株式会社ユーポス 様

株式会社ユーポス

統合型会計情報システム(FX4クラウド)ユーザー事例

部門別の詳細な業績分析で
「三方よし」の経営を推進

大阪府など関西エリアを地盤に、83店舗の中古車買い取り店を展開するユーポス。競合企業がしのぎを削る業界にあって、創業22年を迎える同社は草分け的存在である。巧みな広報、集客戦略が実り、近年では顧客満足度調査で連続1位を獲得するなど、評価は高まっている。柏原隆宏社長は「FX4クラウドで柔軟な業績分析ができるようになった」と語る。

在庫リスクをゼロに近づける独自のビジネスモデルを構築

──「クルマ買い取り専門店」をうたわれています。

柏原隆宏社長

柏原隆宏社長

柏原 おかげさまでことし創業22年を迎えましたが、創業以来、一般小売りせずに中古車買い取り業に専念しています。軽自動車、ミニバンからトラックまで幅広い車種の買い取りに対応しています。基本的に買い取りのみを行っているため、在庫リスクを抑えられるのがうちの一番の強みですね。

──販売はどちらに?

柏原 買い取った車のほとんどは、中古車オークションを運営するベイオークに出品し、小売り事業者に販売しています。当社はもともとベイオークの中古車買い取り事業部としてスタートした経緯があるため、ベイオークとのデータ連携やシステム開発などメリットが多々あります。また、プライシング担当の社員がオークションの開催される毎週水曜日に会場におもむき、相場情報を収集しています。
 一部ビンテージカーのような例外もありますが、一般的に車はナマものと同じで日にちがたつほど価値が下がっていきます。数年おきにモデルチェンジをするし、走行距離が伸びるほど故障する確率は高まる。買い取った車を迅速にオークションに出品し、回転率を高めることがこのビジネスの肝です。オークションで落札された時点で、当社の売り上げになります。

直営の高石店(大阪府高石市)

直営の高石店(大阪府高石市)

──フランチャイズ(FC)加盟店の開拓はどのように?

柏原 店舗開発部のスタッフが問い合わせへの対応や営業活動を行っています。FC店運営のため特別なノウハウが必要と思われるかもしれませんが、実は異業種の方も参入しやすい。コンビニエンスストアの跡地など居抜き物件に出店する場合が多く、開店時の設備投資にかかる費用は1500万円ぐらいと比較的簡単に開店できます。展示車両を仕入れたり、修理のための施設を設ける必要もありません。オープンに際しては当社のスーパーバイザーによる営業研修、店舗管理者研修、また検査専任士による査定研修などを実施し、店舗運営に関する知識を習得してもらいレベルアップを図っています。FC店の出店は関西が中心で、その他のエリアにも進出しています。

──プロモーション活動にも力を入れられています。

西日本最大級の中古車オークション会場「ベイオーク」

西日本最大級の中古車オークション会場「ベイオーク」

柏原 関西、九州エリアでテレビCMを放映しているため、認知度は上がってきていると思います。通常、車買い取り店を利用する機会はコンビニ店を利用するのと比べればそれほど頻繁にありませんから、近所にユーポスの店舗があっても気づかれないケースが意外とある。車を買い替えるときに、いかに当社を思い出してもらえるかがカギになります。「ハローキティ」をイメージキャラクターに起用したのも、戦略の一環です。

──ライセンス料がそれなりにかかるのでは……。

柏原 2013年に広告代理店を通してサンリオとライセンス契約を締結し、1年ごとに更新しています。中古車買い取り店は女性の方にとって、どことなく足を運びづらい雰囲気があります。「ハローキティ」を採用したことで女性のお客さまはもちろん、老若男女さまざまな方に来店いただけるようになりました。

社内風景

──これまでに買い取った車の最高額は?

