株式会社早稲田学習研究会

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

地域密着を徹底する学習塾の
“財務管理体制効率化作戦”

群馬、栃木、埼玉に40拠点(教室)を展開する学習塾、早稲田学習研究会。地域密着に徹し、正社員主義を貫く姿勢で、着実な成長を続けている。内海洋経理部副部長に、税務顧問の税理士法人栗林会計事務所の栗林盛男代表社員、栗林紀昌税理士、松本利男部長を加えて、同社の経営・財務戦略について話を聞いた。

──創業以来、着実に成長されてきました。理由は?

内海洋経理部副部長

内海洋経理部副部長

内海 まず当社の理念である「生徒第一主義」の姿勢です。W早稲田ゼミは、1988年に現会長の吉原俊夫によってわずか塾生6名でスタートしたのですが、直後から口コミで毎月30名入塾していき、なんと1年間で400名となりました。これはいまでも変わりませんが、合格率にこだわりながらも挨拶(あいさつ)や言葉遣いなどの人間教育にも熱心に取り組んできました。結果として、現在は関東3県に40拠点、生徒総数は1万6000名(年商約52億円:28年3月期)を突破するまでに成長しています。

──講師の質の高さに特徴があると聞いています。

内海 他社では学生アルバイトを雇用している例が多いようですが、当社の講師はほぼ100%正社員なんです。経験のある元教師や塾講師が、とにかく親身になって指導します。また、若い教師が多いので雰囲気はとても良いし、勉強がはかどらない子には補習を繰り返し、成績や合格率を高めていきます。あと、地域密着を徹底しているのも特徴でしょうか。群馬をはじめ関東の各県の高校や大学に入学することを前提とした、画一的でない具体的な授業を行います。そのあたりの柔軟性も人気の秘密なのだと思います。

栗林紀昌税理士

栗林紀昌税理士

栗林紀昌税理士 それと、W早稲田ゼミさんの講師、あるいは経理部などスタッフ部門の方々を含めて、社員全体の給与体系が業界平均をかなり上回っているのも特徴に挙げられます。これには正直、驚きました。「生徒第一主義」を維持するためには社員満足の向上が必要だとの会長の考え方が表れているのだと思います。

内海 優秀な講師の方にやめられてしまうと、当社のような学習塾は成り立ちません。つまり、当社のよりどころは「人」だということです。これに関連していうと、当校では拠点を任せられる人が育たない限り、新規の開設はしません。拙速な成長を志向すると、生徒第一主義の理念が実践できない可能性が高いからです。

──正社員のみの講師陣では、コストがかかるのではないですか。

内海 もちろんですが、利益が出る範囲で従業員にはきちんと報いるべきというのが当社の変わらぬ思想です。その代わり、「生徒第一主義」を実現するための社員への要求も自然と厳しくなります。従業員も良い待遇のなかで、「会社からきちんと評価されている」という実感を持つことにより、期待に応えようとより一生懸命働く。そんな好循環が当社の成長を支えてきたのではないでしょうか。また、当社はゆっくりとした成長を心がけているので、拠点の不動産償却も終わっているところが多く、固定費が比較的少ない。その分、人件費に回せるという事情もあります。

いつでもどこでも最新データを閲覧

──栗林会計の関与を受けるようになったのは2年前だとか。経緯を教えてください。

内海 栗林さんにお願いする前のことですが、税務調査を受けた際に、ある問題が起こり、ちょっとしたごたごた状態になってしまいました。当社は近い将来、株式公開を目指していることもあり、こんなことではダメだと、税制への適切な対応はもちろん、コンプライアンス的にもしっかりやっていただけるTKC会員の栗林会計事務所に顧問をお願いすることにし、同時に財務システムも一新したというわけです。

