ユーザーインタビュー

マルサ運送株式会社 様

マルサ運送株式会社 様

左から加田税理士、金光会長、佐藤支店長

情報開示の姿勢を
金融機関が高く評価

マルサ運送株式会社 金光泰文会長
加田静夫税理士事務所 加田静夫税理士

 三重県鈴鹿市といえば、鈴鹿サーキットやホンダの鈴鹿製作所があるなど、クルマと縁が深い町。そこを拠点に一般貨物運送業を営んでいるのが、マルサ運送だ。

 創業者の一人である金光泰文会長は今年5月、会社の決算書を地元の三重銀行にインターネット経由で提出した。3月決算を終えて、5月に電子申告してからすぐのことだった。

「以前よりもスピーディーに決算報告ができました」(金光会長)

 利用したのは、「TKCモニタリング情報サービス」。税務面の指導を仰いでいる加田静夫税理士からの提案を受けて、今回はじめて決算書をデータで金融機関に提出した。

顧問税理士の勧めで利用開始

 金光会長と加田税理士との関係は20年来に及ぶ。毎月の巡回監査を通じて財務会計における有益なアドバイスを受けてきた金光会長は加田税理士に絶大なる信頼を寄せていた。だから同サービスの利用を提案されたときも、すんなりと首を縦にふった。

 加田税理士は「マルサ運送さんにTKCモニタリング情報サービスの利用を勧めたのは、決算書をデータで提供することがいずれは主流になっていくと思ったから。やるなら早いほうがいいと思い、サービス開始を受けてすぐに金光会長に話を持ちかけました」と話す。

 TKCモニタリング情報サービスは以下のようなスキームで利用される。①金融機関に対して、関与先企業がモニタリング情報を提供することを同意→②その情報提供の技術的な仲介をTKC会員(税理士)に対して依頼→③TKCデータセンター(TISC)にある関与先企業のデータが金融機関に提供される──。マルサ運送の期中・決算書データもTKCデータセンターに蓄積されており、今回それがインターネット経由で三重銀行に提供された。

「昨年までは、私の事務所でマルサ運送さんの決算書をコピーして三重銀行さんに渡していました。今回は、コピーの手間が不要でしたね」(加田税理士)

取引銀行側にもメリット

 マルサ運送が同サービスを利用したことを、三重銀行も好意的に受け止めた。

TKCモニタリング情報サービス

「TKCモニタリング情報サービスを利用するということは、『決算書の情報を開示します』というはっきりとした意思表示にほかなりません。開示意識の高い企業さんとは安心して取引できます」と、佐藤篤司・平田町駅前支店長はいう。

 とくに銀行の若い行員にしてみれば、「社長、コピーをとらせてほしいので決算書を貸してください」とお願いするのは、相手によっては言いにくい場合もある。また、決算書を書類ベースで1部しかもっていない会社の場合、複数のライバル行がコピーするために入れ代わり立ち代わり持ち帰っていたりしたら、下手すると決算情報を知るまでに1~2カ月間かかってしまうこともあり得る。加田税理士のように、取引金融機関の数だけコピーを用意してくれているところばかりではないのだ。

「TKCモニタリング情報サービスの利用企業であれば、こちらから催促しなくてもデータが送られてくるし、タイムラグなしに決算情報を知ることができます。決算書の中身が事前にわかることから、分析結果を踏まえた面談が行え、密度の濃い〝ソリューション提案〟ができることも大きなメリットです」(佐藤支店長)

円滑な資金調達のためにも

自社倉庫とトラック

 マルサ運送では、ホンダ系1次部品メーカーが作った製品をホンダの工場に輸送する仕事をメインにしている。現在82台のトラックを保有し、大型の自社倉庫で荷物の一時預かりもしている。ホンダの工場のラインを止めないように納入時間を順守することに会社の誇りをおいており、それが顧客の信頼獲得につながっている。1台のトラックが1日5往復以上ピストン輸送することも珍しくなく、鈴鹿市内では「マルサ運送」と大きくロゴが入ったトラックを頻繁に目にすることができる。

「老朽化したトラックを買い換えたり、倉庫などの設備をきちんと用意しておくことは、当社にとっての生命線。そのための資金調達を円滑におこなうためにも、日頃から地元の金融機関とは良好な関係を築いておきたいところです。TKCモニタリング情報サービスによって、金融機関とのコミュニケーションがさらに深まることを期待しています」(金光会長)

 ちなみにTKCモニタリング情報サービスは、次の三つのサービスで構成される。①決算書等提供サービス②月次試算表提供サービス③最新業績オンライン開示サービス(開発中)の3種類だ。このうちマルサ運送が利用したのは①だったが、将来的には②を利用して、金融機関にデータを提供することも視野に入れているという。長年にわたり月次決算を実践してきたマルサ運送にはそれがすぐにでも可能なのだ。

「また今回は間に合わなかったのですが、今年6月にオプション帳表として追加された『ローカルベンチマーク(※注)』についても提供していきたいと考えています」(加田税理士)

 およそ半世紀にわたりホンダ系列の仕事をしてきたマルサ運送は、ホンダの自動車の売れ行き次第で会社の業績が浮き沈みすることをこれまで何度も経験してきた。自分たちの会社が今どんな状況にあるかを金融機関に正確に知ってもらうためにも、金光会長は今後も積極的に情報開示に努めていきたいと思っている。

 そんなマルサ運送に対し、佐藤支店長は「末永くお取引したい地元企業の1社であるのは確か。融資以外にも、経営上のさまざまな悩みを解決する提案をしていきたい」と支援方針を語る。この言葉は、ホンダの人気軽自動車「N-BOX」のフルモデルチェンジに伴い、この先仕事量が増えることが予想されるマルサ運送にとってうれしいものだった。

(※注)ローカルベンチマークとは、経産省が策定した「企業の健康診断ツール」のこと。「財務情報(6つの指標)」と「非財務情報(4つの視点等)」をもとに会社の経営状態を分析する。「TKCローカルベンチマーク・クラウド」を利用するとそれらの帳表が効率的に作成できるほか、TKCモニタリング情報サービスを通じて金融機関に提供することもできる。

マルサ運送株式会社
設立
1971年1月
所在地
三重県鈴鹿市住吉町宮西8373番地
売上高
6億3,000万円
社員数
約82名

『戦略経営者』2017年8月号より転載