2年12月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571025/東京地方裁判所 令和 2年 6月26日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第8945号
氏名不詳者が、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)上で、原告になりすまして、俗悪なユーザー名でアカウントの登録をした上、これを使用して、原告の顔写真を添付して上記アカウント開設に係る投稿をしたことにより、原告の肖像権や名誉感情が侵害されたとして、原告が、上記氏名不詳者(本件発信者)に対する損害賠償請求権の行使のために、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項にいう開示関係役務提供者に当たる被告に対し、同法同条同項に基づき、本件発信者の氏名、シンプルメールトランスファープロトコルが用いられる通信方式(SMTP方式)による電子メールに係る電子メールアドレス及びショートメッセージサービスが用いられる通信方式(SMS方式)による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求めた事案で、本件投稿による原告の肖像権侵害は、社会生活上受忍の限度を優に超えるものというべきであり、本件投稿は不法行為法上違法となることが明らかであるとし、原告の請求のうち、本件情報を投稿した者(本件発信者)に関するSMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求める点について一部認容した事例。
2020.11.17
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25566814/東京高等裁判所 令和 1年 9月25日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第2048号
控訴人(原告)は、被控訴人(被告)らが控訴人の取締役又は監査役を務めていた時期に、控訴人の一人株主からその保有する株式を5250万円で取得し、2650万円で売却したことにつき、被控訴人らがその任務を怠ったとして、被控訴人らに対し、会社法423条1項に基づく損害賠償として、連帯して5250万円の支払等を求め、原審は、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が請求の認容を求めて控訴した事案で、本件株式取得契約及び本件株式売却契約がされた時点において、近い将来に債務超過状態に陥る蓋然性が高かったとはいえないとして、当審における控訴人の主張を採用できないなどとし、控訴人の請求は理由がないから棄却した原判決と同旨であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2020.11.10
保有個人情報不開示決定処分取消請求事件
LEX/DB25566775/大阪地方裁判所 令和 2年 9月11日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第159号
大阪刑務所収容中の原告が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条に基づき、保有個人情報の開示を請求したところ、大阪矯正管区長から、本件情報は同法45条1項により開示請求等の規定の適用が除外されている情報に該当するとして、その全部を開示しない旨の決定を受けたことから、本件決定は同項の解釈を誤ったものである、又は、憲法によって保障されている被収容者が自己の医療情報を知る権利等を侵害するため違憲であるなどと主張して、本件決定の取消しを求めた事案で、受刑者に対して講じられた医療上の措置に係る個人情報で刑事施設が保有するものについては、同法45条1項の「刑事事件に係る裁判に係る保有個人情報」及び「刑の執行に係る保有個人情報」に該当すると解するのが相当であり、また、憲法13条が行政機関の保有する個人情報の開示請求権を具体的権利として保障したものではないなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2020.11.10
建物明渡等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25566836/大阪高等裁判所 令和 2年 6月19日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第691号
阪神・淡路大震災の被災地の地方公共団体であり、かつ、公営住宅の事業主体である被控訴人(1審原告。神戸市)が、復旧・復興対策として、住宅・都市整備公団(現在は独立行政法人都市再生機構に承継され、UR都市機構)から期間20年で借り上げた本件居室の入居者(転借人)である控訴人に対し、〔1〕主位的に、本件賃貸借契約の借上期間が満了したとして、公営住宅法32条1項6号及び神戸市営住宅条例50条1項7号に基づき、仮に本件転貸借契約に同法32条1項6号等の適用がないとしても、予備的に、本件賃貸借契約の期間満了による終了によって本件転貸借契約も当然に終了し、又は被控訴人からの正当事由のある解約申入れによって本件転貸借契約が終了したとして,本件転貸借契約の終了に基づき、本件居室の明渡しを求め、〔2〕本件居室のUR都市機構からの借上期間満了日の翌日である平成28年1月31日から平成30年3月31日までは1箇月10万2290円の割合(合計266万2839円)、同年4月1日から本件居室の明渡済みまでは1箇月10万1700円の割合による各賃料及び共益費(賃料等)相当損害金の支払を求めたところ、原審は、被控訴人の主位的請求としての明渡請求(上記〔1〕)及び同附帯請求(同〔2〕)を認容したため、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、本件転貸借契約には新法(公営住宅法32条1項6号)が適用され、また公営住宅法25条2項所定の通知は、同法32条1項6号に基づく明渡請求の要件とはいえないなどとして、被控訴人の主位的請求を認容した原判決は相当であるとし、本件控訴を棄却した事例。
2020.11.04
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571131/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月23日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第79号
