TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

活動事例

自己資金だけで事業承継が実現!株価シミュレーションによる早期対策

POINT

  • 分散した株式の持ち株比率の集約が課題
  • 株価シミュレーションによる早期対策
  • 第三者割当増資による自社株評価の低減効果
  • 自社株譲渡の特例による適用税率の引き下げ

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D社は、グループ会社2社を抱える中堅メーカーです。2年前に前会長が亡くなられ、社長である長男と専務取締役である次男、そして会社経営に携わっていない母親と妹の4人が株式を相続していました。その後、D社では社長である長男の息子への事業承継を進める方向でしたが、株式の評価総額は8億円を超えており、母親の保有する株式の二次相続対策、社長の弟妹やその子供にも分散している株式の持ち株比率を集約していくことが課題となっており、当事務所へご相談をいただきました。

当事務所で現在の株価を算定するとともに、将来の業績予測等から株価の変動をシミュレーションしたところ、株価が上昇傾向にあることが判明し、早い段階で対策を実施する必要があることをD社にお伝えしました。また、当事務所から経営承継対策として「第三者による安定株主作り」「自社株譲渡の特例の適用」の2点をご提案しました。

具体的には、従業員持株会や中小企業投資育成株式会社(※1)へ第三者割当増資を行うことで安定株主を確保し、さらには、その結果として自社株式の純資産価額の低減効果がありました。また、相続により取得した株式の自社株譲渡の特例を適用し、相続により取得した自社株式を会社が購入することで、通常であれば譲渡益に対して最高で55%の税率が適用されますが、自社株譲渡の特例(※2)により20%の税率とすることができました。

D社では、自社株の買取りに多額の資金が必要となることから、事業承継のために借入れを起こす必要があると考えておられましたが、当事務所からの提案により自己資金の範囲内で事業承継を実現することができました。また、株式を譲渡した親族の株式譲渡所得課税を抑えることができ、円滑な事業承継ができたと大変喜んでおられました。

※1 中小企業投資育成株式会社は、優良企業への成長を支援するために中堅・中小企業が発行する株式・新株予約権付社債などの引受けにより、長期安定資金を提供する公的な投資育成機関です。

※2 自社株譲渡の特例を適用するためには、一定の要件を満たす必要があります。