ユーザー事例

イセ食品株式会社 様

スピーディーな連結決算でグループ一体経営を支える

イセ食品グループは、鶏卵販売で国内シェア8%を握るリーディング・カンパニー。「安心・安全」な卵を提供するため、グループ一体となった一貫流通システムを構築してきた。そんな同グループの財務戦略を下支えしているのが、TKC連結会計システム『eCA-DRIVER』だ。同社の岡本紘太郎専務取締役・管理本部長と松村眞也執行役員・経理部長に、その活用法について話を聞いた。

イセ食品株式会社

「イセ・インテグレーション」で安心・安全な卵を安定提供

――御社は国内トップの採卵事業者であり、また3年後に創業100年を迎える老舗企業だと聞いています。

岡本 明治45(1912)年に富山県で鶏の育種改良事業からスタートしています。育種改良とは要は卵をたくさん産む鶏の品種改良です。創業者がこれを手掛け、昭和6年には鶏1羽で年間に生む卵の数で317個を達成し世界記録を樹立しました。以後、昭和7年に321個、昭和33年には365個と世界記録を塗り替えてきました。
 採卵事業に参入したのは、昭和40年です。昭和43年には本社を埼玉県鴻巣市に移転しイセ食品を設立しました。現在では種鶏と雛の育成から採卵、パック詰めや加工、出荷までをイセグループで一貫して手掛けるまでになっており、国内シェアは7、8%を占めています。

――主力商品である『森のたまご』と『伊勢の卵』を紹介してください。

岡本 商品カテゴリーとしては、どちらもいわゆる「ブランド卵」になります。『森のたまご』は、独自の飼料配合によりDHAは普通卵の約2倍、ビタミンEが約9倍の量を含んでいます。『伊勢の卵』はさらにワンランク上の商品で、高品質の飼料で育てています。

――いずれもちょっと値段の高い高付加価値商品ですから、セールスプロモーションが大切になりますね。

岡本 昨年の夏にはテレビCMを打ちましたし、ほかにも「ハッピーイースター卵あそびコンテスト」(卵の殻で作るオブジェなどのコンテスト)やグループ農場で行う「たまご祭り」といったイベントをいくつか開催しています。そうした機会を通じ当社商品の魅力を知っていただこうとしています。

――種鶏育成から卵の配送までをトータルに行っているのは御社くらいだとか…。

岡本 雛の飼育や採卵、出荷はそれぞれ個別の事業者が行うのが一般的です。そのほうがコスト的にも有利なのですが、当グループでは安全、高品質な卵を安定供給するためあえて一貫体制を敷いてきました。これを「イセ・インテグレーション」と名付けています。例えば採卵農場は自動集卵になっており、スーパーの店頭に並ぶまでいっさい卵に人の手が触れないようになっています。平成12年に美野里パッキング工場は業界で最初にISO9001も取得しました。

――徹底した衛生管理をされている。

岡本 「安心・安全」「安定・継続」をモットーとして掲げています。日本では卵の生食が普及していますが、これは諸外国でまったくと言っていいほど見られない習慣です。それだけに衛生面には非常に気をつけないといけません。鳥インフルエンザやサルモネラ菌などのリスクもありますからこれは大変重要です。「イセ・インテグレーション」であれば、すべてを一括管理でき、万が一何か問題があっても100%のトレーサビリティが実施できます。雛鶏は抗生物質を使わずに衛生的に育てていますが、もし問題があれば三世代前の種鶏まで遡り原因を調査できます。

――昨今は食品偽装事件が頻発したことで食の安全への感心が高まっています。

岡本 卵についての正しい情報を発信し続けていくことが、結果として差別化に繋がると捉えています。例えば、開放鶏舎での平飼い、自然飼育の卵は安全だと思いますか。

――安全のイメージはありますね。

岡本 ところが実は非常に危険なんです。開放鶏舎だと土壌も空調も管理できません。それだけ細菌に感染するリスクが高くなります。

――なるほど、確かに人間でも窓からすきま風が入る家よりは、きちっと空調管理された建物のほうが病気になりにくいですからね。

岡本 当グループの農場では空気や水などの衛生管理をコンピュータで行っています。こうした安全性と品質の向上への取り組みを地道にアピールしていくことでファンを獲得していこうと考えています。

