TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

活動事例

海外子会社の財務管理体制の構築を「組織」と「システム」で支援

POINT

  • 海外に生産拠点を設立し生産・販売面で業務が軌道に乗り始めたが、日本の本社から財務状況を適時・正確に把握することが困難
  • 現地調査を実施し、海外子会社での月次決算体制を構築
  • 海外子会社の財務状況を本社から適時にモニタリングできる体制の構築

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H社は、自動車部品を製造販売する中堅メーカーです。同社は、取引先からの要請を受け、タイに生産拠点を設立しました。工業用地の購入や建物の建設、設備投資等には想定より大きな投資を要し、この投資額の半分は、金融機関から本社が借り入れました。毎月、数百万円の返済が必要ですが、タイ子会社は何とか生産体制を軌道に乗せ、安定的に取引先に納品できるようになりました。さらには、タイのローカル企業からの引き合いも増え、年々取引先も売上も増加しています。

H社のタイへの進出は順調に進んでいますが、その一方で、タイ子会社の財務情報の管理に関して色々と課題が出てきました。具体的には、
① タイ語で作成された決算書を解読することが難しい。
② 期末決算日から5ヶ月遅れの決算情報であり、最新の経営状況が把握できない。
③ 売上は増えているが、仕入や販売管理費の増加も高く、一向に利益が出ず資金繰りが厳しい。
④ 海外子会社の日本人社長を通じて仕入や販促費の増加要因を聞いても、明確な回答が返ってこない。
⑤ 海外子会社の経理は、タイの会計システムで記帳されているが、誰も内訳を把握できない。

このように財務情報が分からない状態が続いており、本社の社長は、経営上の課題と対策への打ち手も検討できず、さらに、売上高や仕入の過大計上等の粉飾決算が行われているのではないかという不安を持ち始めました。こうした状況を改善するため、定期的な財務状況のモニタリング体制をどのように作れば良いかというご相談を当事務所にいただきました。

まずは、海外子会社の現地状況を正確に把握することが必要と判断し、TKC会員で設立した「一般社団法人海外展開支援ネットワーク」に相談し、同社団法人のネットワークであるタイの会計事務所に依頼して海外子会社の現地調査を行い、月次で決算を作れる体制を構築しました。

そして、当事務所の支援のもと、現地会計システムで作成した日々の経理データを日本語で確認できるモニタリングシステムを導入し、タイ子会社の会計データを本社からいつでも確認できる体制を構築しました。その結果、月次で変動損益計算書を把握し、予算と実績の乖離、前年同月との実績の差異を把握することができ、経営上の課題と対策を検討し、実行できるようになりました。