公職選挙法の一部を改正する法律(平成30年法律第75号)による改正後の公職選挙法の規定が憲法に違反して無効であるから、これに依拠して令和元年7月21日に施行された参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の本件選挙は無効であるとして提起された選挙無効訴訟で、原審は、憲法の規定に違反するとはいえないとして請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件改正後の参議院(比例代表選出)議員の選挙に関する公職選挙法の規定は憲法43条1項等の憲法の規定に違反するものではなく、このことは、最高裁平成11年(行ツ)第8号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1577頁及び最高裁平成15年(行ツ)第15号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号1頁の判示するところであるか、又はその趣旨に徴して明らかであるとし、また、参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙の無効を求める訴訟において選挙区選出議員の選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることができないことは、前掲平成11年大法廷判決の趣旨に徴して明らかであるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571115/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第794号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務し、又は勤務していた時給制契約社員又は月給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、祝日給、扶養手当、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求め、原審は、郵便事業株式会社及び第1審被告との間で更新された有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていた時期における第1審原告らの年末年始勤務手当及び年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求の一部を認容すべきものとする一方、第1審原告X1について,通算雇用期間が5年を超えていなかった平成27年4月30日以前の年末年始勤務手当及び同日以前の年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求を棄却したため、双方が上告した事案において、郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で、本件契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であるとし、また、第1審被告における夏期冬期休暇は、有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものであるところ、本件契約社員である第1審原告らは、夏期冬期休暇を与えられなかったことにより、当該所定の日数につき、本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったものといえるから、上記勤務をしたことによる財産的損害を受けたものということができるとし、原判決中、第1審原告X1の平成27年4月30日以前における年末年始勤務手当及び同日以前における年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求に関する部分並びに第1審原告X2及び第1審原告X3の扶養手当に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額等について更に審理を尽くさせるため、これらの部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告並びに第1審原告X1、第1審原告X2及び第1審原告X3のその余の上告を棄却した事例。
2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571116/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第777号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務している時給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、病気休暇、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をし、原審は、第1審原告らの労働契約上の地位確認請求及び主位的請求はいずれも理由がないとして第1審の判断を維持したうえで、予備的請求につき、第1審の支払額を増加した内容で変更したため、双方が上告した事案において、私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方で、同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であり、原審の判断は正当として是認することができるとし、また、郵便の業務を担当する時給制契約社員である第1審原告らについて、無給の休暇を取得したなどの事実の主張立証がないとして、夏期冬期休暇を与えられないことによる損害が生じたとはいえないとした原審の判断には、不法行為に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決のうち第1審原告らの夏期冬期休暇に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告及び第1審原告らのその余の上告を棄却した事例。
2020.10.27
未払時間外手当金等請求事件
LEX/DB25571114/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1519号
上告人(1審被告)と有期労働契約を締結して勤務した時給制契約社員である被上告人(1審原告)が、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と被上告人との間で、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償等を求めた上告審において、郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇を与える一方で、郵便の業務を担当する時給制契約社員に対して夏期冬期休暇を与えないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、いずれも正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.10.27
