ダイキチカバーオール株式会社 様

ダイキチカバーオール株式会社

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

増収増益を続ける
清掃FC会社の財務戦略

独自のFCモデルを構築し、ビルメンテナンス業界にその名をとどろかせているダイキチカバーオール。「日本一仕事を任せたい」「日本一加盟したい」「日本一働きたい」の3本の柱を達成する会社を目指している小田吉彦社長に、TKCの『FX4クラウド』を使った財務戦略などを話してもらった。

──ビルメンテナンスの会社として、関西地区ではよく知られた存在だそうですね。

小田吉彦社長

小田吉彦社長

小田 私たちは、ビルや各種施設の清掃業務を請け負うフランチャイズチェーン(FC)を展開する会社です。特徴的なのは、中小・小型物件をメインターゲットにしているところ。交通の便が悪い遠隔地物件や、週に1~2回の清掃でよいとする賃貸マンションなどを含めた中小・小型物件は採算を取るのが難しいことから、一般的なビルメンテナンス会社はあまりやりたがりません。そんなニッチ市場に特化したビジネスを展開しています。

──独自のFCモデルを築いているとお聞きしました。

小田 FCオーナー(加盟事業者)が営業活動を一切しなくてよい「製販分離」の体制を作っています。清掃管理を任せてもらえる物件をさがす営業活動はすべて本部である私たちが行います。つまり、ダイキチカバーオールが契約した物件をFCオーナーのみなさんに清掃管理してもらうという事業モデルを作っているわけです。
 現在、753名のFCオーナーさんたちがいて、ダイキチカバーオールが契約した約1万4000の物件の清掃管理をしてくれています。

──FCオーナーとの関係性を強化するために意識していることは何ですか。

小田 理念の共有ですね。私たち本部とFCオーナーさんたちが運命共同体として共に発展できるよう、理念共有に力を置いています。

露口和夫税理士

露口和夫税理士

露口和夫税理士 小田社長は、社員との理念共有にも熱心です。先日、一般財団法人日本次世代企業普及機構の「第3回ホワイト企業アワード・理念共有部門」で大賞を受賞するなど、この取り組みは社外からも注目されています。

──社員の方たちは主にどんな仕事をされているのでしょうか。

小田 ひとつは、新規開拓営業の仕事です。ビル、マンション、病院、一般企業などを対象に電話でアポイントを取り、ビルメンテナンスの提案営業を行っています。
 また、清掃管理を任せてくれた既存客のもとを定期的に訪問するCS(カスタマー・サティスファクション)の仕事を担当するスタッフもいます。掃除がきちんとなされているかを聞き出すなどして、顧客満足向上に努めていきます。
 ほかにも、FCオーナーの方たちと一緒に現場に行って、掃除の仕方をレクチャーしたり、いろいろな相談に乗るSV(スーパーバイザー)の仕事などがあります。

「魅せる資料」をMR設計ツールで作成

──増収増益を続けているとか。

MR設計ツールで作成したオリジナル帳表

MR設計ツールで作成したオリジナル帳表

露口 15年連続で前年比115%超の売り上げを達成しています。今期は年商55億円になる見込みで、これは10年前のおよそ3倍に当たる数字です。

──業績管理にはTKCの『FX4クラウド』を活用されているとのことですが、導入の経緯をお聞かせください。

小田 以前は『FX2』を使っていましたが、露口先生からの熱心な提案もあり、4年ほど前に切り替えました。

露口 小田社長は、京セラの稲森和夫氏が主宰する「盛和塾」に通っており、そこで「経理のダブルチェック」の重要性について聞いたそうです。当時、ダイキチカバーオールさんの経理担当者は1名だけ。それを2名に増やすことも考えていたのですが、『FX2』では複数のスタッフで同時に仕訳データを入力することができないため、それが一つのネックになっていました。しかしクラウド型のシステムである『FX4クラウド』なら、〝分散入力〟が可能となるので、複数名での作業ができます。そうした理由から、『FX4クラウド』の導入を勧めました。

谷本範之管理本部長

谷本範之管理本部長

谷本範之・管理本部長 『FX4クラウド』を導入して以降、すぐに経理担当2名体制にしました。ダブルチェックができるようになったことから、請求関係のミスなどがだいぶ軽減されています。

──ほかに『FX4クラウド』を導入したメリットをあげるとしたら何でしょう。

竹治貴之担当(管理本部) 「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を使って、自分たちが必要とするオリジナル帳表が簡単に作れるようになったことでしょうか。若葉色やオレンジなど、ポップな色づかいをして見やすくした月次の貸借対照表などのオリジナル帳表を作成しています。前期比などの数字をわかりやすく表示するとともに、その月の目立った動きを「トピックス」の欄に記載するといった工夫も施しています。

谷本 とにかく「魅(み)せる資料」を作ることを心がけています。当社の役員は比較的年齢が若く、しかも営業からあがってきた者が多いため、数字に対する関心がまだまだ薄いところがあります。どうすれば数字に興味をもってもらえるかを意識しながら、オリジナル帳表のフォーマットを考えていきました。

9部門それぞれの業績をタイムリーに把握

──『FX4クラウド』を使った業績管理のポイントは?

