クニヒロ株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

経費精算の“超効率化”進める
かきのリーディングカンパニー

国内外50カ所以上の契約ファームを持ち、年間4500トンのかきを扱うクニヒロ。高い冷凍・加工技術と「クニヒロクオリティ」と呼ばれる品質管理は、文字通り業界トップである。そんな同社が取り組んでいるのが経理部門の効率化とワークフローづくり。川﨑育造社長、橋本幸晴管理本部本部長、川口定伸同本部長代理、せとうち会計の白川英孝税理士、アルファテックス社の岸川武史氏に話を聞いた。

「産直」と「品質管理」で成長の階段をのぼる

──かきの卸し・加工・冷凍の分野ではトップシェアだとお聞きしました。

川﨑育造社長

川﨑育造社長

川﨑 年間で約4500トンのかきを扱っています。全国のかき消費は約3万トン(広島のみでは約2万トン)ですから、約15%の全国シェアを持っていることになります。

──これほど大きく成長された理由は?

川﨑 転機は何度もありました。父が創業した1957年当時は、大阪など全国の市場にむき身のかきを卸す単なる産地問屋でしたが、74年に設備投資をして冷凍加工に乗り出したのが第一の転機でしょう。同時に日本水産との協力関係ができ、かきフライの原料供給を始めました。ちなみにこの年に私は入社しています。
 その後しばらく順調に成長したのですが、78年につくった冷凍倉庫が過剰投資となり経営危機に陥りました。社長だった父親も過労で倒れ、何とかしようとそれまでの市場中心の商売から「産直」へとかじを切ったのです。

──社長ご自身の判断で?

川﨑 はい。営業本部長だった私が独断でスーパーとの直接取引を進めました。まず大阪、そして中国、九州と広げ、昭和55年には東京事務所を開設しました。しかし、1年目から黒字は出ませんよね。すると父親が「すぐに営業所を閉めろ!」と……。でもそれは父の叱咤(しった)激励だったんですね。2年目からはがむしゃらに頑張り、それからは右肩あがりです。

──お父さまの影響は大きかったんですね。

川﨑 父からは、かき1粒の大切さ、1円の大切さなどいろんなことを学びました。例えば、やはり私の独断でアサリの養殖に手を出して失敗した時、父には「生き物には手を出すなとあれほど言ったのに」と、養殖用大型プール3基をすべて埋めろと言われました。さらに、「アサリをやるならお前がアサリになれ」と……。

──どういう意味でしょう。

川﨑 つまり、アサリと24時間、一緒にいる心構えがないと成功しないということです。実際、私はプールの横にバラックを建て、常時観察することで、失敗の原因だった排卵後の酸欠状態を見極め、適時に海水を入れ替えるコツを覚えたのです。

──現場主義ですね。

川﨑 そう。それともう一つのポイントは品質管理。昭和49年に参入した冷凍食品は生ものよりも当時は品質管理が厳格で、「産直」をスーパーなどにアピールする場合においても普通の産地卸に比べて付加価値が高かったのです。その流れで、現在では、契約ファームへの厳格な生産基準を定め、ノロウイルス検査、貝毒検査、細菌検査など、民間で最高レベルの検査システムを備えています。もちろんHACCPの認証も取得しており、生産者まで特定できるトレーサビリティーも実践。「クニヒロクオリティ」を掲げ、提供する原料の安全安心には万全を尽くしています。

──課題は?

川﨑 日本人の水産物の消費量は、この四半世紀で3割減少しています。一方で、かきは古代から世界中で食されている。当社では現在、別会社を通じてアジアやオセアニアなど17カ国にかきを輸出していますが、規制が厳しい欧米にまで展開することができれば、もう一段の成長も可能だと考えています。

左から順番に、①かきの収穫風景 ②工場内作業風景 ③徹底した品質検査 ④『かきのオイル漬け』

左から順番に、①かきの収穫風景 ②工場内作業風景 ③徹底した品質検査 ④『かきのオイル漬け』

アルファパレットとFX4Cで一元管理

橋本幸晴本部長

橋本幸晴本部長

──2009年からTKCシステムをご利用いただいています。

川﨑 会社が大きくなってくると私の「勘ピュータ」だけでは回らなくなってきます。どうしても計数管理に基づいた戦略立案の体制が必要になってくる。その意味で、TKCさんの財務情報システムにお世話になっていますが、まだまだ、十分に使い切れているとはいえないですね(笑)。

──具体的には?