地位確認等請求事件
LEX/DB25571110/最高裁判所第三小法廷 令和 2年10月13日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1055号 等
第1審被告(医科薬科大学)と有期労働契約を締結して勤務していた第1審原告が、無期労働契約を締結している正職員と第1審原告との間で、賞与、業務外の疾病(私傷病)による欠勤中の賃金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったとして、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る賃金に相当する額等の損害賠償を求め、原審は、第1審原告の賞与及び私傷病による欠勤中の賃金に係る損害賠償請求を一部認容、一部棄却したため、双方が上告した事案において、本件大学の教室事務員である正職員に対して私傷病による欠勤中の賃金を支給する一方で、アルバイト職員である第1審原告に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当であるとした事例。
2020.10.27
損害賠償等請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和3年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571111/最高裁判所第三小法廷 令和 2年10月13日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1190号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して東京メトロの駅構内の売店における販売業務に従事していた第1審原告らが、第1審被告と無期労働契約を締結している労働者のうち上記業務に従事している者と第1審原告らとの間で、退職金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったなどと主張して、第1審被告に対し、不法行為等に基づき、上記相違に係る退職金に相当する額等の損害賠償等を求め、原審は、第1審原告らの退職金に係る不法行為に基づく損害賠償請求をいずれも一部認容、一部棄却したため、双方が上告した事案において、売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員Bである第1審原告らに対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当であるとした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.10.20
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和2年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571104/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月 9日 判決 (上告審)/令和1年(受)第877号 等
家庭裁判所調査官であった上告人Y1は、被上告人に対する少年保護事件を題材とした論文を精神医学関係者向けの雑誌及び書籍に掲載して公表したことで、被上告人が、この公表等によりプライバシーを侵害されたなどと主張して、上告人Y1、上記雑誌の出版社である上告人A社及び上記書籍の出版社である上告人K出版に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人の上告人らに対する本件各公表に係る損害賠償請求を一部認容したため、上告人Y1が上告した事案で、本件各公表が被上告人のプライバシーを侵害したものとして不法行為法上違法であるということはできないと判示し、本件各公表が違法であることを理由とする被上告人の上告人らに対する損害賠償請求は、いずれも理由がなく、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、被上告人の上告人らに対する共同不法行為に基づく損害賠償請求を認容した部分は破棄し、被上告人の上告人らに対する上記損害賠償請求をいずれも棄却した第1審判決は正当であるとし、上記破棄部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例(意見がある)。
2020.10.20
国家賠償請求事件
LEX/DB25571105/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月 9日 判決 (上告審)/平成30年(受)第2032号
家庭裁判所調査官であったAは、被上告人に対する少年保護事件を題材とした論文を公表したことで、被上告人が、Aの所属する裁判所の職員が上記論文の公表を制止すべき義務を怠ったこと等により、名誉を毀損され、プライバシーを侵害されたなどと主張して、上告人(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人の上告人に対する損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案で、首席調査官を含む家庭裁判所職員において、本件執筆届の決裁に際し、Aに対し、本件論文の内容を修正させ、又はその公表を差し控えさせる注意義務があったということはできないと判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人敗訴部分は破棄し、被上告人のその余の主張を考慮しても、被上告人の請求には理由がなく、これを棄却した1審判決は正当であるとし、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見、意見がある)。
2020.10.20
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和2年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25566732/金沢地方裁判所 令和 2年 9月18日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第469号