『イキイキさせ屋 増収増益を続ける会社のビジネスモデル』(出版文化社)

小田社長は昨年、『イキイキさせ屋 増収増益を続ける会社のビジネスモデル』(出版文化社)を上梓。本書を読めば、ダイキチカバーオールの社員やFC加盟事業者がなぜイキイキと働いているのかがわかる。フランチャイズビジネスに関わる経営者にとって参考になる1冊。

小田 各地域の事業部・営業所などを部門に見立てて、それぞれの売上高や利益率などをタイムリーに把握できるようにしています。
 当社の営業エリアは、関西・中部圏(大阪、京都、兵庫、名古屋)です。それらの地域に、①大阪本部、②南大阪地区本部、③京都地区本部、④神戸地区本部、⑤加古川営業所、⑥名古屋地区本部、⑦不動産事業部(千里店)、⑧不動産事業部(茨木店)があります。さらに本社の⑨管理部門を含めた、合計9部門で管理しています。
 ちなみに、不動産事業に新たに進出したのは、自分たちでマンションを建てて、自ら清掃業務の案件を生み出してはどうか、という発想からでした。シナジー効果が期待できると考えたわけです。

──業績向上のために力を入れていることは何ですか。

小田 やはり当社のビジネスモデルにおいては、清掃メンテナンスの契約を結んでくれる物件をいかに新規開拓していけるかが、業績向上の鍵を握ります。
 私は経営上のテーマとして、「営業を科学する」という言葉を掲げてきました。要するに、営業工程(プロセス)を平準化・標準化することにより、〝理詰め〟で成約が取れる仕組み作りに取り組んできたのです。当社では、新規開拓のための営業活動を、テレアポなどで顧客発掘する「見込み客発掘」と、見込み客と直接会って商談をするステップの2段階に分けて考えています。
 見込み客発掘で活用しているのが、CTI(コンピューター・テレフォニー・インテグレーション)というシステム。これを利用して効率的に営業電話をしながら、見込み客を発掘していきます。次に、見込み客に実際に会っての商談のなかで活用しているのが、独自開発した「営業プロセス管理システム」です。ここに商談内容やヒアリングで得た情報を入力していくことにより、同じ営業チーム内で各案件がどの商談ステップに進んでいるかの情報共有ができ、適切なアドバイスを送れるようになります。
 また、最近はありがたいことに、既存のお客さまからの「紹介」を通じて清掃業務の受託を得るケースも増えています。これは、CS部の担当者が定期的に既存客のもとを訪れ、ルートセールスしている成果ともいえます。

仕訳入力の合理化で「働き方改革」を実現

──「働きやすい職場づくり」にも取り組まれているそうですね。

小田 社員を遅くまで働かせているのは長い目で見るとあまりよくないと考え、4年ほど前から残業削減に取り組んでいます。夜8時には強制的にパソコンをシャットダウンするようにして、早帰りを促しています。ほかにも、連続有給休暇制度(9連休)を採用するなどして、働きやすい職場づくりを推進しています。以前に比べて労働時間は減ったものの、業績は下がるどころかむしろ上がっています。これは、労働時間が短くなったら、短くなったなりにみんなが工夫して仕事を終わらせてくれているからです。本当にありがたいことですね。

竹治貴之担当

竹治貴之担当

竹治 たとえば『FX4クラウド』の「仕訳読込テンプレート」を使えば、FCオーナーさんの支払い情報や売り上げ情報を管理している請求管理システムのデータを、『FX4クラウド』側に仕訳連携(データ連携)させることができます。今までは請求管理システムと会計ソフトの両方に同じデータを手入力していましたが、この機能を使うことで〝2度打ち〟の手間がなくなり、業務効率が高まりました。こうした工夫が、残業削減につながるのです。

露口 それと、TKCのフィンテックサービスである「銀行信販データ受信機能」によって、インターネットバンキングのデータを簡単に仕訳入力できるようになったことも、経理業務の合理化を促しました。

──この先の展望についてお聞かせください。

小田 2021年に売上高100億円、さらに2025年には売上高200億円になることを長期ビジョンとして掲げています。また、現在の事業所(各地区本部)を分社化することにも取り組んでいこうと考えています。組織は肥大化すると、あまりいいことはありません。次世代の経営者を育てるためにも、それが必要なのです。

企業情報

ダイキチカバーオール株式会社

掃除のプロを育てるための豊富なノウハウを持つ

ダイキチカバーオール株式会社

設立
2002年6月
所在地
大阪府大阪市中央区島之内1-13-28
ユラヌス21ビル
売上高
55億円(今期見込み)
社員数
89名
URL
http://www.coverall.co.jp/

顧問税理士 税理士法人パートナーズ関西
代表 露口六彦/露口和夫

所在地
大阪府和泉市桑原町247番地6
URL
http://www.tuyuguti-tax.jp/

『戦略経営者』2018年4月号より転載)