──とはいえ、システムの変更は大変だったでしょう。

松本利男部長

松本利男部長

松本利男部長(栗林会計事務所) 以前は他社システムを使用されていたのですが、各拠点の担当者がエクセルでデータを作成して、それを月末にデータ連携して流し込む形でした。一気に財務の流れを変えるのは大変なので、これを踏襲する形でシステム変更ができるよう要請されました。『FX4クラウド』は「仕訳読込テンプレート」という機能によってデータ連携が可能なので、意外に苦労なくシステム移行ができました。それから、内海副部長は平成22年まで監査法人に在籍し、その後は一般企業の経理・総務部長をつとめてきた専門家です。また、会計士補の資格をもっておられ、TKCシステムに触れる機会も多かったということで、それも大きなプラス材料でした。

内海 しかし、今後は順次、『FX4クラウド』に直接打ち込む形にしていきたいですね。その方がスピードが出ますし、シンプルですから。

──ところで、システム変更による具体的メリットは?

内海 従来は月次で経理を締めて、翌月中旬に紙ベースで出てくるデータを見るまでは数字が分かりませんでしたが、いまでは、クラウド上で画面を開き、最新業績を見ることができるようになりました。会長や専務が、いつでもどこでも最新データを閲覧できるわけですから、当然、経営判断も早くなります。

──部門別管理はどのように?

栗林盛男税理士

栗林盛男税理士

内海 まず、第1階層で、小中校向けの株式会社早稲田ゼミと高校生向け(大学受験)の株式会社早稲田ハイという子会社ごとの入力管理をし、その下の第2階層に、各拠点(教室)の損益をぶら下げるという重層的な管理をしています。より正確にいえば、このほかにもテキストを作成するワセダ出版、拠点のある建物を運営・管理するワセダ企画という子会社も、第1階層で管理しています。

──教室別管理のメリットは?

内海 さまざまな経営的な問題点を早期発見できます。当社では月に一度程度、全拠点の塾長を集めて会議を行っていますが、その際の検討データとしても利用させていただいています。

栗林盛男税理士 早稲田学習研究会さんは、非常に納税意識が高く、また、他部門もそうですが、経理にも能力の高い人材を集め、権限を委譲し、任せておられます。それが機動力のある経営につながっているのだと思います。ちなみに経理担当者は5名。同規模の会社と比べて充実していると思います。

銀行取引データの自動収集で経理事務が大幅に省力化

──今年の6月、TKCのフィンテックサービスである「銀行信販データ受信機能」の活用をいち早くスタートされたとか。

授業風景

内海 栗林(紀昌)先生と松本部長からのご提案を受け、「これは便利な機能だ」と感じ、導入を決断しました。というのも、当社は40拠点ありますから、仕訳数が大変な量に上り、面倒なのです。たとえば、コピー用紙などの消耗品を各拠点ごとに購入するとものすごい仕訳数になる。これらの基礎データが自動収集されれば経理担当者の手間は大きく減ります。

栗林紀昌税理士 それと、この機能は、他社のフィンテックサービスにありがちな「二重仕訳」やその他の「誤仕訳」が起きない仕組みになっており、その意味でも導入が進めやすかったと思います。

──生徒からの受講料は?

内海 それは集金代行会社を通しており、まず、まとめて当社の口座に振り込まれます。それを「銀行信販データ受信機能」で自動収集するわけです。

──今後はいかがでしょう。

内海 地域に密着しながら、慌てず着実に成長していきたいという会長はじめわれわれの思いは変わりません。それが当校の持ち味であり、4、5年後の上場を目指してじっくりと堅固な体制を整えていきたいと考えています。そのツールとして『FX4クラウド』と「銀行信販データ受信機能」に期待していますし、もちろん、パートーナーとしての栗林会計事務所のサポートも欠かせない要素だと思っています。

企業情報

株式会社早稲田学習研究会

株式会社早稲田学習研究会

創業
1987年4月
所在地
群馬県太田市浜町10-53
(統括本部)
売上高
51億2,600万円
(2016年3月期)
社員数
280名
URL
https://www.wasedazemi.com/

税理士法人栗林会計事務所
代表社員税理士 栗林盛男

所在地
群馬県太田市浜町50-23
TEL
0276-46-1101
URL
http://tkc-nf.com/kuribayashi

『戦略経営者』2016年12月号より転載)