連結決算のシステム化で属人的体質から脱却

――「イセ・インテグレーション」はグループ各社の連携で実現しているわけですが、グループ体制を説明してください。

岡本 連結ベースで17社、非連結会社や関連会社を含めると国内で計22社のグループです。連結対象企業の内訳は、仕入部門(イセヒヨコ等2社)、生産部門(つくばファーム〈茨城県〉、色麻農場〈宮城県〉等6社)、製造・販売部門(イセ食品等3社)、流通部門(加須流通等2社)、金融部門(イセファイナンス等2社)です。これらをグループ役員会が統括します。

――平成19年には連結会計システム『eCA-DRIVER』を導入していますね。

松村 導入の目的は(1)「連結決算業務の効率化」(2)「連結決算業務の標準化」(3)「グループ会社会計処理の統一化」の3つです。
 当グループでは平成4年1月期から連結財務諸表を作成していました。最初は財務部スタッフが電卓とペンで紙ベースでつくりはじめ、その後は表計算ソフトを活用して作成してきました。そうして平成16年1月期までに15社で作成していましたが、翌年に農場の増加や金融機関から要請などがあって17社まで連結対象が増え、この段階で手作業に限界を感じ始めていたんです。そこでいくつかのシステムを検討した結果、『eCA-DRIVER』を導入することにしました。
 要は、属人的な体質から脱却して連結決算業務の標準化、効率化、スピード化を行いつつ、精度のさらなる向上を図ろうということです。

――標準化、効率化、スピード化と精度向上というのは、御社がこれまで行ってきた卵の生産量拡大と品質の向上、確保を両立させてきた取り組みにも通じるものがありますね。

岡本 どちらも対外的に信頼を得るための体制の構築です。連結決算は取引金融機関からの要請が強くありました。財務内容の開示のスピード化を求められたのです。
 また会計制度もここ数年変わってきていますから、法改正にも迅速対応していかないといけない。その点でTKCシステムは、会計のプロである公認会計士とシステムのプロであるTKCの両方から支援してもらえるので非常に心強く感じています。

――導入してまだ2期が経過したところですが、効果は?

松村 業務の効率化の観点で顕著ですね。以前は17社の連結決算を1人の担当者が1箇所で行っていました。子会社情報の収集は紙ベースで行い、担当者が赤ペンをもって手作業で内部取引の消し込みを行っていたんです。それがいまはASPサービスを利用することで6箇所で計12人の担当者が分担して作業に当たり、子会社情報の収集も親会社で設計したレポーティング・パッケージでもってデータ収集ができるようになりました。非効率な原始的なやり方から解放されたという感じです。

――アメリカと中国でも事業展開していますが、海外子会社も連結に加える予定はあるのですか。

松村 まずは国内の22社すべての連結決算を推進していきます。そのうえで将来的にはアメリカ、中国も取り込んでいくつもりです。

管理連結体制の強化で国内シェア20%を目指す

――金融機関や法改正への対応だけでなく、管理連結への活用は?

松村 管理連結はこれから体制づくりをしていく段階です。まずは年1決算から年2回決算、さらに四半期決算を実施できるようにし、最終的にはグループ全体での予算実績管理までを考えています。

岡本 管理本部の財務部門は、グループ役員会に対し毎月、どれだけ詳細に問題点の提示ができるかが求められています。

松村 現状では損益計算書だけですが、今後は貸借対照表の部分も含めて資料をそろえるようにしていきたいですね。

――最後に今後の展開を。

岡本 1つはこれまで通り消費者の安全、安心への要望に応える努力を続けていくことです。もう1つは卵を中心にして、日本の食の安全に貢献すること。例えば当社では「イセグリーン」という鶏糞を利用した有機肥料を販売していますが、こうした循環型農業への取り組みも行っています。これら諸々の取り組みの結果として、国内シェアを20%まで向上できればと考えています。

会社概要
名称 イセ食品株式会社
業種 鶏卵・加工卵の販売
代表者 伊勢俊太郎
設立 1971(昭和46年)年6月
所在地 埼玉県鴻巣市箕田3440
売上高 317億円
TEL 048-596-2711
社員数 703名
URL http://www.ise-egg.co.jp/

『戦略経営者』2009年2月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2009年2月現在のものです。
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