TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

掲載日:2017.09.11

固定資産税(償却資産申告)の留意点

第1回 償却資産の範囲

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員 税理士 小山勝

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
税理士 小山 勝

固定資産税は土地や家屋のほかに償却資産(事業用資産)も課税の対象となり、償却資産を所有している事業者は、毎年1月31日までに、その償却資産の所在する各市町村(東京23区においては資産が所在する区にある都税事務所)に申告をする必要があります。
当コラムでは、償却資産の範囲や申告の留意点について整理するとともに、平成29年度の税制改正で対象設備が拡大された「固定資産税の特例」について解説します。

1.償却資産とは(償却資産の種類と具体例)

 償却資産とは、会社が事業の用に供することができる資産のうち土地、家屋以外のもので、法人税法の規定による所得の金額の計算上、減価償却費が損金の額に算入される資産のうち、その取得価額が少額である資産以外のもの(これに類する資産で、法人税を課されない法人が所有しているものも含む)をいいます。
 例えば、会社の敷地にある門・塀などの構築物、工場で使用する機械及び装置、オフィスで使用するパソコンなどの器具備品などが該当します。
 そして、1月1日時点において有しているこれらの資産に、固定資産税が課されます。
 償却資産の具体例は、各市町村のホームページ等で掲載されていますので、必要に応じて参考にしてください。

資産の種類 主な償却資産の例示
1構築物 構築物 舗装路面、庭園、門・塀・緑化施設等の外構工事、看板(広告塔等)、ゴルフ練習場設備等
建物附属設備 受変電設備、予備電源設備、その他建築設備、内装・内部造作等 (※「2.家屋と償却資産の区分」を参照)
2 機械及び装置 各種製造設備等の機械及び装置、クレーン等建設機械、機械式駐車設備(ターンテーブルを含む)等
3 船舶 ボート、釣船、漁船、遊覧船等
4 航空機 飛行機、ヘリコプター、グライダー等
5 車両及び運搬具 大型特殊自動車(分類番号が「0、00から09及び000から099」、「9、90から99及び900から999」の車両)等
6 工具、器具及び備品 パソコン、陳列ケース、看板(ネオンサイン)、医療機器、測定工具、金型、理容及び美容機器、衝立、ルームエアコン、応接セット、レジスター、自動販売機等

出典:東京都主税局『平成29年度固定資産税(償却資産)申告の手引き』一部筆者加筆

2.家屋と償却資産の区分

 建築設備等は、家屋(建物)に取り付けられ、家屋と一体となって効用を高めるものです。しかし、独立した機器としての性格が強いものなどは、固定資産税においては、家屋と区分して償却資産として取扱います。

(1) 家屋と設備等の所有者が同じ場合

 家屋と構造上一体となり、その家屋の効用を高めるものは家屋とされます。 家屋と構造的に一体でないもの(簡単に取り外して移動できるもの、屋外のものなど)、独立した機器としての性格が強いもの(受変電設備、電話交換機など)、サービス設備としての性格が強いもの(ホテル・病院等の厨房設備、洗濯設備など)、特定の生産又は業務の用に供されるもの(電気設備、給排水設備、衛生設備、空調設備、運搬設備など)は償却資産とされます。

(2) 家屋と設備等の所有者が異なる場合

 家屋の所有者から家屋を借り受けて事業をしている者(テナント)が取り付けた内装・造作及び建築設備等については、家屋に附帯する部分であっても償却資産として取扱います。これらについては、テナント側で申告する必要があります。申告漏れが多いところですので、ご注意をお願いします。

3.申告の対象に含まれる資産

 以下の資産も償却資産に含まれますので、申告の際には漏れが無いことを確認することが必要です。

(1) 償却済資産

 耐用年数が経過し減価償却が終了している資産であっても、償却資産に含まれます。

(2) 建設仮勘定で計上されている資産

 一部又は全部が完成し事業の用に供されている資産は、償却資産に含まれます。

(3) 簿外資産

 贈与された資産や帳簿に記載されていない資産であっても、事業の用に供することができる状態のものは、償却資産に含まれます。

(4) 遊休又は未稼働の資産

 資産の使用を中止していても、事業の用に供することができる状態であるならば、償却資産に含まれます。

(5) 改良費

 資本的支出とされる改良費は、本体とは区分して償却資産とされます。

(6) 福利厚生に供する資産

 保養所、理髪室、食堂などについては、間接的とはいえ会社が事業の用に供する資産とされ、償却資産に含まれます。
 ※事業所税においては、直接事業とは関係がないものとされ、対象外とされています。

