TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

活動事例

「四半期決算のレビュー」と「本決算への書面添付」で連結 決算の高精度化を支援
TKC全国会中堅・大企業支援研究会会員 税理士・公認会計士 松﨑堅太朗
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"四半期決算のレビュー"が関与のきっかけ

私は現在、4つの上場子会社に「ASP1000R(法人電子申告システム)」を導入して、税務顧問に就任しています。うち1 社の関与のきっかけは、法人税・地方税計算の四半期レビューを依頼されたことです。 親会社は上場企業ですから、連結決算による開示を四半期ごとに行います。そのため、子会社の決算データをレポーティングパッケージで収集しますが、「四半期ごとに別表まで作り税務計算を行う」という方針を掲 げているため、提出内容には法人税・地方税の申告書一式も含まれています。
そこで、その子会社から「通常の年1 回ある税務申告もやっていただきたいが、四半期ごとに税務計算をして別表まで作るので、経理担当者がASP1000Rで作成した内容をレビューしてほしい。そして、問題があれば 指摘してもらい、問題がない場合でも"問題なし"という旨の書面を作ってほしい」という依頼を受けました。
レビューの際には、当事務所の公認会計士試験合格者と巡回監査士を現場に行かせて業務を行なっています。

本決算では「税理士法第33条の2第2項」の書面を添付

四半期のレビューでは、ASP1000Rで作成した数字と、会社が計上している未払法人税等の計算がほぼ同じで、タックスクッションの範囲内に収まっているかどうかという「会計面」のチェックが中心です。ASP1000Rは、インターネットにつながればどこでも内容をチェックできて便利です。経理担当者の入力完了後、データをメール等で頂き、事務所で事前にASP1000Rの入力漏れに伴う不足別表の有無、計算間違い等のチェックをします。その上でお客様の会社に伺うので、現場では申告基礎資料の突合作業がメインとなり、効率的にチェックできます。
本決算の時も基本的な作業は同じですが、四半期決算時に別表の加減算の内容はおさえているので、四半期決算とは異なる本決算時特有の調整内容を中心にチェックし、完了後は「税理士法第33条の2第2項に規定する添 付書面」(税理士又は税理士法人が、他人の作成した申告書について審査した場合に、その審査した事項等を記載した書面。申告書に添付して提出する)を作成したうえで電子申告を行います。

税理士を"経理担当者専属のトレーナー"として活用してほしい

私は、上場企業の子会社にとって、四半期での税務計算は"経理担当者のトレーニング"にもなり、非常にいいことだと思っています。四半期決算でASP 1000Rの入力を間違えても税務リスクはありませんが、年に1 回の 本決算で入力を間違えると、とたんに税務リスクを抱えることになります。このトレーニングでリスクを減らすことができるのです。
「四半期決算は連結決算のため」と考える上場企業は多いようですが、実際に大企業の経理担当者が悩んでいるのは、昨今の税務申告の複雑化に対応するための、子会社の経理担当者のスキルアップではないでしょうか。現場では、人事異動により経理担当者が数年で交替するため、スキルアップが大きな課題になっています。まずは、税理士を"経理担当者専属のトレーナー"として活用してもらう流れができればいいと思っています。

<電子ブック「Gプロ」第3号(2012年11月発行)より転載>