柏原 ある国産メーカーのスポーツカーを4000万円で買い取ったことがあります。高額だけにこわさもありましたが、なんとか買い手がつきました。オークションで落札されるかどうかは予測の世界ですから、100%当たることはありえません。時には思い切って勝負するという決断も必要です。オークションでの落札価格が買い取り価格を下回る場合があるのも、ある程度はやむを得ないと考えています。

オリジナル帳表を活用し大づかみに業績把握

──おととし『FX2』から『FX4クラウド』に移行されたとお聞きしました。

瀬﨑綾子さん

瀬﨑綾子さん

柏原 会社設立当初から『FX2』を利用しており、仕入、売上伝票ごとに車種と番号を記録していたため、仕訳数が膨大になっていました。月間の仕訳数が1万枚にのぼり、データをバックアップするのに1時間ぐらいかかるなど、『FX2』で管理できる容量をこえてしまっていたんです。

──『FX4クラウド』に移行して仕訳数は減りましたか。

瀬﨑 数自体はあまり変わっていません。ただ、業務システムや『SX2』(戦略販売・購買情報システム)からのデータ連携機能を活用でき、かつ直営店での小口現金取引入力も可能になり、仕訳を日々入力する負担が軽くなりました。また、入力したデータはTKCデータセンター(TISC)に自動保管されるので安心です。

橋爪 『SX2』に入力してもらっているのは、FC加盟店に販売する「ハローキティ」のノベルティー代金などです。そのほか『PX2』(戦略給与情報システム)の給与明細等のウェブ閲覧機能やマイナンバーをクラウド上で保管する『PXまいポータル』など、TKCシステムをフル活用いただいています。

──ふだんチェックしている画面は?

橋爪功次顧問税理士

橋爪功次顧問税理士

柏原 システムの画面よりも、自社のオリジナル帳表を作成できる「マネジメントレポート(MR)設計ツール」機能を活用し、出力した資料を参照する方が多いです。別会社ですが、ボルボを扱うロードカーの代表も兼任しているため、勘定科目ごとの細かい数字を追うのでなく、部門やエリア別の大まかな数字を把握し、業績を判断するようにしています。とはいえ、売り上げと広告宣伝費の推移は気になるところですが。
 具体的には『FX4クラウド』に入力したデータを元に、MR設計ツールを用いてオリジナルの《実績管理表》を作成。「ユーポス会費収入」や「ベイオーク支払手数料」などの項目に数字が集計され、それぞれ前年および予算の数値と比較できます。毎月開催している役員会では《実績管理表》を配布し、私から最新業績を報告しています。

──管理している部門を教えてください。

柏原 本部、ウェブ査定、直営店(関西)、九州開発の4部門に分けています。例えば関西の直営店のみ、あるいは関西の全部門といった切り口で業績を分析するときは、『FX4クラウド』の部門グループ別管理機能から別途帳表を出力してもらっています。

──『FX4クラウド』に移行した効果はいかがでしょう。

橋爪 『FX2』に比べると勘定科目を自由に設定できたり、部門の組設定も自由度が高く、活用できる機能の柔軟性が増したと思います。今後、FC加盟店を全国に拡大していけば、エリアごとの階層管理も必要になるかもしれません。

──巡回監査の流れに変化は?

村松富士夫監査担当

村松富士夫監査担当

村松 クラウド型のシステムのため、巡回監査に伺う前に事務所のパソコンから仕訳をひと通りチェックできるので、巡回監査の効率が大幅に向上しました。『巡回監査支援システム』にデータを落とし、確認したい仕訳をあらかじめチェックしておき、監査時に瀬﨑さんに一件一件領収書などの資料を見せてもらっています。

──将来に向けて経営ビジョンをお聞かせください。

柏原 私の好きな言葉に「三方よし」があり、お客さまをはじめ社員、取引先、FC加盟店、そして地域社会それぞれに喜んでもらうことが目標です。調査会社の実施した車買い取り会社の顧客満足度調査で、2012年と14年に全国1位を獲得しました。自信になったと同時に、全国レベルになったという手応えを感じています。関西にはFC加盟店を開拓する余地がまだあり、100店舗ぐらいまで増やせるとみています。関西でFC加盟店数を伸ばしつつ、九州を足がかりに全国へと展開していきたいです。

企業情報

株式会社ユーポス

株式会社ユーポス

創業
1995年4月
所在地
大阪府大阪市西区新町1-28-3 四ツ橋グランスクエア3F
売上高
14億1,000万円
社員数
35名
URL
https://www.u-pohs.co.jp/

顧問税理士 橋爪功次
税理士法人大阪合同会計事務所

所在地
大阪府大阪市北区紅梅町6番19号
TEL
06-6356-0745
URL
http://www.hoei-hk.co.jp/

『戦略経営者』2017年10月号より転載)