橋本 2009年に従来版の『FX4』、そして2014年に『FX4クラウド』を導入。部門別管理機能を使い、第1階層で部門別、第2階層で商品別と、多層的な管理を行っています。

川口 また、『FX4クラウド』の、データを切り出して帳表をアレンジできる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を活用しながら、詳細な資料を作成。部課長会議などで経営情報を共有化しています。ちなみにMR設計ツールでは①予算実績比較損益②過去3年実績比較表③部署別科目別経費一覧④商品群別損益表⑤商品群別在庫回転日数⑥直営店損益表を作成しています。

白川英孝税理士

白川英孝税理士

橋本 とはいえ、社長のいう通り、集計・分析はできても、実践ができないと意味がありません。それが、今後の課題ですね。

──月次監査をされている白川先生のご感想は?

白川税理士 クニヒロさんの管理部門は能力の高い人がそろっていて、会計人の私としては「できることはすべてやっている」と感じています。業務の効率化は着実に進んでいる。川﨑社長のおっしゃっているのはその先の運用面。組織づくりだったり、個々のマネジメント能力の向上だったりといった部分でしょう。社長のようなマネジメント能力の高さは、そう簡単にはまねはできませんから、そこはより詳細な経営判断ができるデータを提供することで、カバーしていくしかないと思います。とくに注目する指数は、主要商品別の損益、利益(原料粗利、在庫回転日数など)、歩留まり、生産性、変動費比率、そして固定費です。

──『FX4クラウド』と同時にアルファテックスの『ALFA─Palette(アルファパレット)』も導入されました。狙いは?

川口定伸同本部長代理

川口定伸同本部長代理

川口 経理部門の効率化という視点からはじまって、最終的には内部統制の効いたワークフローをつくりたいというのがありました。その意味で『アルファパレット』は、社内のあらゆる決裁、経費精算、旅費精算を電子化して一元管理でき、しかも『FX4クラウド』との連動性が高いということで、導入を決めました。『FX4クラウド』には、給与データ、固定資産償却データ、資材購買データ、売掛金入金、自動消込データ、そしてアルファパレットによる経費精算データが連携しています。また、クラウドサービスだから、いつどこからでも入力、閲覧や電子承認ができる。現在、経費精算は社員それぞれが自分の端末で行い、上長の電子承認後、自動的に仕訳される仕組みになっており、その面ではすでにかなりの効率化ができている手応えはあります。また、稟議書や各種申請書もこのシステムで実用化し、クラウド上の規定の承認ルートで回議され、検索効率なども向上しています。

岸川(アルファテックス社) 川﨑社長の話ともつながるのですが、われわれは、いかに末端の情報を経営陣に速く伝達するかを重要視しています。すべての社員の方々が手軽にインプットでき、中身の濃い情報をスピーディーに『FX4クラウド』につなげる。そして経営陣にはどこに問題があるのかを認知していただく。また、クラウドサービスなので、設備投資もしなくてよい。それら総合的な利便性を認めて、当社製品を採用いただけたのだと思います。

アルファテックス 岸川武史氏

アルファテックス 岸川武史氏

橋本 会社としてまだまだレベルアップしていかないといけない。そのためのツールが『FX4クラウド』であり『アルファパレット』なのだと考えています。管理本部は、インフラ整備によって社員全体のレベルをどう底上げしていくか。そして、そこに見合った体制づくりをどう行い、どう定着させるかが役割です。中長期的なスパンで「歩みを止めない」ことが大切なのではないでしょうか。

白川 つまり、社長の卓越した能力に頼らなくても「自己運動」できるような体制づくりが今後の課題だということですね。

──今後はいかがでしょう。

川口 詳細な財務情報をより速く部課長会議や経営陣による執行会議に提供できるようにしたいですね。それと、『FX4クラウド』の最新情報を参照可能な「MR設計ツール」を使って、部署別の細かな数字まで集計・公開し、各部署の責任者に経営者感覚を持ってもらうことが必要だと考えています。

川﨑 幹部連中がどれだけ意識を変えて下を引っ張っていけるか。そこがポイントだと思います。確かに数字は大事ですが、私がいま危惧するのは原理原則の部分。「かき1粒の大切さ」「1円の大切さ」ですね。ここ数年は公務が増えて経営にはほとんど口出ししてきませんでしたが、今後、少なくともあと2、3年はもう一度この原理原則を徹底するよう指導していきます。

企業情報

クニヒロ株式会社

クニヒロ株式会社

創業
1957年9月
所在地
広島県尾道市東尾道15-13
売上高
約102億円(2015年6月期)
社員数
約400名
URL
http://www.kunihiro-jp.com/

税務顧問
税理士法人せとうち会計

所在地
広島県福山市東桜町8-13
TEL
084-923-3919
URL
http://www.setouchi-accounting.jp/

『戦略経営者』2016年3月号より転載)