TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

活動事例

優良企業オーナーの事業承継を「後継者育成」も含めてサポート!
TKC全国会中堅・大企業支援研究会員 税理士 畑中孝介
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株式保有と事業経営の分離で事業承継に係る課題をクリア

電気機器製造をグループで経営する関与先企業に事業承継の支援を行いました。オーナー家が事業を営むA社およびB社の株式を100%保有しており、社長は60歳を超えた頃から事業承継を意識し始めました。
しかし、事業承継をするにあたって2つの課題を抱えていました。1つは、社内昇格で40代前半の社員2名を後継者候補にしましたが、年齢が若いこともあり、株式の買い取りが難しかったことです。そこで私は株式保有と事業経営の分離を提案しました。具体的には、株式移転により純粋持株会社を新設し、その株式をオーナー家が保有します。これで後継者候補には持株会社傘下の完全子会社A社・B社の事業経営を任せます。すると株式の買い取りを行わなくとも、後継者候補の育成が可能になるというわけです。
もう1つの課題は借入の連帯保証責任の問題です。この関与先は優良企業ではありますが一定の借入金がありました。「後継者には連帯保証責任を負わせたくない」という社長の意向があったため、持株会社にグループファイナンス機能を持たせることを提案しました。これは、持株会社がグループの資金調達を一括して行い、事業会社のA社・B社に適時・適切に資金の貸付けを行うというものです。その結果、もともと堅実経営をされていて財務体質が強固だったので、後継者候補の個人連帯保証は免除されました。

組織再編で連結納税が有利であることを事前のシミュレーションで確認

組織再編をするにあたり、立案段階から連結納税の適用を想定し、事前に「連結納税(有利・不利)判定サービス」を利用して有利判定を確認するなど、綿密なシミュレーションを行っていました。というのも、純粋持株会社の場合、収入が事業会社からの配当収入と経営指導料です。平成22年度の税制改正でグループ法人税制が創設されてから、完全支配子会社からの受取配当等については全額益金不算入となっています。配当以外の収入がほとんどない持株会社は欠損が常態化し、将来所得の発生も見込めないため繰越欠損金の解消ができない状況になります。そのため、持株会社の欠損と事業会社の所得を通算できる連結納税の適用は必須だと考えたからです。
実際の再編では、その方法として株式移転を選択しました。理由は、株式移転により持株会社を新設した場合「新設の特例」で設立初年度から連結納税を適用することが認められているので、持株会社の欠損を解消する環境を早期に実現できるからです。

税理士には「後継者育成」の役割もある

現在、私はこの事業会社の会計参与に就任し、ガバナンスの強化に取り組んでいます。後継者の「指導係」としての位置づけで、経営会議のみならず後継者が参加する営業会議にも出席するので、会社との信頼関係そして会社経営への関わりが深まったと思います。今後は、まだ課題として残っているグループ全体の業績管理を強化するため、連結会計システム(eCA-DRIVER)の導入を視野に入れ、月次連結ができる体制づくりを一緒に目指していきたいと考えています。
今回のケースと同様、社長が高齢で、かつ若い後継者の育成が必要な会社はこれからも増えるでしょう。私たち税理士は「後継者育成」という企業のニーズにも「後継者塾」開催などを通して支援ができます。そうした面からも、是非積極的に税理士を活用いただければと考えています。

<電子ブック「Gプロ」第7号(2013年11月発行)より転載>