(7) 即時償却をしている資産

 取得価額が10万円以上30万円未満の資産のうち、租税特別措置法の特例を適用して取得価額の全額を一時に損金算入した資産は、償却資産に含まれます。

(8) 少額の減価償却資産

 取得価額が20万円未満又は使用可能な期間が1年未満の資産であっても、固定資産台帳に計上し個別に減価償却費を計算しているものは、償却資産に含まれます。

4.申告の対象とならない資産

 会計上は固定資産に計上されていても、以下に掲げる資産は償却資産には含まれず、申告の対象になりません。

(1) 自動車税等の課税対象となる資産

 普通自動車、軽自動車、原動機付自転車(50cc以下)、小型特殊自動車(小型フォークリフトなど(注))及び二輪の小型自動車については、自動車税や軽自動車税が課税されるため、償却資産に含まれません。
 (注)長さ4.7メートル以下かつ幅1.7メートル以下かつ高さ2.8メートル以下で最高速度15キロ/時以下のフォークリフト等、最高速度35キロ/時未満の農耕作業用自動車は小型特殊自動車です。

(2) 生物

 観賞用・興行用の事業に使うもの以外の馬・牛・鶏・魚等の生物は、償却資産に含まれません。

(3) 無形固定資産

 特許権、実用新案権、ソフトウェア、電話加入権などの無形固定資産は、償却資産に含まれません。

(4) 繰延資産

 創立費、開業費、商店街のアーケード負担金など、対価を支払ってサービスの提供も受けたが、その効果が将来にわたって続くため資産に計上した費用は、償却資産に含まれません。

(5) 少額の減価償却資産

 使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の資産のうち一時に損金算入したもの及び取得価額が20万円未満の資産のうち3年間で一括償却したものは、償却資産に含まれません。

<参考>少額の減価償却資産の取扱いについて

 少額の減価償却資産については、法人税での処理に応じて申告の対象外となります。具体的には、次のいずれかに該当する資産です。

  1. ①使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満の資産で全額を損金算入したもの
  2. ②取得価額が20万円未満の資産で一括償却資産(3年間で償却)としたもの
  3. ③法人税法上のリース取引(ファイナンス・リース取引)に係るリース資産のうち取得価額が20万円未満のもの

 ただし、取得価額が10万円以上30万円未満の資産のうち租税特別措置法の特例を適用して取得価額の全額を一時に損金算入した資産及び取得価額が20万円未満又は使用可能な期間が1年未満の資産であっても個別に減価償却費を計算しているものは、償却資産に含まれます。

法人税での処理 取得価額
10万円
未満
10万円以上
20万円未満
20万円以上
30万円未満
30万円
以上
全額を損金算入 対象外 - - -
一括償却(3年償却) 対象外 対象外 - -
リース資産(ファイナンス・リース) 対象外 対象外 対象 対象
即時償却(措置法の特例) 対象 対象 対象 -
固定資産に計上(通常の償却) 対象 対象 対象 対象

出典:東京都主税局『平成29年度固定資産税(償却資産)申告の手引き』一部筆者加筆

5.国税の取扱いとの主な違い

 償却資産の取扱いについて、実務上は、まずは法人税における減価償却資産と同じという観点で考え、その後で法人税との違い(償却資産特有の論点)を確認するという流れで整理するとよいと思います。
 固定資産税(償却資産)と国税の取扱いとの主な違いを一覧表にまとめましたので、参考にしてください。

項目 固定資産税(償却資産) 国税(法人税)
償却計算の基準日 暦年(1月1日) 事業年度(決算期)
減価償却の方法 一般の資産は定率法
(原則として、「固定資産評価基準」に定める減価率*によります。)
*コラムの第2回で触れます。
建物及び構築物・建物附属設備は定額法
それら以外の一般の資産は定率法・定額法等の選択制度
新規取得資産 半年償却 月割償却
圧縮記帳 認められません。 認められます。
特別償却・割増
償却・即時償却
(租税特別措置法)
認められません。 認められます。
評価額の最低限度 取得価額の100分の5 備忘価額(1円)
中小企業者等の
少額資産の損金
算入の特例
(租税特別措置法)
金額にかかわらず、認められません。 認められます。

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プロフィール

税理士 小山 勝(こやま まさる)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会
  連結納税システム普及部会会員
  固定資産管理システム(FAManager)推進プロジェクトリーダー

ホームページURL
あがたグローバル税理士法人

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