原告(憲法を守ることを目的として設立された権利能力なき社団)が、市庁舎前広場を使用して憲法施行70周年集会を開催することを目的として、市長に対して庁舎等行為許可申請を行ったところ、市長が、金沢市庁舎等管理規則5条12号、14号に定める禁止行為に該当するとして、本件申請を不許可処分としたことが、職務上の義務に反してなされた違憲、違法な行為であると主張して、被告(金沢市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、〔1〕原告(権利能力なき社団)が、1876円(代替場所の使用料)及びこれに対する遅延損害金の支払を求め(請求1)、〔2〕原告らが、各23万1000円(慰謝料ないし無形の損害、弁護士費用)及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた(請求2)事案において、本件集会は、金沢市庁舎等管理規則5条12号及び14号に該当するものであり、本件不許可処分が憲法21条1項に反せず、また、本件不許可処分が市長の裁量権の逸脱、濫用により違法であるとは認められないとし、原告らの請求を棄却した事例。
2020.10.13
建造物侵入,埼玉県迷惑行為防止条例違反被告事件
LEX/DB25571088/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月 1日 判決 (上告審)/平成30年(あ)第845号
被告人が、共犯者と共謀の上、盗撮用の小型カメラを設置する目的で、パチンコ店の女子トイレ内に、共犯者において侵入した上、用便中の女性の姿態を同所に設置した小型カメラで撮影し、公共の場所において、人を著しく羞恥させ、かつ、人に不安を覚えさせるような卑わいな行為をしたとする事案の上告審で、数罪が科刑上一罪の関係にある場合において、各罪の主刑のうち重い刑種の刑のみを取出して軽重を比較対照した際の重い罪及び軽い罪のいずれにも選択刑として罰金刑の定めがあり、軽い罪の罰金刑の多額の方が重い罪の罰金刑の多額よりも多いときは、刑法54条1項の規定の趣旨等に鑑み、罰金刑の多額は軽い罪のそれによるべきものと解するのが相当であるとし、原判決及びこれと同趣旨の第1審判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため本件を第1審裁判所に差し戻すこととした事例。
2020.10.13
傷害、強盗、窃盗被告事件
LEX/DB25571089/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月30日 決定 (上告審)/令和1年(あ)第1751号
A及びBは、被害者に対し暴行を加えることを共謀した上、被害者のいるマンションの部屋に突入し、被害者に対し、カッターナイフで右側頭部及び左頬部を切り付け、多数回にわたり、顔面、腹部等を拳で殴り、足で蹴るなどの暴行を加え、被告人は、Aら突入の約5分後、自らも同部屋に踏み込んで、被告人は、被害者がAらから激しい暴行を受けて血まみれになっている状況を目にして、Aらに加勢しようと考え、台所にあった包丁を取出し、その刃先を被害者の顔面に向け、この時点で,被告人は被害者に暴行を加えることについてAらと暗黙のうちに共謀を遂げ、その後、同部屋で、被告人及びAは、脱出を試みて玄関に向かった被害者を2人がかりで取り押さえて引きずり、リビングルームに連れ戻し、こもごも、背部、腹部等を複数回蹴ったり踏み付けたりするなどの暴行を加え、また、Aらは、被害者に対し、顔面を拳で殴り、たばこの火を複数回耳に突っ込み、革靴の底やガラス製灰皿等で頭部を殴り付け、はさみで右手小指を切り付けるなどの暴行を加え、Aが、千枚通しで被害者の左大腿部を複数回刺した結果、被害者は、全治まで約1か月間を要する傷害を負ったとした事案において、被告人が共謀加担した前後にわたる一連の暴行は、同一の機会に行われたものであるところ、被告人は、右第六肋骨骨折の傷害を生じさせ得る危険性のある暴行を加えており、刑法207条の適用により同傷害についての責任を免れないと判示し、原判決には、被告人が同傷害についても責任を負うと判断した点で、同条の解釈適用を誤った法令違反があるといわざるを得ないが、この違法は判決に影響を及ぼすものとはいえないとして、本件上告を棄却した事例。
2020.10.06
管理費等反訴請求事件
LEX/DB25571065/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月18日 判決 (上告審)/平成31年(受)第310号
本件マンションの団地管理組合法人である上告人が、本件マンションの専有部分(本件建物部分)を担保不動産競売によって取得した被上告人に対し、上記競売前に本件建物部分の共有者であった者(本件被承継人)が滞納していた管理費、修繕積立金、専用倉庫維持費等及びこれらに対する遅延損害金の支払義務は建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法8条に基づき被上告人に承継されたとして、上記管理費等及びこれらに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、本件配当要求債権は時効消滅したとして、上告人の請求の一部を認容し、その余を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、法定文書により上告人が区分所有法66条で準用される区分所有法7条1項の先取特権を有することが本件強制競売の手続において証明されたか否かの点について審理することなく、本件配当要求債権及びこれらに対する遅延損害金の支払請求に関する部分を棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上記部分は破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2020.10.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25566571/さいたま地方裁判所 令和 2年 8月 5日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第2769号
死刑確定者である原告Aとその再審請求に係る弁護人又は国家賠償請求訴訟の訴訟代理人である弁護士らとが原告Aとの間で行った各面会に関し、東京拘置所長が各面会時間を制限したことが、原告らの接見交通権などを侵害して違法であるなどと主張して、被告・国に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、東京拘置所長が面会時間を制限したことは、刑事施設の管理運営上の必要性の判断として、必ずしも合理的なものとはいえず、また、死刑確定者である原告Aが本件再審請求に係る弁護人らから援助を受ける機会を実質的に保障するという観点から必ずしも十分なものではなかったことからすると、面会時間の制限は、その態様に関する裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し、原告らの再審面会における接見交通に係る利益を侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、かつ、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったものとして過失があったというべきであるとして、原告らの請求を一部認容した事例。